
ジェネラリストとは?スペシャリストとの違いや役割について
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皆さんは「ジェネラリスト」と聞いてどんな人を思い浮かべるでしょうか?またジェネラリストとスペシャリストはセットで使われることが多い言葉ですが、どんな違いがあるのでしょうか?
本記事では、ジェネラリストとスペシャリストの定義や具体的なキャリア形成についてご紹介します。
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ジェネラリストとは
■ジェネラリスト(ゼネラリスト)の意味
ジェネラリストとは、元々は、幅広い知識や技能、経験などを備えた人を指す言葉です。ビジネスの場においては、ひとつの分野を深く追究するのではなく、幅広い知見と多面的な視野により、さまざまな分野の担当者たちをまとめ上げる役割を担う人材を指すことが多いです。
また、状況の変化に柔軟に対応できる人、臨機応変に対応できる人を指して、ジェネラリストという場合もあります。
そのため、ジェネラリストは、その素質や対応力の高さから、転勤や部署異動の多い企業の人事や採用のシーンなどで話題になります。
■ジェネラリストの語源
日本語でも「ジェネラリスト」という言葉は定着してきましたが、この「ジェネラリスト」は英語のgeneralistが語源です。英語では、「多方面の知識を持つ博学な人」という意味の言葉です。
様々なことを知っている・精通している、という意味では「万能家」と和訳されることもあります。
スペシャリストとの主な違い
■スペシャリストとは
一方で、スペシャリストは、特定の分野において専門的な知識・スキルを有する人を指します。いわゆる「専門職」です。
たとえば、営業や企画、人事などを経験しながら総合的な知識を身につけていくのがジェネラリストだとすれば、スペシャリストは、エンジニアや医者などのように特定の分野で専門的な知識・スキルを深めて仕事に取り組む人たちです。
■ジェネラリストとの違い
改めて、ジェネラリストとスペシャリストの違いを下記にまとめました。
ジェネラリスト:多様な業務に就きながら、総合的判断を高めることによってキャリアアップするポジション
(職種例:役員、管理職、プロデューサー、総務、人事など)
スペシャリスト:ある分野に特化した業務に就きながら、専門性を深めることによってキャリアアップするポジション
(職種例:エンジニア、デザイナー、ディレクター、経理、研究員など)
これまで見てきたように、ジェネラリストはより広く、スペシャリストはより深い知識や経験を持っているということがいえるでしょう。
人材育成によって優秀なリーダー/マネージャーになる可能性を秘めるジェネラリストについて、ここからはその特徴や人材としての活用方法について詳しく説明します。
ジェネラリストの特徴
ここからは、ジェネラリストには具体的にどのような特徴があるのか、3つのポイントにまとめて解説したいと思います。
①広い視野がある
先述の通り、ジェネラリストは1つの部署や職種だけでなく、さまざまな部署、職種を経験していることが多いため、幅広い知識や経験のもと、広い視野を持っていることが特徴です。
また幅広い経験を積んでいるからこそ、物事を多角的にとらえることもできるでしょう。
スペシャリストの場合、どうしても関わる仕事の領域が狭くなり、他部署の立場に立って物事を見ることが難しくなりがちですが、ジェネラリストは、より俯瞰的に物事を見やすいのが特徴と言えるでしょう。
②行動力、決断力がある
2点目は、組織全体、会社全体を見渡し、より客観的に判断、行動できるという点です。
たとえば、入社から一貫して営業職を担っている場合、どうしても営業の立場に視点が寄ってしまいがちです。そのため、営業については深い知識やナレッジを持っていても、全体視点は持ちづらいかもしれません。
しかし、営業のみならず、人事や経理、商品企画などを経験し、それぞれの分野の知識を有している場合どうでしょう。
各部署の役割や立場、課題などを理解できているため、会社全体の方向性や部署の役割をより深く理解でき、客観的に課題をとらえ、解決できる可能性が高くなります。即ち全体を俯瞰して物事を見れるようになるということです。
このように全体最適を常に考え、組織に貢献していくスキルを有するのが、ジェネラリストの特徴です。特に「管理職」などはこれに当てはまるでしょう。会社や組織全体の視点と、現場の視点の両方を兼ね備え、バランスをうまくとりながら行動、決断をしていけます。
③コミュニケーション能力が高い
ジェネラリストには、組織をまとめあげていく役割が求められることもあります。そのためにも、各部署や様々な立場からの意見をくみ取り、調整をしていくというコミュニケーション能力が欠かせません。
ビジネスにおいて様々なプロジェクトを推進していくにあたっては、各部署との連携は必須です。多くの人と関わる中で、それぞれの人の立場を理解した上で、落としどころを見つけたり、ときには交渉したりと、調整力を発揮しなければいけません。
そのため、コミュニケーション能力が高いことも特徴と言えます。
ジェネラリストを採用するメリット・デメリット
働き方変革や採用コストの面から、余裕を持って人材を抱えられる企業は、ごくわずかです。つまり、多くの企業では限られた人材で、適切な役割分担や配置を行うことで職場のパフォーマンス向上をさせなければなりません。
そんな中でジェネラリストを採用するメリット、デメリットにはどんなものがあるでしょうか。
■採用するメリット
メリットは、組織を束ねるリーダーや、マネジメントポジションでの活躍が期待できるということです。
特徴のパートでもご紹介したように、組織にはマネジメントをする人材が必要です。なぜならば事業や組織の目標を達成していくためには、部署や各人に課せられた役割を遂行しながら達成する必要があるためです。
