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離職率を改善するには? 定着率を高め、改善させる施策のポイントは?

少子高齢化による働き手の減少、グローバル化や働き方に対する価値観の変容により、人材獲得はこれまでよりも一層難しくなりました。
このような状況の中で、離職率を抑え、優秀な人材の流出を防ぐことは、企業の存続のために重要なポイントとなっています。
ここでは、離職率の原因や、その対策を、エンゲージメントの観点から深堀り解説していきます。

離職率とは?

そもそも離職率とは、ある企業で働いている従業員数に対して、どれだけの人が一定期間内に退職したかを表す割合のことです。
算出期間は、一般的には一年間を対象とすることが多くありますが、目的によって異なることもあります。
離職率は、その職場の働きやすさを図るための一つの指標とも言えるので、企業は離職率を下げるよう努力をしなければなりません。


離職率の計算方法

離職率の計算方法は、総務省によると以下の通りです。

離職率=(一定期間内の離職者数)÷(1月1日現在の常用労働者数(年齢階級別は6月末日現在の常用労働者数))×100

ここで言う常用労働者とは、以下のような人のことを指しています。
・期間を決めずに、または一ヶ月を超える期間を定めて雇われている人
・日々または1カ月以内の期間を定めて雇われている者のうち、調査期間の前2カ月にそれぞれ18日以上雇われている者

日本の離職率の平均値

厚生労働省が行った雇用動向調査によると、平成30年の離職率は年初の常用同労者数に対して14.6%という結果でした。
過去の離職率も見てみると、平成29年は14.9%、平成28年は15.0%となっており、ここ数年は減少傾向にあると言えます。

新卒社員の離職率

離職率を、新卒社員に絞って見てみるとどうでしょうか。
厚生労働省が行った「新規学卒者の離職状況」という調査によると、平成30年3月に卒業をした者を対象者とした場合、大学を卒業して1年以内に離職した新入社員の割合は11.6%だということです。
年齢層別に比べても、新入社員の離職率は高い傾向にあります。学生時代と全く異なる環境でストレスを感じてしまったり、思い描いていた社会人生活や仕事ではなかったギャップから、早期退職する新入社員は珍しくないでしょう。
こうした傾向から、企業は新入社員のマネジメント方法や関わり方、育成を工夫し、定着率を高めていく必要があります。

離職率を改善し定着率をあげるポイントとは?

従業員エンゲージメントを上げる

離職率を下げるためには、従業員エンゲージメントを高めることが重要です。
株式会社リンクアンドモチベーションと、慶應義塾大学ビジネス・スクール岩本研究室の共同研究により、企業と従業員のエンゲージメントを測る指数、エンゲージメントスコアを基にした格付けランクである「エンゲージメント・レーティング」の上昇に合わせて、離職率が低下する傾向が見られています。

https://www.motivation-cloud.com/news/5197/

会社と従業員の関係性や、上司と部下の関係性が向上し、信頼関係が担保されていると、コミュニケーションが活発になり、お互いに何を思っているのか、どう感じているのかについて伝え合うハードルが下がります。そうすると業務連携が円滑になり何か問題が起こりそうな際に防止策をすぐに打つことも可能になります。よって仕事の出戻りが少なくなり、業務効率化や生産性の向上につながるのみならず、離職率の抑制につながるのです。

退職の主な理由とは?

離職率を下げる方法を知るためには、まずは「なぜ人は離職をしてしまうのか?」をきちんと把握することが大切です。

厚生労働省の離職の理由についてのデータでは、男女傾向があることが分かっています。まず男性の、正規雇用から正規雇用へ転職した場合の離職理由は、一位が「給与・報酬が少なかったから」、二位が「事業又は会社の将来に不安を感じたから」でした。一方で正規雇用から正規雇用へ転職した女性の離職理由の一位は「会社の経営方針に不満を感じたから」、二位は「給与・報酬が少なかったから」「出産・育児のため」となっています。このように男女別でみても、会社や事業の方針、給与への不満、ライフステージの変化など、人が離職を決める理由は様々です。

企業はこの多様化したニーズに応えるため、日々工夫を凝らしていますが、すべてのニーズに応えようとしていたら離職率を下げることはそう簡単ではないでしょう。

離職防止を進める理由とは?

