
ワークエンゲージメントを高める方法は?低い職場の特徴や測定方法も解説
人材不足や働き方の多様化が進むなか、従業員が意欲的に働ける職場づくりは、多くの企業にとって重要な経営課題となっています。そこで注目されているのが、どれだけ仕事にやりがいや活力を持って取り組んでいるかを示す「ワークエンゲージメント」です。
ワークエンゲージメントが高まることで、生産性向上や離職率低下、採用力強化などさまざまな効果が期待できます。本記事では、ワークエンゲージメントの意味や低い職場の特徴、高める方法、測定方法などについて解説します。
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ワークエンゲージメントとは何か
ワークエンゲージメントとは、従業員が仕事に対して「どのくらい前向きで充実した心理状態にあるか」「どのくらい活力を持ちながら主体的に取り組んでいるか」といった心理状態を示す概念です。
厚生労働省は働きがい向上の観点から、ワークエンゲージメントを重要な概念として紹介しており、多くの企業が注目しています。これは、ワークエンゲージメントを高めることで次のような成果につながりやすいからです。
・生産性の向上
・離職率の低下、人材定着の促進
・顧客満足度の向上
・コミュニケーションの活性化
・自律的に挑戦する風土の醸成
人材確保が難しくなるなか、ワークエンゲージメントを高め、従業員が意欲的に働ける環境をつくることは、企業にとって重要な経営課題だと言えます。
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ワークエンゲージメントの尺度は3つの要素からなる
「ユトレヒト・ワーク・エンゲージメント尺度(UWES)」は、ワークエンゲージメントの測定に広く用いられている尺度です。UWESは、「活力」「熱意」「没頭」の3要素を測定するもので、これらが高いほど、仕事に前向きに取り組めている状態と判断されます。
・活力(Vigor)
仕事中にエネルギーを感じ、困難な状況でも粘り強く取り組める状態です。疲弊感が少なく、主体的に行動することができます。
・熱意(Dedication)
自分の仕事に意義や誇りを感じ、やりがいを持って取り組んでいる状態です。仕事への愛着や使命感が含まれます。
・没頭(Absorption)
仕事に深く集中し、時間を忘れるほど取り組めている状態です。高い集中力により、成果や創造性が高まりやすくなります。
たとえば、「活力」はあっても仕事の意義を感じられない場合、「熱意」が不足している可能性があります。ワークエンゲージメントを高めるためには、3要素を総合的に高めることが重要です。
ワークエンゲージメントスコアの平均値
ワークエンゲージメントは、UWESによって測定され、0~6点でスコア化されるのが一般的で、国ごとの比較も行われています。国内研究では、日本のワークエンゲージメントの平均値は「2.5~3.0」前後で、欧米諸国と比べて相対的に低めに出る傾向が報告されています。
一方、北欧諸国などでは「3.5」以上となる例も見られます(ただし、尺度の種類や調査対象によって数値は変動します)。
こうしたワークエンゲージメントスコアの差は、働き方や文化的背景が影響している可能性があると考えられています。
・日本:謙遜傾向があり、自己評価を控えめに回答しやすい。
・欧米:自己肯定的に回答しやすく、高めのスコアが出やすい。
・北欧:裁量権や心理的安全性が高く、高水準になりやすい。
こうした違いがあるため、自社のワークエンゲージメントを海外平均と比較して一喜一憂する必要はありません。それよりも、自社のワークエンゲージメントの変化を継続的にチェックすることで課題を把握し、組織改善につなげることが重要です。
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ワークエンゲージメントが低い職場の特徴
ワークエンゲージメントが低い職場の特徴としては、次のような点が挙げられます。
・コミュニケーション不足
