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従業員満足度調査(ES調査)とは? 効果的な実施目的や方法、従業員エンゲージメントの違いとは?

現在、多くの企業にとって優秀な人材の確保、定着は重要な課題となっており、従業員満足度の向上が重要視されています。従業員満足度を向上させるためには、まずは従業員が自社に対してどれほど満足をしているか現状を把握せねばならず、そのためにアンケート調査をおこなうことが一般的です。

今回は、従業員満足度調査を行うにあたってのポイントのみならず、アンケート後に従業員エンゲージメントを向上させていくための方法をお伝えします。

■従業員満足度調査(ES調査)とは?

従業員満足度調査とは、従業員が、仕事内容、職場環境、人間関係、福利厚生などについてどの程度満足しているかを測る調査のことです。少子高齢化によって、近い将来の労働人口は大きく減少することは確実視されています。

また、働く側のワークライフバランスの変化も著しく、働き方も多様化する中で、この従業員満足度調査(Employee Satisfaction調査=ES調査)がさまざまな企業で実施されています。

従業員満足度が高まれば離職率は低下し、業績の向上にも貢献するなど、企業価値を高めるためにも、従業員満足度を把握し高めることが注目されているのです。

■従業員満足度調査の項目内容

▷衛生要因と動機付け要因

そもそも、従業員満足はどんな要素で構成されているのでしょうか。 従業員満足に関する基礎的な理論としては、アメリカの臨床心理学者フレデリック・ハーズバーグ氏の二要因理論が用いられます。

二要因理論とは、人間の仕事における満足度は、「満足」に関わる要因(動機付け要因)と「不満足」に関わる要因(衛生要因)によって構成されているという考え方です。

「満足」に関わる要因(動機付け要因): 「達成」「承認」「仕事そのもの」「責任」「昇進」「成長への可能性」など、より高い業績へと人々を動機づけする要因であり、これらが満たされると満足感が高まりますが、不足したからと言って不満足に直接つながるものではないと考えられるものです。

マズローの欲求階層説でいえば、より高次の欲求、つまり「自己実現欲求」「承認欲求」「社会的欲求」の一部を満たすものと考えられます。

「不満足」に関わる要因(衛生要因): 「会社の政策と管理方式」「監督」「賃金」「対人関係」「作業条件」など環境に起因する要因であり、これらが不足すると不満足につながる一方で、一定水準を超えて満たされても満足度の向上にそれ以上つながるものではないと考えられるものです。

マズローの欲求階層説でいえば、より低次の欲求、つまり「生理的欲求」「安全欲求」「社会的欲求」の一部を満たすものと考えられます。

従業員満足度調査では、こうした項目ごとに従業員の満足度合いを計測していきます。その結果、「従業員が何に満足していて、何に満足していないのか」が分かります。

■従業員満足度調査の目的

しかし、ここで多くの企業が陥りがちな罠があります。それは、従業員満足度調査をやること自体が目的となってしまうことです。調査目的は複数存在すると思いますが、大切なことは下記に記載の通り、目的を明らかにして実施いていくことです。

▷組織課題の特定

従業員満足度調査の目的のひとつは「組織課題の特定」です。従業員が仕事やチームワーク、職場環境などについてどう思っているのかを、日常の様子観察や面談だけで、上司や人事部、経営幹部が把握することは非常に困難です。

そこで従業員満足度調査を行うことで現状の満足度を定量的に測り、組織の課題や問題点を特定できます。定量的なデータから分析結果を踏まえて、課題を改善する施策を行うことで、将来的に従業員満足度を上げていく足がかりにできます。

このように、人事や組織施策検討の導入になることを目的として、多くの企業が調査を実施しています。

▷施策の効果検証

もうひとつ、従業員満足度調査を実施する大きな目的として「施策の効果検証」があります。企業は従業員に対して様々な施策を行いますが、施策を実行する前と後で、どのくらい従業員満足度に効果があったのか、またどの項目に影響があったかなどを測定できます。

想定していた目標と比較して従業員の意識にギャップ(課題)がないかを見つけるためには、従業員から本音を聞きだす調査が不可欠です。

■従業員満足度と従業員エンゲージメントとの違いは?

「従業員満足度」と似た言葉に「従業員エンゲージメント」があります。従業員エンゲージメントとの大きな違いは、その「結びつきの方向性」です。従業員満足度は、処遇や環境に対する評価であり、企業側の取り組みに応じて満足度が変わります。

これに対し、エンゲージメントは、企業と従業員が双方向の関与によって結びつきを強めていく点が大きく異なります。

また上記に加えて下記の図の通り「従業員満足」は社員満足を生み出すことが目的となっているため、満足度が高いからといって、企業業績が必ずしも伸びるわけではありません。

一方で「従業員エンゲージメント」は、従業員の企業に対する貢献意欲を引き出すことが目的であり、相互作用によって企業の業績向上に影響を与えるものでなければなりません。

