田中研之輔教授 講演「人的資本の最大化」を実現する最先端のキャリア開発3.0「HR Transformation Summit 2022 Autumn」イベントレポート
岸田内閣は、「新しい資本主義」の実現に向けて、『モノからコトへと進む時代、付加価値の源泉は、創意工夫や新しいアイデアを生み出す「人的資本」、「人」である』と「人への投資」の抜本強化を示しました。人的資本経営やその情報開示への注目は増々高まり、企業においても本格的な動きが始まっています。しかし、人的資本経営の実践に際しては、経営戦略と人材戦略の連動の難しさや、人的情報の収集・活用方法など多くの課題が立ちはだかります。
この度の「HR Transformation Summit 2022 Autumn」では、人的資本経営の推進に向けてご活躍されている方々にご登壇いただき、人的資本の実践に関する情報を共有していただきました。「基調講演②」では、法政大学 キャリアデザイン学部教授 一般社団法人プロティアン・キャリア協会代表理事 株式会社キャリアナレッジ代表取締役 田中 研之輔 氏にご登壇いただき、「『人的資本の最大化』を実現する最先端のキャリア開発3.0」というテーマでトークディスカッションをおこないました。
【イベント実施日】
2022年11月15日
【スピーカー】
・法政大学 キャリアデザイン学部教授 一般社団法人プロティアン・キャリア協会代表理事 株式会社キャリアナレッジ代表取締役 田中 研之輔 氏
・株式会社リンクアンドモチベーション モチベーションエンジニアリング研究所 上席研究員 林 幸弘
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組織内キャリアから自律型キャリアへの転換
林:本日は、法政大学 キャリアデザイン学部教授の田中研之輔氏をお招きして、「人的資本の最大化を実現する最先端のキャリア開発3.0」というテーマで基調講演、トークセッションをおこなってまいります。早速ではありますが、田中先生、基調講演をお願いいたします。
田中氏:はい、よろしくお願いします。本日は、最先端のキャリア開発の知見である「プロティアン」という考え方をみなさまに知っていただきたいと思っておりますので、プロティアンを念頭に置きながらキャリアマネジメントについてお話ししてまいります。
前提として、キャリア開発に関する世の中の動向は「パンドラの箱が開いた」状況だと捉えています。これまでのキャリアは、組織の中でキャリアを育てる「組織内キャリア」でしたが、昨今は「自律型キャリア」へとシフトしています。一人ひとりが自らキャリアオーナーシップを持って主体的に仕事をしていく。そんな転換期を迎えていると思います。
そもそも、「キャリア」というものの捉え方ですが、多くの方が「今までやってきたこと = キャリア」と捉えているのではないでしょうか。決して間違ってはいないのですが、最新のキャリア開発では、今までやってきたことに加え、「これからやっていくこと」をキャリアと考えます。社員がやってきたことに向き合うのは従来型のキャリア開発で、社員がこれからやっていくことに目を向けて伴走していくのが、最先端のキャリア開発ということになります。
自律型キャリアの「自律」という言葉についても解説しておきましょう。「立つ」と書く「自立」は、一人でできるかどうかにフォーカスした言葉です。親の支援を受けず、一人で生活できるようになることを「経済的に自立する」と言いますよね。「自立」という言葉を使う場合は通常、チームワークなどの組織行動は考慮されません。これに対して「律する」と書く「自律」は、端的に言えば「個人と組織のより良い関係性を作っていく行動」だと言えます。
キャリア戦略なき人的資本経営はうまくいかない
(出典) パーソル総合研究所「従業員のキャリア自律に関する定量調査」,2021年8月
田中氏:社員が自律するとどうなるのかを示しているのがこのスライドです。青がキャリア自律度の低い人で、赤がキャリア自律度の高い人です。キャリア自律度の高い人は、個人のパフォーマンスも上がりますし、ワーク・エンゲイジメントも上がります。また、学習意欲や仕事充実感も高まり、ひいては人生満足度も上がっていきます。