上司・部下間や部署間の対話が少なく、相談や意見交換がしづらい環境です。孤立感が生まれやすく、心理的安全性も低い傾向があります。
・評価や処遇への不満がある
人事評価の基準が不明確で、努力や成果が正当に認められない職場です。納得感を得られず、仕事への意欲が下がりやすくなります。
・業務負荷が大きい・偏りがある
特定の従業員に業務が集中し、慢性的な長時間労働や人手不足が起きている状態です。従業員が疲弊し、活力が失われやすくなります。
・成長機会が少ない
挑戦の機会が乏しく、キャリアビジョンを描きにくい環境です。将来への期待感が持てず、熱意が低下しやすくなります。
・組織の目的が共有されていない
経営方針や目的が現場まで浸透していない職場です。自分の業務が何につながるのか分からず、没頭感を得にくくなります。
ワークエンゲージメントの向上が企業にもたらすメリット
ワークエンゲージメントの向上は、従業員の意欲を高めるだけでなく、企業全体の成果にも直結します。生産性向上や離職率低下、採用力強化など、ワークエンゲージメントの向上が企業にもたらす代表的なメリットを見ていきましょう。
メリット① 生産性の向上
ワークエンゲージメントが高い従業員は、自ら考えて行動し、仕事に前向きに取り組む傾向があります。そのため、指示待ちではなく主体的に業務を進められ、業務効率や仕事の質が高まりやすくなります。
さらに、困難な課題にも粘り強く対応し、改善提案や工夫も生まれやすくなります。個人のパフォーマンス向上が積み重なることで、組織全体の生産性向上につながることは、ワークエンゲージメントが向上する大きなメリットだと言えるでしょう。
メリット② 離職率の低下
仕事にやりがいや誇りを感じられない職場では、従業員が将来に不安を抱きやすく、離職につながりやすくなります。一方で、ワークエンゲージメントが高い職場では、仕事への納得感や組織への愛着が育まれやすく、長く働きたいという意識が高まります。
上司との信頼関係や適正な評価、成長機会が整っていれば、従業員の定着率はさらに高まります。こうして離職率の低下が期待できることは、ワークエンゲージメントが向上するメリットの一つです。
メリット③ 採用力の強化
近年の若手人材は、給与・待遇だけでなく、働きがいや職場環境も重視して企業を選ぶ傾向があります。ワークエンゲージメントが高い企業は、従業員がいきいきと働く姿や前向きな組織風土が社外にも伝わりやすく、企業イメージ向上につながります。
口コミサイトやSNSにおける評価・印象も良くなり、応募者数の増加や採用の質向上が期待できます。ワークエンゲージメントが向上することで採用力を強化できることは、中長期的な人材確保の観点でも大きなメリットだと言えるでしょう。
メリット④ 業績の向上
ワークエンゲージメントの高い組織では、一人ひとりの従業員が高い意欲を持って業務に取り組むため、成果につながりやすくなります。生産性向上や顧客対応品質の改善、チーム連携の強化などが積み重なることで、売上・利益の拡大につながる可能性があります。
加えて、主体的に課題解決に動けるため、変化への対応力も高まります。組織全体としての業績向上や持続的な成長につながることは、ワークエンゲージメントの向上によってもたらされる重要なメリットです。
メリット⑤ イノベーションの促進
ワークエンゲージメントが高い職場では、従業員が「もっと会社を良くしたい」「より良い商品・サービスを生み出したい」といった意識を持って働いています。そのため、業務改善のアイデア創出、新商品・新サービスの提案、部門を越えた連携が活発になります。
失敗を恐れず挑戦できる風土があれば、変化の激しい市場でも競争優位を築きやすくなります。こうしたイノベーションを促進できることも、ワークエンゲージメントの向上によってもたらされるメリットの一つです。
ワークエンゲージメントを高める方法
ワークエンゲージメントを高めるためには、組織全体で従業員が意欲的に働ける環境をつくることが重要です。理念・ビジョンの浸透、評価制度の見直し、コミュニケーションの促進など、ワークエンゲージメントを高める方法について解説します。
高める方法① 理念・ビジョンの浸透
