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【後編】4年連続エンゲージメント日本一の会社が語る 目指すのはエンゲージメント向上ではない ブレない理念と12の組織施策

全国で49店舗のスーパーマーケットを運営する佐竹食品グループは、リンクアンドモチベーションが毎年エンゲージメントの高い会社を表彰する「Best Motivation Company Award」において4連覇を達成。日本でも有数のモチベーションカンパニーとして注目を集めている企業です。

今回は同グループの代表取締役・梅原一嘉氏をお招きし、「エンゲージメント日本一!組織偏差値40台から4連覇への軌跡」をテーマにオンラインセミナーを開催。いかにしてエンゲージメントを向上させたのか、本当に効果のあった施策について語っていただきました。

【セミナー実施日】                                                    2021年6月22日 

【スピーカープロフィール】
・佐竹食品グループ 代表取締役社長 梅原 一嘉 氏
・株式会社リンクアンドモチベーション MCRカンパニー カンパニー長 梅原 英哉

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半年に1度の表彰で、従業員の「頑張る理由」を深める

リンクアンドモチベーション 梅原:ここまで、第1章「つくる」、第2章「育てる」で6つの組織施策を伺いました。

続いて、第3章「深める」のお話を伺っていきたいと思います。この頃にはエンゲージメントスコア(※)が60を超えてきましたが、会社はどのような状態だったのでしょうか。

※エンゲージメントスコアとは、社員の会社に対する共感度合いを表す指数です。


佐竹食品グループ 梅原氏:現場から取り組みに対して疑問が出ることは少なくなっていましたが、現場の一人ひとりの当事者意識を高め、さらに上を目指していきたいと思っていた時期でした。

リンクアンドモチベーション 梅原:この時期は「徹底的に落とし込む」ということで、3つの施策を挙げていただいています。



佐竹食品グループ 梅原氏:まず「AllA(オールA)アワード」という社内の表彰式を始めました。それ以前は2年に1回、全従業員を集めて「ありがとう総会」という社員総会を開催していて、そこでも表彰式をやっていました。ただ、総会の直後は盛り上がるのですが、2年に1回なので間が空いてしまいます。そこをもう少し短くしようと、半年に1回のスパンで表彰式をすることにしたんです。

AllAアワードには、「MVT(Most Variable 店舗)」というお店を表彰するものと、「MVS(Most Variable 商売人)」という各部門のナンバーワン従業員を表彰するものがあります。選出する指標は2つあって、「お客様が楽しいか?」という意味での業績点と、「従業員が楽しいか?」と意味でのエンゲージメントスコアです。この2つの指標を組み合わせた表彰をスタートしました。

ハンドブックを配り、あらためて理念を伝えて理解を深めた

リンクアンドモチベーション 梅原:続いて、「日本一楽しいスーパーの作り方」BOOKという施策があります。

佐竹食品グループ 梅原氏:我々は、日本一楽しいスーパーという理念を掲げ、それを実現するために行動指針など様々な施策を作ってきました。そういった施策をまとめた「日本一楽しいスーパーの作り方」BOOKを作りました。ある意味、教科書的なハンドブックですね。これを全社員に配布するとともに、ビジョン研修をおこないました。

スーパーマーケットなので新しい店舗ができれば従業員も増えますし、一方で退社する人もいて、当然ですが人の入れ替わりがあるわけです。最初に理念を掲げてから年数が経っていたので、このタイミングで当時約2,000名の従業員に今一度、我が社の理念・ビジョンを伝えることにしたんです。会議室には30人しか入らないので、2,000名 ÷ 30で合計70数回のビジョン研修をおこない、直接思いを伝えました。

あらためてビジョン研修をして嬉しかったのが、あるベテランのパートさんに「変わってなくて良かった」と言われたことです。やはり時間が経つと、不安になったり分からなくなったりする従業員もいるんだと思います。そういった意味でも、みんなに理念・ビジョンを再確認してもらい、理解を深めてもらう良い機会になりましたね。

