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守島教授×リンクアンドモチベーション小笹 時代を超えて変わらない、組織変革の「不変の原理」 「HR-X2026」イベントレポート

AIの進化、不安定な国際情勢、激化する人材獲得競争により、企業には部分的な改善ではなく、経営そのものの構造転換が求められています。私たちは、人と組織の価値が今後さらに経営の競争力を左右すると考え、日本企業の変革を後押しするため、株式会社日本経済新聞社 人財・教育事業ユニットと共催で「HR-X 2026(HR Transformation Summit)」を開催しました。

「組織変革を、社会変革へ」をテーマに、「世界との相対化」「人事の再定義」「変革の加速」という3つの視座から、実務の最前線に立つ実践者と有識者が議論を交わしました。

Session4では、学習院大学 経済学部経営学科 教授/一橋大学 名誉教授の守島 基博氏と、株式会社リンクアンドモチベーション 代表取締役会長 小笹 芳央が登壇。

「人・組織の普遍的価値」をテーマに、「時代を超えて変わらない、組織変革の「不変の原理」」と題してトークセッションを行いました。


【イベント実施日】

2026年8月27日
 
【スピーカー】

・学習院大学 経済学部経営学科 教授・一橋大学 名誉教授 守島 基博 氏

・株式会社リンクアンドモチベーション 代表取締役会長 小笹 芳央


【モデレーター】
・株式会社リンクアンドモチベーション 特任執行役員 林 幸弘

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変化の時代における、人材マネジメントの本質

リンクアンドモチベーション 林:本セッションは『時代を超えて変わらない、組織変革の「不変の原理」』というテーマで進めてまいります。お二人からのプレゼンテーションの後、トークセッションに移ります。まずは、守島先生お願いいたします。

学習院大学 守島氏:私からは、これからの議論の補助線となる人事管理の歴史と、採用を捉えるための3つの観点についてお話しします。

私からは、人材マネジメントの根底にある、変わらない原理についてお話しします。人材マネジメントの方法は変化していますが、その根底にある原理は、実は昔も今も変わりません。ただ、経営環境が変化している以上、やり方を変えていかなければ、人を戦力化することはできません。

私はよく戦略人事の専門家だと思われていますが、戦略人事とは経営を大切にすることであって、決して人を大切にしなくていいということではありません。働く人には「ココロ」があります。そのココロを動かさなければ、なかなか戦力にはなってくれません。そこをぜひ大切にしていきたいというのが、私の人事に対する考え方です。

この考え方は、昨今の人的資本経営の議論にも関わります。人的資本経営という議論が広がる中で、人的資本を、あたかも物的資本や財的資本と同じように、経営者が自由にできるものだと捉えている方もいらっしゃいます。しかし、人的資本は他の資本と大きく異なります。なぜなら、人的資本はココロを持った資本であり、スキルも経験も、最終的に所有しているのは働く本人です。その人たちのココロをどう動かし、資本として経営に活かしていくか。そこに、他の資本のように直接コントロールできないという難しさがあります。

では、人はどうすれば戦力になるのか。事業戦略・経営戦略があり、それを実現するために必要な人材があり、人材マネジメントによって供給される人材がそこにフィットして初めて、人は戦力になります。ところが、この「フィット」は簡単ではありません。戦略は絶えず変化するため、一度つくったフィットがそのまま通用するとは限らず、絶えずつくり直す必要があります。加えて、先ほど述べたように、人的資本はココロを動かすことで初めて価値を生みます。経験を持つ人材を採用するだけでは不十分で、その人のココロを動かして、経験を経営のために使ってもらうことが重要なのです。


こうした普遍的な原理は変わらない一方で、日本の人材マネジメントのやり方は、この30年で大きく変わりました。90年代にバブル経済が崩壊すると、人件費をコントロールする必要性が高まり、日本の人事に成果主義が入ってきました。その結果、職場が荒れたり、働く人のメンタルが不調になったり、特に中高年層には裏切られたという感覚が広がったりと、ココロの部分を軽視してしまった側面がありました。

