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【後編】三井物産における、女性活躍を後押しする育成手法 -リーダーシップ研修の実践ポイントとは-

「人の三井」と言われるほど、人間力や多様な個々人、一人ひとりが抱く想いを大切に考えている三井物産株式会社。この三井物産、およびグループ会社を対象に人材開発を提供しているプロフェショナル集団が三井物産人材開発株式会社です。

今回は、同社で人材開発部長を務める佐々木孝仁氏をお招きし、「三井物産が挑戦する女性の活躍・成長を後押しする新しい育成手法とは?」をテーマにオンラインセミナーを開催。自分を理解し、より良い形に自分を変革していける「自己変革リーダー」の育成など、実際に取り組んでいる人材育成手法・リーダーシップ開発手法について語っていただきました。

【セミナー実施日】
2021年6月22日

【スピーカープロフィール】
・三井物産人材開発株式会社 人材開発部長 佐々木孝仁 氏
・株式会社リンクアンドモチベーション 組織開発デザイン室 エグゼクティブディレクター 樫原洋平

研修を通じて自らの仕事を再定義し、行動が変わっていった

リンクアンドモチベーション 樫原:業務職向けリーダーシップ研修の成果として、佐々木さんが感じているところを教えていただけますか。

三井物産人材開発 佐々木氏:授業構築ワークショップは特に好評で、大学生への授業を通して伝えることの難しさ・大切さを知るとともに、自分自身が磨かれたという感想を多くいただきました。それまで自分自身のことを語る経験がなかったぶん、良い経験になったと言う方もたくさんいましたね。

研修が終わる半年後のタイミングで最終報告会をおこなったのですが、そこでは18名の参加者を2つのグループに分け、それぞれにプレゼンテーションをしてもらいました。

一つ目のグループは、「自分らしい挑戦を継続しながら、ビジョン達成に導くことができる力をリーダーシップと呼びます」というように、自分たちでリーダーシップを再定義し、宣言してくれました。

さらに、自分らしい挑戦をしながらリーダーシップを発揮し、少しずつ影響の輪を広げていき、所属組織、ひいては会社にも成長・変革をもたらしますと力強く発表してくれました。自分たちのアクションを通して会社に「地殻変動」を起こしますというプレゼンを聞いて、私もすごく心が震えました。

もう一つのグループは、これからの業務職の在り方を「次世代業務職」という形で新たに定義してくれました。次世代業務職の要素として、「圧倒的な専門スキル」「圧倒的なプロジェクトマネジメント力」「圧倒的な個の力」を挙げ、それらを通して総合力を発揮することで企業価値を向上していきますと、すごく高い目線の発表をしてくれました。

このような発表だけにとどまらず、業務職のつながりを強化するために、最終報告会の時点ですでにコミュニケーションプラットフォームを構築していました。最終報告会の段階ですでに、このようなアクションにつながるリーダーシップが見られたのは嬉しかったですね。

研修は「発表して終わり」というパターンがすごく多いのですが、今回の参加者は研修を終えて自部門に戻った後、役員にプレゼンをしたり、現場で意識変革を浸透させるためにワークショップを企画したりした方もいらっしゃると聞いています。

研修から行動変容につながり、その行動から本当に会社を良くしたいという気持ちを実感できるので、我々としても非常に大きな手応えを感じています。

研修内容が実践されるようになるためのフォロー体制を築く

リンクアンドモチベーション 樫原:業務職向けリーダーシップ研修が「行動につながる」研修になり得たのは、どんなポイントがあったからだと思われますか?

三井物産人材開発 佐々木氏:ポイントは3つあったと思っています。第一に研修の目的ですね。そもそも研修の目的として自己変革リーダーの育成ということを掲げていて、この目的に合った方が手を挙げて参加しています。

もともと自分を変革したいという人、挑戦したいという意欲のある人が参加しているという点は非常に大きいと思います。

2つ目は仲間の存在です。一人で何かを成し遂げるのは大変ですが、この研修では一緒に挑戦する仲間がいました。自己変革リーダーという同じ目標に向かう仲間がいたから、相互にモチベーションが高まっていったのではないかと思っています。

研修終了後も、参加した18名の方はコミュニケーションプラットフォーム上でやりとりしていますが、「各地で頑張っている人がいるから私も頑張れる」という気持ちは大きいと思います。今回の研修で、リーダーシップバディと言うか、リーダーシップコミュニティみたいなものが生まれたのは大きなポイントだったのではないでしょうか。

3つ目は、1つのセッションで終わるのではなく、何度も様々なセッションを半年間の研修を通して重ねていったことです。リーダーシップを学んだ後、ケーススタディで落とし込み、授業で発表し、また違うリーダーシップを学んでということを繰り返しました。長期的に「漆塗り」するように学ぶ機会を重ねていったからこそ行動変容に繋がり、実践につながったのだと考えています。

リンクアンドモチベーション 樫原:参加者の行動変容が起きるのはもちろん、変わった参加者を受け入れる現場の体制も大事だと思うのですが、そのあたりで工夫されたことはありますか?