離職防止が叫ばれている企業も多くあると思いますが、なぜこれほどまでに企業は離職率に注目しているのでしょうか。離職防止が企業にとってどのような影響があるのか見てみましょう。

労働人口の減少

人口が増え続けていた日本の高度経済成長期は終わり、2010年以降はついに日本の人口は減少傾向へと転じました。総務省のデータでは、約1.3億人いた日本の人口は、2055年には約9000万人へと減少していくと予想されています。人口増加傾向にあった日本では、労働力は「替えがきく資源」と捉えられてきました。しかし、人口減少が進む現在では、採用難も伴って「失うことのできない資産」と変化しました。こういった流れから、人材獲得競争は年々激化し、優秀な人材を十分に確保するために、企業は「選ばれる」ための努力を求められています。

コスト削減

離職率をゼロにすることは難しいとしても、離職率を下げる努力を怠ると、企業は人材不足のみならず、コスト面でも負担を背負うことになります。離職者が出た場合は、そのポジションを別の従業員で埋めなければなりません。現状働いている別の従業員に退職者の分の業務を任せた場合は、その従業員の負担が大きくなりすぎ、生産性やモチベーションの低下につながってしまいます。一方で、新しい人員を補充する場合でも採用活動やその人員が一人前になるまでの育成に費用と時間がかかります。離職率が低下し、人が入れ替わる事によるコストを削減することは、企業にとって重要な観点であると言えます。

定着率を上げる具体的な取り組み

このような環境変化がありつつも、この早期離職を防ぐためにはどんな対策が考えられるでしょうか?一般的には、先ほどのアンケート調査で見えてきた、下図のような社員の“不満を解消する”ための施策を講じることが多いのではないでしょうか。



しかし、これらの不満を解消するための施策を講じても「一つ不満を潰しても次から次へと不満が出る」「アンケートを取ることで、逆に多くの期待を生んでしまい『対応してくれない』という不満を生む」「結局、本当に辞めたい人の特定には至らない」など、様々なリスクも発生し、結果、離職率は変わらなかったり、最悪の場合は離職率が増えるリスクもはらんでいます。

離職率を下げるためのポイントとは? 不満理由の解消と、貢献理由の創造

では、離職率を下げるためにはどんなポイントがあるのでしょうか?それは、組織に対する「不満理由の解消」だけでなく、「貢献理由の創造」が必要なのです。
「不満理由の解消」としては、先の一般的な対策でも紹介したように、社員が明確に感じている不満に対して対策を打つことです。例えば、給与を上げたり、働き方を見直すなどが分かりやすい例です。しかし、その対策が講じられた後に、社員がどんな風に感じるかというと「給料や働き方が改善されて良かった!。もっと良い条件の会社があれば転職しよう」と思う人も少なくはありません。
そこで大切になるのが「貢献理由の創造」です。すなわち、社員が今の会社で働き続けるための、理由づくりを創ることを指します。例えば、仕事の面白さや魅力をしっかり発信したり、会社が世の中に与えている意義・意味をきちんと伝えていくことで、「たしかに給料は少し低いけど、それ以上に、面白い仕事が出来て、意義深い目的に向かって働けている。この会社で、もっと頑張ろう!」という意欲向上にも繋がるケースが多くあります。

上記の例は、フレデリック・ハーズバーグが提唱した『二要因理論』に基づくものです。これは、人事労務管理に必要な要素を、「動機付け要因」と「衛生要因」の2種類に分けて考えるべきだとする理論です。給与や福利厚生といった「衛生要因」と、達成や承認といった「動機付け要因」は、どちらか一方だけ満たせばよいというわけではなく、衛生要因における問題を解決した上で、動機付け要因を満たす必要がある、としています。

※衛生要因:制度待遇・施設環境など。欠如すると不満になるが、向上させ続けても、エンゲージメントがプラスになるわけではない
※動機付け要因:仕事の達成感・仲間の魅力など。衛生要因が欠如していると積み上がらないが、向上させ続けるほど エンゲージメントが高まるもの。

人が組織に帰属する4つの要因

またリンクアンドモチベーションでは、人が組織に帰属するのには、下記のPhilosophy (目標の魅力)、Profession (活動の魅力)、People (組織の魅力)、Privilege (待遇の魅力)の4つの要因があると考えています。



そのため、貢献理由を創造するにあたり、どの要素を組織の魅力とするか考える必要があるというわけです。

戦略的な離職率低下の考え方

戦略的に離職率を低下させるための、期待度と満足度の把握

ここまで、早期離職の原因と、その対策について触れてきましたが、企業はどのように戦略的に離職率を低下させていけば良いのでしょうか。そのためのポイントは、組織に求める項目の“期待度”と“満足度”を把握しながら、戦略的に「不満理由の解消」と「貢献理由の創造」を行うことが重要です。


上記はリンクアンドモチベーションが開発した国内初の組織改善クラウドサービス「モチベ―ションクラウド」に搭載されている診断技術「エンゲージメントサーベイ」の「期待度」と「満足度」の2軸で回答結果を整理したマトリックス(4eyes® Windows)です。

社員のワークモチベーションは多様化し続けており、社員が会社や職場に期待する要素は多岐に渡ります。そのため、これからの企業経営においては、こうした多様なワークモチベーションの状態を把握し、束ねていく必要があります。しかし、従来の社員調査のように「満足度」のみのヒアリングでは社員が何を求めているのか把握することができず、具体的な打ち手を設定することは困難でした。

当技術では、社会心理学を下敷きに、社員のエンゲージメントに大きく影響する16の要素に基づいた網羅的な設問項目を用いて、「満足度」に加えて「期待度」をヒアリングすることで、会社と社員の関係性を明らかにしています。社員の回答結果を「期待度」と「満足度」の2軸で整理することで、社員エンゲージメント状態を可視化、数値化することが可能となります。

