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大企業病とは?原因や企業にもたらす弊害、対策方法を徹底解説!

大企業病とは、大企業に多く見られる、保守的で非効率な企業体制・組織風土を指します。大企業病という名称から、大企業のみに起こる症状であると認識されがちですが、中小企業・ベンチャー企業にも起こりうる症状です。

「部署最適な行動が目立つようになってきた」や「社員がチャレンジしなくなった」など、自社は大企業病なのではないかとお悩みの方、今後の拡大成長を見据えて予防策を知っておきたい方向けに、大企業病の特徴・原因・対策方法をそれぞれご紹介します。

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大企業病とは?

大企業病について理解するには、まず企業組織の辿るモードと、それに紐づく組織症例とセットで理解することが有効です。

 ■企業組織のモードと組織症例

リンクアンドモチベーションでは企業組織のモードを下記3つに分類しています。

企業組織は規模や業種に関わらず同じ成長の軌跡を辿り、各モードで乗り超えるべきハードルには一定の共通点が存在します。

拡大モード:ニーズの急増に対応するため一気に事業規模を拡大するモード
多角モード:新市場の進出や新商品の提供を行い派生事業で多角化するモード
再生モード:市場の成熟を受けて旧事業のリフォームを行う再生モード

今回のテーマである大企業病については、「再生モード」の企業組織で発症することが多く、「再生モード」の組織では、下記の組織症例が起こりやすいとされています。

下記症例が大企業病の特徴的な症状といえるでしょう。

大企業病の特徴や症状とは?

先程ご紹介した症例を参考に、大企業病の主な特徴や症例を見ていきましょう。

■症状①「既決感疲弊症」:前例主義で、社員が新しいチャレンジをしなくなる

●具体的な声

「何で上手くいっているのに、やり方を変えなければならないの?」
「どうせ提案しても無駄だから・・・」

既決感疲弊症とは過去の成功体験に固執し、変革に対しての否定的な感情が会社全体で蔓延している状態を指します。

このような組織には前例主義・事なかれ主義の考え方が染み付いてしまい、「どうせ・・・○○だから」という無力感がはびこり、市場環境に適応するための新商品の開発や、新ビジネスモデルの模索など、変革への動きを妨げます。

それにより進取の気概を持った社員のモチベーションも下げてしまい、優秀でモチベーションの高い社員の流出リスクが高くなります。

■症状②「セクショナリズム横行症」:全体最適ではなく、部署最適・内部思考が強まる

●具体的な声

「あの部署は縄張り意識が強いから、意見も言えない・・」
「あの部署は保身ばかり考えている・・」

セクショナリズム横行症とは、それぞれのセクションで個別最適・自己組織防衛意識が醸成され、顧客価値提供に向けた互いのセクション連携が阻害されている状態を指します。

状況が悪化している場合については、セクション間の連携阻害のみならず、対立が表面化している場合もあります。

このような縄張り意識と全体最適視点の欠落が、顧客視点欠落症との合併症を引き起こします。このような組織では、全社を俯瞰する高い視点を持った社員のモチベーションも、組織の壁に阻まれることとなります。

■症状③「顧客視点欠落症」:顧客ではなく内部都合を優先して仕事をするようになる

●具体的な声

「コスト削減もわかるけど、顧客視点がなさすぎる・・」
「こんな方針では、お客様が離れてしまう・・」

顧客視点欠落症とは、個別最適・内部志向が強まり、本来最優先で考えなければならない顧客の存在が後回しになっている状態を指します。

このような組織では、社内政治、官僚主義が横行し、顧客ではなく、上司の顔を伺い行動することが多くなります。結果的に顧客からの支持も弱まり、顧客接点を担う現場従業員のモチベーションの低下を招きます。

大企業病を発症する原因とは?

