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チームビルディングとは?チームの協働関係を築きパフォーマンスを向上させるための方法とは?

仕事において個々人の力をかけ合わせ、チームで難しい目標・目的を達成するためには「チームビルディング」が欠かせません。

ただ、チームで協力しようとしても、ただ集まっただけではうまくいかないことが多々あります。能力の掛け算を目指すためにはどのようにチームビルディングを行えばいいのか、チームの協働関係を築き、組織全体のパフォーマンスを向上させるための方法をお伝えします。

目次

■チームビルディングとは
■チームビルディングにおける5段階プロセス:タックマンモデル
■チームビルディングの目的
■チームビルディングが重要視される背景
■チームを上手く機能させるための方法
■チームビルディングに有効な対応策
■チームビルディングに有効な書籍

チームビルディングとは

優秀な個人が集まれば組織として大きな成果が出るかというとそうとも限りません。個人個人に能力があるに越したことはありませんが、ときには強みが打ち消しあって、本来の力を発揮できないことがあります。

プロスポーツを見ているとその事実はよくわかります。特に協力や連携が必要となるチーム競技の際に、ジャイアントキリングと言われるようなチーム力での勝利が見られることがあります。

チームビルディングとは、チームとして機能し、成果を出すための手法のことを指す表現です。言葉の定義としては「チームをつくる方法」を指しますが、状況に合わせてチームの望ましい姿は変わるため、「成果を出すチームをつくり続ける方法」という定義が適切だと言えます。

チームとは

チームビルディングを考える際のチームとは、日本語では「組織」と訳すことができます。個人が集まっただけの「集団」ではチームではありません。

チーム(組織)とは、「目的」のもとに集まり、それぞれが協力する「意志」を持った上で、「コミュニケーション」で連携・協力する組織のことを指します。

(出典:チェスター・バーナード著『経営者の役割』より「組織成立の3要素」)


チームマネジメントの違い

チームビルディングと似た言葉でチームマネジメントという言葉があります。いずれの言葉も目的は「機能するチームをつくる」ということで共通ですが、「誰が主体者か」という点で異なります。

チームマネジメントは、管理者(マネジャー)からの働きかけを指しますが、チームビルディングは、チームの構成員も含めた全員で行う活動を指します。チームスポーツで言えば、監督やコーチが指示・管理するのがチームマネジメントであり、メンバーも含めた全員で行うのがチームビルディングです。

チームビルディングにおけるプロセス:タックマンモデル

チームビルディングは、一度に完成するものではなく、チームの状況に応じて変化しながら醸成していくものです。

大きな問題なくチームとして機能できることが望ましいように思われますが、心理学では「混乱」や「葛藤」を乗り越えたチームのほうが、結果的に高い成果を上げることが知られています。

チームビルディングのプロセスを整理したモデルとして代表的なものはブルース. W. タックマンが提唱した「タックマンモデル」です。

■参考図:タックマンモデル


それぞれのプロセスの内容は下記のとおりです。

①形成期(フォーミング)
個々人の方向性が十分にすりあっていない状態です。それぞれの方向に向けて頑張ろうとしますが、個人個人の成果しか出ず、チームで協働する成果(シナジー)は発揮されません。

②混乱期(ストーミング)
お互いへの影響が出始め、相互理解をしながら全体の目的をすり合わせている状態です。価値観や感情、認識の違いをすり合わせる必要があるため、個々人のモチベーションや組織としての成果は一時的に低迷します。自己開示を行いながら意見の衝突が起きるプロセスです。

③統一期(ノーミング)
お互いの違いを受容し、チームとしての目的やそれぞれの役割がすりあってきた状態です。ルール(norm:規範)を整備することでお互いのパフォーマンスが噛み合い始め、組織全体の成果が大きく伸び始めます。

④機能期(パフォーミング)
目的の解釈度合いや、役割を超えた協働が効率化し、相互理解が深まっているための組織全体のモチベーションも高くなります。目的に応じた柔軟な体制が組まれ、相互に補完し合いながら機能するため、組織としての成果が最大化されます。

機能期をトランスフォーミングと呼んだり、このプロセスの後に第5の段階として「散会期(アジャーニング)」で組織が解散していくプロセスが描かれることもありますが、成果創出に向けてはこの4つのプロセスを参考にすることができます。

チームビルディングの目的

チームビルディングは、組織で成果を出す際にはいつでも使えるものです。この記事では企業での活用を想定し、チームビルディングが活用される目的や得られる効果について説明します。

