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従業員満足度の重要性とは? 満足度を向上させる方法や事例を紹介

「ダイバーシティ経営の実現」「従業員ストレスチェックの義務化」など企業活動において、顧客満足度の追求のみならず、従業員に対する施策の実施も求められる時代となってきています。

なぜ企業活動において従業員に対する施策が注目され、「従業員満足度」の追求が必要とされる時代となったのか。その背景や、向上するメリット、ポイントなどをまとめていきたいと思います。

従業員満足度とは?

従業員満足度とは、職場環境や社内の人間関係、働きがい、福利厚生、給与などの要素で計測される従業員の満足度のことを指します。

従業員満足度は英語で「Employee Satisfaction」と呼ばれ、頭文字を取った略称のESと表現される場合もあります。

高度経済成長期以降の大量生産大量消費の時代では、企業はいかに顧客から自社の商品やサービスが選ばれるのかという「顧客満足度(Customer Satisfaction)」が重要視される世の中でした。

一方で、少子高齢化が進み、生産年齢人口(15~64歳の人口)が7,507万2000人と、総人口の60%を割った今日では、商品やサービスを提供する労働力の確保の重要性が増してきています。

そのため、企業は顧客だけでなく、企業に所属する従業員からも選ばれる「従業員満足度」の追求が、顧客満足度の追求と同様に重要視されているのです。

では、「従業員満足」とは何でしょうか。

従業員満足に関する基礎的な理論としては、ハーズバーグの「二要因理論」が用いられます。二要因理論とは、人間の仕事における満足度は、「満足」に関わる要因(動機付け要因)と「不満足」に関わる要因(衛生要因)によって構成されているという考え方です。

「満足」に関わる要因(動機付け要因):

「達成」「承認」「仕事そのもの」「責任」「昇進」「成長への可能性」などより高い業績へと人々を動機づけする要因であり、これらが満たされると満足感が高まるが、不足したからと言って不満足に直接つながるものではないと考えられています。

「不満足」に関わる要因(衛生要因):

「会社の政策と管理方式」「監督」「賃金」「対人関係」「作業条件」など環境に起因する要因であり、これらが不足すると不満足につながる一方で、一定水準を超えて満たされても満足度の向上にそれ以上つながるものではないと考えられています。

従業員満足度を構成する要素

従業員満足度を向上させるうえではいくつかの要素があります。

■企業ビジョンへの共感性

企業ビジョンとは、企業が顧客に対してどのような価値を提供するのか、どのようにして社会に貢献するのか、という全体的な方向性のことです。

企業ビジョンに共感している従業員は、会社に対する期待感や誇りを持っています。そのため会社への信頼度は高く、能動的に自社の貢献に向けた行動を取ろうとします。

■上司(マネジメント)への納得感

部下の考えを理解したり、部下の仕事ぶりを把握してきちんと称賛したりしている上司がいる部署は、従業員満足度が高くなります。

逆に、納得度の低い評価をしたり、部下を放置したりする上司がいる部署は、当然ながら従業員満足度も低くなります。

■自身の仕事の業績や社会に与える影響度

自分の仕事と、会社の業績や社会への貢献度と照らし合わせた際に、それを感じられない場合はの従業員満足度は低くなります。

■職場内の人間関係

共に働くメンバーとの人間関係が良好であれば、従業員満足度は上がりますが、ひとたび人間関係がこじれれば、その不安や不満は従業員の大きなストレスとなります。

■快適な職場環境

職場環境を整えることも、従業員満足度の向上に繋がる取り組みの1つです。たとえば、従業員の業務効率が上がるシステムや制度を積極的に取り入れれば、働きやすさも高まります。

■福利厚生の充実度

福利厚生を充実させることも、従業員満足度の向上に欠かせません。有給が取りやすい環境を整えたり、法定外の休暇を用意したりすることは、高い従業員満足度に繋がります。

従業員満足度を高めるメリット

従業員満足度の向上によって得られる主なメリットは主に3つあります。

■生産性が向上する

従業員満足度が向上することで、従業員は高いモチベーションを維持しながら、能動的に仕事に取り組むことができます。その結果、より短時間で大きな成果をあげられたりと、生産性を高めることに繋がります。

また、高い意欲のある従業員が多い職場は、組織内のコミュニケーションや連携も活発となり、新規事業や新サービスの開発など、企業や組織にイノベーションが起きやすく、企業の業績向上を支える事にもなるでしょう。

■顧客満足度が向上する

従業員満足度が高い企業の従業員は、自社の商品やサービスをより深く理解し、向上するように努めます。また、顧客に対して高い価値を届けられるように、親身に対応を行うでしょう。そのため顧客にも良い印象を与えます。