2022年は「人的資本経営元年」と言われていますが、まさに今、自律的なキャリア開発が求められる潮目が訪れています。その際に、私はキャリア開発を持続的な開発目標である「SDGs」のように「SDCs (Sustainable Development Careers) 」と呼んでいます。つまり、キャリアも「サスティナブルにデベロップしていこう」ということです。
今すぐ一所懸命キャリア開発をすべきだという話ではなく、持続的なペースで構いません。それぞれ自分のペースでいいので、じっくりと持続的にキャリアを育てていきましょうという考え方です。
経営者の方、あるいは人事部門のトップの方に取り組んでいただきたいのは、「経営戦略」「事業戦略」「キャリア戦略」の3つの戦略策定です。経営戦略と事業戦略は、みなさん日頃から取り組んでいらっしゃるでしょう。しかし、多くの企業で抜け落ちているのがキャリア戦略です。一人ひとりの社員のキャリア自律性を高めるキャリア戦略なくして、人的資本経営がうまくいくことはありません。
キャリア戦略を策定する第一歩は、「何が社員のキャリアを停滞させているのか?」というキャリアブレーキを探しにいくことです。もちろん、社員に直接聞いてもかまいません。キャリアブレーキを特定したら、それを1個1個外していきます。予算が必要になることもありますし、日々の行動に寄り添うことで外せる場合もあるでしょう。キャリアブレーキを外していくと、徐々にキャリアアクセルを踏めるようになってきます。
変化に適合しながら主体的にキャリアを創る「プロティアン・キャリア」という考え方
田中氏:冒頭で申し上げたとおり、私は、これからのキャリア開発は「プロティアン・キャリア」が重要であると考えています。
プロティアン・キャリアとは「変化に適合しながら、自ら主体的にキャリアを創る」という、キャリア形成に関する最新の考え方です。プロティアン・キャリアが必要な理由としてもっとも大きいのは、深刻な人材不足です。みなさんご存知のとおり、2025年問題 (※) はもう間近に迫っています。しかし、人材不足を嘆いていても状況は変わりません。人材が足りないと嘆くのではなく、今いる人材をいかに活かすか、すなわち、「いかに人的資本を最大化させるか?」ということを考えていくべきです。
※ 2025年には約800万人いる団塊の世代が後期高齢者(75歳)となり、国民の4人に1人が後期高齢者という超高齢化社会を迎えること。
人的資本の最大化を目指すにあたり、ブレーキとして立ちはだかるのが以下の3つです。
まず、若手層のブレーキがあります。働き始めてから10年くらいのファーストキャリア形成期は、自分のキャリアが見えなくなりがちで、みんな「このままでいいのだろうか」と悩むものです。ミドルシニアキャリア形成期になると、組織にしがみついて外を見なくなるという傾向が表れます。もう少し上のレイヤーになると、「ポストオフ後」と言われるように、「自分の人生、この先どうなるんだろう」といった不安からモチベーションが低下しがちです。
このような問題があるからこそ、プロティアン・キャリアという考え方が重要になってくるのです。
昇進・昇格が成功ではなく、キャリアの成否を決めるのは自分
田中氏:キャリアマネジメントの要点は、自律型人材を一人でも多く増やしていくことであり、そのためには、プロティアン・キャリアという考え方が重要です。決して難しい話ではなく、他人軸ではなく自分軸で働ける社員を増やすということです。端的に言うなら、「キャリアオーナーシップを持って働きましょう」ということです。
これまでのキャリアは、組織で昇進するための尺度でした。日本企業で働いていると、どうしても昇進・昇格が気になってしまいますが、大切なのはそこではなく、「一人ひとりが主人公となって組織をどれだけ活かしているか?」ということで、これこそがプロティアン・キャリアです。キャリアの成否を決めるのは自分なのです。
プロティアン・キャリアを形成するためには、2つの鍵があります。一つは「アイデンティティ」、つまり自分らしくあることです。しかし、自分らしくあることだけを求めるキャリア開発であれば、今までとそれほど大きくは変わりません。そこでもう一つ、重要になってくるのが「アダプタビリティ」です。つまり、変化に適合し、変化を活かす力です。
キャリア開発では、定期的にキャリアの状態を測る診断が必要
