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インナーブランディングとは何か?手法やポイントを徹底解説!


目次[非表示]

  1. 1.インナーブランディングとは?
  2. 2.エクスターナルブランディングとの違い
  3. 3.インナーブランディングの目的とは?
  4. 4.インナーブランディングができてないことによるリスク
  5. 5.インナーブランディングを行うメリットとは?
  6. 6.インナーブランディングを行う際にぶつかる課題
  7. 7.インナーブランディングの実施手順
  8. 8.インナーブランディングの手法
  9. 9.インナーブランディング実行時のポイント
  10. 10.■佐竹食品株式会社・株式会社U&Sの理念浸透事例
  11. 11.おわりに


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インナーブランディングとは?

インナーブランディングとは、自社の従業員に向けたブランディング活動です。具体的には自社の理念を従業員に理解してもらい、具体的な行動を起こし、新たな習慣を作っていくことです。「理念がただ額縁に飾られている」という企業もありますが、それを具体的な行動に落とし込むことが重要になります。

数あるブランディング活動の中でも、インナーブランディングは重要視されています。インナーブランディングの目的や、それによって得られるメリットとは何なのでしょうか?

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エクスターナルブランディングとの違い

インナーブランディングに対して、「エクスターナルブランディング」という言葉も存在します。エクスターナル(external)とは「外部の」という意味を持ち、「エクスターナルブランディング」は「消費者や社外の関係者に向けて行われるブランディング」のことを指します。

インナーブランディングとエクスターナルブランディングは主に「目的」「対象」で異なります。


■目的

・インナーブランディング

理念を会社全体に浸透させることによって、従業員ひとりひとりの行動を変え、事業成果を生み出すこと

・エクスターナルブランディング

自社の商品・サービスの認知を変え、購買活動を促進すること


■対象

・インナーブランディング

従業員

・エクスターナルブランディング

消費者や社外の関係者


両者に違いはありますが、切り離されたものではありません。特に多くの商品・サービスが溢れている現在では、インナーブランディングで発信している企業理念やビジョンといったメッセージが他社との差別化の源泉や、競争優位性になります。

インナーブランディングの目的とは?

インナーブランディングの目的は「理念を会社全体に浸透させることによって、従業員ひとりひとりの行動を変え、事業成果を生み出すこと」とお伝えしましたが、多くの理念が「存在はするが、社員の行動が変わっていない。そのため成果に結びつかない」といった状況になっています。


企業運営において実現しなければならないことは「業績の向上」と「エンゲージメントの向上」です。理念に基づいて従業員ひとりひとりが行動を変えることによって、事業成果を創出することがインナーブランディングの目的です。


※エンゲージメントについては以下記事をご参考にしてください
エンゲージメントとは?メリットや高める方法について解説

▼経営理念、企業理念に関する記事はこちら

理念とは?意味や浸透させることの効果、経営理念と企業理念、ビジョンやミッションの違いなどを解説!


インナーブランディングができてないことによるリスク

では、インナーブランディングができていないとどのようなリスクがあるでしょうか。


・離職リスクが高まる

インナーブランディングが十分に行われないと、従業員の会社への愛着心が薄くなってしまう恐れがあります。せっかく会社が従業員のことを大切にしようとしても、それが伝わるようになっていなければ思いもよらない不満や反感が高まってしまうことがあります。


その結果、「他の会社でも似たようなことができる」「この会社はあまり信用できない」という気持ちが芽生えて結果として離職に繋がってしまう可能性があります。


・顧客満足度が下がる懸念がある

また、インナーブランディングができていないと従業員の行動の質が揃わなくなる場合があります。商品を作り、顧客に提供するまでの過程で意識や行動のバラツキがあると、顧客の感じるクオリティにもバラツキが生じてしまいます。


そのような状況が続くと、顧客の満足度は低下して信頼を失ってしまうリスクがあります。


・方針転換が困難になる

企業理念やビジョンの共有、理解ができていないと経営方針や事業のやり方を変える必要が出た際に「なんでこんなことをするのか?」「関係ないことをやらされている」といった方針への反対が生まれる可能性が高まります。


会社として存続・発展をするタイミングで従業員の実行力が低下してしまうと大きな損失に繋がりかねません。


インナーブランディングを行うメリットとは?