以前は、従業員満足度を犠牲にしてでも顧客満足度を上げようとする企業も存在しましたが、従業員の満足度を高めることなく、顧客満足度を向上させることはできません。

■人材が定着する

従業員の帰属意識が高い状態にあるため、人材流出を防ぐことができます。優秀な従業員の定着は、会社の業績向上はもちろんのこと、社外への認知度も高まり、ブランド力の向上にも寄与することでしょう。

また採用活動にも効果をもたらし、従業員からのリファラル採用の成功など、人材の獲得に向けたコスト削減も期待できます。

従業員満足度が高い会社の社員の特徴

従業員満足度の高い企業の従業員と低い企業の従業員とでは、どのような特徴の違いがあるのでしょうか。

■当事者意識が強い

従業員満足度の高い企業の従業員は、当事者意識が強く、自分の役割に限定せず積極的に業務に関わることができます。

個人の当事者意識の強さは、生産性や業績向上という結果にあらわれます。自発的に物事を考え、自律して仕事を進めるため、期待以上の成果を出してくれるでしょう。

一方、従業員満足度の低い企業の従業員は、当事者意識が低く、身の回りで起きている事にも関心がありません。

たとえ「無駄」とわかっていても改善する行動力はなく「会議のせいで仕事が進まない」「日報や週報を出しても上司からのフィードバックがない」などの責任転嫁ばかりで当事者意識が低く、生産性は落ちる一方です。

■経営理念や企業のビジョンを理解して行動している

従業員満足度の高い企業の従業員は、経営理念や企業のビジョンに関心が高いため、経営側が発信した情報をしっかりと汲み取り、自身の仕事と結び付けて行動しようとします。

そうした従業員が増えれば増えるほど、組織に一体感が生まれ、一丸となって業務に取り組むことで、生産性も上がるでしょう。

一方で、従業員満足度の低い企業の従業員は、経営理念や企業のビジョンにあまり関心がないため、自分の持ち場である目の前の業務にしか目がいかなくなり、結果として視野が狭くなります。

経営やマネジメント層からの指示で業務の改善が行われる場合、従業員満足度の低い従業員は自分の負担が増えるなどの目先のことにしか目がいかなくなります。その結果、組織内に不満の声が蔓延し、業務改善が進まず、生産性は上がりません。

■コミュニケーションが活発

従業員満足度の高い従業員が多い程、職場内でのコミュニケーションは活発になります。誰もがオープンに意見が言える組織風土であれば、有益な意見交換や業務改善などが期待できます。

また、コミュニケーションが活発な組織は、相互にフォローし合って業務に取り組む意識が強いため、大きなトラブルやミスが未然に防ぎやすくなり、安定した業務を行うことができるでしょう。

一方、従業員満足度の低い企業の従業員の中には「仕事がつまらない」「早く帰宅したい」と思う人もいます。そのため従業員同士の愚痴や不満が増え、相乗的にネガティブな思考に陥ります。

その結果、社内のコミュニケーションは消極的になり、活気のない組織になってしまい、生産性が下がります。

従業員満足度の調査方法

従業員満足度はどのような方法でとられているのでしょうか。従業員満足度調査を実施する企業は年々増えていますが、その多くはアンケート方式で、設問数は数十問から百問超のものまで多岐にわたります。

また調査領域(内容)については、会社、仕事、職場、上司、処遇などさまざまな項目に対する期待度や満足度を聞き、集計結果を分析して部署・属性などによる傾向をつかみます。

尚、調査するにあたっては以下の6点を定める必要があります。

 <目的>

何のために行うアンケートなのか、どのような仮説を検証するために行うのかを明確にしましょう。うまくいかない会社の多くは「従業員満足度調査を行うこと」自体が目的化してしまっているケースです。そのため社内で共通認識を持っておくことが必須となります。

 <対象>

上記目的を達成するために、どの対象にアンケートを取ることがが適切か明確にしましょう。正規社員だけでよいのか、契約社員や派遣社員を含めるべきなのか。こちらも定める必要があります。

 <役割>

従業員満足度調査の結果に対し、誰がどのように結果を開示し、さらに施策に落とし込む責任を持つのか、予め明確にしておきましょう。調査を行う際には、その後の活用方法を含め、事前に役割設計を行うことが重要です。

 <方法>

設問項目だけではなく、WEBで行うのか、マークシートで行うのかという「回答方式」や「分析軸」をどのように設計するのかなども事前に考える必要があります。

「分析軸」の検討はただ設定するのではなく、よくある傾向などをもとに仮説を立て、設計することが望ましいです。

 <基準>

従業員満足度アンケートをとる際には「回答率」を目標に設定しておくことも重要です。結果が良かったとしても「回答率」が低ければ、その施策の重要度が伝わっていなかったり、組織内で二極化が生じている可能性もあります。

 <納期>

「準備期間」「回答期間」「結果集計期間」などスケジュールを立てておくことも重要です。
「準備期間」は通常1か月程度かけ、先述の5つのポイントについて整理し決定します。
また「回答期間」は1~2週間程が一般的です。