田中氏:プロティアン・キャリアを形成するためには、診断をして現状を把握することが重要です。ここで紹介する「プロティアン診断」には、キャリア開発の視点から15個の因子を入れており、診断結果は大きく3つのグループに分かれます。
3点以下のノンプロティアン人材が滞留していると、組織としてグロースすることはできません。ですから私は、管理職の方に「1on1は必ずスコアが3点以下の人から重点的におこなってほしい」とお伝えしています。みなさんもぜひ、プロティアン診断をしてみてください。診断は3ヶ月後、6ヶ月後と継続することが大切です。1点でもスコアを上げることが行動変容につながり、人的資本の最大化につながっていくはずです。
自律的なキャリアを描くためには、染み付いている過去の思考を振り払わなければいけません。業務管理など、過去の数値を追いかけることも必要ですが、キャリアにフォーカスして言えば未来思考が大事です。
具体的には、「仕事を通じて、この先どうありたいのか?」を考えることです。ただ、何となく考えるのではなく、2週間に一度、10分でいいので、自分の半年後を言語化する習慣を付けてください。「なぜできないのか?」ではなく、「これから何を実現したいのか?」というように未来軸で考えることが重要です。
また、自律的なキャリア形成をするには3つの心がけが必要です。1つ目は、他責にしないことです。2つ目は、過去を否定しないことです。「私はこれだけしかやっていない」と考える人は多くいますが、「私はこれだけやってきた」と認識することが大切であり、これができるかどうかでキャリア自律の出発点が変わってきます。3つ目が、学び続けることです。私たちはビジネスパーソンとして、市場価値を高め続けなければいけません。
社員を見渡してみて「キャリアの停滞が起きているな」と感じる場合は、社員が持っているスキルに対してチャレンジの難易度が低い場合がほとんどです。これは原理なので、そこをしっかりと調整してあげることが大切です。うまくいっているマネージャーは、この調整が上手で、メンバーを「フロー」の状態に導けるので生産性も上がります。
また、健康診断や車検と同じように、一人ひとりのキャリアの状態も定期的にチェックしなければいけません。たとえば、このようなチェックが考えられるでしょう。
キャリアのブレーキを探すには、過去、現在、未来に分けて、キャリアの悩みや解消方法を書き出すのが有効です。ぜひ、チームのメンバーとやってみてください。
もう一つ、キャリアの状態をチェックするために「4L理論」というフレームも押さえておいたほうがいいでしょう。仕事、学習、余暇、愛情という4つのLを5点満点でチェックします。
DXとともにCX(キャリアトランスフォーメーション)を
田中氏:一点、最先端のキャリア知見としてお伝えしておきたいのが「キャリアキャピタル(キャリア資本)」という考え方です。キャリア形成時に蓄積されるものを、キャリア資本と捉えます。キャリア資本は、スキルや職歴などの「ビジネス資本」、職場や友人、地域などとのつながりから生まれる「社会関係資本」、金銭や財産などの「経済資本」の3つがあります。ビジネス資本と社会関係資本が貯まるほど、キャリアがうまくいくと言われています。
私は、これからの企業には2つの「X」が求められると考えています。1つ目がDXです。DX(デジタルトランスフォーメーション)によって、目の前の業務の効率化を図り、生産性を高めていかなければいけません。ただ、それだけでは不十分です。人的資本経営の心臓は「人」ですから、人の変革、キャリアの変革も不可欠です。私は、CX(キャリアトランスフォーメーション)と呼んでいるのですが、DXだけでなく、ぜひCXにも力を入れていただきたいと思います。
その第一歩として、現場のマネージャーにもメンバーにも求めたいのが、1年間の個人のパーパスを決めることです。まずは、「この1年で何をしたいのか?」をしっかり考えてください。そして、5年間という中長期で自己投資戦略を策定します。「どのようにして、どのようなビジネス資本、社会関係資本を蓄積していきたいのか?」を戦略的に考えてください。
もう一つ、人生100年軸で考えることも重要です。キャリア開発は生きている間、ずっと続いていくものです。「仕事を通して人生に何を残したいのか?」「プライベートも含め、どのような生き方をしていきたいのか?」といったことを考えて共有することは非常に大切です。