しかし、従業員が期待するものは、納得感のある給与や最先端の設備などという「Privilege(待遇の魅力)」もあれば、商品サービスや仕事のやりがいなどの「Profession(活動の魅力)」、経営陣の魅力や風通しの良い風土などの「People(組織の魅力)」もあれば、明確な企業理念やブランドなどの「Philosophy(目標の魅力)」など、多種多様な時代です。

企業はその多様な従業員の期待を把握しながら応えつつ、企業への貢献意欲を引き出していくという、満足度提供よりも難易度が高いのが「従業員エンゲージメント」です。 (※下図参照)


■従業員満足度調査の流れ

様々な目的をもとに行われる従業員満足度調査ですが、実際に調査を行うには、どのような手順を踏むとよいのでしょうか。手順は大きく7つのステップに分かれています。調査の活用方法も併せて確認していきましょう。

①調査目的の明確化

先述の通り、組織課題の特定なのか、施策の効果検証なのか、調査する目的を明確にしておくことが大事です。また準備を進める中で調査目的が変わることもありますが、常に明確にしておくことがポイントです。

②調査内容の設計

次に、調査目的にそった質問項目、調査方法、対象者などを選定します。質問項目では質問内容を考えることはもちろんのこと、回答形式(二択式、5段階評価、自由記述など)も間ゲル必要があります。

調査方法はアンケート形式が一般ですが、インタビューなどを通じて実施する方法もあります。また対象者についても、全社員なのか、一部の部署なのか、契約・派遣社員、パート・アルバイトも含むか否かなど決める必要があります。

③回答依頼

続いて、回答率を上げるために、調査の目的や背景、具体的な方法といった調査の概要について従業員に事前説明を行います。趣旨・背景の理解が得られなければ、表面的、形式的な調査で終わってしまいます。調査目的の達成のために、調査に対する従業員の理解と協力が不可欠です。

④集計・分析

回答が終了したら、集計と分析に入ります。集計方法としては、単純集計、クロス集計、構造分析などが一般的です。集計作業はもちろん、課題がどこにあるか分析する作業も、従業員数が多ければ多いほど、かなりの手間と時間がかかります。

作業量とコストのバランスを鑑みて検討してみましょう。また、分析にあたっては「うまくいっていること」と「今後の課題について」の両面を見つけるようにしましょう。

⑤対策検討

集計・分析を通じて今後の課題が見えたら、その課題を解決するための施策を検討していきます。複数の課題が見つかるはずですが、その中から優先度を決めて、解決する手段を見つけていきます。

⑥報告、フィードバック

報告、フィードバックは二段階で行うのが望ましいでしょう。経営層と従業員とでは立場が違うため、報告内容を変え、別々に行うことが一般的です。経営層に対しては調査の全体像および「良かった点」「悪かった点」の両方についての分析結果、今後の対策などを中心に説明をします。

一方、従業員に対しては会社全体でどのような傾向があったのかおおまかな結果をフィードバックします。大切なことは、必ず調査報告、フィードバックを行うことです。自分たちが回答したものがどのような結果だったのかを知らされないと、次への協力体制を築けないことがあります。

⑦対策の準備、実行

経営層への報告により了承を得られたら、いよいよ対策の準備と実行に移ります。満足度調査から長時間経過してしまうと、従業員の関心度やモチベーションも下がります。調査から対策の実行までスピーディーに取り組みましょう。

■従業員エンゲージメントを上げるための方法

ここまでは、従業員満足度についてフォーカスし、その具体的な流れまでをお伝えしてきました。一方、従業員満足度を高めたからといって、必ずや企業の業績向上など成果に結びつくわけではありません。

業績に直結する「従業員エンゲージメント」を高めるためには、どのようなポイントがあるのでしょうか?

それは、やはり「診断」と「変革」の2ステップを踏むことが重要です。さまざまなアンケート等で対従業員の現状を多角的に現状把握(診断)をしたら、更にエンゲージメントを向上させる施策(変革)を講じていく事が求められます。

エンゲージメント調査では、良い点だけでなく課題も浮き彫りになります。課題が明確になったら、次はそれを改善、解決するための施策を考え実行し、再度測定を行い効果があったかどうかを検証してPDCAを回す。

このように、一度満足させたら終わりではなく、従業員エンゲージメントを高めるためには長期的な取組みが必要なのです。

■終わりに

以上、従業員満足度調査とは何か、その目的や方法、ポイント、更には従業員エンゲージメントとの違いについて振り返ってきました。

より業績に結びつきやすい従業員エンゲージメントを向上させるためには、改めて従業員の声にきちんと耳を傾け、具体的な施策によって更なる強い関係性を築き、継続的に働いてもらうことが企業には求められています。

まずは自社の従業員エンゲージメントの状態を正しく把握し、それによって向上させるための施策を検討してみてはいかがでしょうか。


野々山 果純
野々山 果純

【プロフィール】 リンクアンドモチベーション入社。 秘書、社内広報、PRなどに従事した後 部門人事にて育成体系の構築を進めると共に中途採用責任者を歴任。 現在は、モチベーションクラウドのカスタマーサポート部門の責任者として プロダクトやサービス改善に努める。

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