会社全体のビジョン実現

会社には理念やビジョンがありますが、言葉を掲げるだけでは意味がありません。組織全体がビジョンの実現に向けて機能するためには、経営陣がチームビルドされた状態をつくり、一枚岩になることが重要です。

また、経営陣が一枚岩になった後は、管理職、そしてメンバーへと「チーム」の範囲を広げていくことが重要になります。

マネジメントの複雑性の縮減

チームの個々人がばらばらですりあっていない状態だとマネジメントは複雑で大変労力がかかります。部門や部・課の単位で目的をすり合わせ、相互理解を深めることで前提が揃った状態でマネジメントすることが可能になり、マネジメントの複雑性を削減することができます。

また、理念によってチームを束ねることができれば、マネジメントの判断基準として理念を使うことで余計な説明も不要になり、コミュニケーション量も適切に減らすことが可能です。

中堅社員層のリーダーシップ開発

組織の中で自ら目的を掲げて行動するリーダーシップは、拠り所がないと壁にぶつかった途端に行動できなくなってしまいます。会社全体でチームビルディングが行われ、共通の目的(理念などの判断基準)が揃っていれば、その目的の実現に向けてリーダーシップも発揮しやすくなります。

特に職場を支えるリーダー陣である中堅社員層にとっては、新たな目的を掲げやすい環境が非常に重要であり、チームビルドされた組織ではリーダーシップが発揮しやすくなります。

新人・若手社員層の能力開発、協働姿勢の開発

社会人として一人前になる前の新人・若手社員に「社会人としての基準」は簡単には伝わりません。

しかし、受け入れる職場がチームビルドされた状態であれば、組織で共有されたルールが明確なため、誰が指導・育成しても同じ方向性に背中を押すことができます。

職場全体で受け入れ、育てていくことが重要な中で同じルールが前提にあることで、能力開発でも混乱が起きにくく、周囲と良好な協働関係を築くことができます。

チームビルディングが重要視される背景

チームビルディングの手法は過去から存在していましたが、事業環境や働く環境の変化を受けて改めて注目が集まっています。

事業環境の変化により多様性を活かす組織開発が重要に

事業環境も「VUCAの時代(※)」と呼ばれ、先の見通せない環境の中で、明確に生じているのはニーズの多様化とレッドオーシャン化です。正解の戦略も、ブルーオーシャンもないからこそ、勝ち筋を創出することが求められています。

だからこそ、ひとりひとりの個性を活かし、多様性によって成果を創出するためにチームビルディングが重要になってきています。

(※)VUCA Volatility(変動)・Uncertainty(不確実)・Complexity(複雑)・Ambiguity(曖昧)という4つのワードの頭文字から取った言葉。「予測不能な状態」という意味を持つ

労働市場の変化により組織の良好な関係性が重要に

労働市場においても、労働人口が減少し、優秀な人材の確保に各社はしのぎを削っています。また、就労観も変化し、過去に比べて転職も一般的になりつつあります。企業側としても終身雇用や年功序列という制度が無くなる中で、企業と個人の関係も変化しています。

お互いを拘束していた時代から、「選び、選ばれる」時代になったからこそ、組織における良好な人間関係やエンゲージメントの高さが一層求められるようになっています。

社会的制約の増大によるマネジメント難易度の高まり

コロナ禍を発端として、リモートワークなど働く環境の変化も起きています。これまでは職場でお互いを見て、声を掛け合えていた環境から、お互いの姿が見えずコミュニケーションが取りにくい環境だからこそ、職場づくりの課題に直面している声を多く聞きます。

「雑談」などのキーワードが注目されることもありますが、本質的には組織として機能するチームビルディングが今後一層注目されるようになるでしょう。

チームを上手く機能させるための方法

チームビルディングにおいて、チームをうまく機能させるための方法は「組織成立の3要素」に沿って考えることが有効です。それぞれの要素に関して記載しますが、いずれも一度だけ行うだけでは効果は薄いからこそ、繰り返し働きかけることが重要です。

共通の目的:ビジョンを明確にする

チームには目的やビジョンが必ず必要です。チームビルディングを行う際にはまずはビジョンに立ち返り、全員で認識を揃えることを意識しましょう。

当たり前のように思えるビジョンだったとしても、具体的に解釈をしたり、それぞれのモチベーションを確認すると、別々の方向を向いていることが多くあります。

上位組織があるのであれば、その上位組織のビジョンを自組織に落とし込んだビジョンを確認し、その実践度合いを確認するKPIを設定して、それぞれの役割に落とし込みましょう。

