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見える化されていく時代に「信用」が新たな価値を生む

新しい製品やサービスが続々と登場し、企業の栄枯盛衰が続く現代。これから時代はどう変わり、その中で人はどんなキャリアを築いていけばいいのか、それは若い世代にとって最大の関心事のひとつだろう。

では、今まさに新しい時代を切り拓いているトップベンチャーの若手経営者たちは、どんな視点で自らのキャリアを築いてきたのか。株式会社メルカリの小泉文明氏、株式会社メタップスの佐藤航陽氏、SHOWROOM株式会社の前田裕二氏に語っていただいた。

モデレーターは株式会社リンクアンドモチベーションの麻野耕司が務める。テレビ東京ビジネスオンデマンドが「新時代に”活きる”キャリア」をテーマに主催し、ドラマ「インベスターZ」にも登場したトークイベントをHR2048独自編集でお届けする全3回シリーズ、中編。

【プロフィール】
株式会社メルカリ 取締役社長兼COO 小泉 文明氏
株式会社メタップス 代表取締役社長 佐藤 航陽氏
SHOWROOM株式会社 代表取締役社長 前田 裕二氏
株式会社リンクアンドモチベーション 取締役 麻野 耕司

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「心」と「社会的価値」がお金になる時代へ

麻野 耕司(以下、麻野):第二問もなかなか難しい質問です。「信用経済といわれていますが、どうやって信用を作ってきましたか?」。これについては佐藤さん、そもそも信用経済って何かというところから説明していただけますか?

佐藤 航陽氏(以下、佐藤氏):言葉の定義が結構難しいと思うんですけども、今までの貨幣経済というのは基本的に儲かること・役に立つことを中心に回ってきました。

例えば皆さんがすごく価値を感じていて「応援したい」と思う人がいても、儲からなくて役に立たなければ価値がないと判断されていた。

でも、最近では別に儲からなくても「こいつ好きだから」「こいつと一緒にやりたいから」ということが価値としてちゃんと感じられ、それを基に経済が動くようになってきているという状況がありますね。

SNS上におけるいわゆるインフルエンサーと言われる人たちも、傍目にはフリーターかもしれませんが、見ている側の中には「心がすごく和んだ」とか「この動画があったからこそ勇気づけられた」という人たちもいると思うんです。

今まではお金に結びつかなかったのが、最近は彼らも経済的にちゃんと潤う仕組みが整いつつある状況になってきている。おそらくそういう流れで「信用経済」「価値経済」という言葉が出てきていると思います。

貨幣経済の役に立つ・儲かるという軸以外のものに対しても、ちゃんと経済のしくみが取り入れられるようになってきているので、経済に変化が起きていることを表す言葉のひとつかと思います。

麻野:信用・共感があるということが、何かを生むような経済になってきていると?

佐藤氏:そうです。あともうひとつは、私たちの社会全体に対してプラスである場合ですね。例えばNPOとか。昔なら寄付行為・非営利行為などと言われていたのが、社会全体に対してプラスであれば経済としてうまく回していこうという流れができています。

つまりは内面的価値や人の心の部分、「一緒にいて楽しい」「こいつを応援したい」と感じる「心の部分」と、社会全体に対してプラスであるかどうかという「社会的価値」を経済が扱えるようになってきている、という現象だと私は捉えています。

麻野:なるほど。「心の部分」と「社会的価値」が重要なのですね。

「信用」が見える化され、人の価値・資産になる

小泉 文明氏(以下、小泉氏):「心の部分」と「社会的価値」はたぶん今までも感じてはいたんだけど、測れなかったり見えなかったりしたんですよ。それが見える化されてきたことはすごく大きいと思います。

麻野:どうして見える化されてきたんですか?

小泉氏:SNSであるとか、それから今は生活のデータも蓄積されています。例えば私がどう移動したかとか、どういう行動をしたかという情報も、今後データとして取れるようになっていくんですね。

そうして「心の部分」と「社会的価値」が見える化されて、正しく行動した人が評価されるようになっていく。

これまでの経済って、例えば佐藤さんを信用するかどうかは職歴や学歴という、いわゆる書面上でしか測れなかったですよね。

でも、おそらくこれからの時代では佐藤さんのSNS上の行動であるとか、日々の行動、例えば自転車を正しく止めるとかお金をちゃんと返すとか、そういう行動も全部蓄積されて「佐藤さんはこういう正しい行動をしているんだから信用できる」ということになっていく。

そうなると、今まではお金を貸せなかった人に貸せるというようなベネフィットがどんどん生まれてきます。

個人のバランスシート(BS)はどちらかというとお金に関するものしか測れなかったんですが、これからはBSの中に行動やスキルなど今まで見えなかったものが載るようになり、その人の資産になると思っています。

