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トップベンチャー社長がいま就職したい企業とは?

新しい製品やサービスが続々と登場し、企業の栄枯盛衰が続く現代。これから時代はどう変わり、その中で人はどんなキャリアを築いていけばいいのか、それは若い世代にとって最大の関心事のひとつだろう。

では、今まさに新しい時代を切り拓いているトップベンチャーの若手経営者たちは、どんな視点で自らのキャリアを築いてきたのか。株式会社メルカリの小泉文明氏、株式会社メタップスの佐藤航陽氏、SHOWROOM株式会社の前田裕二氏に語っていただいた。

モデレーターは株式会社リンクアンドモチベーションの麻野耕司が務める。テレビ東京ビジネスオンデマンドが「新時代に”活きる”キャリア」をテーマに主催し、ドラマ「インベスターZ」にも登場したトークイベントをHR2048独自編集でお届けする全3回シリーズ、前編。

【イベント実施日】
2018年4月13日(金)

【プロフィール】
株式会社メルカリ 取締役社長兼COO 小泉 文明氏
株式会社メタップス 代表取締役社長 佐藤 航陽氏
SHOWROOM株式会社 代表取締役社長 前田 裕二氏
株式会社リンクアンドモチベーション 取締役 麻野 耕司

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時代を切り拓く3人の経営者に聞く

麻野 耕司(以下、麻野):それでは「新時代に“活きる”キャリア」ということでパネルディスカッションを進めていきたいと思います。まずは、皆さん自己紹介をお願いします。

小泉 文明氏(以下、小泉氏):株式会社メルカリの小泉と申します。私は2003年に証券会社に入社して、主にインターネット企業のIPOのアドバイザリーなどを担当しました。

2007年にそのアドバイス先だったミクシィに転職。2008年に取締役(取締役執行役員CFO)に就任し、2012年に退職しました。2013年からはメルカリで仕事をしています。

佐藤 航陽氏(以下、佐藤氏):株式会社メタップスの佐藤です。私は大学在学中の2007年に会社を設立し、就職活動などを経験することなくもう10年ほど会社経営をしてきました。パソコンもインターネットもよく分からないところからスタートして、走りながら学んできた感じですね。

事業としてはお金のあり方、金融についてずっと考えてきたので、そこをテーマに事業を展開しています。

前田 裕二氏(以下、前田氏):SHOWROOM株式会社の前田と申します。僕も新卒で2010年に外資系証券会社へ入りましたが、25歳の時に起業を思い立って、ご縁のあったDeNA創業者の南場智子さんに相談に行ったんです。

その時のプランは一蹴されたのですが、いろいろ考えてるうちに、「DeNA社内で事業を温めて、育ったら外に切り出せば良い」という発想になり、立ち上げたのが現在の「SHOWROOM」です。そんな経緯もありますので、今後新規事業の立ち上げや起業を考えている方には有益なアドバイスができるのではないかと思っています。

ゲームチェンジを起こすために、自分にとっての「バンテージポイント」を探そう

麻野:それでは最初の質問です。「今、就職活動して就職するならどんな企業に入りたいか?」。答えと理由を教えてください。

小泉氏:私は「働く」ことについて2つの切り口を持っているんです。ひとつは、ゲームチェンジを起こせる、つまりルールを新しくつくるような未来を描く仕事であること。

もうひとつは、未来を切り開く力を身につけるために最先端の会社に身を置き、そこで多くのインプットを得た上で次のキャリアを考えるということですね。

企業だけじゃなく、私は官僚も面白そうだと思うんです。古そうな業界に見えますが、けっこう起業家マインドが必要とされると思っていて。

彼らがルールをどうつくるかによって私たちのライフスタイルや日本の行く末に大きな影響がある。すごく大事だし、面白い仕事なんじゃないでしょうか。

麻野:じゃあメルカリも、まさに「ゲームのルールそのものを変えよう」という思いでやられているということですか?