最後に、本日の講演内容をまとめておきます。必ずインプットしていただきたいことは、人的資本経営を促進させるエンジンはキャリア自律マネジメントだということです。そして、その方向性は、組織内キャリアから自律型キャリア、プロティアン・キャリアへと転換を図ることです。そのためには、定期的にキャリア診断をおこないながら、キャリアワークアウトを進めることが大事です。教育、研修、開発のほか、診断・評価といった手法も含め、ぜひ戦略的にキャリア自律施策を設計していってほしいなと思います。
私からは以上になります。
林:田中先生、ありがとうございました。
キャリア開発もアジャイルでいい
林:ここからは、田中先生にいくつかご質問をする形でトークディスカッションを進めてまいりま す。最初の質問として、先生ご自身がキャリアを切り開いていくために心がけていらっしゃることを伺いたいなと思います。
田中氏:私は、2008年に法政大学に着任したのですが、3年でキャリアプラトー、つまりキャリアの停滞を感じました。学生に教えるのは有意義なことですし、次世代育成のやりがいは感じていましたが、「このまま大学の業務をしていて、自分のキャリアは成長していくのだろうか?」という不安がありました。
そこで私がとった行動は、積極的に外に出ることでした。大学を一つの軸にしながら、ソフトバンクアカデミアに行ったりと、どんどん外に出るようにしたのです。それが、結構大きかったと思っています。
昨今、「アジャイル開発」という言葉を耳にすることが増えましたが、キャリアもPDCAサイクルを回していくことが大事なので、私はキャリア開発もアジャイルでいいと思っています。
キャリアプラトーから脱するためには?
林:続いて、キャリアプラトーに関する質問です。キャリアプラトーから脱するために大切なことは何ですか?という質問なのですが、田中先生、いかがでしょうか。
田中氏:前提として、キャリアプラトーということは、行き詰まって悩んでいるということです。この悩んでいる時間をできるだけ減らすのが、ファーストアクションです。ビジネスパーソンであれば誰にでも、キャリアの停滞期が訪れるものです。ですから、まずは「誰にでも起こることが今自分に起きている」と、客観的に捉えてください。そして、悩むのではなく、考えるようにしてください。「今日も駄目だったな」と悩むのではなく、「明日はこれをやってみよう」というように、ポジティブにキャリアを考えることが大切です。
具体的におすすめしたいのが「宝探し」です。今いる組織を見渡してみて、「どんな仕組みがあるのか?」「どんなチャレンジが可能なのか?」「副業制度があるのか?」というように「宝物」を探してみましょう。目の前の業務に追われているとなかなか見えませんが、様々な制度やチャンスを用意している企業は多々あります。
社内の宝探しだけでなく、社外の宝探しにも出かけてください。キャリア系のセッションでも何でも構いませんので、「興味があるな」「知りたいな」ということがあれば、どんどん外に出てチャレンジするようにしましょう。
他人軸を卒業して自分軸にシフトする
林:続いての質問が、「プロティアン人材になるために重要なことは何ですか?」というものです。田中先生、いかがでしょうか。
田中氏:私はよくビズネスパーソンに、趣味の行動習慣を聞いています。ヨガでもランニングでもゴルフでも何でもいいのですが、自分の趣味を振り返ってもらいます。そうすると、「必ず週に2回は時間をとってやるようにしています」と言う人もいますし、ゴルフであれば「スマホで自分の動作を録画して、うまい人と比べています」と言う人もいます。
これって、すごく主体的ですし自律的ですよね。つまり、みなさん、趣味や好きなことは自律的に取り組んでいるんです。同じやり方で仕事をすればいいだけなのですが、仕事になると「指示を待つ」「言われたことをやる」「評価を上司に伺う」というように他人軸になってしまいます。
考えてみれば、日本の場合は大学に入るのも偏差値で選ばれているわけなので他人軸です。会社に入っても同僚がいて組織の階層があるなかで、「誰々が出世した」「あの人のほうが厚遇されている」というように、どうしても他人軸で比較してしまいます。
