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伊藤邦雄教授、パナソニックCHROが語る ステークホルダーの心を動かす「人的資本開示と実践」「HR Transformation Summit 2023」イベントレポート

人的資本経営に注目が集まる昨今ですが、人を「資本」として捉え、価値創出につなげることの重要性は過去から変わっていません。その核心は「ステークホルダーとのエンゲージメント」にあると私達は考えます。従業員に、投資家に、顧客に、自社らしさを届けて関係を築くことが、人的資本経営の実践において欠かせない要素だと捉えています。

この度、人的資本経営の実践を後押しする最高峰の議論をお届けすべく、「HR Transformation Summit 2023」を開催しました。Day1では、一橋大学 CFO教育研究センター長の伊藤邦雄氏、パナソニック株式会社、取締役 常務執行役員 CHROの加藤直浩氏にご登壇いただき、「ステークホルダーの心を動かす人的資本開示と実践」というテーマでトークディスカッションをおこないました。

【イベント実施日】
2023年7月25日

【スピーカー】
・一橋大学 CFO教育研究センター長 伊藤 邦雄 氏
・パナソニック株式会社 取締役 常務執行役員 CHRO 加藤 直浩 氏
・株式会社リンクアンドモチベーション 代表取締役会長 小笹 芳央

【モデレーター】
・株式会社リンクアンドモチベーション モチベーションエンジニアリング研究所 上席研究員 林 幸弘

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ストーリー性のある人的資本経営を ​​​​​​

リンクアンドモチベーション 林:本日は、「ステークホルダーの心を動かす人的資本開示と実践」というテーマで基調講演、トークセッションをおこなってまいります。早速ですが、伊藤先生、基調講演をお願いします。

一橋大学 伊藤氏:まず、何のために人的資本情報を開示するのかということからお話しします。開示するということは、「どういう人的資本経営をおこなっているのか?」という実態を示すということです。人的資本に限りませんが、当然のことながら、情報を開示すればそれを見る人がいます。そうなると、開示する側には「よく見られたい」という心理が働きますが、情報をデコレートするわけにはいきません。そこで、人的資本経営の実態をいかにレベルアップしていけるかということが重要になってくるわけです。

また、昨今は多くの企業が人的資本に向き合っていますが、暗黙知に頼った「何となくの人的資本経営」になっているのが現状だと思います。自社の人的資本経営をステークホルダーに分かってもらうためには言語化する必要があり、暗黙知から形式知化する必要があります。その意味でも、開示は非常に有効なきっかけとなるはずです。

主たるステークホルダーの一つは投資家ですから、投資家に自社の人的資本経営をどう理解してもらうかということは非常に重要な狙いになります。当然、社員もステークホルダーになりますので、社員に理解してもらう意味でも開示は重要ですし、労働市場で自社に関心を持っている学生や候補者に理解してもらうためにも重要です。

さらに、人的資本情報を開示することで、経営者にもステークホルダーにも人的資本経営による自社の経年変化が分かるようになりますし、他社と比較することで自社の立ち位置も分かるようになります。

人的資本開示をおこなうにあたって非常に重要なのが「ストーリー性」です。ストーリー性なき人的資本開示では、ステークホルダーの心を動かすことはできません。人的資本経営にストーリー性を持たせるためには、第一に経営者自らが「人的資本にどう向き合うのか?」という人的資本を巡る哲学や価値観を語らなければいけません。

また、「人材版伊藤レポート」で掲げている「経営戦略と人材戦略を連動させる」という点がストーリー性の根幹になります。経営戦略だけを語ってもしょうがないし、人材戦略だけを語ってもしょうがない。両者をどうつなげるかということが重要なポイントになってきます。

1つ事例をご紹介しましょう。以下は荏原製作所の統合報告書からの抜粋です。


(出所) 株式会社荏原製作所「荏原グループ 統合報告書 2022

元素記号のようなものが並んでいますが、これは同社の社員が保有しているスキルを表現したものです。事業分野ごとに、どんなスキルを持った社員がいるのかを開示しています。一人ひとりのスキルを大事にするという、同社の姿勢が雄弁に伝わってくる開示例だと思います。