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新入社員の最初の上司「ファーストトレーナー」を育成

リンクアンドモチベーション 梅原:続いて、「ファーストトレーナープロジェクト」という施策について教えてください。

佐竹食品グループ 梅原氏:これは、最近の施策のなかでもベストヒットですね。新入社員の「最初の上司」ってすごく大事だよねということで、最初の上司を「ファーストトレーナー」と名付け、ファーストトレーナーを育成する取り組みを始めました。

我々がファーストトレーナーとなる従業員を選抜し、ファーストトレーナーに1人もしくは2人の新入社員を付けて、日々の仕事を教えてもらいます。そのときに使ってもらったのが「ルーキースキルマップ」というドリル形式のツールです。これは、新入社員が身に付けるべきスキルを順番にまとめたもので、全部門で作成しました。


ファーストトレーナーたちは定期的に集まって研修をするのですが、そこでは「今どこまで教えてるの?」「うちはここまでやってるよ」といった話になります。やはり、ファーストトレーナーにとって自分の愛弟子ってかわいいじゃないですか。ですから「負けていられない」と、教える側の意欲向上にもつながっていきました。

新入社員側も、入社したばかりの頃はみんなやる気に満ちあふれていますが、3ヶ月、半年と経ってくるとモチベーションが下がる子もいて、愚痴も出てきます。ですが、ファーストトレーナーを導入してからはモチベーションを高いまま維持できるようになったと思います。

4月になると後輩が入ってくるので、節分の時期にはファーストトレーナーから卒業します。卒業するとき、お互いに手紙を読むのですが、これがすごく感動するんです。社会人になって最初の上司って、きっと一生残りますからね。

コロナの影響で理念がないがしろになってはいけない

リンクアンドモチベーション 梅原:目標や言葉の理解を個人レベルまで落とし込んだのが第3章ということですね。続いて、第4章「高める」に移っていきます。エンゲージメントスコアも70台、80台へと伸びてきて「これから何をやるんだ」というところで、3つの施策を挙げていただきました。


佐竹食品グループ 梅原氏:まず「ストロング理念研修」という、文字どおり、理念研修のストロング版を始めました。第3章でご紹介した「日本一楽しいスーパーの作り方」BOOKというのは、いわば、全従業員が理解しておくべきスタンダードです。

一方で、店長やエリアマネジャーなどの役職者には、もっと深いところまで理念を理解して、それを体現してほしいという思いがありました。そのため、ストロング版を作って研修を始めました。たとえば、「正直」という基本姿勢であれば、「取引先様に正直である状態というのは、どういう状態なのか?」など、一つひとつの言葉の意味を深く突き詰めていく研修ですね。

同時に作ったのが「ミニBOOK」で、「日本一楽しいスーパーの作り方」BOOKのライト版に当たります。これを作ったのは、コロナ禍で集合研修ができなくなったからです。コロナの影響でしばらくビジョン研修を中断していたのですが、昨年末にビジョン研修を受けていない従業員の数を調べたら400名を超えていたんです。

コロナが収束するまで理念が分からないまま働くのは良くないと、ミニBOOKを作ってライトな研修をすることにしました。とはいえ、集合研修はできないので、本社側から各店舗に出向いておこなう少人数の研修です。当時、教育課のメンバーが5人いたので、5人がそれぞれ2人ずつに研修をして1日に10人というペースでコツコツ進めていきました。

会社がパート・アルバイトに期待することを明確に

リンクアンドモチベーション 梅原:次の施策が「パート・アルバイトの戦力化」ですね。


佐竹食品グループ 梅原氏:パートさん・アルバイトさん向けの人事制度を作りました。以前もそれなりの人事制度はありましたが、「この等級の人はどういう役割で、こういう仕事ができるようになったら次の等級に上がります」というように、より明確に定義した感じですね。

以前は、パートさん・アルバイトさんの仕事はここまでと、こちら側が職域を限定していたところがありました。ですが、いろいろ聞いてみると、精肉部門に「私も肉を切りたいです」というパートさんがいて、少し教えたらすぐに上手く切れるようになったという話を耳にしたんです。「それなら、やってもらったほうがいいよね」と思ったのが、人事制度を見直すきっかけになりました。パートさん・アルバイトさんの成長ステップを人事制度として可視化して、どんどん戦力化していこうという目的があります。

