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守島教授×九州電力×三菱重工 日本の伝統企業はいかに変わるか?~経営戦略の実現に向けた人材戦略の実践~ 「HR Transformation Summit 2024」イベントレポート

世界は変化し、AIなどの技術進化に注目が集まっていますが、資源に乏しいこの国にとって本当に注目すべきは最大の資源となりうる「人・組織」です。「人・組織」の力を成長エンジンとして未来を創る。私たちはそんな意志を持ち、「HR Transformation Summit 2024」を開催しました。
 
Session6では、学習院大学の守島基博氏、九州電力株式会社 人材活性化本部 人材・組織変革グループ長の松田直也氏、三菱重工業株式会社 HR戦略部 部長の谷浦稔氏をお招きし、「日本の伝統企業はいかに変わるか?~経営戦略の実現に向けた人材戦略の実践~」というテーマでトークセッションを行いました。
 
【イベント実施日】
2024年8月1日
 
【スピーカー】
・学習院大学 経済学部 経営学科教授/一橋大学 名誉教授 守島 基博 氏
・九州電力株式会社 人材活性化本部 人材・組織変革グループ長(QX事務局) 事業構想大学院大学 客員教授 松田直也 氏
・三菱重工業株式会社 HR戦略部 部長 谷浦 稔 氏
 
【モデレーター】
・株式会社リンクアンドモチベーション 常務執行役員 川内正直

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人的資本経営の中核は人のココロの動員である

リンクアンドモチベーション 川内:本日は、「日本の伝統企業はいかに変わるか?~経営戦略の実現に向けた人材戦略の実践~」というテーマでトークセッションを行ってまいります。早速ですが、守島先生、プレゼンテーションをお願いします。

学習院大学 守島氏:最初に、伝統企業とはどんな企業なのかということについてお話ししたいと思います。私が考える伝統企業は、過去に多くの投資をしてビジネスモデルや戦略を実現した企業、もっと平たく言えば、過去に成功してきた企業であろうかと思います。
 
多くの投資をして成功してきたからこそ、変わるのが難しい企業が少なくないと思います。ですが、経営環境は変わり続けており、すべての企業に変革が求められる時代です。伝統企業も例外ではありません。特に、今日お越しいただいている2社の伝統企業は、過去に大きく成功したビジネスモデルがありました。それゆえに、実は変わりにくい部分があるのではないかという問題提起をさせていただきたいと思います。
 
伝統企業が変わるのは簡単なことではありませんが、それはなぜでしょうか? よく言われるのが、過去の成功モデルが邪魔をするということです。
 
ビジネスモデルが古くなり、うまくいかなくなってきたわけですから、シンプルに考えれば、変えればいいだけの話です。ですが、多くの伝統企業はなかなか変えられません。よく言われる「イノベーションのジレンマ」とは、過去の成功モデルを引きずることでイノベーションが阻害されることですが、一段掘り下げてみると、実は、古い文化や考え方、価値観が邪魔をしていることが多々あります。
 
過去の成功モデルは、いろんな人たちが頑張ってつくり上げてきたものですが、そこにはしばしば価値観や行動規範が埋め込まれています。それゆえに、古いビジネスモデルが「働きがい」や「プライド」の源泉となっていることが多く、だからこそ変わりにくいのです。
 
住宅メーカーであれば「夜討ち朝駆け」と言われるように、住宅を売るためにはお客さんのいる夜か朝に行かなければいけません。それが一つの行動規範になっているわけですが、そうすることに「こだわり」を持ち、「誇り」を感じている従業員は少なくないはずです。
 
今日お越しいただいている九電さんで言えば、電力の安定供給が大きなミッションであり、そのなかで決められたことを真面目にこなす志向性が醸成されています。これが、働く人のプライドになっていたり、エンゲージメントの源泉になっていたりするんだと思います。三菱重工さんであれば、丁寧なモノづくりが現場に根付いた会社であり、社員のみなさんはそこに誇りを持っていますし、働きがいにもなっていると思います。こうした傾向は、歴史が長く、成功してきた伝統企業でより強く見られます。
 
