【後編】株式会社ベイジ 個人の自律的な成長と理念の追求で、高いエンゲージメントを維持 モチベーションチームアワード2023レポート

「モチベーションチームアワード」は、リンクアンドモチベーションが毎年開催している、組織変革に向けた取り組みによってエンゲージメントスコア(社員の会社に対する共感度合いを表す指数)が上昇した「部署」を表彰するイベントです。

2023年度、モチベーションチームアワード受賞企業のなかからゲストをお招きしてトークセッションを開催しました。今回は、「エンゲージメントスコアが高い部署づくりの秘訣」をテーマに、株式会社ベイジ様に登壇いただいたトークセッションの模様をお届けします。

【イベント実施日】
2023年3月3日

【スピーカープロフィール】
・株式会社ベイジ デザインチーム 池田 彩華 氏
・株式会社ベイジ デザインチーム 塚元 舞賀 氏 

【モデレーター】
・株式会社リンクアンドモチベーション MSCカンパニー カンパニー長 植竹達郎


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秘訣① 個人が自律的に成長する仕組みづくり

リンクアンドモチベーション 植竹:本日は株式会社ベイジ、デザインチームのリーダーである池田彩華様と塚元舞賀様にご登壇いただき、「エンゲージメントスコアが高い部署づくりの秘訣」というテーマでトークセッションをおこなってまいります。まずは、ベイジ様の会社のご紹介、および部署のご紹介をいただければと思います。

ベイジ 塚元氏株式会社ベイジは2010年に設立されたウェブ制作を主業務とする会社です。従業員は2023年1月現在で38名となっており、そのうちの10名がデザイナーとしてデザインチームに所属しています。戦略や要件定義など、いわゆる上流工程との接続や成果物の品質管理に関わる職能であり、社内のコンサルタントやライター、エンジニアなどすべての職能と密にコミュニケーションを図っていくのがデザインチームの特徴です。

リンクアンドモチベーション 植竹: ベイジ様のデザインチームでは、弊社のエンゲージメントサーベイ「モチベーションクラウド」をご利用いただいておりますが、導入当初からエンゲージメントスコアが70以上という高い水準を維持されています。とはいえ、取り組み前は課題もあったのかなと思いますので、まずは取り組み前の組織状態をお伺いできますか?

ベイジ 塚元氏誰が担当になっても顧客満足度は高い水準で維持できていました。ただ、それを担保するためのプロセスや仕組みが属人的で、再現性がないのが課題でした。
 
また、デザインチームの内部を見てみると、若手と中堅層で構成されており、先輩デザイナーがいわゆる「ベテラン」ではなく、2・3年先の先輩のような状態でした。「先輩に追いつくぞ」というように短期的なキャリアはイメージしやすい一方で、将来、ライフステージが変わることや、長くデザイナーとして活躍していくことを考えたとき、参考になる人がおらず、長期的なキャリアをイメージしにくいのが課題だったと思います。

リンクアンドモチベーション 植竹:ご覧いただいているとおり、デザインチームのエンゲージメントスコアは非常に高い水準で推移しています。ずばり、エンゲージメントが高い秘訣はどのようなところにあるとお考えですか?

株式会社ベイジ様_1

ベイジ 池田氏:大きく2つの取り組みが、高いエンゲージメントにつながっていると考えています。1つ目が「個人が自律的に成長する仕組みづくり」で、2つ目が「会社(チーム)としての理念の追求」です。

リンクアンドモチベーション 植竹:1つ目の取り組みである「個人が自律的に成長する仕組みづくり」について詳しく教えていただけますか。

ベイジ 池田氏:まず、背景からお話しします。弊社の人事ミッションとして、「人生100年時代を生き抜ける強い人を育てる」という大きな柱があります。弊社はウェブ制作会社ですが、今後、どんな仕事においても役立つような論理的思考力やコミュニケーションスキル、リーダーシップなどを高めていきましょうという方向性が大前提としてあります。そのため、一人ひとりの社員が自律的に考えて成長できるような組織づくりを大切にしています。

このような背景があって、「個人が自律的に成長する仕組みづくり」に力を入れているのですが、具体的には3つのポイントがあります。1点目が採用に拘ること、2点目が情報を整えて開示すること、3点目が相互フィードバックで成長を促進することです。

株式会社ベイジ様_2

採用に拘る

リンクアンドモチベーション 植竹:1点目の「採用に拘る」というポイントについて詳しく教えていただけますか。

ベイジ 池田氏:弊社はそもそもの採用方針として、人をどんどん増やして組織を拡大していこうというスタンスではありません。良い人がいれば採用して、徐々に成長していく方針です。

