エンゲージメントサーベイとは?
従業員満足度調査との違いや効果、具体的な活用方法

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昨今、働き方改革の流れの中で、労働時間の削減といった量に関してのみならず、生産性向上といった質に関するテーマにも注目が集まっています。そして、生産性向上のための最重要課題として、従業員との「エンゲージメント」が取り上げられることが増えてきています。本ページでは、昨今注目度が増しているエンゲージメントと、それを測るためのエンゲージメントサーベイ、そしてそのメリットについて記載します。

エンゲージメントとは?

昨今よく耳にする「エンゲージメント」という言葉。経団連会長や経済産業省研究会がエンゲージメント向上の重要性について言及するなど、働き方改革やコロナ禍を背景に、エンゲージメントへの注目度が加速しています。

■エンゲージメントの定義

本来、「エンゲージメント」とは「婚約」や「契約」といった意味を持ちますが、企業活動における定義とは何なのでしょうか。企業活動における「エンゲージメント」の定義には、2つ存在します。1つが「ワークエンゲージメント」、もう一つが「従業員エンゲージメント」です。

(参考:「ワークエンゲージメント」と「従業員エンゲージメント」の違い)

■エンゲージメントと業績の相関関係

従業員と会社が相思相愛で接続している状態、つまり上図右側の「従業員エンゲージメント」が高い状態であると、企業の業績は向上していく事が証明されています。

以下の図が実際の統計結果です。

(参照:https://www.lmi.ne.jp/about/me/finding/detail.php?id=14

上図のような「従業員エンゲージメント」が高い状態を創り出し、業績向上を実現するためには、従来の「人材戦略を経営戦略に適合させる」という一方向な考え方ではなく、人材戦略が経営戦略の可能性を広げることにも注目すべきであると経済産業省の伊藤レポートにて述べられています。つまり、人材を「財」として考え、従業員側のみが企業に適合していくのではなく、企業もまた従業員に対して働くモチベーションや意味を与え、貢献意欲を引き出す工夫が求められています。既に労働市場では、リモートワークを推奨している企業とそうでない企業で5倍以上の応募者数の差が出ており、この点からも企業と従業員の互いの納得感や結びつきの強さの重要性が伺えます。

エンゲージメントサーベイのメリット

では、企業と従業員が相互に歩み寄りエンゲージメントが高い状態を創るために必要な情報とは何でしょうか。それが下記2点であり、エンゲージメントサーベイを実施することで得ることができます。

①現状のエンゲージメント状態

もしあなたがダイエットをしたい場合、まず初めに取る行動は体重計に乗り、現状何kgなのか、BMIはいくつなのか等を把握することだと思います。組織の改善や変革においても、プロセスは同じで、エンゲージメントを高めるためには現状の状態を把握する必要があります。

②課題の優先順位

現状のエンゲージメント状態を把握した上で必要なのは、「一番優先順位の高い課題は何か」を知ることです。先程のダイエットの例でいくと、「引き締まったお腹が理想なのに、お腹周りの皮下脂肪が多いと診断された」のであれば、一番優先すべきはお腹のトレーニングになるはずです。同様に組織でも「従業員が何に期待をしているのか、何に不満や課題を持っているのか」を可視化することによって、優先順位の高い課題は何なのかを把握・選定することができます。

まとめ

要約すると、エンゲージメントサーベイのメリットは、「現状や課題の可視化を通して組織の診断ができる」という点です。

エンゲージメントサーベイに期待できる効果

エンゲージメントサーベイで組織の診断をし、その結果を起点に課題への対策を打つことで組織のエンゲージメント状態を向上させることが可能となります。
では、具体的に「エンゲージメントが高い」とどのような効果を組織にもたらすのでしょうか。
先述した「業績向上」の裏側には、大きく下記4点が存在しています。

効果①:生産性向上

エンゲージメントが向上すると労働生産性が高まります。これは、組織の目的と個人の目的や願望が合致することで、従業員がより仕事に対して主体的になり、その結果仕事の成果創出に繋がることが背景にあります。例えば、「指示されたから仕事をする」よりも「自己の成長のためにもやってみたいから仕事をする」と捉える方が、更に「もっと成長したいから、今やっている仕事をもっとよりよくできないか」と捉える方が自発的に改善策を探求できます。そのような意識は企業と個人の結びつき、つまり「従業員エンゲージメント」が高いからこそ芽生えるものです。

リンクアンドモチベーションでも「エンプロイーエンゲージメントサーベイ」のデータを活用し、慶應義塾大学 大学院経営管理研究科/ビジネス・スクール 岩本研究室との共同研究にて分析しました。

(参照:https://www.lmi.ne.jp/about/me/finding/detail.php?id=14

効果②:退職率抑制

従業員が退職する際の主な理由は何でしょうか?2017年の行政の調査では以下の結果となっています。

しかし大切なのは、これらの理由の背景にある根本原因を掴むことだと考えます。
例えば、「仕事が合わない」という理由において「合わない」と感じたのはあくまで結果で、そのように感じる過程において以下のような事象が発生していた可能性が考えられます。

・上司からのサポートが少なくタスクがこなせなくなり、自己肯定感が低くなってしまった
・仕事の意義や目的が分からず、モチベーションが下がってしまった
・内部での情報連携がされておらず、課題解決の達成可能性を感じなくなってしまった