また、ストーリーを描くうえでは、インプット、アウトプット、アウトカムをつなげることも大事です。どのような投資をして、それがどのようなアウトプットになり、最終的にどのような価値につながるのかという流れです。人的資本投資も最初はインプットであり、それがアウトプットにつながり、さらに価値換算されたアウトカムにつながっていくところまでストーリーとして描かなければいけません。

人的資本開示をする際は、「人的資本がどのように企業価値につながるのか?」ということをステークホルダーに伝えたいわけですが、効果的な開示の仕方の一つが「練習風景」を見せることです。

日本のラグビーは強くなりました。エディー・ジョーンズ氏がヘッドコーチを務めていた時代、日本代表の練習風景がよくテレビで流されていましたが、あれを見て「日本のラグビーは強くなりそうだ」とイマジネーションをくすぐられた方は多かったでしょう。人的資本開示も同じように「練習風景」を見せることで、投資家が「こういう実践をしているなら企業価値が高まりそうだ」と捉えてくれたら良いわけです。

最後に「価値協創ガイダンス2.0」をご紹介します。これは昨年(2022年)、「伊藤レポート3.0」を出したときに併せて公表したものです。以下に示しているように、価値観、長期戦略、実行戦略、KPI、ガバナンスを個々断片で示すのではなく、連動させてストーリーをつくることが重要です。


(出所) 経済産業省「価値協創ガイダンス2.0

私自身、価値協創ガイダンスは世界に誇れるガイダンスだと思っています。ぜひ、投資家との対話や統合報告書づくりに生かしていただき、ストーリー性のある人的資本開示をしていただきたいと思います。

人的資本経営で社内外のステークホルダーに会社の魅力を伝えていく

リンクアンドモチベーション 林:続きまして、パナソニックの加藤様、基調講演をお願いします。

パナソニック 加藤氏:私からは、パナソニックが目指す人的資本経営についてお話しします。弊社は、松下幸之助が1918年に創業した会社で、今年で105年目を迎えています。


弊社は、上のような経営理念を掲げています。創業者の有名な言葉としては、たとえば「衆知を集めた全員経営」「物をつくる前に人をつくる」といった言葉があり、現在まで語り継がれています。このような理念からもお分かりいただけるように、弊社は根底に人的資本の考え方を持つ会社としてスタートしており、であるがゆえに、ここまで大きく成長できたと思っています。

しかしながら、近年はなかなか人が生きる状態になっていないという現状があります。たとえば、私が入社した頃、弊社は採用人気ランキングで上位に位置する人気企業でしたが、昨今は順位が低迷しています。また、入社して3~5年の若手のモチベーションが低下していることが、EOS(従業員意識調査)の結果から明らかになっています。また、事業戦略上、強化していきたい領域において社員の高齢化が進み、労務構成のバランスが悪くなっており、今後の人材確保という点でも課題を抱えています。

このような課題を抱えているなかで、あらためてパナソニックの人的資本経営を世の中に発信するべく、今取り組みを進めているところでございます。取り組み内容は、大きく「リクルート」「社員のWell-being(リテイン)」「リソース」の3つに分けて考えています。
 
リクルートに関しては先ほど申し上げたとおり、近年は採用で苦戦していますので、いかに会社の魅力をシンプルかつ分かりやすく伝えていくかという視点で、採用ブランディングに取り組んでいます。入社3~5年でモチベーションが低下する若手にもしっかりと向き合って、オンボーディングフォローをしていく必要があります。

リテインのところでは、カルチャー改革に着手しています。一人ひとりの従業員が能力を最大限に発揮できる組織文化を醸成するために、人事評価制度の見直しも含めて様々な手を打っているところです。また、DEIとしては、育児や介護をする人、LGBTや障がい者など、多様な人材が自分らしく働けることを重視して施策を強化しています。加えて、当たり前のことですが、災害撲滅やコンプライアンス遵守に努め、社員の安全・安心・健康を守るというベースの部分を整えています。