インナーブランディングを行うことによって得られるメリットは大きく4点あります。
採用・育成・制度・風土といういわゆる組織施策それぞれにおいてメリットがあります。

①採用:理念によって他社との違いが明確になり、差別化された採用メッセージが発信できる
②育成:理念によって判断や行動の基準が揃い、成長の方向性が明確になる
③制度:理念によって明確な価値観(軸)ができ、その軸に沿った制度によって納得感を高められる
④風土:理念によって全社の方針が明確になり、一つの組織として目的で束なることができる

色々な組織施策がありますが、それらは全て理念が軸となり繋がっています。採用・育成・制度・風土とどれも悩まれる企業も多いですが、実はインナーブランディングが不十分であるという根本的な問題が見落とされているケースも散見されます。

インナーブランディングは、様々な組織施策への波及効果の大きい取り組みだと言えます。


インナーブランディングを行う際にぶつかる課題

インナーブランディングを行う際にはいくつかぶつかる課題があります。


・コストがかかる

もちろんインナーブランディングを行う際にはコストがかかります。ここで言うコストは「費用」「時間」「労力」といったものが挙げられます。


費用:インナーブランディングを体系的に行いたい場合、外部の専門家に発注することが多いです。その際にはもちろん費用がかかります。自社内で内製する場合でも、その分通常業務に割いていた時間を充てることになるため、目下の業績にも影響がある場合もあります。


時間:インナーブランディングは一朝一夕では実現しません。むしろ中長期的な目線で取り組むことなので、効果を実感するのには時間がかかるものです。


労力:実際に現場までしっかり浸透・運用ができるようになるには経営理念やビジョンの共有、従業員の理解促進・育成といった施策は自分たちで考えてひとつずつ推進する必要があります。全体的な労力・工数はある程度かかるものです。


・理解が得られない

せっかく経営理念やビジョンを打ち出したとしてもそれがあまりイメージできないものであったり、あまりにもこれまでの行動とかけ離れていたりすると従業員の理解が得られない場合もあります。しっかりと従業員の共感を得られる表現の仕方、共有の仕方を工夫する必要があります。


・次第に忘れられる

大変悲しいことですが、浸透・運用がおざなりになると、インナーブランディングで伝えてきた経営理念やビジョンなどが次第に忘れられてしまうこともあります。普段の業務の中で意識・実践する仕組みが必要です。


・他の施策とのシナジーが生まれない

会社には採用・育成・風土づくり・制度といった複数の施策やルールが存在します。インナーブランディングで発信していることがこれらの施策と乖離していると感じられると、それぞれがバラバラに進行されてしまいます。例えば、採用と乖離していると「採用した人がビジョンを実現するために求めていた人物像と離れている」といった問題も生じてしまいます。


インナーブランディングの実施手順

インナーブランディングは大きく2つのステップに分けて実施されます。


まずは【策定フェーズ】です。理念の中でも「ミッション」と「スタイル」を策定するケースが多いです。ミッションとは会社が目指す方向性です。会社が何のために存在するのかということを定めたものになります。また、スタイルとは従業員に求める思考・行動です。


ミッション実現に向けて日々の判断基準になってきます。まずはミッション・スタイルを策定することからスタートします。


次に、【浸透フェーズ】です。

策定した理念を従業員に対して落とし込みます。浸透フェーズはより細かく砕くと、共有⇒行動化⇒習慣化というステップになります。


従業員が理念を頭で理解しているだけでなく、理念に共感し、具体的な行動を起こし、最終的にはそれを意識しなくてもできるような習慣として行動できる状態がゴールです。


インナーブランディングの手法

ここではインナーブランディングの具体的な手法について、株式会社リンクアンドモチベーションも事例を交えてご紹介します。


株式会社リンクアンドモチベーションでは、「コミュニケーションクラウド」という社内イントラを活用し、自社の理念や戦略の浸透に向け、社内の「上下(経営者ー現場)」のコミュニケーションの流れを創っています。「上下」のコミュニケーションの流れを創る上では「大量に情報を共有すること」ではなく、「洗練された視界共有を行うこと」が重要になります。「洗練された視界共有を行う」上でのポイントを、実際にリンクアンドモチベーションでコロナウイルス感染拡大に伴い実施した事例をご紹介します。

