株式会社リンクアンドモチベーション(本社:東京都中央区、代表:小笹芳央、証券コード:2170)は、
全国7自治体・19,641名を対象に、自治体職員のエンゲージメントと退職率・休職率の関連性に関する調査(令和7年度)を実施しましたので、その結果を報告いたします。

■ 調査の背景
地方自治体における職員の退職者および休職者の増加は、組織運営における重大な課題となっています。総務省の調査によれば、地方公務員の受験者数は過去10年で約28%減少しており、減少傾向が続いています(※1)。また、地方公務員(一般行政職)の退職者数は増加傾向にあり、特に40歳未満の若手・中堅層において顕著に増加していることが明らかになっています(※2)。
長年にわたり組織変革や人材獲得に投資を続けてきた民間企業との「組織としての魅力」の格差は拡大しており、民間企業への人材流出や他自治体への転職増加など、人材不足のさらなる深刻化が懸念されます。
また、長期病休者(休職者)数は年々増加傾向にあり、人材不足への対応のみならず、休職期間中の給与や手当(傷病手当金等)の支給に伴う財政負担の観点からも、一刻の猶予もない状況です。
こうした状況下において、安定的な行政サービスを継続して提供するためには、職員のエンゲージメント向上を図り、退職者および休職者の増加を抑制することが極めて重要です。
一方で、自治体組織における先行事例の少なさから、新規施策の立ち上げや予算申請の際に投資対効果(ROI)の説明を求められ、対応に苦慮しているという声も多く寄せられていました。
こうした問いに応えるべく、当社では令和7年度に全国7自治体・19,641名を対象に、「自治体におけるエンゲージメントと退職率・休職率の関連性」に関する分析を実施しました。
※1 総務省「地方公務員における働き方改革に係る状況―令和5年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果の概要―」(2024年)
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei11_02000238.html
※2 総務省「地方公務員の退職状況調査」(2013~2024年度)
■ 調査概要
調査機関(調査主体):株式会社リンクアンドモチベーション 行政組織変革室
対象組織:令和7年度に当社サーベイを実施し、調査協力に同意いただいた全国7自治体(所属職員総数:19,641名)の組織群
退職率算出方法:令和7年度中に普通退職(自己都合退職)した職員数 ÷ 令和7年度初に在籍していた職員数
休職率算出方法:令和7年度中に休職した職員数 ÷ 令和7年度初に在籍していた職員数
分析方法:エンゲージメントスコアを5点刻みで分類した6つの組織群に対し、群別に休退職率(退職率+休職率)を算出。さらにこれら6群を下から2群ずつ括り、「低群」「中群」「高群」の3区分に再分類した。
また、上記で分類した各群における各種項目の「満足度」を算出し、職員が重視する期待度と実際の満足度との乖離を示す「未充足度(期待度-満足度)」を導き出し、全体傾向との比較分析を実施。
■ 調査結果

エンゲージメントが高い組織ほど、休退職率が低い傾向(統計的有意差あり)
また、エンゲージメントスコアの水準ごとに満足度を分析した結果、以下の知見が得られました。
【全群共通の強み】
全水準の組織に共通して満足度が高い項目は、上司による「部下理解」「適切な支援や評価」といった上司行動に関する項目でした。低エンゲージメント組織でもすべての項目が満足度3.2以上を維持しており、自治体組織全体を通じた強みといえます。
【全群共通の弱み】
一方、全水準で共通して未充足度が高い項目は、人員(ヒト)・設備(モノ)・処遇(カネ)といったリソースに関する項目でした。高エンゲージメント組織でも満足度3.2以下にとどまっており、自治体全体の課題といえます。
【エンゲージメント水準別の分水嶺】
【投資対効果(ROI)試算】
職員数3,000人規模の組織がエンゲージメントスコアを「低位(40-45)」から「高位(55-60)」へ改善した場合、年間で約1億円の人的損耗コスト削減が見込まれます。5年間の累計投資額(約1.5億円)は約1年半で回収できる計算となり、組織エンゲージメントへの投資は将来の財政損失を未然に防ぐ合理性の高い投資判断といえます。
※エンゲージメントスコアは全国平均を「50(Bランク)」とした偏差値
※自治体(本調査対象外含む25団体)の初回平均は「40〜45(CCランク)」
研究結果の詳細は下記ページよりご確認ください。
■ 発行責任者のコメント
本調査では、エンゲージメントが高い自治体ほど「退職率」に加え「休職率」も顕著に低い傾向が確認されました。多くの自治体が職員のメンタルヘルス対策や休職期間中の財政負担に苦慮する中、エンゲージメント向上が人材定着(離職防止)と休職リスク抑制の双方に寄与することが定量的に実証されました。投資対効果(ROI)の説明に悩む現場担当者様にとって、本結果は施策の意義を裏づける強力なデータになると確信しております。
また分析を通じ、自治体が取り組むべき「ヒト・モノ・カネの整備」から「職場内の連携・意思疎通強化」「未来に向けた変革の推進」まで、状態に応じた具体的な課題も判明しました。一過性の調査にとどまらず、現状に合わせた「持続的な実行支援」こそが今、自治体に強く求められています。
一方で、調査を実施したものの改善に至らないという声も耳にします。現場の改善活動が伴わない調査は組織への不信感を助長しかねません。当社は現状把握にとどまらない「実行支援」に注力しており、3年以上継続されている自治体では、初回スコア平均44.1(CC)から最新調査で51.0(Bランク)へ大幅に向上(+6.9pt)しました。一部では若手職員の退職数が減少するなど、具体的な成果も現れています。
今後も官民双方で培った豊富な知見とデータをもとに実効性のある伴走支援を継続し、持続可能な行政サービスの実現に貢献してまいります。

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