リテインとリソースにかかる「働き方」に関する取り組みとしては、最初に「役割ベースの人材マネジメント」を掲げています。昨今、日本でもジョブ型を取り入れる企業が増えていますが、メンバーシップ型の良さもあると思っており、弊社としては、ジョブ型の良さとメンバーシップ型の良さをうまくミックスした人材マネジメントを目指しています。その他、「公募異動の拡充」「自ら選択できる教育・研修環境の整備」「働く場所・働く時間の選択」などを掲げていますが、いずれも社員が自分で選べることを重視しています。やはり、自分で決定できることでやりがいや主体性が高まるのだと思います。

リソースに関しては、いかに労務構成を改善し、重点事業のリソースを強化するかという点がテーマになります。そのために、定年制の見直しも含めて様々な手を打っています。

まだ道半ばですが、社内外のステークホルダーにパナソニックの魅力をいかに伝えていくかということを意識しながら取り組みを進めているところでございます。

人的資本経営の一丁目一番地になるのは従業員エンゲージメント

リンクアンドモチベーション 林:続きまして、リンクアンドモチベーションの小笹会長、基調講演をお願いします。

リンクアンドモチベーション 小笹:はじめに、人的資本経営に必要な根本的な考え方についてお話しします。これからの時代、企業は商品市場に加えて労働市場で選ばれることが至上命題となります。というのも、労働力の減少や人材の流動化がますます顕著になるなかで、労働市場から選ばれる難易度が非常に高くなっているからです。今後は、労働市場から選ばれる企業と選ばれない企業に二極化していくでしょう。経営者や人事責任者が、心の底から労働市場で選ばれない会社は生き残っていけないという危機感を持つことが大事です。

次に、弊社の「モチベーションエンジニアリング」を構成している2つの前提についてお話しします。1つ目が「人間観」です。人間は完全合理的な経済人ではなく、「限定合理的な感情人」だということです。行動経済学の第一人者、ダニエル・カーネマンは「人は勘定ではなく、感情で判断する」と言っていますが、まさにそういうことです。

この人間観は、社員の報酬を考えるうえでポイントになってきます。給与やボーナスなどの金銭報酬を与えるのは大前提ですが、人間が「限定合理的な感情人」であるならば、承認欲求や貢献欲求、親和欲求や成長欲求を満たしてあげることも大切です。弊社ではこれらをまとめて「感情報酬」と呼んでいます。金銭報酬は原資に限りがあり、誰かがたくさんもらえば、誰かが我慢しなければならないというゼロサムゲームの宿命を負っていますが、感情報酬は経営者や人事がその気になれば、いくらでも原資を生み出すことができます。その意味でも、感情報酬の重要性を認識することは大切です。



2つ目が「組織観」です。弊社では「組織は要素還元できない協働システムである」と考えています。たとえば5人のチームがあったとき、「5人の人がいる」と捉えるのが一般的ですが、協働システムでは視点が変わります。5人は同じチームなので、共通の目的のもとで役割分担をします。そうすると、AさんとBさん、BさんとCさん、それぞれの間に協力・連携関係の「線」が生まれるため、そこに着目して「10本の関係性がある」と捉えます。



5人が10人になったら人数は2倍になるだけですが、関係性の本数は10本から45本に増えます。つまり、関係性が4.5倍複雑になるということです。100人になると、関係性の本数は4,950本になり、極めて複雑性が増大します。そうなると組織が機能しなくなるので、たとえば10人のチームを10個つくってそれぞれにリーダーを置きます。そうすることで、関係性の本数は4,950本から495本にまで減ります。フラットな組織をチームに分けてリーダーを置くことで、組織の複雑性が縮減されるということです。



このように、組織運営においては「複雑性をいかに縮減するか」が重要であり、それが人的資本の最大活用にもつながります。

続いて、人的資本経営の実践に向けたお話をします。今、人的資本開示と人的資本経営を混同して立ち止まっている経営者、人事責任者が多いと感じています。これらは、別物として割り切ったほうが前に進みやすいと思います。