小泉氏:そうですね。それは強く感じています。前職であったミクシィもメルカリもインターネットの力で個人をエンパワーメントするという軸があって、この流れはずっと続くと思っていますし、その先に何かさらに大きいものがあるんじゃないかと思っています。

話を戻しますと、今どんな会社が一番面白いのか、最先端なのかについては、シリコンバレーなど西海岸で「キャリアで迷ったらバンテージポイントに行きなさい」という言葉があるんですよ。

麻野:バンテージポイント?いきなりめちゃくちゃかっこいい言葉が出ましたね。

小泉氏:はい。見晴らしのいい場所、つまり将来を見渡せる場所ということです。優秀な人や情報が多く集まっていて、グローバル的にも先端に位置している企業。

そういう会社でキャリアを考えるのがいいんじゃないかなと思いますし、自分の会社もそうでありたいと考えています。

麻野:自分にとっての「バンテージポイント」はどうやって見つけるといいんでしょうか?

小泉氏:常に変化を起こしている会社って、やはりあるじゃないですか。自分のライフスタイルの中で「何かを変えた」と感じさせる商品やサービスを提供している会社とか。

そういう、日常の気づきの中から見つければいいのではないでしょうか。

前田氏:すごく面白いなと思ったのが、僕たち3人ともたぶんルールメイカー、ルールを新しくつくる側の人間なんですよね。今、時価総額で見るとAppleにせよGoogleにせよやはりプラットフォーマー、ルールメイカーが強い。

日本人は誰かが作ったルールの中で勝つのは得意でしたけど、ルールメイカーとして勝った人ってあまり思い浮かびませんよね。

小泉さんが日本発で世界を席巻するようなルールメイカーになったら、企業価値という観点でも世界を代表するような会社になっていくと思いますし、お二人を見ていると本当にわくわくしますね。

企業や国家という枠組みを超えた「新しい働き方」へ目を向けるべき

麻野:ありがとうございます。では、続いて佐藤さんも「もし就職するならどんな企業か」「理由は何か」を教えてください。

佐藤氏:そもそも私は就職しない道を模索していた人間ですが、もし選べと言われたら会社という枠組みを超えた「新しい働き方」を教えてくれそうな場所に行きたいですね。

会社だって100年200年くらいの枠組みでしかないし、その先があると教えてくれそうなところなら見てみたいと思います。

もう1点あるとしたら、高度成長期の日本みたいなところで働きたいですね。東南アジアとかインドとかアフリカとか。

今はヨーロッパも日本も閉塞感が強くて、若い人からしたら出世できないという先詰まり感がありますから、頑張るほど右肩上がりという環境で働けたら面白いでしょう。

そういう経験をしていないことが、私たちも含めた日本の若年層の弱みかもしれませんね。

麻野:会場の皆さんもやはり就職というと企業に入社するという感覚だと思うのですが、その「新しい働き方を教えてくれる」というところを少し詳しく教えていただけますか?

佐藤氏:最近では、ブロックチェーンなどの領域では「会社という枠組みがなくてもいいんじゃないか」と考える人たちが出てきています。

世界中にエンジニアが散っていてオンライン上でつながっている、「ダップス」「ダオ」などと言われる分散型の組織。会社に入る以外の選択肢もあるというのが徐々に理解されてきたのかなと思います。

麻野:空間的な面でも、日本以外での就職も検討した方がいいということでしょうか?

佐藤氏:というよりも、国家という枠組み自体を気にしなくていいんじゃないでしょうか。インフラというか秩序だけ保ってくれればね。

Googleも今アメリカにありますけれども、世界中に拠点があってオンラインでつながっているので、企業の国籍というのは意味がなくなってきている。

麻野:それでは、もう「日本の企業の中で」ではなく、世界レベルで自分にとっていい働く場所を見つけようという感覚が必要だということでしょうか?

