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組織開発とは?意味や目的、手順、効果的な手法・フレームワークを徹底解説

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目次[非表示]

  1. 1.組織開発(OD)とは
  2. 2.人材開発と組織開発の違いは何か
  3. 3.組織開発が必要とされる背景とは
  4. 4.組織開発を行うメリット
  5. 5.組織開発を行うデメリット
  6. 6.組織開発の基本的な進め方・手順
  7. 7.組織開発を成功させるためのポイント
  8. 8.組織開発の手法・フレームワーク
  9. 9.組織開発でよくある失敗例
  10. 10.組織開発でよくあるアプローチ
  11. 11.企業の組織開発の成功事例
  12. 12.まとめ
  13. 13.組織開発に関するよくある質問

本記事では、より働きやすく、成果の出る組織づくりのために「組織開発とは何か」「人材開発との違いは何か」「具体的な方法は何か」といったことをご紹介します。

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組織開発(OD)とは

組織開発とは、組織に所属している人自身の手で自組織をよりよくしていくという取り組みです。 組織開発とは「Organization Development」(略してOD)と呼ばれており、元々この考えは、1950年代のアメリカで発展していきました。

今、日本でもこの考え方が注目されています。これまで当たり前であった「終身雇用制度」や「働き手の価値観」に大きな変化が出て来ました。以前までは、生涯同じ会社に従事することが当たり前であったため、同じ会社内でも価値観のズレはほとんど無いようなものでした。

しかし、現在では終身雇用制度に関して大手企業から撤廃する方向にあり、同時に年功序列制度も無くなり始めています。人材流入のタイミングも新卒入社、中途入社、その他様々なものがあり、男性や女性、外国人が多く働く企業も多くあります。

その中で、「働き続けてもポストが無い」「優秀な人材から抜けていく」「給料を上げたくても上げられない」といった多くの問題に直面しています。

「外部のコンサルに頼って自組織をよくする」ではなく、「組織に所属している人自身の手で、自組織をよりよくしていく」という考え方、つまり組織開発が注目されています。

組織開発の歴史

では、組織開発はどのように広まっていったのでしょうか。組織開発は1950年代からアメリカで発展していきました。その発展のきっかけになったのがディジタル・イクイップメント社の事例です。

同社の、「組織開発による大きな事業成長」が実現した事で、「組織開発」に注目が集まりました。ディジタル・イクイップメント社は、トランジスタという機器を使ったコンピュータの研究開発を行っている企業です。

創業者のオルセン氏が経営をしていましたが、上手くいかなくなったタイミングで、組織開発の先駆者であるエドガー・H・シャイン氏にアドバイスを求めました。心理学、行動科学、キャリアなどの知識を活用したエドガー・H・シャイン氏の助言を経営に取り入れた結果、同社は大きく変化しました。

それ以前は、創業者のオルセン氏が方針を考え、指示し、それを元に行動する傾向が強い組織でした。しかし、組織開発のノウハウを取り入れることで、現場からの意見を汲み取る組織に変化していきました。

その結果、現場のエンジニアのアイデアを製品に活かす事で、より顧客に選ばれる商品を生み出すことに成功し、事業が大きく成長しました。

まさしく、組織開発が事業に大きなインパクトを与えた好事例と言えるでしょう。それ以降、現在に至るまで組織開発のノウハウや、成功事例は数多く生み出されてきています。

組織開発の目的

組織開発の目的は、「組織を環境に適応しながら、事業成果に繋げること」です。

つまり、環境の変化に素早く適応できる組織を戦略的に作る事がポイントなのです。
市場の変化に適応できなければ事業成果の最大化は図ることができず、時代に取り残されるのが目に見えるでしょう。では、組織を環境の変化に適応させる為には何が必要なのでしょうか?

それはエンゲージメントです。エンゲージメントとは「組織」と「所属する個人」との相思相愛度合いを表します。エンゲージメントが高ければ高いほど、会社の方針を現場に落としやすくなるため、環境変化に柔軟に適応することができるのです。
エンゲージメントを高めるには、エンゲージメントを可視化しPDCAを回す事が重要です。弊社では、エンゲージメントを可視化するツール「モチベーションクラウド」を開発し提供しています。

また、弊社リンクアンドモチベーションと慶應義塾大学ビジネス・スクール岩本研究室の共同研究により、企業と従業員のエンゲージメントを測る指数、エンゲージメントスコアが「営業利益率」「労働生産性」と相関する傾向が見られています。
参考:慶應義塾大学との研究結果を公開~エンゲージメントスコアの向上は営業利益率・労働生産性にプラスの影響~
つまり、エンゲージメントを高めることは、環境の変化に素早く対応できる組織を創ると同時に、成果にも直結すると言えるのです。