開示を求められている項目をただ開示したところで、業績や労働生産性に直結するとは限りません。ただ、人的資本開示はやらなければいけないことなので、割り切って求められるものを開示していけば良いと思います。

本質は、人的資本開示ではなく人的資本経営です。人的資本経営には、ダイバーシティや人事制度の見直しなど様々な要素がありますが、一丁目一番地になるのは「従業員エンゲージメント」です。

社員というのは、ある意味で投資家です。会社にお金を投じてくれるわけではありませんが、人生のなかで最も大事な時間と自らの能力を投じてくれます。そんな社員との間で相思相愛関係を築くこと、つまり従業員エンゲージメントを高めていくことは極めて重要です。というのも、従業員エンゲージメントは企業価値向上に直結するからです。当社と慶應義塾大学 大学院経営管理研究科/ビジネス・スクール 岩本研究室がおこなった共同研究においても、従業員エンゲージメントと営業利益率や労働生産性には相関があることが明らかになりました。

商品市場への適応を考えるとき、PLやBSが物差しになります。一方、労働市場への適応を考えるときはエンゲージメントスコアが物差しになろうかと思います。近年は、商品市場と労働市場で重なり合う部分が大きくなっています。そのため、労働市場で選ばれるべく従業員エンゲージメントの向上を図ることが、イコール商品市場での成果につながるはずです。



​​​資本市場や労働市場との対話において大切なことは?

リンクアンドモチベーション 林:ここからは、3つの質問をもとにトークセッションを進めてまいります。1つ目が「資本市場や労働市場との対話において大切なことは?」という質問です。伊藤先生、いかがでしょうか。

一橋大学 伊藤氏:たとえば、投資家はどのような観点で人的資本経営に関心を持っているのでしょうか。端的に言うならば、投資家は様々な情報をインプットして、その企業の価値が高まるかどうかを見極めようとしています。つまり、将来のキャッシュフローを予測するわけです。

経営者は、有価証券報告書や統合報告書で、あるいは投資家との対話のなかで自社の経営戦略を語るわけですが、「この経営戦略は素晴らしい」と思っただけで投資判断をする投資家はいません。経営戦略が絵に描いた餅になってしまう会社なのか、経営戦略を粘り強く実現できる会社なのかを見分けたいのです。当然ながら、経営戦略は経営者だけで実現できるものではありませんので、その会社で働く社員がどのくらい実行力を持って経営戦略の実現を目指せるのかを見ています。投資家は、「その経営戦略に果たしてどのくらいの実現可能性があるのか?」という観点で人的資本経営に関心を持っているということです。

先ほど申し上げたように、投資家が「練習風景」を見たときに「こういう練習をしていれば、会社として力がつくよね」と思ってくれると良いわけです。このような視点を持って、投資家と対話をしていただきたいと思います。

労働市場では、小笹さんがおっしゃったとおり、今後間違いなく二極化が起こるでしょう。今はどの会社も「人が大事」だと言っていますが、その言葉のメッキが剥がれてしまう会社と、そうでない会社に分かれていくはずです。

労働市場にいる人の関心事は、「この会社に入ったら、自分の描くキャリアを形成できるだろうか?」ということです。それを見極めるために、事前に対話をしたり統合報告書を見たりします。入社して2~3年もすれば会社の実態が分かってきますので、そのときに「この会社では理想のキャリアを実現できそうにない」と思えば退職に至るでしょう。

そういった意味では、投資家と労働市場にいる人では、文脈を変えて対話をすることも大事だろうと思います。



人的資本経営を通じて企業の変革を実現するためのポイントは?