佐藤氏:そうですね。例えばひとつの国家でも中国では地域によってまったく違いますし、たぶんMicrosoftというひとつの会社でもアメリカ本社と日本支社、中国支社とではまた全然違うだろうし。企業や国という枠組みではない、違うベクトルが存在している気がします。

麻野:なるほど。キャリアの話から企業と国家の話になってきました。このメンバーならではの面白い流れですね。

ミッションに共感できるか?成功するには熱量が糧となる

麻野:前田さんは、企業に就職するとしたらどうですか?

前田氏:今は起業のハードルも低いし、僕が大学生だったらおそらくまず起業します。それが大前提ですが、仮に就職するとすれば僕も「人」と「世界観」という2つの軸で選びます。

人軸に関して言うと、新卒のときに就職を決めたのは、面接で「この人の持っている能力を全部吸収したい」と思える人に出会ったからなんです。

僕は成長する上でまず最初に模倣することが大事だと思っているんですが、模倣したいと思える強烈な人材に出会ったことが大きいですね。

逆に日本型の、人事が選んでどこに配属されるか分からない、すなわち、誰と働けるかが入社前にわからない会社は、自分に合っていないなと思っていました。

2つ目の世界観という軸については、特に採用する側になって特に感じたことです。一つ事例をお伝えします。当社で、たまたま俳優をずっとやってきた小学校の同級生を採用したことがあります。

彼は、もともとそこまで地頭が良いというわけでもなく、どちらかというと不器用なタイプだったのですが、そんなことを全て補って余りあるほど、会社のビジョンに対する共鳴度が高かった。

最初に来社した時も、「自分がなぜこの会社に入りたいのか」という思いを綴った分厚いレポートのようなものを持ってきて、とにかくすごい熱量だった。「僕は、『夢があるけどどう叶えればいいか分からない』という人たちにチャンスを作っていく仕事がしたい。

事務所に入っても、1人2人しか支えられない。でも、SHOWROOMというプラットフォームを広げていければ、理論上、無限の人たちに機会を提供できる。だから、どうしてもここで働きたい」と。もちろん最初は、本当に大丈夫かなという気持ちもありました。

ですが、3カ月ほどたったら他の優秀な社員を彼がごぼう抜きにして、トップセールスを上げていました。さらに「どうやったらああいう人材が育つのか知りたい」という電話が、お客様から僕のところに何本もかかってきた。

世界観への強い共感がドライブする彼の成長を目の当たりにして、あぁ、スキルじゃないんだなと。彼がすごく幸せそうに働く姿を見ていて、会社と彼の世界観がきれいに共鳴したから、会社だけではなく、彼を含めて、お互いここまでハッピーになれたのだなと思ったんですよね。

だから仮に僕が今選ぶ側だとしても、1番重要な要素として、自分と会社の価値観が根底の部分で合っているかどうかを照らし合わせると思います。

麻野:就職とは会社という箱を選ぶだけではなく、まず一緒に働く人を選ぶという観点、それから価値観、理念が合うかどうかが大事ということですね。

小泉氏:就職活動の中でミッションを語れない人に会ったら、気をつけた方がいいですね。どんなミッションがあるのか、共感できるのかということは、特にベンチャーでは非常に大事です。

ベンチャーの創業期には高揚感があって楽しい反面、つらい部分もいっぱいある。そこで支えになるのがミッション、つまり実現したい社会の姿や夢なんです。みんながひとつの思いに共感しているから、つらさを乗り越えるだけの熱量になるわけで、その熱量が低ければ絶対に成功できないですから。

お二人とも、採用段階で給料の交渉してきた人は採らないでしょう?

前田氏:採らないですね。

佐藤氏:お金で入社した人は、お金で去っていきますからね。

麻野:なるほど。逆境を乗り越えるためには自分と会社の目的が合致していることが大事だし、企業を経営する上でも逆境を乗り越えるためには目的に共感してくれる人を採用するのが大事だということですね。

※本記事中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時のものです。

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