変革を推進するためには、古い価値観や考え方、文化を変えるとともに、新たなビジネスモデルに必要な価値観や行動規範、文化をつくっていくことが重要です。それをやるのは誰なのかという話になりますが、私は人事部が牽引するべきだと思っています。

ここで、そもそも論に立ち返りますが、人というのは「ココロ」を持つ資源です。昨今、人的資本経営が注目されていますが、「資本」と言うと、どうしても工場やお金をイメージしてしまいます。しかし、これらの資本と人的資本は違っています。なぜなら、人という資本にはココロがあるからです。
 
人はココロが動かないと、なかなか新たな行動を起こしません。変革というのは新たな行動を起こしてもらうことですから、変革を促すためにはココロに働きかけていかなければいけません。働く人のココロをつかみ、価値観を変えて、新たな行動規範をつくる。これが変革への第一歩です。
 
私は、人的資本経営の中核は人のココロの動員だと考えています。ここで忘れてはいけないのが、「人的資本を所有しているのは誰なのか?」ということです。人的資本を持っているのは、働く人です。工場や技術、パテントなどの資本は企業が所有できますが、人的資本だけは働く人が所有しています。何が言いたいのかと言うと、このために働く人が「この会社の変革のために人的資本を使いたいんだ」という気持ちになってくれないと、なかなか変革はうまくいかないということです。
 
人的資本経営のカギ、あるいは変革のカギは、人のココロに働きかけることです。エンゲージメントを高め、マインドを変革のほうに向けることで、初めて変革は成功します。何度も言いますが、変革で重要なのは古い文化や価値観をリニューアルすることです。
 
ただ、人というのは、すべてのものがなくなってしまうと安心できません。すべてが変わってしまうと思った途端、人はものすごく不安になります。不安になると動かなくなります。動かなくなったら変革も起こりません。そういう意味では、残すべきものと残さなくていいもの、変えるべきものと変えないものを峻別することも非常に重要なポイントになってくると思います。

個と組織がともに成長する姿を描き、全社でQX(Qden Transformation)を推進

リンクアンドモチベーション 川内:続きまして、九州電力の松田様、プレゼンテーションをお願いします。

九州電力 松田氏:九電グループは、国内電気事業をはじめ、再エネ事業、海外事業、ICTサービス事業、都市開発事業など複数のビジネスを展開しています。
 
私たちは「九電グループの思い」という経営理念を定めています。創業者がつくった理念を大切にしている会社さんは多いと思いますが、「九電グループの思い」は、現場も含めすべての部門から社員が集まり、全社員で一緒につくり上げた理念です。
 
この理念は、会社としての「Will」を示すものであり、普段私たちが会社のなかで議論したり意見交換したりするときもよく出てきます。そういう意味では、社員にとって遠いものではなく、すぐ隣にあるものとして存在しています。そして、この理念はこれからも変わらないものであると考えています。
 
一方で、私たちは今、変革の途上にあるということを実感しています。今、エネルギーをめぐる環境は大きく変化し続けています。また、国内においては少子高齢化、人口減少が進行し、様々な課題が生まれています。こうしたなかでも、「ずっと先まで、明るくしたい。」という変わらないWillを果たしていくために、私たち自身がどのように変わり続けていくかということに今、挑戦しているところです。そして、私たち自身の変革を通して、社会変革の原動力になっていきたいという思いがあります。
 
私たちは「九電グループカーボンニュートラルビジョン2050」を制定し、九州から日本の脱炭素をリードする企業グループになることを目指しています。また、地域や社会とともに持続的な成長を遂げていくために「経営ビジョン2030」を策定し、その実現に向けて、エネルギーサービス事業の進化に加えて、新しい事業・サービスの創出を目指して変革に取り組んでいます。この変革を支える戦略の柱の一つとして「経営基盤の強化」を掲げ、人・組織の強化につながる人的資本経営に取り組んでいるところです。
 
社会変革につながる挑戦は決して簡単なものではなく、相当な困難を伴うものだと認識しています。ただ、困難を乗り越える原動力になるのは、あくまでも人材だと考えています。