協働意思:ビジョンを共有し共感を募る

チームのビジョンに対しては、頭での理解だけではなく、心での共感が重要です。個々人のキャリアビジョンや、チームとしての共通体験をベースに、共感を募り、それぞれが「やりたい」と思う意志をまずは引き出しましょう。

ビジョンや理念を伝えるだけでは、メンバーが共感し、自分ごと化することが難しいことも多くあります。共感の前提となる、ひとりひとりのビジョンの醸成も意識するとより共感が募りやすくなります。

コミュニケーション:前提を踏まえて調整を続ける

共通の目的があり、協働意思が醸成されたとしても、動き出したチームには必ずズレが生じます。メンバーそれぞれの価値観や背景をお互いに受け入れられるまで共有すると共に、チームが動き出した際にはズレが大きくならないようにこまめにコミュニケーションをとることが重要になります。

それぞれの役割に固執しすぎると連携に支障をきたしてしまうため、相手の立場に立って考え、組織全体の成果に繋がる行動をすり合わせることが重要になります。

チームビルディングに有効な対応策

チームビルディングはプロセスによって状況が異なり、その状況の中でも3つの要素のバランスが組織ごとに異なります。適切な手を打つためには、自組織の状態を見える化し、「診断」した上で、「変革」の手を打つことが重要になります。

「診断」フェーズ:現状を見える化し、課題を特定する

組織を成果に向かせようとしても、メンバーの協力がなければ何も始まりません。まずはビジョンに共感をさせるためのドライバーが何なのかを把握することが重要です。

意識調査を行う際には、現時点での認識を問う「満足度」だけではなく、何を求めているかを表す「期待度」を把握することが重要です。期待度と満足度をかけ合わせて現在地を把握し、課題を設定することで、チームビルディングに有効な方向性を明確にすることができます。
(参考)https://www.lmi.ne.jp/about/me/finding/detail.php?id=17

「変革」フェーズ:適切な解決方法を遂行する

課題に対する解決策は、マネジメント自身の手で打っていくところから始まります。共通の目的が足りないのであれば「ビジョンマネジメント」に注力し、協働意思が足りないのであれば「ダイバーシティマネジメント」に注力することが重要になります。

ただ、マネジメントで対応すべき範囲は非常に広いからこそ、「マネジメントに今必要とされていることは何か、を把握し続けること」、そして改善策に関しても「職場メンバー全体を巻き込んで進めて権限移譲していくこと」が非常に重要になります。
(参考)https://solution.lmi.ne.jp/hr_development/c/middle_management/lincoln_basic

チームビルディングに有効な書籍

・『ハーバード・ビジネス・レビュー チームワーク論文ベスト10 チームワークの教科書』(ハーバード・ビジネス・レビュー編集部 編)
「スター人材をどう扱えばいいのか」や「チーム内の対立をいかに回避すべきか」、「多様なメンバーをどうまとめたらよいか」、「チームで意思決定できないときの対処法」などのテーマに関して、最新科学を用いてチームのパフォーマンスを最大限に発揮するための方法論が整理されています。

・『学習する組織―システム思考で未来を創造する』(ピーター M センゲ 著)
事業や組織の変化が激しい環境では、自ら学習し、成長していく組織が求められます。

本著では、「学習する組織」を「目的を達成する能力を効果的に伸ばし続ける組織」と定義し、環境変化の衝撃に耐え、復元するしなやかさをもつとともに、環境変化に適応し、学習し、自らをデザインして進化し続ける組織をつくる方法が事例と共にまとめられています。

まとめ

「早く行きたいなら一人で行け、遠くへ行きたいならみんなで行け」というアフリカのことわざがありますが、遠くに行くために組織を束ねる「チームビルディング」は重要ながら一筋縄には行きません。

だからこそ面白く、ドラマが生まれます。企業に集まった仲間と共に、より大きな成果を出し、喜びを分かちあうためにも、ぜひご紹介した観点を役立てて頂ければと考えています。


林 優里香
林 優里香

【プロフィール】 新卒でリンクアンドモチベーション入社。 以降、一貫して大手企業向けクラウド事業に従事。 現在、幅広い西日本企業のクラウド運用をサポート。

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