リンクアンドモチベーションでは、2020年3月に「臨時トップコメント」という形式にて、経営者から従業員に対し「コロナウイルス感染拡大に伴う会社の対応方針」について伝達しました。その伝達の際にポイントになったことが以下の3つです。


1つ目は、新たな「共通言語」を作り出すことです。実際にリンクアンドモチベーションでは、「ちょうどよかった、これをきっかけに!」という言葉を流行らせ、リモートワーク環境の整備など、DX化の推進等を実現しました。


2つ目は、「ネガティブ事実」×「ポジティブ背景」を共有することです。従業員に対し、「変えること」と「変えないこと」の会社としての意思決定の背景を明確に伝えることで、方針に対する納得感を醸成することができます。


3つ目は、「大切な言葉」で束ねることです。臨時トップコメントの文面上で、ミッション・ビジョン・スタイルなど、社員を束ねたい言葉を入れることで、組織の一体感を醸成することができます。

また、コミュニケーションクラウドの特徴としては、「伝えたいことが確実に届くこと」と「伝えたことの反応がわかること」の2点です。


「伝えたいことが確実に届くこと」については、未閲覧者をデータ上で一元把握することが可能なだけでなく、未閲覧者に対し再通知メールを送信することができたりと、全員の閲覧を促進する為の機能が備わっています。


また、「伝えたことの反応がわかること」については、いいねボタンやコメント機能が備わっていることで、メッセージに対する現場のリアルな反応が容易に把握することができます。


以上のように、インナーブランディングの具体的な手法としては、上下のコミュニケーションの流れを作り出し、洗練された視界共有を行う為に、上記ポイントを抑えることが重要になります。


インナーブランディング実行時のポイント

【策定フェーズ】と【浸透フェーズ】のポイントに分けて解説したいと思います。

【策定フェーズ】のポイントは以下の3点です。

①差別性
多くの理念が事業成長に繋がる他社との違いを明確にできておらず他社でも言える理念になってしまっています。事業成長に繋がる他社との違いを明確にし、顧客価値が組み込まれた理念になっていることが重要です。

ミッション策定においては時間軸を入れて顧客価値を明確にし、スタイル策定においては顧客価値を届けるための行動を整理していきます。


②意義性
理念が意義を感じられるものになっておらず、従業員のモチベーションが上がらないといったケースも見られます。理念に明確に意義が盛り込まれており、従業員の働きがいにつながっていることが重要です。日々の業務が何に繋がっているのかを、従業員の特性に合わせて、意義を整理していきます。


③共感性
現場に理念の意図や背景が伝わっておらず、言葉だけが上滑りしてしまうこともあります。理念の意図や背景を伝えるストーリーがあることで、現場の共感を得られることが重要です。

共感されるストーリーをつくる上では、Why(なぜ?)/What(何を?)/How(どのように?)を接続して設計していきます。

また、【策定フェーズ】のポイントは以下の3点です。


①必要性
一方的に情報共有をしているだけになっており、受け手側の意欲が高まっていないケースが見られます。社員全員が当事者として理念の実現に向けて、意欲が高まっている状態を作りだすことが重要です。


②伝承性
ミッション・スタイルの内容を伝達しているものの、意図や判断基準までは伝えられていないケースも多く見られます。ミッション・スタイルの意図や判断基準まで伝えているため、受信側の行動が変革できていることが重要です。

ミッション・スタイルの意味を正しく理解し、魅力的に語ることができる「伝道師」を育成することがポイントです。

③継続性
浸透施策を実施すること自体がゴールになってしまい、振り返りや改善を行っていないケースも非常に多いです。

浸透施策の効果測定をする指標が入っており、浸透度合いが定量的に測定できていることが重要です。弊社でも効果測定をするための「組織のものさし」をご提供しています。詳細は以下より。

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以上のような形で、【策定フェーズ】【浸透フェーズ】のポイントを踏まえ丁寧にインナーブランディングを行うことで、従業員の行動が変わり、事業成果につながります。