上のスライドが、人的資本経営における人材戦略と価値創造プロセスの全体像です。人的資本経営のさらなる強化に向けて、個人の思いと組織のビジョンを結び付け、人と組織がともに成長しながら価値創造につなげていくことをコンセプトとしたQX(Qden Transformation)の取り組みを全社的に推進しています。
 
守島先生のお話にもあったように、私たち一人ひとりはココロを持つ経営資源です。ココロを持つ人材は、「しよう」「したい」といった気持ちで仕事に向き合ったときに、最大限の能力を発揮できると考えています。そのため、私たちはQXの取り組みにおいて、個と組織がともに成長する姿を描き、一人ひとりの「こうしたい」というWillを起点としたトランスフォーメーションに取り組んでいます。
 
社員のWillを起点にした変革の具体的な取り組みをご紹介します。

1つ目が「Willを活かすビジョンの共有」です。QXによってどこを目指していくのかということを、トップ自らが全従業員に共有することで、共感に基づくマインド醸成を図っています。トップメッセージだけでなく、各組織・部門のトップもそれぞれの言葉で思いを全社に発信しています。また毎年、経営層と現場社員の対話の機会を設けたり、「KAZサイト」という社員向けのチャンネルでQXの取り組みを紹介したりと、継続的なコミュニケーションを図っています。併せて、全従業員を対象とした共通研修を行うことで、QXの理解浸透に努めています。
 
2つ目が「Willを引き出すマネジメント変革」です。変革の軸となるすべての組織長のマネジメント変革(MX)と、組織長を起点とした組織開発を実現するためのプログラムに取り組んでいます。取り組みの全体像としては、MXセミナーから始まり、エンゲージメントサーベイで職場状況を把握し、研修を行い、実際に職場で対話・実践して、再びサーベイで振り返るという仕組みを構築しています。ここのポイントは、組織長に武器となるサーベイのデータを渡して、組織開発の支援を受けられるような環境をつくっているところです。
 
3つ目が「Willを実現する学びの環境整備」です。「個と組織の可能性を解き放つ」というスローガンのもと、自律・共創・学び合いをキーワードとした教育プログラムを展開しています。ここのポイントは、個人が「したい」「やりたい」と思ったとき、自分で必要だと思ったときに必要な学びが手に入る環境を整備していることです。3,000以上の多様なメニューから自分で学びたいことを選べる「MY choice研修」を導入したり、隙間時間で学べる動画を充実させた学びのプラットフォーム「Q-learning」を構築したりしています。
 
私たちは、「ずっと先まで、明るくしたい。」という理念を実現するために、個と組織がともに成長する姿を描き、QXを推進しています。これは、「変わらないもの」を守り続けるために、「変わり続けること」に挑戦し続けるということです。「個」と「組織」の関係のパラダイムシフトが、日本の伝統企業の可能性を解き放ち、次の時代を切り拓くのだと信じて、今後も取り組みを進めてまいります。

「HRから変わって、HRが変えていく」を合言葉に大改革を推進

リンクアンドモチベーション 川内:続きまして、三菱重工の谷浦様、プレゼンテーションをお願いします。

三菱重工業 谷浦氏:まず、三菱重工グループについて簡単にご紹介します。連結売上収益4兆6,000億円、海外売上収益率57%、グループの従業員数約8万人のグループとなっています。事業内容は、「エネルギー・環境関連」「基盤産業」「航空機、防衛・宇宙事業」に加え、本年4月に脱炭素関連事業を集約して発足した「GXセグメント」の大きく4領域になっています。
 
我々は、本年5月に3ヶ年の中期事業計画(2024事業計画)を発表し、そのなかで三菱重工グループのミッション、目指す社会についてあらためて表明しています。グループのミッションは、「長い歴史の中で培われた技術に最先端の知見を取り入れ、変化する社会課題の解決に挑み、人々の豊かな暮らしを実現する」というもので、目指す社会は「MISSION NET ZERO」と「安全・安心・快適な社会」です。
 
続いて、HR戦略についてのご説明です。グループのミッション、目指す社会を実現するためには、価値創造を具体化する事業戦略と、人の力を最大限に生かすHR戦略の緊密な連携が欠かせません。社員一人ひとりが実現したい未来を描き、三菱重工グループとして目指す未来と重ね合わせ、協働する組織を築くことが重要だと考えています。そのために今回、「HR Innovation 2030 未来を起動する」というコンセプトを立ててHR戦略を策定しています。