ワークエンゲージメントを高める方法の一つが、理念・ビジョンの浸透です。会社が目指す方向性や社会的使命が伝わると、従業員は自分の仕事の意味を理解しやすくなります。
理念・ビジョンの浸透を図るためには、ただ単に発信するだけでなく、管理職が日々の業務と理念・ビジョンを結び付けて説明することが重要です。
「この業務が顧客満足にどうつながるか」を理解できるだけでもワークエンゲージメントが高まり、仕事への取り組み方が変わってきます。
高める方法② 評価制度の見直し
評価制度の見直しも、ワークエンゲージメントを高める方法の一つです。努力しても正当に評価されない職場では、従業員の意欲は低下しやすくなります。評価基準や昇進条件を明確にし、成果だけでなく挑戦行動やチーム貢献も評価対象にすることが重要です。
また、評価結果を伝える面談では、課題を指摘するだけでなく、強みや期待を伝えることで従業員の納得感が高まります。評価制度そのものと運用の両面を改善することが、ワークエンゲージメントを高めるポイントです。
高める方法③ コミュニケーションの促進
コミュニケーションの促進は、ワークエンゲージメントを高める方法として効果的です。上司や同僚とのコミュニケーションが不足していると、孤立感や不安が生まれやすくなり、ワークエンゲージメントも低下します。
1on1面談など、業務の進捗だけでなく悩みやキャリアについて相談できる場を設けるのは一つの手です。また、部署を越えた交流会・勉強会を実施したり、雑談が生まれるカフェスペースを設けたりすることも、コミュニケーションの促進につながります。
高める方法④ 成長機会・キャリア支援の充実
成長機会やキャリア支援を充実させることも、ワークエンゲージメントを高める方法として重要です。人は自身の成長を実感できると、仕事への意欲や主体性が高まりやすくなります。
たとえば、研修制度や資格取得支援、ジョブローテーション、社内公募制度などを整備することで、従業員のスキル向上や挑戦機会の拡大につながります。
また、面談を通じて将来のキャリアビジョンを確認し、必要な経験・スキルを一緒に整理することも大切です。
高める方法⑤ 主体性を促すマネジメント
ワークエンゲージメントを高める方法として、従業員の主体性を促すマネジメントも大切です。上司が細かく指示を出すなど過度に管理すると、従業員は受け身になりやすく、ワークエンゲージメントの低下につながるおそれがあります。
目標や役割を明確に示したうえで、業務の進め方には一定の裁量を持たせることが重要です。さらに、改善提案や意思決定の場に参加してもらうことで当事者意識が高まり、主体的な行動を促しやすくなります。
高める方法⑥ 働きやすい職場環境・制度の整備
働きやすい職場環境や制度の整備も、ワークエンゲージメントを高める方法として欠かせません。業務量の適正化、休暇取得の促進はもちろん、テレワークやフレックスタイム制度の導入、時短勤務など、柔軟な働き方を選べる仕組みも有効です。
また、社内相談窓口の設置、メンタルヘルス支援、休職・復職支援制度の整備を進める企業も増えています。こうした制度は導入するだけでなく、管理職が活用を後押しし、誰もが気兼ねなく利用できる雰囲気をつくることが重要です。
ワークエンゲージメントの向上施策に取り組むステップ
ワークエンゲージメントの向上施策は以下のような流れで進めるのが一般的です。
●ステップ1:現状把握
エンゲージメントサーベイや1on1面談、離職率・残業時間などの人事データを活用し、自社の現状を把握します。部署ごとの差や課題の背景まで確認することで、優先的に取り組むべきテーマが明確になります。
●ステップ2:課題分析・アクションプラン作成
現状把握の結果をもとに、評価制度の不公平感、上司との対話不足、成長機会の不足などの課題を整理します。そのうえで、目的・担当者・期限・KPIを定めたアクションプランを作成します。
●ステップ3:施策実行
研修制度の拡充、理念浸透、働き方改革など、計画した施策を実行します。現場任せにせず、経営層や管理職が率先して関与することが重要です。
●ステップ4:検証・改善
