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従業員エンゲージメントとは?時代を勝ち抜く組織づくりのカギ

従業員エンゲージメントを高めなければならない理由

 現在、持続的な企業成長を実現するために、日本のみならず世界中で「従業員エンゲージメント*の向上」に力を入れる企業が増えている。それは、企業を取り巻く2つの市場で大きな変化が起きているからだ。

 リンクアンドモチベーションのグローバルチームで代表を務める近藤 俊弥が、従業員エンゲージメントが注目されている背景を解説する。
*従業員エンゲージメント = 企業と従業員の相互理解・相思相愛度合いを示す指標

「商品市場」の変化

 商品市場では「ソフト化」と「短サイクル化」という2つの変化によって、企業が従業員エンゲージメントを高める重要度が増してきている。

ソフト化

 かつては、モノやカネ(=ハード)が企業の競争力を決めていた。しかし、現在は製造業でもIoTが注目されるなど、どの産業においても、価値の源泉がソフト化している。人のクリエイティビティやホスピタリティといった要素が、他社との差別化を実現し、競争優位を決定づけるのだ。

 この変化は、世界的な産業構造の推移からも見てとれる。サービス業を中心とした第三次産業の就業者は、世界の50%以上を占めるようになり、中でもシンガポールではその割合が85%(表1)を超える。

 このことからも、企業にとって競争力の源泉となるのは「人」であり、人材の成長が企業の成長の鍵を握っていることは明白である。

産業別就業人数の推移

短サイクル化

 現在、商品・サービスのライフサイクルは年々短くなっている。かつては一つのヒット商品が長い期間ビジネスを支えていたが、今では、たとえヒット商品が誕生しても、数年で陳腐化してしまう。

 技術革新のスピードが加速し、新たなビジネスモデルが次々と模倣される中、従来の「勝ちパターン」をただ守っているだけでは企業が生き残るのは難しい状況だ。そのため、企業には常に新しい商品やサービスの創出が求められている。
 各国の特許出願数の推移からも、この傾向は日本に限らず、世界中に広がっていることがわかる。90年代後半以降、世界的に特許出願数は右肩上がりに増加しており、シンガポールでも同様の傾向が確認できる。

 このような状況下では、市場の変化に迅速に対応し、新たな価値を生み出し続けることが求められる。それを実現するのは、機械ではなく「人」の力である。従業員が市場動向を的確に把握し、企業の成長戦略を策定して柔軟に変化に適応することが、競争優位を維持するために不可欠なのだ。
 以上のように、商品市場では「ソフト化」「短サイクル化」という二つの変化が起きている。優秀な人材から選ばれ続け、その力を最大限に引き出すために、従業員エンゲージメントの重要度は高まる一方だ。

特許出願数推移

「労働市場」の変化

 労働市場では、「柔軟化」と「多様化」 という2つの変化によって、 企業が従業員エンゲージメントを高める難易度が高まっている。

柔軟化

 シンガポールでは、2014年の失業者一人当たりの求人人数が63,300人であったのに対し、2022年には115,000人にまで大幅に増加している(図3)。この数字から、働く人々にとっての選択肢が広がっていることが伺える。選択肢が多い中では、求職者の企業に対する期待はさらに高まる。

 こうした環境の変化により、企業は単に雇用の場を提供するだけでなく、従業員が「ここで働きたい」と感じる魅力づけをしなければ、選ばれにくくなってきているのだ。

シンガポールにおける求人数の推移

多様化

 シンガポールにおける所得の高騰をご存じだろうか。シンガポールにおいては、世帯所得が2017年の9,500 SGDから、2024年には11,297 SGDへと18.92%増加している。一方で、家計支出は2017年の5,163 SGDから2023年には5,931 SGDへと14.88%増加しているが、所得の増加スピードに比べると緩やかである。すなわち、シンガポール国民全体の生活水準が向上している。

 生活が豊かになれば、働く価値観も多様かつ複雑になっていく。実際に、シンガポールの従業員に「働く上で重視する価値観」について訊いたアンケートでは、報酬以外の要素が上位を占める結果となった(図4)。かつての「安定した雇用と給与」だけで十分だった時代が終わった今、企業は従業員一人ひとりの価値観に応じた魅力を提供しなければ、選ばれなくなってきているのだ。

シンガポール従業員の重視する価値観 シンガポール世帯所得と家計支出の推移


まとめ – 労働市場に適応できない会社は滅びる

 現代の「商品市場」では、ソフト化・短サイクル化が進むことで、人の価値が一段と高まっている。競争力の源泉である人の力を最大限に引き出すためにも、従業員エンゲージメント向上の重要性が高まっている。

 一方、「労働市場」は柔軟化と多様化が進み、従業員エンゲージメント向上の難易度が高くなっている。これが企業が直面している「商品市場」と「労働市場」の変化である。

 だからこそ、エンゲージメントを経営の重要指標と位置付け、その向上に真剣に取り組むことが、企業が未来にわたって競争力を維持するカギとなるのだ。

 本記事が、企業や組織づくりにおけるヒントとなれば幸いだ。次回は、従業員エンゲージメントを高める方法について言及していく。

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執筆者:近藤 俊弥
執筆者:近藤 俊弥
【プロフィール】 2007年に株式会社リンクアンドモチベーション入社し、大手企業から中小・ベンチャー企業まで幅広くコンサルティングを担当。 2017年に「モチベーションクラウド」の事業責任者に就任し、7年連続国内シェアNo.1を獲得。 2025年より拠点を国外へ移し、Link and Motivation Singapore Pte. Ltd.のCEOを務め、世界にコンサルティングの幅を拡大。

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