最後に「結果集計期間」は翌営業日には集計されるものから数か月かかるものまで様々あります。これはサービスによって異なるため、導入検討の際には結果集計にどの程度時間がかかるかを確認することをお勧めします。

従業員満足度を向上させる方法

従業員満足度を高めるには、実際にどのような施策が有効でしょうか。具体的な施策例をいくつかご紹介します。

■企業理念の浸透

企業理念は企業文化に大きな影響を与え、従業員の仕事に取り組む姿勢やアウトプットの方向性を左右する羅針盤のようなものです。

企業理念を共有、浸透させるためには、経営トップが伝え続けなければなりません。また定められた文言を伝えるのみならず、それを体現する行動がどのようなものなのかを示す必要もあるでしょう。

■ワーク・ライフ・バランスを実現する

近年は、ワーク・ライフ・バランスを重視する人が増えています。

長時間労働の是正や短時間勤務制度、テレワークなど、仕事と生活の調和がとりやすくなる施策を導入することで、従業員満足度の向上が期待できます。

■社内コミュニケーションを促進させる仕組み創り

近年では、従業員間の双方向コミュニケーションを可能にするプラットフォームとして社内SNSを活用している企業もあります。社内SNS上で従業員の率直な声を集めたり、事例を共有しながら、新たなプロジェクトが立ち上げるなども有効な施策です。

また、上司と部下のコミュニケーションにおいては、定期的な1対1の対話機会も必要です。このように頻繁なコミュニケーションが職場の人間関係を良くし、従業員満足度を高めます。

■人事評価制度の構築、見直し

人事評価は従業員の報酬に直結し、従業員満足度に大きな影響を与えます。そのような従業員満足度を左右する人事評価制度の構築や見直しは、従業員満足度に変化をもたらします。

個人の能力に寄らない年齢をベースにした年功評価や、主観で女性よりも男性のほうが昇給・昇格しやすいジェンダー不平等な評価制度は従業員の不納得感を醸成させるため、見直す必要があるでしょう。

従業員満足度を高めた事例

■株式会社セールスフォース・ドットコム インサイドセールス本部様

ここでは従業員満足度を向上させた企業の例として、CRM(Customer Relationship Management)のシステムを全世界で提供しているリーディングカンパニー「セールスフォース・ドットコム社」の取り組みを紹介します。

セールスフォース・ドットコム社では、リンクアンドモチベーション社の従業員満足度調査を行ったところ、モチベーション低下の要因は、「仕事のやりがいが見つけにくい状態に陥る」ということでした。

当時、会社全体の事業成長に伴い、若手がインサイドセールス本部に在籍する期間も次第に短くなっていき、できるだけ早く成長し、別の現場で活躍することが求められていました。

また、経験の少ないメンバーが増えていく中で、インサイドセールス本部の目標も年々高まっていくため、成果を維持・向上させていくことが、部門として重要なミッションでした。

当初マネジメント側は、他部署へ異動する前のタイミングで、異動後のハードルの高さに思い悩むのではないかと想定していましたが、実はそのもっと前にモチベーション低下のタイミングがあることが明確になったのです。

そこで、「数字管理」が多い状態をやめ、若手が仕事を楽しくするために、2つのことを変えました。

1つ目は数字進捗の管理だけではなく、1on1面談実施に注力し、個々人のキャリア相談や達成するための戦略を話すことに注力されたこと。メンバーが考えていること、個人として大切にしていることを可視化する取り組みを行ったことです。

2つ目は組織のビジョンの変更。元々はとても長くわかりづらかったものを、「Frontier spirits」「Grit」「FEPP」という短くシンプルなものに変えられました。

それぞれを分かりやすく、合言葉のように社員全員が覚えられるように工夫をされました。

このような2つの取り組みを行った結果、ワースト1位だったチームが商談件数トップになるなどの成果を創出されました。

また全員記名式のアンケートでマネジャーに改善してほしいところを出すなど、とことん腹を割って話し合われた結果、商談数も急上昇。翌月には7名ものメンバーが初めて目標達成を果たしました。

それに刺激された別チームでも同様の施策を実施し、結果として商談金額が一気に上昇したといいます。

※参考:リンクアンドモチベーション「米フォーブス誌『世界で最も革新的な企業』 No.1受賞 セールスフォース・ドットコム モチベーションクラウドの結果分析から見えた、 インサイドセールス組織の“穴”と対策」

記事まとめ

いかがでしたでしょうか。従業員満足度が高い職場では、生産性の向上や優秀な人材の定着といった沢山のメリットが生まれます。

また従業員満足度を向上させるうえで、企業ビジョンへの共感やマネジメントへの納得感もカギとなます。今一度、自社の組織風土や組織文化を見直し、必要に応じた組織、人事施策を講じてみてはいかがでしょうか。


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