経営戦略の実現に向けたHR戦略の重点事項として、「Leadership(次世代経営人材育成)」「Talent(人材獲得・育成)」「Organization(組織力強化)」「Engagement(従業員エンゲージメント向上)」の4つを掲げています。さらにこの4つの戦略を推進するため「HR Responsibility(HR部門の体制強化)」にも取り組むこととしており、これらをまとめて社内的には「4+1」の戦略と呼んでいます。本日は「4+1」の戦略のなかから、「Talent」と「HR Responsibility」についてご説明したいと思います。
 
「Talent」に関しては、三菱重工グループ人材育成方針で定めた「自律」「協働」「挑戦」の3つの軸に則り、社員一人ひとりが志と責任を持ち、活躍できる仕組みをつくることを目指して、人材の獲得・育成に取り組んでいます。
 
人材獲得では、インターンシップの拡充や「ウェルカムバック採用」というアルムナイネットワークからの採用を推進しています。また、人材育成に関しては、社員の自律的なキャリアデザインを支援するために、キャリアデザイン面談の推進や社員が自ら手を挙げて新たな部門へチャレンジできる人材公募制度の運用を継続しています。さらに、自律的な学びの風土を醸成するために、学びと人材育成のポータル整備、公募形式での越境機会の提供、DX教育プログラムの拡充などに取り組んでいます。
 
続いて「HR Responsibility」についてのご説明です。先ほど申し上げた「Leadership」「Talent」「Organization」「Engagement」という4つの戦略を推進するため、HR部門の高度化・体制強化を図り、しっかりと事業に貢献し、経営への責任を果たしていくということを改めて表明したものがHR Responsibilityです。
 
HR Responsibilityとして、これまで大きく「データ基盤整備」「組織基盤整備」「人材基盤整備」という3つの基盤整備を進めてきました。まず、データ基盤整備に関しては、グローバル規模での人事システム整備を進め、海外グループ会社を含め、約8万人の従業員データを収録しています。またこれとは別に、国内向けに日本の法律・商慣習に適した人事システムを導入し、規則の標準化と併せて本体及び国内グループ会社の8割への導入が完了しています。
 
続いて組織基盤整備に関してですが、2022年にHR部門を機能別の組織に改定しました。

HRリーダーシップ(HR改革推進室)がHR戦略の大きな方向性を示し、CoE(HR戦略部)が戦略に即した人事施策を企画・立案します。HRBP(HRマネジメント部)が各事業単位のHR戦略を実行し、オペレーションはBPO先であるMHIパーソネルに集約しています。

最後に人材基盤整備ですが、HR部門・メンバーの心・技・体を鍛える変革プロジェクトとして「HRX-PJ」を進めてきました。このプロジェクトは「HRから変わって、HRが変えていく」というミッションを掲げ、心・技・体に連動した3つの分科会とそれに紐付く10個のチームで構成されています。

各分科会から、具体的な取り組みをピックアップしてご紹介します。
 
1つ目が「次世代HRリーダーワークショップ」です。文字どおり、次世代HRリーダー育成に向けた取り組みであり、事業戦略に即した人事施策の実行力向上、マネジメントレベルの向上、メンバー間の関係性構築を目的として、HR部門の課長の1個下のレイヤー(次期管理職層)を対象にワークショップを開催しました。事業部門との事業戦略に関する対話や、HR担当役員とのセッション、他社HRBPとのディスカッションなどを実施し、戦略人事としての思考の型やマインドを習得してもらっています。
 
2つ目が「人事の発信力・広報力強化」です。これまで、「各種人事施策が社員にしっかりとリーチできていないのではないか?」という課題意識がありました。そこで、今まで以上にHRの取り組みを伝えていこうと、各種制度や施策を社員にとって分かりやすい形でカテゴリーやライフイベントごとに分類した「仕事と暮らしのナビタウン」というサイトをポータルにアップしました。
 