ここまでは大企業病の代表的な症例をお伝えしましたが、続いて大企業病が発症する原因についてお伝えします。

大企業病が発症する原因については、Mを頭文字とする5つのキーワードで構成された「5M」のフレームワークを通じて理解することが有効です。

上位水準にある2つのM(Message、Motivation)が示す「事業」と「組織」をリンクさせる上で、 下位水準の3つのM(Membering、Mission、Monitoring)を操作変数として扱うことが重要です。

上記のフレームワークを元に、大企業病が発症する原因を詳しく見ていきましょう。

■原因①Mission(組織構造・役割設計):組織の拡大 

企業組織は規模の拡大に伴い、専門分化を進める必要性が生じます。その一方で、専門分化の度合いに比例して組織の一体感は弱まります。

部署が細分化されればされるほど、自部署のミッションと会社全体が目指す方向性の繋がり

が希薄になってしまうのは当然で、セクショナリズム横行症や顧客視点欠落症は、まさに組織拡大による分化によってもたらされるものと言えるでしょう。

分化による組織の一体感の欠如を防ぐためには、各セクションの視界を共有する場を設けるなど、全体統合を定期的に行うことが重要です。

全体統合を怠ると組織がバラバラとなり、分化を怠ると組織拡大のスピードが鈍るため、

組織の拡大・発展に向けては、分化と統合を適切にデザインすることが重要と言えるでしょう。

■原因②Monitoring(評価制度):チャレンジを奨励する制度がない

業績が安定している企業において、チャレンジを奨励する制度・ルールがない場合、従業員はすでに確立された手法に固執し、現状維持を選択します。

制度やルールは従業員の行動を規定するものです。現状維持で評価されているならば、リスクを犯して新しいチャレンジを行う可能性は低く、組織の停滞感を招きます。

前例踏襲・現状維持を選択する社員を増やさないために、チャレンジを奨励する制度を取り入れるのも一つの手であると言えるでしょう。

■原因③Mission・Membering(理念浸透・管理職育成):理念や経営方針が浸透していない

企業組織は規模の拡大に伴い、専門分化を進める必要性が生じることを、先ほどご紹介しました。分化によって組織の階層が増えることにより、経営と現場の距離が離れ、現場の従業員に理念や経営方針が浸透していないことも、大企業病を発症する一つの原因といえるでしょう。

理念や経営方針が浸透せず、経営と現場で視界のズレが発生することは組織の統制が失われることに繋がりかねません。理念や経営方針を浸透させ、従業員に望ましい行動を促すには

経営トップからの定期的な発信はもちろんのこと、各階層を繋ぐ管理職が「結節点」として機能することが重要です。

大企業病はどんな弊害をもたらすか

ここまでは大企業の症例・原因についてお伝えしてきました。続いては、大企業病がもたらす弊害についてお話します。

■弊害①生産性・意思決定スピードの低下

大企業病がもたらす弊害の1つとしてまず「生産性の低下・意思決定スピードの低下」が挙げられます。この弊害については、セクショナリズム横行症や組織ルール形骸症の発症が大きく関係しています。

個別最適を優先するセクショナリズムは、業務に非効率を生じさせ、「部門間」「職種間」「職場内」でのコミュニケーションが閉塞されます。血栓ができている状態では、適切なコミュニケーションをとることが難しく、顧客価値の提供に向けた大きな障壁となり、生産性の低下を招きます。

また組織のルールが形骸化している場合では、目的喪失の手段主義や手続き主義で、決裁スピードが鈍化し、目に見えない機会損失が増大します。市場環境の変化が激しい現代では、命取りになる可能性があると言えるでしょう。

■弊害②優秀な人材が組織を離れる

大企業病がもたらす弊害の2つ目に「優秀な人材の流出」が挙げられます。この弊害については、既決感蔓延症・セクショナリズム横行症・顧客視点欠落症の発症が大きく関係しています。

