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離職率の平均はどのぐらい?新卒・業界別データや対策を解説!

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離職率とは?

一般的に離職率は「ある一定の期間の内での在籍者数に対する離職者数の割合」と言われていますが、法的に定められた定義はないのが実態です。そのため企業によってそれぞれ定義しています。厚生労働省では「離職者数を1月1日の常用労働者数で割り100を掛ける」ことで雇用動向調査を行っています。

一方、企業においては「期初から期末の期間で、期末の在籍者数に対する離職者数の割合」として算出している場合だと、期間が「1年間」である場合と「半年間」である場合があります。

また、企業によっては「新卒入社者の1年間の離職率」や、「中途入社者の離職率」も公開・重視ている場合もあります。それぞれ「未経験の入社者に対する育成体制や定着施策が整っているか」や、「中途で入社しても受け入れられやすい風土があるか」などの数値によって伝わることが異なるためです。

各社ごとの事業のフェーズや形態によって注目するべき「離職率の定義」は異なってくると考えられます。

離職率の現状(離職率の平均)

離職率の定義の仕方はそれぞれありますが、大切な事は「適切な離職率」を把握できているかどうかです。日本全体の離職率や業界別の離職率の平均を把握し、自分達の会社がどの程度の位置にいるかによって対策が異なってきます。まずは各離職率について見ていきたいと思います。

日本企業の離職率(厚生労働省調査より)


日本全体の離職率(上図中赤線)について、平成21年頃(リーマンショック後)には離職率は若干上昇していますが、概ね9%前後を推移しています。平成29年以降は離職率は上昇傾向であり、更に令和2年以降では、新型コロナウイルスの蔓延により、オフィスでの勤務という形態から自宅でのリモートワークを実施する企業は増えています。

これまでとは異なる勤務形態はメリット・デメリットがそれぞれ存在する事は明らかであり、それに伴う離職率の増減も注目するべき点だと考えられます。

加えて、今後の離職率の数値に対して、「現在勤めている会社の財政状況に不安を感じて転職する」、「今後の生活の不安により現在の会社に留まる」、「テレワークの実施により働き方の自由度が増して現在の会社への帰属意識が薄まる」という様に数値の裏にある動向を考察する事が重要です。

業界別の離職率(厚生労働省調査より)


上記は厚生労働省の調査による令和元年前半の各業界の入職・離職についての表と、前年同時期との差を示したものです。

トレンドと共に、自社がどの程度業界平均と差異があるのかを確かめることができます。もちろん、離職率が業界平均と比較して高すぎる場合には社内の状況を適切に把握し、人材の流出を防ぐ手段を講じなければなりません。

しかし、それ以上に大切な点は「離職率が低い」=「良い会社」というわけではないということです。いわゆる離職率が「低すぎる」会社にもそれに伴う課題が生じてきます。

それぞれの特徴・例を下記に挙げていきます。

■離職率が「高すぎる」企業の特徴・生じうる課題

・育成コストが過剰に掛かり、生産性の低下を招く

人材が定着しない、経験のある人材が転職する比率が多い場合には、毎期過剰に育成コストが掛かってしまいます。主に育成を担当する社員やそのチームの生産性は低下します。

・求人募集の人気が低下する

もちろん、今後の応募者への影響は大きいと考えられます。業界平均は今や誰でも把握できるものであるため、それと比較して離職率が高すぎる場合にはその会社のイメージは低下し、応募者も減ってしまいます。

■離職率が「低すぎる」企業の特徴・生じうる課題

・昇進、または配置転換が行いにくくなる

いわゆる「年功序列型の組織」に生じやすいです。役職者が動きにくいことでその下の役職の社員の昇進や配置転換が行いにくくなります。

この結果、勤続年数に対して役職を与えるという配慮で「役職の数が増える」、「昇進のためにグループ会社への異動を行う」という手段が講じられることが多いです。一概にそれがダメであるわけではありません。

ただ、「あの役職って何をやる人?」というような役割定義が不明確になり、組織の軋轢が生まれる原因となります。

また、若手社員も社内でのキャリアを描きにくくなってしまう事も考えらます。転職が身近になった現在では社内での自身の成長機会を見いだせなくなる場合、同業種で役割を与えられる他社と比較されやすくなります。

・社員ごとの意識の差が大きくなる

勤続年数のみが増加すると、「長く働くこと」が目的になる懸念があります。経営理念や戦略の伝達に力を注がない場合には、社員ごとの会社の目指す姿への意識差が大きくなってしまいます。