会社って「何をしたら怒られる」というのは割と明快だと思うんです。一方で「何をしたら褒められる」というのは分かりにくく、ゴルフで言う「フェアウェイど真ん中」を示すものってあまりないなと思っていました。

第1章でご紹介したカレンダーも、ある意味「会社が求めているのはこういうことなんだよ」というのを示す施策だと言えます。パートさん・アルバイトさん向けの人事制度も同じ趣旨で、「会社はみなさんにこういう仕事を望んでいます」ということを明確に伝えるために作ったものです。

会社が大きくなっても理念を「濃く」伝えていく

リンクアンドモチベーション 梅原:最後の施策として「エリア分けの実施」について教えてください。

佐竹食品グループ 梅原氏:店舗の数が増えてきたので、エリア分けをおこない、エリアごとに責任者を置きました。

これから先、店舗や従業員がさらに増えていったときに一番嫌なのが、「カルピスが薄まっていくこと」です。原液を足さずに水ばかり足していたら、カルピスは薄くなっていきますよね。これと同じことが会社の理念で起きたらまずいわけで、会社が大きくなっても理念・ビジョンの濃度を保っていくことが大切です。そして、その役割を担うのがエリアの責任者です。

弊社の場合は6つのエリアに分けて、取締役や執行役員を責任者にしました。エリアのボスとして人事権もお渡しして、全部マネジメントしてくださいという形で運営してもらっています。

リンクアンドモチベーション 梅原:梅原社長の分身を作っていくようなイメージでしょうか。

佐竹食品グループ 梅原氏:分身とは違いますね。私はそれぞれのエリア長が、それぞれのキャラクターや思いを大切にしながらエリアをマネジメントしてもらいたいと思っています。もちろん、会社の理念ありきですが、日本一楽しいスーパーに近づくことなら何をしてもらっても構いません。

私が思いつかなかったことを各エリアでやってくれたりして、それがイノベーションにつながっていくわけです。各エリアが自由に商売をして、お客様をどんどん喜ばせてもらいたいなと思いますね。

リンクアンドモチベーション 梅原:第4章は、徹底的に追求するということで、階層、職種を問わずに新たな基準を追求し続けるということでした。エンゲージメントスコアが40台から80台まで伸びているのは、佐竹食品様が「 日本一楽しいスーパー 」というビジョンからブレることなく、事業や組織の状況に合わせて最適な施策を打ってこられたのが一番のポイントだったと思います。

モチベーションクラウドは「日本一楽しいスーパー」を実現するためのヒントをくれる

リンクアンドモチベーション 梅原:最後にもう一つだけ、質問をご紹介します。「どうしてモチベーションクラウド利用しようと思ったのですか?」という質問ですが、梅原様いかがでしょうか。

佐竹食品グループ 梅原氏:シンプルに、自社の組織状態を知りたかったということですね。最初に「これは企業の通信簿です」と言われたときは、非常に怖かったですよね。ですが、導入したことで従業員の声を聞けたのはすごく大きなことでしたし、会社として次に打つべき施策や進むべき方向性が見えやすくなったのも非常に良かったことだと思っています。

エンゲージメントスコアは80を超えましたが、我々は80点、90点をとることを目的にしているわけではありません。日本一楽しいスーパーの実現に向かっているわけで、そのために何をすべきなのかという点でヒントをくれるのがモチベーションクラウドだと思っています。

リンクアンドモチベーション 梅原:最後に梅原様からひと言いただいて、締めさせていただきたいと思います。

佐竹食品グループ 梅原氏:何か一つでも、皆様にとって気付きやきっかけになるようなことをお伝えできればという思いで、いろいろとお話しさせていただきました。拙い部分もあったかもしれませんが、本日は最後までお聞きいただき、ありがとうございました。

リンクアンドモチベーション 梅原:ありがとうございました。

※本記事中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等はイベント実施当時のものです。

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