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新時代の管理職の役割とは? ~今のシンガポールの管理職に求められるもの~

 これまでの管理職は、主に「事業」における成果の向上を目的としたマネジメントを担ってきた。しかし現在は、それに加えて「組織」や「人」のマネジメントも求められる時代へと移行している。それに伴い、管理職に求められる役割も、より複雑で高度なものへと進化してきている。こうした潮流は、シンガポールにおいても例外ではない。

 本記事では、リンクアンドモチベーション シンガポールおよびグローバルチームの代表を務める近藤俊弥が、今の時代に管理職に求められる役割について紐解いていく。

管理職の役割とは何か

当社では、管理職に求められる役割を、以下の4つのマネジメント領域に分類している。

①ビジョンマネジメント

 組織の方向性や存在意義を明確にし、それを従業員と共有することで、一体感やモチベーションの向上を図る役割で目的を浸透させることで、組織全体の意思決定や行動の指針を統一できるようになる。

②戦略マネジメント

 組織のビジョンを実現するために、達成すべき目標と、そのための具体的な戦略を設計・実行する。市場環境や競争状況を踏まえ、最適なリソース配分や施策を策定することが求められる。

③PDCAマネジメント

 計画(Plan)・実行(Do)・評価(Check)・改善(Act)のサイクルを回すことで、目標達成に向けた実行力を高める。定期的な振り返りと改善によって、業務の精度と成果を継続的に向上させる。

④メンバーマネジメント

 従業員一人ひとりの強みを引き出し、成長を支援するとともに、適切な評価やフィードバックを通じてモチベーションを高める。チーム全体のパフォーマンスを最大化し、組織の成果につなげる役割を担う。

マネジメントの4象限

 これら4つのマネジメント領域は、「事業と組織」「経営視点と現場視点」という2つの軸に基づき、4象限に整理することができる。

マネジメント4象限

 まずは、横軸である「事業と組織」の視点から見ていきたい。

 従来、管理職は軸の左側に位置する「事業」のマネジメントに重点を置き、戦略マネジメントやPDCAマネジメントが中心的に求められてきた。

 しかし、昨今の変化に伴い、現代では軸の右側にある「組織」のマネジメントも、同時に実現しなければならない時代へと移行している。

マネジメント象限―事業×組織

ポイント

  • 企業の価値の源泉が、かつての「ハード(有形資産)」中心から「ソフト(無形資産)」中心へ移行し、人材マネジメントの重要度が高まった
  • 同時に、人材の価値観が多様化し、企業が人材を惹きつける難易度が高まった

詳しくは過去解説記事を参照:

  従業員エンゲージメントとは?時代を勝ち抜く組織づくりのカギ 現代の企業の成長には、「従業員エンゲージメント*の向上」が不可欠だ。なぜ今このことを述べなければならないのか、それは私たち企業が戦う二つの市場で大きな地殻変動が起こっているからだ。二つの市場とは、顧客に選ばれるために戦う「商品市場」と、応募者や社員に選ばれるために戦う「労働市場」だ。以下に、それぞれの市場における変化を述べていきたい。 組織改善ならモチベーションクラウド


 次に、縦軸である「経営視点と現場視点」を見ていく。

 この縦軸においては、管理職には経営視点と現場視点の双方でマネジメントを行うことが求められる。両者の間に立ち、それぞれを繋ぐ役割を担う──すなわち、組織の「結節点」として機能することが、管理職に課せられた重要な役割である。

マネジメント4象限―経営×現場

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マネジメントのチェック!管理職の課題を見抜くシンプルな質問

 ここまで、今の時代に求められる管理職の役割について解説してきた。しかし、これら4つのマネジメント領域は、定性的な要素が多く、実際に適切に機能しているかどうかを主観的に判断するのは容易ではない。

そこで、より客観的に「管理職がうまく機能しているか」を把握するために、一つのモノサシを提示したい。

次に示す質問を、管理職の部下にあたるメンバーに投げかけてみてほしい。

①「あなたはなぜこの仕事をしているのですか?」
 ― ビジョンマネジメントが機能していない場合に、答えられない可能性が高い。

②「この仕事で最も重要なことは何ですか?」
 ― 戦略マネジメントが機能していない場合に、答えに詰まる可能性がある。

③「何をすれば成功で、何をすれば失敗ですか?」
 ― PDCAマネジメントが機能していない場合に、明確な答えが出ない。

④「あなたの成長課題は何ですか?」
 ― メンバーマネジメントが機能していない場合に、答えられないケースが多い。

これらの問いに即答できる組織は、その領域において十分な頻度と密度でマネジメントがなされており、メンバーが常に組織の状況を認識している状態にあると考えられる。
一方で、メンバーがこれらの問いに即答できない場合は、その領域にマネジメント上の課題が存在していると判断できる。

その場合には、該当する管理職の役割や取り組み内容について、早急な見直しが必要となる。

まとめ

 現代の管理職には、業務管理だけでなく、「人材のマネジメント」も求められている。これらを実現するためには、ビジョン、戦略、PDCA、メンバーマネジメントの4領域を一体として捉え、相互に機能させることが不可欠である。

 特に、企業の価値の源泉がハードからソフトへとシフトしている現在においては、管理職自身が「魅力的な存在」として、ビジョンを示し、メンバーのモチベーションを引き出す力が強く求められる。

 これからの時代、管理職の役割は従来に比べて格段に高度かつ複雑になっていく。そして、これは日本だけでなく、シンガポールをはじめグローバルにも同様に言える。

 しかし、この変化に適応し、管理職自身が進化を遂げることができれば、組織の成長と優秀な人材の獲得につなげることができるはずである。

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執筆者:近藤 俊弥
執筆者:近藤 俊弥
【プロフィール】 2007年に株式会社リンクアンドモチベーション入社し、大手企業から中小・ベンチャー企業まで幅広くコンサルティングを担当。 2017年に「モチベーションクラウド」の事業責任者に就任し、7年連続国内シェアNo.1を獲得。 2025年より拠点を国外へ移し、Link and Motivation Singapore Pte. Ltd.のCEOを務め、世界にコンサルティングの幅を拡大。

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