その結果、積極的な社員がそうでない社員の影響を受けて良い動きがしにくくなってしまう可能性があります。

上記はあくまで数例ですが、「離職率を下げる」ことよりも「離職率を適切にする」ことが企業経営にとって重要です。

離職率が「低すぎる」「高すぎる」原因

離職率の平均からの大きなずれが生まれる原因としてはいくつかあり、その中で主なものを紹介します。

■採用でのミスマッチ

大きな要因のひとつであり、特に離職率が「高すぎる」原因になりやすいのが「採用段階でのミスマッチ」です。

採用段階で会社の業務内容、経験を活かせることに魅力を感じて入社したのにも関わらず、全く異なる業務に就いてモチベーションが低下し続けて離職するというケースは多くあります。この場合、入社後のフォローも重要ですが、採用の段階で適切な期待値調整が行えているかの影響が大きいです。

選考の際に「具体的な業務内容」のみで志望度を上げるのではなく、「経営理念や会社のビジョン」を伝え、大きな枠組みの中で志望度を上げること、もしくはキャリアパスを先んじて明示しておくことなどで入社後のギャップを低減できます。

■キャリアの不透明感

採用段階で期待値を調整したとしても、入社後の業務の多忙さから自身の成長実感が感じられずにキャリアを見いだせず離職するケースもあります。そのため、入社後のリテンション(離職防止)を講じることが大切です。

一般的な例としては、上司がメンバーとの対話の機会(社員で集まる機会や1on1面談など)を設け、そこで会社の今後の展望と共に各人の状況把握、今後やりたい事を聞き出すことが手段として挙げられます。

■イグジットマネジメントが不十分

採用段階、入社後のリテンションと共に重要なのが、「イグジットマネジメント」です。いわゆる組織の「出口」を管理することであり、「会社、社員の双方にとって良い退職」を実行することです。

「退職」というと特に日本ではマイナスなイメージを持たれやすいですが、本人のキャリアを鑑みた結果他の場所の方が活躍できるという判断も当然あります。むしろ、社員本人も社内外でのキャリアが不透明なまま働く事は会社側の損失、本人の機会損失繋がります。

そのため、会社からの役割期待と本人の意向を丁寧にすり合わせる中で責任を持ってどういう形で退職をするかを話し合い、気持のよい退職を実施できることはその後の会社のブランドイメージの向上にも繋がります。

■「期待と満足」のミスマッチ

離職率が適切にならない原因を見ると、お互いの「期待」と「満足」のミスマッチが根源的な要因になっている事が多いのが分かります。

「これだけ福利厚生を充実させているのに・・・」といった会社側の嘆息や、「こんなに貢献しているのに・・・」といった社員側の不満も、会社と社員の間で期待と満足のすれ違いが生じてしまっているケースが多くあります。

それと同時に、お互いに「特に期待していないこと」への時間や資源の投資が生じてしまうことがあり、結果として組織全体のムダに繋がってしまいます。

適切に期待と満足を把握し、それに応じた対応を行う事で「不要な離職」を低減することができます。特に昨今その期待と満足のマッチを目的として「従業員エンゲージメント」が注目されています。

「従業員満足度」は「社員の満足度を上げる」ことを目的としており、主に福利厚生への投資が対応策になっています。

一方、「従業員エンゲージメント」は「社員の会社への貢献欲求を高めること」を目的としており、「社員が会社に求めることを把握し、それに応じた網羅的な対応策を講じる」ことができます。
従業員エンゲージメント」についての参考ページ

離職率を適切にするための対策

「離職率を適切にする」ための対策例を紹介します。

■採用プロセスの見直し

先述した採用段階でのミスマッチを無くすための取り組みとして、採用プロセスの見直しが挙げられます。

会社の魅力を「業務内容」「制度待遇」のみではなく、「会社の目指す目標、理念」や「人や風土の魅力」を感じられるような採用プロセスの設計により、会社に対して感じる魅力や期待することが網羅的になります。

各テーマに沿ったインターンシップの実施や、社員がある程度選考を通過した応募者の専属トレーナーとしてサポートするなどが「従業員エンゲージメント」が高く、「離職率が適切」な企業の取り組みとして良く見られます。

■育成体系の充実

多くの企業ではOJTによる先輩社員からの指導が育成体系として実施されています。

実際の業務に沿った適切な指導は新規入社者の早期戦力化に効果的ですが、あまりに属人的に育成を任せてしまうことで「成長スピードにムラが出る」、「人による業務知識や経験に偏りが大きくなる」という課題も生じます。

そのため、OJTだけでなくOFF-JTの形でも提供する育成体系を整えることが重要です。それと共にOJTの責任者と、各現場での担当者とのコミュニケーション機会を設けることで育成の質を標準化する事も効果的です。
(参考:育成体系構築に向けた参考ページ )