リンクアンドモチベーション 林:2つ目が「人的資本経営を通じて企業の変革を実現するためのポイントは?」という質問です。加藤様、いかがでしょうか。

パナソニック 加藤氏:今、弊社は人を生かしきれていないという課題はありますが、創業の考え方や理念はしっかりしたものを持っていると自負しています。それらは「変えないもの」ですが、一方で「変えていかなければいけないこと」もたくさんあり、私はその一つが経営者の覚悟だと思っています。

人的資本経営はコストもかかりますし、チームが多様化すればコミュニケーションも複雑になります。できれば大きく変えずに成果をあげたいというのが経営者の本音かもしれませんが、その姿勢では生き残っていくのが難しい環境になっています。ですから、経営者がどれだけの覚悟を持って人的資本経営に取り組めるかということが、大前提として重要なポイントになってくると思います。

とはいえ、どれだけ経営者が旗を振っても、現場の従業員が腹落ちして動いてくれないと物事は変わっていきません。弊社のように従業員が10万人を超えるような会社はなおさらで、大企業であるほど、トップがすべてを決めて進めるのは困難です。ですから、いかに現場に権限を渡して、いかに現場主体で回していけるかだと思っています。制度や仕組みはもちろんですが、現場の従業員が自律的に考えて取り組んでいけるようなカルチャーづくりが不可欠だと思っています。



エンゲージメントを起点にした経営で、一番大切にしていることは?

リンクアンドモチベーション 林:3つ目が「エンゲージメントを起点にした経営で、一番大切にしていることは?」という質問です。小笹会長、いかがでしょうか。

リンクアンドモチベーション 小笹:弊社の体験談になりますが、2006年くらいから積極的にM&Aをおこなうようになりました。M&Aをするときに、当然、財務面は審査しますが、組織面はつぶさに把握することはできません。M&Aでグループに入ってきてから、その会社のエンゲージメントを測定してみると、弊社のサーベイにおけるエンゲージメントスコア(≒偏差値)で30前後と、低い水準にある会社も多くありました。このような会社でエンゲージメントを向上させるために、私が最も力を注いだのが採用です。

弊社では「エントリーマネジメント」と呼んでいるのですが、「どんな共感を醸成して入社してきてもらうか」ということに相当な力を入れてきました。そうすると、会社の規模によって差はありますが、3~5年ほどでエンゲージメントスコアが60~70に上がっていくんです。その結果、半分の人数でM&A当時と収益性が変わらないような会社もあります。

こうした経験からも、やはりエンゲージメントを起点にした経営は重要ですし、エンゲージメントの一歩手前の採用段階からの共感づくりも大事だと実感しています。

先ほど組織観のお話をしたときに「組織は要素還元できない協働システムである」と申し上げましたが、そうであるがゆえに、組織の問題は「人」ではなく「間」に起こります。何かしらの問題が起こると「あの人が悪い」「この人が悪い」という話になりがちですが、「営業と技術部門の間」「本部と各店舗の間」「トップとミドルの間」「ミドルと現場の間」など、常に問題は「間」で起こっています。このような「間」の問題が起こらないよう、これまでコミュニケーションに投資し続けてきました。「間」の問題は血管内に生じる「血栓」のようなもので、血栓が溜まると血管が詰まって組織が機能不全に陥ります。そうならないようにコミュニケーションで血流を良くして、従業員エンゲージメントを高めてきたという歴史があります。



一橋大学 伊藤氏:ある調査会社によると、日本企業の従業員エンゲージメントは世界のなかでも最低水準にあるようです。なぜ、そこまでエンゲージメントが低くなってしまったのかを考えてみると、会社の理念やパーパスに寄りすぎて、個人の気持ちが置いていかれてしまった感があったのかなと思います。

会社のパーパスも大事ですが、一人ひとりのパーパスを掘り起こしてあげることも大事です。そして、一人ひとりの社員のパーパスを会社のパーパスと重ね合わせることが大切です。強制的に重ね合わせるとかえってエンゲージメントが下がってしまうので、対話を重ねながら、会社のパーパスと社員のパーパスが重なっていくのを待つ。そんな経営が求められていると思います。

リンクアンドモチベーション 林:以上をもちまして、トークセッションは終了とさせていただきます。ご登壇いただいたお三方、ならびに視聴者のみなさま、ありがとうございました。​​​​​​​​​​​​​
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