今は、人件費をコントロールする必要があった時代とは異なり、人材不足の時代に入っています。ここで覚えていただきたいのは、「人材不足」と「人手不足」は違うということです。人手不足とは単に人がいないことで、人口が減れば当然起こります。一方、人材不足とは、企業の目的を達成する人材、すなわち「人的資本」が足りない状態を指します。

労働人口の減少は大きな背景ですが、もう一つの要因は、経営戦略が変わることで必要な人材も変わり、そこに大きなミスマッチが生まれていることです。加えて、働く人と企業の関係も大きく変わりました。かつては企業のほうが強く、働く人のほうが弱い立場にありましたが、今はバーゲニングパワー(交渉力)を持つ人材が増え、企業と個人の間に新たな関係を築いていかなければならない時代に入ってきています。

こうした状況の中では、今いる人材のすべてを、それぞれのポジションや能力、仕事に応じて戦力化していかなければ、経営戦略は実現できません。今後、AIが人の仕事を代替していく部分も出てくるとは思いますが、それでもなお人手不足・人材不足の時代である以上、この「全員戦力化」は重要なテーマだと考えています。

全員戦力化の時代に最も重要な人材マネジメントのポリシーは、「人事管理」から「人材解放」への転換です。人事という仕事は、誰がいるかを数える管理から、きちんと仕事をしているかを見るコントロールまで、長らく「管理」を担ってきました。しかし、働く人はココロを持つ経営資本であり、潜在力を秘めています。そのココロをどう解放し、潜在力を発揮させるかが、全員戦力化における人材マネジメントの基本になります。人材は管理する時代から、どちらかと言えば解放する時代に移ってきており、エンパワーメントなどが重要になってきているのだと思います。ただし、これはあくまでも、パーパスやビジョンのもとでの解放です。

冒頭でお伝えしたとおり、人材マネジメントの本質は変わりません。人を戦力化するという本質はそのままに、やり方が時代とともに変化してきたのです。人件費のコントロールが重要だった時代を経て、働く人の持つ潜在力をできる限り解放していくことが求められています。管理から解放へ。これは人事部門だけでなく、経営全体にとって重要なテーマになっていると感じています。

リンクアンドモチベーション 林:守島先生、ありがとうございます。企業と個人の関係性という点で、昔と今で一番違うと感じられるのはどのあたりでしょうか。

学習院大学 守島氏:労働市場がタイトになり、働き手が企業を選べる状態になったことです。かつては企業が採用・選抜という形で働く人を選んでいましたが、これからは働く側が企業を選ぶ時代に変わってきています。

リンクアンドモチベーション 林:人的資本経営についても、他の資本と違ってココロを持っている、最終的に所有しているのは本人だというお話でしたね。

学習院大学 守島氏:人的資本経営とは、経験やスキルといった人的資本に投資してそれを高め、経営に活かしていくことです。ただし、それを最終的に持っているのは個人ですから、本人が「企業のために使おう」と思ってくれなければ意味がありません。人的資本開示においても、開示することが目的化しては意味がありません。開示することで働く人のココロを動かし、また次の開示につなげていく。このプロセスの1つとして捉えるべきだと考えています。

企業経営における人・組織の普遍的な価値

リンクアンドモチベーション 林:続きまして、リンクアンドモチベーション代表取締役会長の小笹さん、お願いいたします。

リンクアンドモチベーション 小笹:私からは、「企業経営における人・組織の普遍的な価値」についてお話しします。守島先生から「人材とはココロを持った経営資本である」「全員を戦力化することが大事」というお話がありましたが、まさにこれに尽きると思っております。本日は2点お話しします。1点目は、企業経営にとって、なぜ今モチベーションやエンゲージメントが重要になったのかという背景です。

これは1951年から2025年までの産業構造の変化を示したものです。一次産業は農林水産業、二次産業は製造業や建設業、鉄鋼業、三次産業は金融、小売、飲食、観光といったサービス業です。見ていただくと分かる通り、年々、産業構造全体に占める三次産業のシェアは年々高まっており、社会全体がサービス化してきています。