■福利厚生の充実

一口に福利厚生と言っても、社員の求めることは多種多様でありその全てに応えることは難しいと考えられます。

重要なのは優先順位をつけること、不満が生じていればその原因を把握する事です。優先順位は「従業員エンゲージメント」を適切に把握し、期待と満足の状態から考えることが効果的です。

また、例えば「給与への不満」が挙がっている場合にも「給与の上昇」が有効でない場合もあります。表面的には「給与への不満」として挙がっていたとしても、「自分の仕事が認められていない」という評価への不満が原因であり、上司とのコミュニケーション機会の増加や適切な評価の設計と周知が有効になる場合も多くあります。

各社の現状と目指す姿に合った対策が重要

離職率の増加とその対策は企業の大きな課題のひとつですし、業界や他社の動向を把握する事は重要です。

しかし何よりも、それぞれの現状の適切な把握(従業員エンゲージメントによる期待と満足の把握)と、会社として目指す姿(何を大切にするか)を明確にしてそれに合った課題設定と対策が効果的であり、会社と社員双方の浪費を無くすことに繋がります。

離職率低下の事例

タビオ株式会社 組織変革事例

【企業の概要】

・社名:タビオ株式会社(以下タビオ)
・設立:1977年3月
・事業内容:靴下の企画・製造・卸・小売・フランチャイズ チェーン(靴下屋)の展開・直営店(靴下屋・ショセット・Tabio・TabioMEN)の展開
・従業員数:833名 (※パート・アルバイト含む) 
・本社:大阪府大阪市
・ビジョン:「私たちは世界一の靴下総合企業を実現します」

【課題】

タビオは「靴下は消耗品」という固定観念を払拭するために創業当時から日本の高い靴下製造技術を駆使して世界規模で店舗を拡大してきました。

その中で、靴下専業の競合他社が倒産した事もあり自社基準の事業運営が横行してしまうようになってきました。顧客ニーズを考えずに、「昨年売っていたから売る」「売れていない商品も毎年売り続ける」というようなことが続き、売上も低迷してきまいした。

社内で明確に提供する価値の違いを決めて作ったはずのブランドも「何が違うんだっけ?」と社員から出てくるようになっていました。

弊社組織診断ツールであるモチベーションクラウドで現状を把握したところ、「会社と従業員の間で期待する事と満足している事のミスマッチが起きている」という結果が数値にあらわれました。

そこで、弊社の組織変革技術にのっとりひとつひとつ対策を実施しました。その中で今回は離職率の低減に影響が大きかった「組織体制体制の変更」についてご紹介します。

【取り組み内容】

・組織体制の変更
長い歴史の中で組織図はかなり細かく、複雑になっていました。

細かすぎるためにそれぞれの部署・社員の役割も不透明になってしまい、結果として会社と社員の間での役割認識もズレてしまっていました。

そのため、各部署の機能・役割を明確にして、シンプルな組織体制に変更しました。この際に、「とりあえず管理職を置く」のではなく、「マネジメントができる人」の数に合わせて組織図を設計する事で、会社の方針をムラなく現場に伝えられるようにしました。

その結果、本部と各店舗の繋がりがこれまでと比べて強くすることができました。会社と社員の間での認識の齟齬が解消され高すぎた離職率が大幅に減少するという結果につながりました。

引用元:離職率激減を実現した組織構造改革 全国に約270店舗を展開するタビオ株式会社

参考:従業員エンゲージメントと離職率の関係


「社員の期待していること」を把握し、それに対応したことを会社から提供する事で「会社の方針」と「社員の意向」のミスマッチを減らすことができます。

「会社への帰属意識」が高まり、上図のように「従業員エンゲージメント」が高まるのに比例して離職率は低下する事が分かっています。

一般的に、「100人の企業で離職率が1%改善する(年間での離職率が1人減る)場合、最大で営業利益率が最大0.5%改善する」と言われています。
「従業員エンゲージメント」についての参考ページ

【参考資料のご紹介】
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おわりに

「離職率が高いこと」が悪いと一般的に言われますが、「離職率が高すぎる」もしくは「低すぎる」ことの方が課題だと考えられます。その解消に向けては従業員の声に耳を傾け、「期待」と「満足」をすり合わせることが最も大切であると考えています。

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稲冨 健太
稲冨 健太

【プロフィール】 名古屋大学大学院卒業後、新卒で入社。 入社後一貫して、幅広い業種の中堅企業・ベンチャー企業の組織コンサルティングに従事。 モチベーションクラウドの活用と理念策定・浸透、人事制度、採用戦略、幹部育成などのコンサルティングにより、多くの企業の組織変革に導く。 2020年からはモチベーションクラウドのカスタマーエクスペリエンス向上の開発、部署内のマネジメントも担う。

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