先述の通り、組織が過去の成功体験を引きずっている場合、前例主義・現状維持に陥り、変革に向けた動きは阻害され、組織に「どうせ・・」という諦めムードが漂います。

結果的に進取の気概を持った社員のモチベーションを低下させ、最悪の場合会社を去り自主性に欠けた社員だけが会社に残る可能性も考えられるでしょう。

また顧客最適ではない姿勢・社内政治がはびこる環境についても、人材流出を高めるリスクの一つです。

■弊害③新市場の開拓や新商品の開発が遅れる

大企業病がもたらす弊害の3つ目として「新市場の開拓や新商品の開発が遅れる」ことが挙げられます。この弊害については、既決感蔓延症・顧客視点欠落症・組織ルール形骸症の発症が大きく関係しています。

組織内に「どうせ提案しても・・」と諦めムードが漂っており、「出る杭は打たれる」風土であれば、従業員起点で新市場の開拓や新商品の開発などの新たな取り組みが鈍化するのは自明のことです。

加えて顧客視点が欠けた組織では、内部の顔を伺うだけでマーケットの動きには感度が低く、 仮に従業員からアイデアがあったとしても決裁を行うスピードが遅いため、市場環境の変化スピードに適応するのは難しいといえるでしょう。

大企業病を克服するための対策と事例

ここまで、大企業病の症例・弊害をご紹介してきました。ここからは具体的に大企業病を克服するための対策と事例をお伝えします。

■大企業病を克服する上での前提

大企業病の克服にあたっては、「その症状・原因を捉えるフレーム(先述した5つのM)」と共に、「どのような順番で手を打っていくか」という設計が重要です。

どのような順番で手を打っていくかについては、ドイツの心理学者であるクルト・レヴィンが提唱した「態度変容の3ステップ」を活用することが有効です。

態度変容を生み出すにあたっては、

「Unfreeze(解凍)」→「Change(変化)」→「Refreeze(再凍結)」

の順番で進めていくことが必要だとレヴィンは提唱しています。

具体例を交えてご説明します。

仮にあなたが「四角い氷を丸い形の氷に変えてください」と言われた場合、どのように四角い氷を丸い形に近づけるでしょうか。

正解の一例は「氷を一度溶かし、丸い型にいれて再凍結する」ことです。

一方で「アイスピックで角を削って丸い形に近づける」ことをイメージした方もいらっしゃるのではないでしょうか。

確かに後者も手段の一つとしては考えられますが、アイスピックで四角い氷を削った場合、いびつな形になる可能性があり、最悪のケースとして氷が割れてしまうケースも考えられます。

このように、組織の変革においても変化から入ろうとするのではなく、それ以前に氷を溶かすステップと言える、変化に対する危機感の訴求や期待感の醸成が必要不可欠となります。

人間は「今のままでいたい」という「現状維持バイアス」が働き、変化を恐れる生き物です。そのため、いきなり「Change」を押し付けるのではなく、まず「Unfreeze」のフェーズで相互不信を解き、現状に対する危機感の訴求・変化に向けた期待感を醸成した上で、望ましい変化を促すステップを踏むことが重要です。

加えて「Change」で変化を生み出した後、変化が後戻りしないように仕組み化や習慣化を促す「Refreeze」のステップも忘れてはなりません。仕組みや習慣に落とし込み、変化を実感させることで変化の後戻りを防ぐことが必要です。

この態度変容の3ステップを踏まえた上で、具体的な対策方法について事例を踏まえながらご説明していきます。

■対策①Mission(理念浸透):全体統合を定期的に行う

先述の通り企業組織は規模の拡大に伴い、専門分化を進める必要性が生じます。その一方で、専門分化の度合いに比例して組織の一体感は弱まります。

そのため専門分化された各セクションの視界共有を行い、会社を俯瞰し、時間軸と空間軸を広げること場を設けることが非常に重要となります。

定期的に全体統合の機会を設けることで、セクショナリズムが横行する予防策になります。

【事例】
リンクアンドモチベーショングループ

【施策】
「3ヶ月に1度の全社総会」

リンクアンドモチベーショングループは多くのグループ会社を抱えており、従業員は1000名を超えます。拡大を続けるリンクアンドモチベーショングループで、全体統合の施策として効果的に機能しているのが、「3ヶ月に1度の全社総会」です。