かつて、経験やスキルを重視して採用していた頃もありましたが、なかなか定着しませんでした。2016年くらいからスキルがなくてもカルチャーや考え方がマッチする人を採用しようという方針にシフトした結果、未経験のデザイナーでもうまく結果が出せるような仕組みが整ってきました。それ以降は、経験やスキルにとらわれず、未経験の人でも積極的に採用していこうというスタンスに変わっています。
 
採用時に工夫しているポイントの一つが、採用ポリシーを採用メンバー全員で共有することです。採用面談は、一人の応募につき、職能横断で5〜6名程度関与するのですが、その際、人によって基準がバラけるのは避けなければいけません。ですから、ベイジとしての採用ポリシーを言語化して、採用メンバーの共通認識としています。

ベイジ 塚元氏:たとえば未経験者の場合、行動力や熱量を見たいのですが、何をもって行動力や熱量を測るのかという問題が出てきます。その場合、作品数を一つの指標にしようというようなイメージです。
 
ベイジ 池田氏:もう一つ、採用で工夫しているのが「オファー面談」です。これは、選考を進んだ人が入社前の最終段階で、認識にギャップがないかを確認するために設けている面談です。オファー面談では、会社の現状や今後の展望、また仕事での厳しいことなども赤裸々にお伝えしています。仕事をするうえでは、精神的なタフさを求められるシーンも多々あるので、「こういうこともあるけど覚悟しておいてね」というような話もするようにしています。

情報を整えて開示する

リンクアンドモチベーション 植竹:2点目の「情報を整えて開示する」というポイントについて詳しく教えていただけますか。

ベイジ 池田氏:弊社自身、情報発信をすごく大事にしており、創業当初からブログやSNSに力を入れて、外に対しても内に対しても情報をオープンにしてきた会社です。社員が書く「日報」を社外にも公開しており、自社の知見などを発信していますし、社内においても、たとえば経営に関するあらゆる指標を全社員に開示しています。業務上では、誰もが担当外のプロジェクトに関する戦略資料やデザイン提案書を見られるようになっています。
 
ベイジ 塚元氏:ただ単に情報を共有するだけだと真意などが伝わりにくいケースもあるので、そのような場合は「翻訳」することを意識して、丁寧に説明するようにしています。たとえば、経営側から「デザイナーチームをこうしていきたい」というような意思決定があった場合、それだけ伝えられても現場のメンバーは「なんで?」と疑問だけが浮かんで、自分の行動に落とし込むことができません。そのような場合は、「こういう背景があって今回の決定に至っているから、私たちはこうしていこう」というようなコミュニケーションをしています。

相互フィードバックで成長を促進する

リンクアンドモチベーション 植竹:3点目の「相互フィードバックで成長を促進する」というポイントについて詳しく教えていただけますか。
 
ベイジ 池田氏:これは、デザイナー同士が並列の関係で、お互いのデザインについてフィードバックをしながら、お互いを高めていく取り組みです。
 
今、弊社には若手のデザイナーが多いのですが、一般的なウェブ制作会社の場合、若手は先輩の下で修業をしてから独り立ちをするパターンが多いと思います。弊社も創業当初から数年はこのやり方で若手の育成をしていました。しかし、この方法だと若手が先輩に頼ってしまうために成長スピードが遅れがちで、一人前になるまでに2~3年かかっていました。
 
ですから、2017年くらいから、基礎ができた2年目以降の若手は自分でデザインの主導権を握って、顧客に直接プレゼンテーションをしていく形にしています。そうすると、若手のデザイナーは自分でやらなければいけないので、自ら情報を探りにいったり、周りのデザイナーに「このデザイン、どう思いますか?」と聞きにいったりと自発的に動くようになり、成長スピードが早くなっていきました。
 
ベイジ 塚元氏:自分のプロジェクトを抱えているなかで他の人のデザインを見るわけなので、一歩間違えば、「なんで、フィードバックしなければいけないの?」ということにもなりかねません。ですから、相互フィードバックのメリットや意義はこまめに共有するようにしています。たとえば、「私自身、みんなにフィードバックするようになってから自分のスキルが磨かれていった」というような話をしたりしています。
 
なかには、「立場的に、私から先輩にフィードバックなんてしていいのかな?」という人もいるので、「良くない点ではなく、良いなと思った点からフィードバックしてみたら?」といった話をしてハードルを下げて、行動につなげてもらうようにしています。