マネジメントの機能がなければ、目標達成や成果創出に向けたプロセス管理ができなくなります。
そのため各人がバラバラな動きになってしまったり、目標達成や成果創出に必要なスキルを身につけてもらうことができません。
特に組織規模が大きくなればなるほど、メンバーの数も増えていくため、マネジメントの必要性が出てきます。そのためにもジェネラリストがいると、マネジメントポジションでの活躍が大いに期待できるでしょう。
■採用するデメリット
しかし、ジェネラリストばかりでは、組織の成長を加速させにくいというデメリットもあります。
もちろん、ジェネラリストはどの時代でも必要ですが、会社のほとんどの人がジェネラリストを目指せば、スペシャリスト人材が不足してしまいます。
特に今はテクノロジーの発達により、簡易な業務はAIに任せ、人のスキルが必要な各分野の業務はより高度化しています。そのため、専門スキルの高いスペシャリスト人材がより求められるようになっています。
こうした波に乗るためには、専門性の高い人材を採用していく必要があり、ジェネラリスト志向の人ばかりだと、技術発展できず、世の中の流れに乗り遅れてしまいます。
また「管理職が多すぎる」という問題が大手企業でしばしば取りあげられますが、これはこれまでの新卒一括採用でジェネラリスト人材を育成してきた結果です。
新卒一括採用で、皆がそろって管理職を目指す。このやり方は、高度成長期まではうまく機能していました。なぜなら、質よりも量で、画一的な人材を多く確保することが有効だったためです。
また、終身雇用、年功序列が当たり前の世の中では、新卒で入社した会社で定年まで勤め上げることが前提で、社会が作られていたのもジェネラリストが求められていた理由の1つ。長く働く代わりに、会社都合で人材をうまく配置させながら、育てていくことが機能していました。
しかし、今の時代、すべての業務が高度化、複雑化しているため、広く浅い知識だけでは事業も組織も発展させることが難しくなってきています。
ジェネラリストに適したポジション
では、ジェネラリストに適したポジション・業務はどんなものがあるでしょうか。
■ポジション例:管理職やマネジャー
こちらは先に紹介した通りです。
営業部門のマネジャーや企画室のマネジャーなど、部門全体をまとめる存在がそれに当たります。
現場の知識・ノウハウを持ちながら、組織を束ね、部門全体で成果を上げるために戦略・戦術を考え実行していく。このように全体を見わたして短期も中長期も見据えながら、仕事をするマネジャーは適したポジションとなるでしょう。
■ポジション例:総務や人事
総務や人事などのバックオフィス系の業務にも、ジェネラリストは向いていると言われます。
たとえば総務部は、経理、契約管理、庶務など多種多様な業務に対応する必要があるため、企業経営に必要な様々な知識が求められるでしょう。
人事部も同様です。採用関連でいえば、採用スケジュールの策定や、応募者や面接者との連携、個人情報管理、応募者のフォロー、経営陣や各現場部署とのやり取りなど、社内外を含めて臨機応変な対応が必要です。
社内のあらゆる部署、役職、職種の人とコミュニケーションを取り、それぞれの業務内容やニーズ、問題、課題を理解しなければいけないのも総務や人事の特徴です。こうした業務内容からも、このポジションはジェネラリストに適していると言えるでしょう。
■ポジション例:プロダクトマネジャー
IT・Web業界では馴染みのある職業ですが、この職種にもジェネラリストが適しています。尚、プロダクトマネジャーは、Webサービスの責任者のことを指します。
エンジニアをはじめ、デザイナー、コンテンツクリエイターなどさまざまな人をまとめながら1つのプロダクトを創り上げるポジションです。
この職種は、自ら手を動かして何かを作るわけではありません。プログラミングを設計、作成して動かしているのはエンジニアであり、デザインをしているのはデザイナーです。
しかし、そのエンジニアやデザイナーとコミュニケーションを取り、1つの理想のプロダクトを作るためには、プログラミングやデザインの知識が必要です。もちろん、「極める」必要はありませんが、その道のスペシャリストの方々と話ができる程度の知識は求められます。
このように幅広い知識を身につけ、それらを活かしながら、チームをまとめていくプロダクトマネージャーはまさにジェネラリストと言えるでしょう。
ジェネラリストに向いている人材
では、どういった人がジェネラリストに向いているのでしょうか。
・他人の意見に耳を傾けられる
・色々な分野の学習意欲が旺盛
・未経験のことでも積極的にチャレンジできる
・色々なタイプの人とコミュニケーションをはかることができる
このように、好奇心が旺盛でコミュニケーション能力も高く、未経験のことでも臆さずチャレンジできる人はジェネラリスト向きといえるでしょう。他人の意見を素直に聞き入れる受容力も必要です。
ジェネラリストは広い視野を持ってチームメンバーをまとめる必要があるため、初めて経験する部署に配属されることがしばしばあります。
たとえば、学生時代に部活のキャプテンや生徒会長などを経験した人は適性があるかもしれません。
【参考資料のご紹介】
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記事まとめ
様々な観点からジェネラリストとスペシャリストの違いなどを見てきました。それぞれ異なる役割があるため、企業にとってはどちらも必要です。どちらが優れているということはなく、それぞれにメリットとデメリットがあります。
目指す方向も、自身の適性に合わせて選ぶ方法と、これからの人生設計に合わせて選ぶ方法など様々です。
終身雇用制度が崩壊しつつある今、どちらを目指すにしても、今後企業や組織に求められる人材になるための努力は怠ってはいけません。
是非、あらゆる側面から今後の方向性を考えてみてはいかがでしょうか。