これに伴い、企業にとっての競争優位のポイントも変わりました。一次・二次産業であれば、どんな設備や工場を持っているかというハードが競争優位の源泉でしたが、産業構造がサービス化する中で、競争力の源泉は人材に備わるソフト力に変化しています。具体的には、アイデアやクリエイティビティ、ホスピタリティ、あるいはお客様に貢献しようというモチベーションなどの要素です。また、商品のライフサイクルも短期化したため、一つの商品で競争優位を保ち続けることが難しくなりました。その結果、競争優位の源泉として、ビジネスモデルに加えて、いかに上手にHRマネジメントを行うかも重要になっています。

こうした産業構造だけでなく、企業と個人の関係も変化しています。戦後復興期から高度成長期、バブル全盛期にかけては、企業と個人がお互いに縛り合う「相互拘束型」の関係でした。企業は個人に終身雇用を保証し、個人は忠誠を誓って転職しないという関係です。それが1990年以降、お互いに縛り合うのではなく選び合う「相互選択型」に変わりました。企業は多様な雇用形態を提供し、個人も自律的にどこで働くか、どの仕事に就くかを選べるようになったのです。

企業が直面する市場は主に商品市場と労働市場があり、上場企業にはこれらに資本市場が加わります。企業にとっては、この市場に適応していくことが重要になります。商品市場での競争力の源泉がソフトに変わり、ライフサイクルが短くなる一方で、労働市場でも人材の流動化が進んでいます。たとえば、メジャーリーグのドジャースが大谷翔平選手を獲得したことで大きな経済的利益を得たように、優秀な人材に選ばれ、その人材が経験やスキル、エンゲージメントを企業にもたらしてくれることが、これまで以上に重要になっています。

2点目は、「企業経営の普遍的テーマとモチベーションエンジニアリング」です。企業が目指すべきは、「One for All, All for One」の実現です。個人(One)は組織全体(All)のために存在し、組織(All)もまた個人(One)に資する。言い換えれば、外部適応と内部統合をいかに両立するかが企業の普遍的なテーマだと言えます。

「All」に振りすぎれば個人は息が詰まり、流動化の時代では会社から離れていきます。逆に「One」に振りすぎれば「All」としての成果が乏しくなり、結局は「One」の満足も満たせなくなります。

ここで、当社の基幹技術であるモチベーションエンジニアリングの前提にある「人間観」と「組織観」をご紹介します。まず人間観についてですが、当社では「人間は“完全合理的な経済人”ではなく、“限定合理的な感情人”である」と捉えています。2002年にノーベル経済学賞を受賞した行動経済学の第一人者、ダニエル・カーネマンが日本で出版した書籍の帯には 「人は勘定ではなく、感情で判断する」とありました。こうした人間観をモチベーションエンジニアリングの前提に置いています。

したがって、報酬としては「金銭報酬」が第一ではあるものの、それだけでなく「感情報酬」も必要です。誰かの役に立っているという「貢献欲求」、成果を認められる「承認欲求」、良好な人間関係の中で働く「親和欲求」、知識や技術向上を実感する「成長欲求」。これらを満たすものを私たちは「感情報酬」と呼んでいます。「金銭報酬」には限りがあり、誰かに多く渡せば誰かに我慢してもらう必要が生じますが、「感情報酬」は経営者や人事責任者、現場の部門責任者がその気にさえなれば無尽蔵に生み出せるものです。「金銭報酬」に加えて「感情報酬」を提供できる企業が、結果として高い「金銭報酬」も払えるようになる。そのようなサイクルで捉えていただければと思います。

2つ目の組織観についてですが、当社では「組織は要素還元できない“協働システム”である」と捉えています。たとえば5人のチームであれば、共通の目標のもとに役割分担をする中で、AさんとBさん、BさんとCさんというように協働関係が生まれ、その関係性の本数は5人であれば5×4÷2=10本になります。これが10人に増えれば、関係性の本数は10×9÷2=45本。人数は2倍でも、関係性は4.5倍に増え、意思疎通や合意形成の難しさ、つまり複雑性が増大した組織に変わるのです。組織の問題はもちろん人間が引き起こしますが、私たちは「人」ではなく「間」に生じる、というメガネをかけていただくと問題発見が早くなるとお伝えしています。技術部門と営業部門の間、本社と店舗の間、トップとミドルの間、ミドルと現場の間。どこかとどこかの「間」にコミュニケーションの滞りが生じ、対立関係になることが多いのです。