施策実施後は再度サーベイや面談を行い、数値や現場の声を確認します。成果や課題を分析し、施策内容を改善しながらPDCAサイクルを回すことで継続的にワークエンゲージメントの向上を図ります。
ワークエンゲージメントを測定する方法
ワークエンゲージメントを高めるには、まず現状を正しく把握する必要があります。感覚だけで判断せず、アンケートやサーベイなどで現状を可視化することが重要です。ワークエンゲージメントを測定する代表的な方法をご紹介します。
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サーベイとは?意味やリサーチ・アンケートとの違い、種類、実施ポイントを解説
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測定方法① UWESによるアンケート測定
UWES(ユトレヒト・ワーク・エンゲージメント尺度)は、ワークエンゲージメントを測定する代表的な尺度であり、国内外で広く活用されています。
「活力」「熱意」「没頭」の3要素について複数の設問に回答してもらい、その結果をもとに仕事への前向きな心理状態を数値化します。
長年にわたり研究・検証が重ねられており、妥当性や信頼性が確認されているのがUWESの大きな特徴です。9項目版や17項目版など複数の形式があり、比較的短時間で実施できるため、定期的な調査にも適しています。
●メリット
・学術的な裏付けがあり、信頼性・妥当性が高い
・継続的に実施しやすく、経年変化を追いやすい
・部署別・職種別など組織単位で比較しやすい
・根拠あるデータをもとに改善施策を検討できる
測定方法② 従業員サーベイ・エンゲージメント調査
従業員サーベイ・エンゲージメント調査は、自社独自の設問や外部サービスを活用し、従業員の意識や職場環境を幅広く把握する調査です。
ワークエンゲージメントの状態だけでなく、上司との関係性、評価制度への納得感、成長実感、心理的安全性、組織風土、コミュニケーション状況など、多面的に現状を把握できます。
質問項目の自由度が高く、自社の経営課題や人事課題に合わせて設計できるのが特徴です。組織変革を推進したい企業や、人事戦略と連動させたい企業に適しています。
●メリット
・ワークエンゲージメント以外の要素も含めて多面的に把握できる
・自社の課題に合わせて設問を柔軟に設計できる
・部署別・年代別・役職別など詳細な比較分析がしやすい
・組織改善施策や人事戦略に直結させやすい
測定方法③ 1on1面談・インタビュー
1on1面談やインタビューも、ワークエンゲージメントの測定に活用されることがあります。上司との定期的な1on1面談や、人事担当者による個別ヒアリングを通じて、仕事へのやりがい、不満、将来への不安、キャリア希望、職場の人間関係などを丁寧に把握します。
アンケートには表れにくい感情や数値だけでは把握しにくい本音、個別事情に基づく課題などを把握できるのが特徴です。従業員が「話を聞いてもらえている」と感じることで、ワークエンゲージメントそのものの向上につながる場合もあります。
●メリット
・数値では見えにくい本音や感情面を把握できる
・離職リスクや不満の兆候を早期に察知しやすい
・個別事情に応じた具体的な対応策を検討しやすい
・上司・会社への信頼感向上につながりやすい
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まとめ
ワークエンゲージメントは、従業員が仕事に前向きな意欲を持ち、活力ややりがいを感じながら働いている状態を指します。ワークエンゲージメントを高めることができれば、生産性向上、離職率低下、採用力強化、業績向上、イノベーション促進など、企業に多くのメリットがもたらされます。
ワークエンゲージメントを高めるためには、理念・ビジョンの浸透、評価制度の見直し、コミュニケーションの促進、成長機会・キャリア支援の充実、主体性を促すマネジメント、働きやすい環境整備などを総合的に進めることが重要です。
サーベイや面談を通じて現状を把握し、継続的に課題を解決することが、ワークエンゲージメントの高い組織づくりにつながります。