秘訣②会社(チーム)としての理念の追求

リンクアンドモチベーション 植竹:続きまして、2つ目の取り組みである「会社(チーム)としての理念の追求」について詳しく教えていただけますか。
 
ベイジ 塚元氏:具体的には、3つのポイントがあります。1点目が行動基準を言語化すること、2点目が理念に基づいて振り返ること、3点目が組織はリーダーの写し鏡であるということです。1点目と2点目は個人の取り組みになりますので、まずはその点からご説明します。

株式会社ベイジ様_3

弊社には、ミッション、ビジョン、バリューを具体的な行動基準として落とし込んだ「7つの行動原則」があります。以下のスライドにある左側が7つの行動原則のアウトラインで、右側が実際の仕事上でどのような行動・態度が望ましいのかという形で、行動原則をより具体的にしたものです。具体的な行動レベルで言語化されているので、入社したばかりの人でもマインドやスタンスの持ち方が分かりやすいと思いますし、理念追求の一つのツールにもなっているものです。

株式会社ベイジ様_4

また、デザイナーチームには行動原則とは別に「デザイナーズ・マインドブック」というものがあります。これは、ベイジのデザイナーとして備えておくべき考え方や姿勢が言語化されたものです。弊社の代表がもともとデザイナー出身なので、定期的に代表からの研修という形でシェアされて、研修後にそれぞれが日報で振り返って血肉化していくようなイメージです。
 
ベイジ 池田氏:もともと「言語化するカルチャー」が根付いた会社ですが、メンバーには、言語化することによって、どのようなメリットがあるのかということを意識して伝えるようにしています。私たちはデザイナーですが、顧客にプレゼンテーションをするときなどは、「なぜこのデザインが良いのか?」「どのような背景・意図があってこのデザインにしているのか?」といったことを言語化する必要があります。ですから、デザイナーとしてのキャリアにとっても、言語化することはプラスになるんだよというような話はしています。
 
日々の言語化のフォーマットになっているのが日報です。日報では、7つの行動原則から1つを選んで1日を振り返り、その日学んだことなどを言語化していくのですが、これがコミュニケーションツールとしても機能しています。「この前、日報に書いていたあれってどういうこと?」というような会話が生まれたりしますし、日報の文面に悩みが見え隠れしていたら、「最近、仕事どう?」というような声かけをしたりしています。

経営と現場の中間にいるリーダー層が解像度を合わせていく

リンクアンドモチベーション 植竹:最後に、3点目として「組織はリーダーの写し鏡である」というポイントについて伺いたいと思います。
 
ベイジ 塚元氏:会社として理念を追求していくためには、トップから現場に伝え続けることと、現場が日々振り返ることが大切ですが、それだけだと人による解像度の違いから齟齬が生じる可能性があります。そこで、重要になってくるのがリーダーです。
 
デザインチームのリーダーは代表と1on1をしていたり、他の職能のリーダークラスが集まる会議に参加していたりします。経営幹部との接触が多く、経営と現場の中間に位置していることもあり、トップの考えや会社の状況を現場レベルに落とし込むのはリーダーにとって重要な役割です。

たとえば、経営側から「今、会社がこういう状況だから、デザイナーチームはこうしてほしい」といった要望が下りてきます。そうしたら、私たちは解像度を合わせて現場のメンバーに共有し、会社と個人の目標設定にズレが出ないように調整したり、求められる振る舞いができていないメンバーや、求められる水準に達していないメンバーにフィードバックしたりしていきます。特に、フィードバックは徹底しておこなうようにしています。「なぜ良くないのか?」「どのように振る舞ってほしかったのか?」といったところまで細かく、厳しくフィードバックしています。

リンクアンドモチベーション 植竹:最後に、今回の取り組みを総括して視聴者のみなさまにメッセージをお願いします。
 
ベイジ 池田氏:今のベイジは、組織のフェーズ的にはトップダウンのフェーズにあります。ですが、私が冒頭にお話しした自律的な組織は、トップダウンではつくりづらいのでボトムアップへとシフトしていかなければいけません。今後は、私と塚元で土台をつくりつつも、みんなの自律性や自主性を育てていけるような取り組みをもっと推進していきたいなと思っています。
 
ベイジ 塚元氏:チームとしては、縦の連携ではなく横の連携を強化していきたいです。まだまだ、私と池田さんの気合と根性で乗り切っている感が否めないので、もっと個々のメンバーが自律したクリエイターとして助け合えるチームを目指していきたいなと思います。

リンクアンドモチベーション 植竹:以上をもちまして、ベイジ様とのトークセッションは終了とさせていただきます。池田様、塚元様、本日はありがとうございました。
 
ベイジ 池田氏:ありがとうございました。
 
ベイジ 塚元氏:ありがとうございました。

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