加えて、「本質」を捉えるための思考フレームについてもお話しします。昨年、『組織と働き方の本質』という本を出版しました。ティール組織、女性活躍推進、ダイバーシティ、ワークライフバランス、働き方改革、ジョブ型など、さまざまなバズワードが現れては消えていく中で、現場の方々がバズワードに振り回されている姿を目の当たりにし、もう一歩深い本質を考えたいという思いで書いたものです。

たとえば働き方改革について言えば、働きやすさよりも働きがいを高めることが大切です。実際、残業時間は減り、有給休暇の取得も進み、日本の年間労働時間は1,600時間台まで減っています。守島先生はこれについてどのように思われますか。

学習院大学 守島氏:全員が一律に1,600時間になっていることは問題だと思います。本来は、自分の状況やキャリアステージに応じて、働く時間を変えられるべきではないでしょうか。

リンクアンドモチベーション 小笹:そうですね。もっとフレキシビリティがあったほうがいいと思います。ただでさえ、資源の豊富なアメリカでさえ1,800時間ですから、少し工夫が必要だと思っています。当社グループのオープンワークの社員クチコミのデータを見ても、働きやすさは高まっている一方で、働きがいは年々下がっているという結果が出ています。働き方改革が実現できたことで満足するのではなく、より本質を考えるなら、この働きがいにこそ注目していくべきだと思います。「働きがい」を高めることで「労働生産性」を高める。その一丁目一番地であり、人的資本指標の中で唯一、業績との相関が証明されているのが「従業員エンゲージメント」です。従業員エンゲージメントをいかに高めていくか、これも本質的な企業の経営課題になると考えています。

もう一つ、ワークライフバランスについても触れておきます。私はワークライフバランスに賛成の立場です。ですが、瞬間的にバランスを取ろうとすると、中長期的にバランスが崩れるケースがあります。たとえば年収300万円や400万円の方が、ワークとライフを無理にバランスさせて小さな均衡状態をつくってしまうと、ライフステージが変わる5年後や10年後にバランスがとれなくなる危険性があります。

だからこそ、ワークとライフに時間軸を持ち込んで考えることが本質的には大切です。ワークに割く時間を増やしたり、逆に趣味に割くお金を増やすなど、動的に不均衡をつくりながら、より大きな均衡をつくっていく。「One for All, All for One」についても同様に、瞬間的にバランスを取るのではなく、時にはOneに大きく振り、時にはAllに大きく振りながら、長い時間軸の中で高次元な実現を目指していく。これが今日お伝えしたい本質的な考え方です。

経営における思想や哲学の重要性

リンクアンドモチベーション 林:お二方から、それぞれの言葉で組織変革の「不変の原理」についてお話しいただきました。こうした原理を経営の中で貫くうえでは、軸となる思想や哲学が欠かせないと思います。守島先生、経営における思想や哲学の重要性について、いかがでしょうか。

学習院大学 守島氏:今は変化が激しい時代です。シリコンバレーやヨーロッパ、あるいはアフリカといった地域でさまざまな動きが起きており、経営者は多くのことを学び、取り入れていかなければなりません。そのときに何を判断の出発点にするか、自分が企業経営の中で絶対に大切にしたいものを一本置いておかないと、迷ってしまいます。経営者が迷い出すと、従業員はもっと迷ってしまいます。だからこそ、経営哲学や思想としてまとめておくことが重要だと思います。

リンクアンドモチベーション 小笹:守島先生がおっしゃる通り、ブレない経営理念や哲学を持つことは、人を引き付ける上でも必須だと感じています。当社のプロダクト「モチベーションクラウド エンゲージメント」では、会社と個人の相互理解・相思相愛度合いを測定しています。設問ごとに「期待度」と「満足度」を5段階で聞き、2つをマトリクスでマッピングすると、給料や待遇は「期待度も満足度も高い」領域にはほとんど入ってきません。エンゲージメントが高い組織では、代わりに「経営理念への共感」や「組織風土の良さ」がその領域に入ってくることが、データに現れています。単に金銭報酬の魅力だけで組織を束ねている企業は長続きしないのです。