理由の裏側にはいくつもの要素が掛け合わさって存在しています。そして結果として、「仕事が合わなかった」という表面的な理由で退職に繋がるのだと考えます。
細かな項目で診断ができるエンゲージメントサーベイを実施することで、表面的な課題ではなく潜在的な課題(根本原因)が抽出でき、それに対する施策が行えるので、結果退職率の抑制に繋がっていきます。

効果③:戦略実行度の向上

エンゲージメントサーベイでは、上層部からの戦略や意思がどれほど現場に伝わっているのか、また現場でのコミュニケーション状態はどうなっているのかも可視化することができます。この分野を把握・改善することで、「ささやけば伝わる組織」を創ることができます。
具体例として、日頃からコミュニケーション量が少なく業務の目的を部下が理解できていない組織の場合、上司の「この資料を作成しておいて」という指示だけではアウトプット内容が期待のものとズレる事象が発生しやすくなります。しかし、互いに目的や実現したいことの認識がすりあっている状態であると、曖昧な指示であったとしても期待していたアウトプットが出てくるため、行動スピードが上がります。その結果として、戦略実行度の向上に繋がるのです。

効果④:顧客満足度の追求

組織のエンゲージメントが向上すると、組織と個人の結びつきが強くなる、つまり従業員の会社への愛着や貢献意欲が高まります。
あなたがもしダイエットのために通っているジムのスタッフから、「ぜひお友達も紹介してください!」と頼まれたとしても、特にジムへの愛着がなければ熱心にはならないでしょう。しかし、そのジムのスタッフがとても親切で、あなた自身がジムに対し愛着を持っている場合には、友達に熱心にその魅力を伝え、ジムへの新規入会者数に貢献すると思います。
組織でも同様に、従業員自身が所属している組織や取り扱っている商品サービスへの愛着が強ければ、それを顧客に「もっとこの魅力を伝えたい」「より良い提案がしたい」という組織への貢献欲求が高まり、結果顧客満足度の追求に繋がるのです。

エンゲージメントサーベイと従業員満足度調査等との違い

ここでは、エンゲージメントサーベイとよく行われている従業員満足度調査の違いについて述べていきます。

エンゲージメントサーベイとは、組織と個人の間の問題を可視化する診断ツール

先述している通り、エンゲージメントサーベイは組織と個人の結びつきを強化するために現状や課題を可視化する組織診断ツールです。

・状況が変化しやすい昨今の事情を踏まえ、現在の組織状態を確認したい
・最近離職率が高まっているので、対策を打ちたい
・経営からのメッセージが現場まで届いているのか分からない

等のお悩みをお持ちの方は、エンゲージメントサーベイを推奨します。

■従業員満足度調査とは、会社の制度等に対する満足度調査のこと

会社の制度や待遇が変化すると、それに満足できない従業員は会社を去るという選択をします。そのような退職を防ぐために実施するのが、従業員満足度調査だと考えます。

エンゲージメントは業績に相関関係があることに対して、従業員満足度調査では証明されていません。そのために組織変革というよりも、

・打った施策に対する従業員の満足度はどうか
・制度や待遇の見直しをする際に現状の満足度はどうか

等を把握する際に活用できるツールとなっています。


■その他の手法:パルスサーベイ・eNPSなど

その他の調査方法として、「パルスサーベイ」と呼ばれるものもあります。
パルスサーベイはサーベイの設問の一部を切り取って実施する簡易版サーベイです。エンゲージメントサーベイを健康診断としたときに、パルスサーベイは体温計のような位置づけで、特に重視したい項目に対して定期的に経過を観察する目的で使用されています。そのため、パルスサーベイのみでの組織変革は難しく、エンゲージメントサーベイとセットで実施されることが一般的です。

最後に、NPSという調査に関しても紹介します。
こちらは従業員のロイヤリティを測る目的があり、「あなたは自社の商品サービスを、家族や親しい知り合いにどの程度勧めたいと思いますか?」という形式で問うサーベイとなっています。組織全体の結果、というよりも個々人のサーベイ結果を基に、対策や戦略を立てるために活用されることが一般的です。具体的には、ハイパフォーマーの離職防止のためにハイパフォーマーのNPSスコアがいくらなのかを確認したり、リファラル採用のためにNPSスコアの高い社員を採用担当として起用する、といった活用です。

エンゲージメントサーベイで組織改善を促進

組織を改善するためには、「診断」「変革」のサイクルを回し続けることが最も重要です。

上記の図のように、

エンゲージメントサーベイを実施するだけでなく、

①そこから導き出された課題に対して施策を立て
②施策を実行し
③パルスサーベイで定期的に経過を観察し
④施策の結果を確認するため再度エンゲージメントサーベイで診断する

といったサイクルによって、組織改善を促進させることができます。

(参考:※※(※※※杉浦の記事UP後、リンクを貼ってください)

おわりに

昨今、様々なエンゲージメントサーベイが各社よりリリースされています。弊社リンクアンドモチベーションが提供するエンゲージメントサーベイは、「期待度」と「満足度」のマトリクスによって組織を診断します。

つまり、「従業員が期待しているのに不満を抱えているところはどこなのか」が明確になるため課題の優先順位をつけることが可能となります。

また、エンゲージメントサーベイの実施と併せて、コンサルタントの分析や結果共有会等のサービスを一連のフローとして提供しているため、「診断」と「変革」のサイクルを回しながら組織改善が実現できます。

ご興味をお持ちの方は、こちらもご参照ください。☞WPのリンク

公開日:2016.10.30

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