三井物産人材開発 佐々木氏:研修の最終報告会に、現場の上司を呼んだことです。私も人材開発に長く携わっていますが、この最終報告会でのプレゼンテーションは非常にレベルが高く、私自身も感動させられました。

1ヶ月くらい本気で議論して、丁寧に練り込んでいただいたこともあり、すごく質の高いプレゼンになりました。ですから、同席した上司にも響くものがあり、上司含め現場の支援につながっていると感じています。

リンクアンドモチベーション 樫原:今回の研修に参加した18名の業務職の方々は、どのような動機を持って参加されたのでしょうか?

三井物産人材開発 佐々木氏:一段高い目線で学びたいという意欲を持っていた方は多かったですね。一方で、自分自身の成長の壁を感じていて、何かモヤモヤした気持ちを抱えた方も一定数いました。

業務職の中には、自身のキャリアについて悩む方も多いと思うんです。一定の経験を積むことで仕事にも慣れ、後輩も増えてくる一方で、ライフイベントがあり、仕事も含めた生活が変わってくる時期を迎える方もいます。

「今後どうするべきなのか」「このままでいいのだろうか」と悶々とする人も増えてきます。

リーダーシップという軸を通すことで、モヤモヤした気持ちを会社に対するパワーに変えていくことの出来るような場にしたいという意図はありました。

現場で挑戦する「先駆者」から他のメンバーに刺激を与える

リンクアンドモチベーション 樫原:今後、研修の効果を広げていくという点で、お考えのことがあれば教えてください。

三井物産人材開発 佐々木氏:今回の業務職リーダーシップ研修の参加者と、これから新たに参加する方々との交流の場を設けていくことです。

研修を提供する我々の「こういう人材を育成したい」というメッセージだけでなく、すでに現場で挑戦している先駆者たちとの交流を通して刺激を受けてもらうことで、裾野を広げていければと考えています。

また、リーダーシップを発揮するためには、実際にやってみることがものすごく重要です。小さな一歩でも挑戦する人が増え、そこから成功体験を得られる人をどれだけ増やしていけるかがポイントになってくると思っています。

「全員発揮のリーダーシップ」を広げ、多様性を力に変えていく

リンクアンドモチベーション 樫原:佐々木さんが今後、取り組んでいきたいことについて教えてください。

三井物産人材開発 佐々木氏:大きく2つのテーマを持っています。1つが「全員発揮のリーダーシップ」です。

先ほども触れたとおり、リーダーシップは権限や役職、責任に関係なく発揮すべきものですが、まだまだ「リーダーシップはリーダーのポジションに就いている人が発揮するもの」と考えている人が多いのが現状です。ですが、このようなマインドセットがあると受身になってしまいます。

私が今、強い関心をもって注目しているのが「シェアド・リーダーシップ」です。

シェアド・リーダーシップというのは、誰もが必要なときにリーダーシップを発揮するということで、リーダーもときにフォロワーとなって一歩踏み出す人をフォローするという、リーダーシップとフォロワーシップが行ったり来たりするような考え方です。

このような状態を実現できると組織は本当に強くなれますし、この状態をもっと若年化していくべきだと考えています。大学、あるいは高校でもっとリーダーシップを学べるようになるのが理想ですね。

2つ目が「多様性を力に変える」ということです。ダイバーシティ&インクルージョンの「インクルージョン」の部分ですね。

ダイバーシティはかなり浸透してきましたが、ダイバーシティだけが進んでしまうと、「みんな違ってみんないい」で終わってしまうという懸念があります。下手をすると、「あなたはあなた、私は私」というように分断にもつながりかねません。

そうではなく、ダイバーシティから一体感や求心力を高めて、多様性を力に変えていきたいと思っています。そのために今、三井物産人材開発が取り組んでいるのが東京大学との共同研究です。

インクルージョンをテーマに、どうしたら多様性を力に変えることができるのかということを探求しています。

リンクアンドモチベーション 樫原:最後に、本日のまとめのメッセージをいただければと思います。

三井物産人材開発 佐々木氏

業務職リーダーシップ研修に関しては、今回の18名の参加者の方がロールモデルとなり、その周囲の方々に影響力を及ぼしていくはずです。

今後も取り組みを継続していくことで、どんどん裾野を広げていきたいですね。その影響力も社内にとどまるのではなく、社外や大学など様々なところに転換し、日本全体に波及効果を生み出していければと思っています。

また、繰り返しになりますが「全員発揮のリーダーシップ」と「多様性を力に変える」という2点には今後も注力していきます。

何が正解なのか分かりにくい時代のなか、我々も手探りで進んでいますが、だからこそいろんな会社と対話しながら人材開発に取り組んでいきたいと思っています。様々な会社とパートナーシップを組んで、相互に刺激を与え合いながらリーダーシップの輪を広げていけたらいいですね。

※本記事中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等はイベント実施当時のものです。

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