■佐竹食品株式会社・株式会社U&Sの理念浸透事例

【企業の概要】
・社名:佐竹食品株式会社・株式会社U&S(以下、佐竹食品)
・設立:1969年1月13日
・事業内容:①総合食料品スーパーマーケット「satake」の運営、
      ②生鮮特化型 業務スーパー「TAKENOKO」の運営
・従業員数:1,700名 (※パート・アルバイト800名含む) 
・本社:大阪府吹田市
・ビジョン:「日本一楽しいスーパー」


【課題】
佐竹食品は順調に従業員数と店舗数を伸ばしていました。150人規模までは、社長から見て顔と名前が一致していましたが、300人、400人と増えていく内に一致しなくなってしまいました。代々大切にしてきたはずの佐竹食品の考え方が薄まってきていました。


弊社組織診断ツールであるモチベーションクラウドで現状を把握したところ、「従業員が理念を期待していない(=従業員が理念を重要視していない)」という結果があらわれました。

【参考資料のご紹介】
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そこで、インナーブランディングの【策定フェーズ】と【浸透フェーズ】の2つのステップを丁寧に踏み、理念の浸透を図ってきました。以下では、特に【浸透フェーズ】の取り組み内容についてご紹介します。

【取り組み内容】
①ありがとう総会
店舗を丸1日休みにして全従業員を集めた「ありがとう総会」を実施しました。従業員に理念の「必要性」を伝えることが目的です。

ありがとう総会の中で、なぜこの理念が出来上がったのか、どんな思いが込められているのか、これからはこういうことをしようと思っているんだ、ということを全従業員に伝えて行きました。

1日営業日を止めることによって1億円の売上が減りましたが、その月は過去最高益を出すことができました。理念を伝えていくことで、従業員ひとりひとりの行動に変化があらわれたためでした。


②部門ビジョンの策定
佐竹食品では企業理念だけではなく、部門の理念も策定しています。理念を従業員にとってより身近なものにし、「継続的に」理念を意識してもらうためです。その中の一例として店舗ではなく本社部門の事例をご紹介します。

本社というのは経理や人事・総務を担う部署のため、店舗に立って接客することはまずありえません。そのため、接客を通じてモチベーションが上がる機会もほぼなく、ビジョンである「日本一楽しいスーパー」とは、実際にお客様にどれだけ喜んでいただけたかが主軸になってくるため、本社メンバーにとっては、ビジョンへの貢献感が実感しづらかったのです。

そこで以下のビジョンを策定しました。


そもそも本社にとってのお客様は誰なのか、根本的なところから考え始め、メンバー全員が納得できるビジョンにするため、できるだけ具体的なイメージが湧くものにしました。

「本社メンバーにとっては、関わる全ての人がお客様である」。そう定義することで、今まで曖昧だったビジョンがぐっと身近にイメージしやすくなりました。議論の末に辿り着いたビジョンが「現場が商売に専念できる状態をつくる」というものでした。

「日本一楽しいスーパー」を実現する現場を支えるために本社は何ができるのか。何をするべきなのか”というイメージが具体的になったことにより、本社にいてもビジョンに貢献できているという実感が持てるように変わりました。

引用元:
佐竹食品・U&S社長 梅原一嘉氏 「日本一楽しいスーパー」づくりの哲学【前編】
佐竹食品・U&S社長 梅原一嘉氏 「日本一楽しいスーパー」づくりの哲学【後編】
佐竹食品・U&S 代表取締役社長 梅原一嘉氏 “高いエンゲージメントによって業績が上がる”という好循環をつくる

おわりに

経営理念やビジョンに基づいて従業員ひとりひとりが行動を変えることによって、事業成果を創出することがインナーブランディングの目的です。事業成果に直結するすばらしい実績を出されている企業もあります。


事例と共にポイントを抑えて、自社らしさを体現できるインナーブランディングを行ってみましょう。

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執筆者:百田 海渡
執筆者:百田 海渡
【プロフィール】 リンクアンドモチベーション新卒入社。 以降、中堅・スタートアップ企業向けのコンサルティングに従事。 「理念策定・浸透」「人事制度構築」やモチベーションクラウドを活用した組織改善等、 IT系業界、小売業界を中心に数多くの企業様に貢献。

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