上記の図でいう左上「組織の弱み」が「不満理由の解消」領域となり、プロットされたどの項目を不満理由として解消するのか決める必要があります。また、右上の「組織の強み」にプロットされた項目の中から、どの項目を貢献理由として創造していくか決めて実行していく必要があります。

退職率改善の企業事例

先述の通り、リンクアンドモチベーションでは社員のエンゲージメントを把握し向上させるためのツールとして「モチベーションクラウド」という組織診断ツールがあります。このモチベーションクラウドは、6,620社、157万人の実績を持つ組織のモノサシ「エンゲージメントスコア」で、組織状態を定量化・可視化し、See・Plan・Do・Check&Actionのサイクルを回すことで、組織の問題を解決する国内初の組織改善クラウドです。

離職率低下に向けたモチベーションクラウドの活用事例
【富士スバル株式会社 様】

富士スバル株式会社様は群馬県内でSUBARU社の販売を行なっている自動車ディーラーの会社様です。SUBARU車の新車・中古車の販売をしており、また、自動車の整備・車検・点検・鈑金塗装、各種部品・用品の販売、自動車保険の販売を行なっています。

モチベーションクラウド導入前、組織の課題は大きく3つありました。1つ目は、CS(お客様満足)についてです。富士スバル様の仕事は商品を作り出すことではなく「お客様へのサービス」であり、「CSこそが我々の生命線」であると考えていました。そのCSに関して長らくSUBARUブランドで全国No.1を獲得していましたが、ここ数年No.1を獲得できていない状況が続いていることに危機感を感じておられました。2つ目は、ES(従業員満足)についてです。「自分が働いている環境に満足していない社員が、お客様を満足させられるわけがない」という考えのもと、2015年度より、「会社としてES向上に努めるので、社員の皆さんはCS向上に努めてほしい」というメッセージを従業員に対して発信されてきました。ES向上のために、休日の増加、ベースアップ、退職金制度の見直し等、いろいろと取り組んできましたが、その取り組みがES向上に繋がっているのか不明確でした。3つ目は整備職において離職率が高いという課題があり、職種別・店舗別でどのような状況かを把握したいと考えられていました。

「CS(お客様満足)を高めるためには、ES(従業員満足)も高める必要がある」という意識は昔からあり、CSはお客様アンケートという形で自社に届くものの、ESはなかなか目に見えません。客観的、具体的に把握する手段はないか、と模索していた際にモチベーションクラウドを知ることに。ESやモチベーションという目に見えないものに「ものさし」をつくり、「PDCAサイクルで組織改善を図る」という画期的な考えに感銘を受け導入されました。 

全体のスコアについては、正直もう少し高い結果がでると思っており、特に福利厚生や待遇については平均よりも充実していると社内では認識されていたため、少しショックを受けたと言います。また全体のスコアだけでなく、詳細の数値を見ていくと「コミュニケーション不足」が優先度の高い課題として浮かび上がってきました。これまでに取り組んできた組織施策が、果たしてES向上に繋がっていたのかという検証や、今後の施策の優先順位をつける上でも、新しい気づきを得ることができたと言います。

モチベーションクラウドを導入したメリットは、組織改善のPDCAサイクルが回りだしたこと。

①エンゲージメントサーベイを実施し、会社全体・各部門・店舗の現状が見える化できる

②「強み」「弱み」が見えてくるので、「弱み」の中から特に改善したい課題を決め、改善項目に絞ったフォーカスサーベイを実施できる

③課題の改善に向けて、アクションプランを立案し、実行していく

④毎月、改善項目に絞ったサーベイを行い、その進捗具合を調査する

⑤改善が見られないようであれば、アクションプランを修正する

⑥半期に一度、エンゲージメントサーベイを実施し、前回と比較して組織状態がどう変化をしているかを検証する

というPDCAサイクルを回していくことができます。そして、これからエンゲージメントサーベイの実施回数を増やすごとに、多くのデータが蓄積されるため、課題解決につながる事例を蓄積しながら、ES向上、CS向上を目指し、更なる会社の発展に繋げることもできるでしょう。 

また、整備職の離職率が他の職種に比べて高いことについても、会社としてしっかりと向き合うということに踏み出し始めたと言います。今は、営業職と整備職のコミュニケーション不足をどう解消するのか、働き方をどう変えるべきなのかという更なる課題に取り組まれています。

この通り、サーベイを実施するだけでは意味がなく、しっかりと結果に向き合い、施策に繋げ、また効果を確認するこのPDCAサイクルが必要なのです。

まとめ

このように、離職率を改善するためには、ただ社員の不満を埋めればいいということではなく、エンゲージメントの考え方を中心に、企業と社員が相思相愛である状態と作っていくことが大切です。ただ離職率という数値を見るだけではなく、離職率の裏にある社員の思いに目を向け、対応していきましょう。

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