3つ目が「HRラーニングカフェ」です。これは、HR部門向けのウェビナー勉強会です。社内外から様々な専門分野を持つ方に講師として登壇してもらい、HRとしての基礎的な知識習得に留まらず、他社の人事戦略や取り組み、社内外の最新のトレンドを学んだりする機会にしています。2022年にスタートしてから現在までに50回開催し、累計で7,200名のHRメンバーが参加しています。
 
社会インフラが大きな転換を迎える今、そのトランジションを担う企業として三菱重工グループも変革が必要です。今後も「HRが変わって、HRが変えていく」という気概を持って、HRが組織と人材の変革と挑戦を牽引していきたいと思います。

双方向性を意識して、経営戦略と人材戦略を連動させる

リンクアンドモチベーション 川内:最後に時間の許す限り、トークセッションを進めていきたいと思います。「人材戦略を実践する際は、まずどこから・何から変えるべきか?」という投げかけをさせていただきます。松田様、谷浦様、いかがでしょうか。

九州電力 松田氏:真正面からお答えすると、やはり経営戦略との連動を意識する必要があると思います。経営戦略と人材戦略は、まず経営戦略があり、それを実現するための人材戦略があるというようにワンウェイで捉えられがちですが、私は双方向性があるものだと考えています。
 
たとえば、「この人がいるから、あの人が新しいイノベーションを生んだから、経営戦略として発展性が生まれるよね」というようなこともあるはずです。双方向性を意識した経営戦略と人材戦略の連動は、変革推進の一つのポイントになるのかなと思います。
 
もう一つ、ソフト面から考えると、トップ、ミドル、現場のアライメントが起きるとすごく強いなということを実感しています。ベクトルが合い、意見が揃っていくなかで、それぞれがリーダーシップを発揮することで格段に変革が起こりやすくなると思っています。

三菱重工業 谷浦氏:振り返ってみると、4つほど大事なポイントがあったと思います。今、HRのメンバーがしたいことや、こうありたいと考えていることを実践に移しているところなのですが、「こうしたい」という考えを否定せず、みんなが安心して議論したり、意見を出したり、自分のWillを伝えたりできる場、あるいは環境をつくったことが、一つ大事なポイントになったのかなと思います。
 
2つ目は、今、HRの担当役員やHR改革推進室のメンバーがリーダーシップを発揮しているのですが、こうしたリーダーシップもとても重要だと思います。
 
3つ目は、しっかり宣言することです。今回、中期経営計画のなかにHR戦略を明確に掲げているのですが、これは、「うちのHRは経営にこうやって関わっていくんだ」「こういう目標を達成するんだ」ということを社内外に宣言しているわけで、こうした発信も非常に重要だと思います。
 
4つ目は、HRと事業との関係づくりです。今、我々HRは事業への更なる貢献を果たすために、事業部門に入り込む形でHRBPを配置しています。事業責任者と我々のHRBPがタッグを組んで、その事業のHRの課題に取り組んでいく体制を強化しています。このようなHRと事業との関係づくりも大切だなと感じています。

学習院大学 守島氏:松田さんが言われたアライメントはすごく重要だと思います。現場とミドルとトップの間のアライメント、また意識や考え方のアライメント、戦略のアライメント、こういったアライメントをつくっていくことですね。
 
谷浦さんが前半でおっしゃっていたのは、そのアライメントのなかに人事を加えるという話だと思います。これまでの組織構造を見ると、事業とトップはちゃんとつながっていても、人事がそこになかなか入り込めていませんでした。そのアライメントのなかに、いかに人事を組み込んでいけるかが重要であり、そのためには、人事も変わらなければいけないし、会社全体も変わらなければいけない。そういうお話だったのかなと思います。

リンクアンドモチベーション 川内:皆様、ありがとうございました。
 
本日のタイトル、「日本の伝統企業はいかに変わるか?」について、やはり変化を追い求めたその先や、その企業らしさを活かしてどう変わっていくかが大切だと感じました。
 
ぜひ、今後も企業様がどのような変化を遂げているのか、何に注力されているのかを世の中に対して発信してほしいですし、当社としても、継続して支援していければと思います。
 
以上をもちまして、トークセッションは終了とさせていただきます。ご登壇いただいたお三方、ならびに視聴者のみなさま、ありがとうございました。


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