今までだと私の資産は車や不動産しかなかったんですが、例えばメルカリの登場で家にある様々のものが資産化したわけですよね。

同じように今後はスキルとか時間とか、そういうモノではない部分も含めて全部見える化されていって、その人の資産・価値になっていく。

麻野:今まではタクシーの運転手さんが感じよくても悪くても払うお金は同じだったけれども、タクシーのアプリが登場して、評価が悪いとお客さんから呼んでもらえなくなっていく。そういうふうに変わっていくということなんですね。

小泉氏:むしろ原始的な経済に戻りますよね。資本主義が始まる前の田舎の経済って、だいたい「あの人いい人だから」みたいなクチコミで成立していたじゃないですか。そういう原始的なところに戻る、ということかなと思います。

むしろこの2、300年がちょっといびつだったのかもしれません。

麻野:なるほど。信用がすごく大事になってきているということですね。

1日を50円で売る「利他的」な仕事がもたらすものとは

麻野:信用が貨幣そのものよりも大事になってきているという中で、これからキャリアをつくっていく皆さんがどうすれば信用を築いていけるのか。何かアドバイスとか、ご自分がこういうことを意識してきたといったお話があれば教えてください。

前田 裕二氏(以下、前田氏):今の話の中にヒントがあると思います。リチャード・ドーキンスという博士の『利己的な遺伝子』という本があって、その中で博士は、「私たち(生物)は遺伝子の乗り物」だという言説を展開しています。

つまり、遺伝子がより遠くの未来に行こうとしたときに、生物という個体に乗って遠くへ行こうとするのであれば、なるべく遠くに行くための合理的な戦略として利他的な行動を取るんだと。

どうやったらその行動が加速するかをずっと考えていたんですが、まさにさっき小泉さんがおっしゃったように、利他的な行動が可視化されることがトリガーになると思っています。

利他的な動きがはっきりと目に見えるようになってくると、次第に人は、それが利己であれ利他であれ、わかりやすく利他的な行動をとり始めると思うんです。

例えば、僕はキングコングの西野亮廣さんと懇意にしていて彼のことが大好きなのですが、西野さんは世間で言われているイメージとは逆で、いつも、すごく利他的な判断軸を持って、行動を起こしています。

もしかしたら確かにこれはある種利己的で、設計されている部分があるかもしれない。でも、それでも、誰かが救われていて、幸せが増えているのなら、僕は素晴らしいことだと思うのです。

信用経済という新潮流が語られるようになってから少し経ちますが、彼はかねてより、常々「まずは与えることから始めたい」と話しています。

自分から先に与えていると、今度は与えられた人が「もらっているだけだから申し訳ない」「与えたい」と言い始めるのだそうです。素敵な返報性の構図ですよね。

彼の利他的な行動って、どこかで可視化されてみんなに伝わっていますよね。例えば、「はれのひ」という振袖レンタル業者のニュースがありましたが、成人式に出られなかった人たちのために西野さんが改めて成人式を開催してお祝いをする。

するとそれがネットの力によって瞬時に可視化されて、「自分以外の誰かのためにお金や時間を使う西野さんって本当に信用できる」「共感できる」と、彼への共感や信頼、感情移入の総量が、社会の中で増えていくんです。

そして彼がクラウドファンディングを始めたときには、そうした共感貯金があるので、他の人よりも多くの金額を集めることができる。

もう一つ別の事例を挙げるならば、西野さんの友人でもある、ホームレス小谷さんという元お笑い芸人の方がいまして、これがまた面白い。彼はずっと、「1日50円で何でもやります」ということをしていたんです。

貨幣経済的な価値観で見た場合、自分の24時間を1日50円で売ってしまうなんて、絶対にマイナスじゃないですか。でも彼は50円で、例えば「裏庭の草全部むしっておいて」って言われたら、もう期待値以上の草むしりをするわけです。

なんならもう、全力で草をむしって、午前中くらいで終えてしまって、「もっと草ないですか?」「草むしりは楽しいです」「草むしり最高!!」なんて言っている。

そうすると今度は、頼んだ方としても、彼のことが段々かわいくなってくる。「たったの50円で草むしりを全力でやってくれた。しかも午前中に全部終えてくれて、なんだか、申し訳ないな」「じゃあランチでも行こうか?」となるわけです。

で、小谷さんが「もっとやりたいです」「午後はお風呂掃除とか全部やります」と家の掃除などもやってくれて、依頼した側はいよいよ彼を好きになる。

夜になる頃には「何か食べたいものはある?」「寿司が食べたいです」といった会話があって、「それじゃ寿司屋へ行こう」となったりしますよね。それは、やっぱり小谷さんがもらうことよりも与えることから始めているからなんですよ。

小谷さんは本当に未来から来た人、信用経済から来た人じゃないかと思うのですけれども、彼の行動は信用経済の世界ではもっとも合理的で正しいと思っています。現代では、あまり理解されませんが・・・。

麻野:キャリアでも信用を築くには、まず相手に与えることから始めるのが大事だということですね。ありがとうございます。

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※本記事中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時のものです。

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