リンクアンドモチベーション 林:小笹さんは経営哲学を、一貫させること、磨くこと、そして時に変えていくこと、そのバランスをどう捉えていらっしゃいますか。

リンクアンドモチベーション 小笹:基本的には変わらないものだと思っています。事業戦略や戦術は外部環境の変化とともにどんどん変わりますが、根底にある思想、たとえば「一点の曇りもない経営をする」「納税によって社会貢献する」、そして「雇用を創出することで社会貢献する」というのは変わりません。たとえば、雇用創出に関して、資本市場においては少人数で効率よく稼ぐほうが評価されます。それでも当社は、ゼロから創業して1,700人規模の組織になったこと自体、誇るべきことだと思っています。

企業変革を実現する「臨界点」とビジョン

リンクアンドモチベーション 林:続いては、「企業変革の実現には何が重要なのか」についてお伺いします。小笹さんからお願いします。

リンクアンドモチベーション 小笹:変革を実現するために重要なのは、リーダーが強いコミットメントを示し、臨界点を超えるまで継続することです。例えば、10人の職場で誰も挨拶をしない状況があったとします。そのような職場で、突然リーダーが「おはようございます」と言うと、最初はみんな驚きますが、2日目には2人ほどが照れくさそうに返し始め、3日目にはさらに2人、4日目には大半が、5日目には全員が挨拶をするようになります。これが「臨界点を超える」ということです。誰も「絶対に挨拶しない」と決めているわけではなく、みんな周りの様子をうかがっているだけなのです。企業変革という大きな出来事であっても、トップの変革に対する強いコミットメントと、臨界点を超えるまで継続することが重要だと感じています。

学習院大学 守島氏:小笹さんがおっしゃったことと基本的に同じですが、私は「ビジョン」がどこまでクリアになっているかも、とても重要だと思います。「未来はこうなるんだ」というストーリーをリーダーが語れるかどうかが、コミットメントにもつながります。もう一つ重要なのは「不安を取り除く」ことです。変化に伴う不安にはさまざまな要因があり、それを取り除いていくことも変革の大きなポイントです。臨界点、いわゆるティッピングポイントを超えていくことと、ビジョンを示して不安を取り除いていくこと。この両方が、企業変革の実現において重要だと思います。

変わらない原理を、これからの経営へ

リンクアンドモチベーション 林:たくさんのメッセージをいただきました。最後に、企業経営において人・組織に本気で向き合う皆様へメッセージをお願いします。

学習院大学 守島氏:一番大切なのは、「人はココロを持った存在である」ということを常に忘れないということです。ココロを持つということは、不安もあれば、怠けたい欲望もあり、大きな志や目指す姿を持つ人もいる。人は単にお金やモノといった一つの側面だけで企業に存在しているのではなく、さまざまな側面を持った、多様性のある存在です。「こうやればいい」というだけでなく、「新しい方法もやってみよう」と考えてアプローチしていかなければ、人は動きません。経営者やそして人事に携わる皆様には、常に考えていただきたいと思います。

リンクアンドモチベーション 小笹:これまで、企業の事業戦略・経営と、いわゆる「人事」の間には、大きな距離がありました。しかし、AIの急速な進展によって単純な人事の作業は不要になっていく中で、人事や組織に関わる方は企業経営と一体になる、いわばコインの裏表になっていくと確信しています。現在、人事部門の責任者やマネジメントをされている方は、「自分はこの会社の経営者なんだ」「この会社を作品としてつくっていくんだ」という意識で向き合っていただけると、楽しいキャリアが開けるのではないかと思います。

リンクアンドモチベーション 林:守島先生、小笹さん、本当にありがとうございました。ココロを動かして経営を前進させていくために、私たち自身が「自分の可能性を信じる」ということが大切なのだと、改めて感じました。バズワードに振り回されるのではなく、自分なりの思想・哲学を持ち、そこから正解をつくっていく。それが、組織変革の不変の原理として、今日皆様と学び取れたことなのではないかと思います。

以上をもちまして、トークセッションは終了とさせていただきます。ご登壇いただいた皆様、ならびに視聴者の皆様、ありがとうございました。

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