プロティアン人材になるためには、他人軸を卒業して自分軸にシフトすることが不可欠です。先ほどもお伝えしたとおり、2週間に1回、10分でいいので、半年後の自分の姿を言語化してみてください。「どんな仕事をしていきたいのか?」「どんなキャリアを作っていきたいのか?」ということを言語化することから始めてみましょう。
舞台を作り、光を当てて躍進させるプロデューサーへ
林:続いての質問が、「メンバーのキャリア自律を促すために、管理職にはどんなことが求められますか?」というものです。田中先生、いかがでしょうか。
田中氏:今、管理職の仕事として1on1が重要視されています。ある管理職の方から「私のチームは70人いるのですが、全員にそれぞれ30分の1on1を月2回やっています」という話を聞きました。私はすぐに言いました。「そんなことをする必要はありません。プロティアン診断をして、スコアが3点以下の社員だけやれば十分です」と。
管理職の仕事はよく「終わりなき仕事」だと言われますが、「エンドレスではない」と認識している人は、管理職としてうまくいっています。ですから、部下にしっかりと任せて、自分の仕事の業務効率を高めることが大前提になります。
そして、管理職から「グロースマネージャー」へと転換することです。私は、メンバーのキャリアを伸ばし、グロースさせることができるマネージャーをグロースマネージャーと呼んでいます。言い方を変えれば、メンバーの成長、成功をプロデュースする人です。舞台を作り、光を当てて躍進させる。そんな、秋元康さんみたいな人になってほしいと思います。
1on1で、「なんでこれしかできないの?」というように、やってきたことを追及するだけの管理職はもういりません。管理してコントロールするのではなく、任せて、寄り添って、応援していく。もちろん、足りないところはフィードバックしますが、フィードバックは2割で十分です。8割は、部下のグロースをプロデュースすることに使いましょう。
「これからどんな仕事をして、どんな活躍をしたいのか?」ということを言語化させ、マラソンのトレーナーのように隣で伴走してピッチを作ってあげるのが、グロースマネージャーの仕事です。グロースマネージャーが増えれば、人的資本経営は大きく推進されるでしょう。
社員の行動習慣まで踏み込むのがキャリア開発3.0
林:続いての質問が、「キャリア開発3.0と、これまでのキャリア開発との違いはどんなところにありますか?」というものです。田中先生、いかがでしょうか。
田中氏:キャリア開発1.0は、企業がキャリア研修のパッケージを用意するというイメージです。これを企業の戦略的フレームに落とし込んでいくのが2.0です。3.0はさらに先まで行っており、社員の行動習慣まで踏み込む点に特徴があります。
今までのキャリア研修も、新卒、3年次、選抜階層、管理職研修などに分けて、きちんと取り組んでいたと思いますが、受講者からすると、そのときどきのスポット的な取り組みでしかありません。キャリア開発3.0は、スポットとスポットをつないでいくキャリア診断や、行動変容のワークアウトが入ってきます。
健康診断の血液検査で、たとえば、中性脂肪の数値が高く心筋梗塞・脳梗塞のリスクが高いということが分かったとします。そうしたら、食生活や運動習慣を改善するでしょう。キャリア開発も同じように、定期的に個々のキャリアの状態を把握し、本人が自分ごととして捉え、行動を起こし、改善していくことが大切です。
林:お時間になりましたので、最後に田中先生からひと言頂戴して、終了とさせていただきます。田中先生、お願いします。
田中氏:労働人口が足りないというのは、動かしようのない事実です。そのなかで、今私たちができることとして、答えが明確になっているのが人的資本経営です。部下や同僚だけでなく、ビジネスパートナーやクライアント、また、ご家族などプライベートな関係も含め、一人ひとりのキャリア開発を通して人的資本の最大化を図っていただきたいなと思います。
私も専門的知見を届けるだけでなく、現場で企業のみなさんと一緒にキャリアについて考え、アジャイル型のキャリア開発を推進してまいります。本日はどうもありがとうございました。
林:以上をもちまして、トークセッションは終了とさせていただきます。田中先生、そして視聴者のみなさま、ありがとうございました。
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