全社総会はグループの社員が原則全員参加となっており、優秀な社員の表彰・経営トップからのメッセージ発信が行われます。全員が一堂に会する総会で、全社的な視界共有を行うことで自部署だけの視点を脱し、全社視点を取り戻す機会となっています。

■対策②Memberring(人材育成・人材配置):管理職の再選抜・抜擢を行う

組織の階層が増えるほど、経営と現場の距離が増大するため、双方を繋ぐ「結節点」として管理職の存在が重要となってきます。この「結節点」がうまく機能していない場合、理念や経営方針が現場に浸透せず、経営側の意向とは異なる行動を現場の従業員がとる結果を招きます。

またマネジメント閉塞症に代表されるように、管理職が部門最適の意識を強く持っていると、タテ・ヨコのコミュニケーションが閉塞し、組織内に諦めや無関心が蔓延します。

このように管理職は非常に重要な役割を担っており、管理職層の育成は非常に重要なテーマであると言えます。

【事例】
タビオ株式会社

【施策①】
「ビジョンを体現する若手管理職を責任ある役職に抜擢」

タビオ株式会は社「靴下屋」「タビオ」「タビオメン」等の靴下専門店ブランドを日本全国・海外に展開する企業です。

創業から50年を過ぎ、企業の成長モードは「再生モード」を迎えていました。組織としては「マネジメント閉塞症」を発症し、ミドル層の自己防衛意識が強まり、会社全体としての一体感や連携が失われていました。

その変革の一手として行われたのが、ビジョンを体現している若手管理職を責任ある役職に抜擢することでした。

抜擢に至るまでのプロセスとして、今後の自社事業課題のプランニング・社長との個人面談等を行い、今後のタビオを背負う人材であると判断された管理職は責任ある役職に異例の抜擢をされました。

このように変革を推進していくためには「即時即決できる」「明確なビジョンで引っ張れる」人材を各セクションのリーダーに据えていく必要があります。加えてこのような抜擢を行う際には、「同時多発的に行う」ことがポイントです。

誰か1人だけを上に上げたり、下に下げたりすると、その人だけにフォーカスがあたってしまい、変革半ばの組織では不要な憶測が飛び交う恐れもあります。

同時多発的に行うことで、変革に向けた期待感の醸成・変革へのコミットメントを示す機会になり、同時期に抜擢されたメンバーが横並びで競い合うこともできます。

【施策②】
「選抜制で管理職のマネジメント力を強化するプログラムの実施」

優秀な管理職の抜擢と同時に推進したのが、管理職のマネジメント力を強化するプログラムの実施です。管理職の中でもさらに対象者を選抜し、タビオの今後について議論を交わすなど、半年にわたりプログラムを行いました。

プログラムを受講したメンバーが各本部でビジョンを語ることで、各部門が自らの役割を理解するようになったり、現場から様々な取り組みが生まれたりするなど、一連の施策により「マネジメント閉塞症」「既決感疲弊症」の改善が見られる結果となりました。

記事まとめ

今回の記事では、大企業病についてご紹介しました。

大企業病は発症すると組織を元の状態に戻すには大きな労力を要するため、早めに手を打つことが重要です。

今回ご紹介した大企業病の5つの症例に自組織が該当していないか改めて振り返って頂き、もし該当するようであれば早めに改善活動を推進することをおすすめします。

改善を進めるにあたっては「態度変容の3ステップ」に則り、今回の記事でご紹介した対策方法や事例もぜひ参考にして頂けると幸いです。

稲冨 健太
稲冨 健太

【プロフィール】 名古屋大学大学院卒業後、新卒で入社。 入社後一貫して、幅広い業種の中堅企業・ベンチャー企業の組織コンサルティングに従事。 モチベーションクラウドの活用と理念策定・浸透、人事制度、採用戦略、幹部育成などのコンサルティングにより、多くの企業の組織変革に導く。 2020年からはモチベーションクラウドのカスタマーエクスペリエンス向上の開発、部署内のマネジメントも担う。

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