加えて、組織開発によって組織が活性化することで職場の風土が改善され、従業員の意欲や愛着が高まる結果、離職率が低下するという効果も期待できます。


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人材開発と組織開発の違いは何か

「組織開発」と似たもので、「人材開発」という言葉があります。「組織開発」と「人材開発」の違いを整理したいと思います。

■人材開発とは

人材開発とは、個々人の能力を伸ばそうとするアプローチのことを指します。人材開発によって従業員のスキルを向上させたり、仕事に対する姿勢を良くしたりすることでパフォーマンスの向上に期待できます。人材開発とは「人」に着手して企業の成果に繋げる考え方です。

■組織開発と人材開発の違い【対象】

人材開発では、組織課題の原因が「人」にあると考えます。そのため、組織課題を解決するために従業員個人の能力やスキル、コンディションに着目していきます。一方、組織開発では、組織課題の原因が「人」ではなく、「人と人との関係性」にあると考えます。そのため、組織課題を解決するために従業員間の人間関係や相互作用に着目していきます。組織開発と人材開発では、課題解決のためにアプロ―チをする対象が異なるということです。

ただし、人材開発によって個々の従業員の能力・スキルが向上したとしても、組織として成果が上がらない場合があります。このように「採用や教育に課題が少なく、優秀な人材がたくさんいるはずなのに成果が上がらない」という場合は、やはり組織開発が選択肢となるでしょう。

■組織開発と人材開発の違い【アプローチ方法】

人材開発では、従業員個人の知識やスキル、考え方などにアプローチしていきます。個々の従業員の能力を伸ばすことで課題解決を図るのが人材開発です。一方で、組織開発は組織内の人と人との関係性を改善したり、相互作用を最大化したりすることで課題解決を図っていく手法であり、根本的なアプローチ方法が異なっています。

たとえば、営業部門の生産性が低いという課題があった場合、人材開発では、営業部門の個々の従業員に対して研修や面談などをおこない、個人としてのレベルアップを目指します。一方、組織開発では営業部門内の従業員の関係性に注目し、コミュニケーションを活性化したり、ワークショップやミーティングを実施したり、上司も含めて配置転換をしたりしながら生産性向上を目指していきます。

■組織開発と人材開発の違い【具体例】


仮に、「従業員のモチベーションが低い」という課題があったとしましょう。この課題に対して人材開発という視点から解決を図る場合は、従業員個人に対してアプローチします。たとえば、モチベーションの低い従業員個人に対して、目標設定やフィードバックを強化するという方法が考えられます。明確な目標を設定し、進捗状況を定期的に評価し、適切なフィードバックを与えることでモチベーションの向上を図ります。また、仕事に対して自信を持てないことがモチベーションの低下につながっているのであれば、研修などスキルアップの機会を提供することで成長を促し、仕事に対する自信を醸成していきます。

一方、組織開発の視点から課題解決を図る場合は、組織全体に問題があると考えてアプローチしていきます。たとえば、コミュニケーションを活性化させたり心理的安全性を醸成したりするなど、組織の風土改革をおこなうのも一つの手です。評価に対する不公平感からモチベーションが低下しているのであれば、人事評価制度を見直すことで課題解決を図ることも考えられます。

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組織開発が必要とされる背景とは

組織開発の重要性が高まっている背景は3つあります。
「事業環境」「労働環境」「社会制約」それぞれの変化に大きく分けられます。
それぞれ簡単に説明していきます。

■事業環境の変化

事業環境には①ソフト化②短サイクル化と呼ばれる2つの変化があります。

①ソフト化

産業全体における比率で第三次産業が高まっています。


つまり、ハードの時代「商品を生み出す設備やそのための資金が必要だった時代」から、ソフトの時代「商品を生み出す優秀な人材が必要な時代」に変化しているということです。経営における重要度が商品から人材へ移り変わっています。

事業成長のポイントが、「設備の充実度」や「商品ブランド」から、「一人一人のアイデア」に移行してきているのです。


②短サイクル化

商品のライフサイクルのスピードが早くなっています。


上図の通り、一度ヒット商品を生み出せば競争優位性を発揮し続ける長期サイクルの時代から、一度ヒットした商品もすぐに陳腐化してしまう短期サイクルの時代に変化していることがわかります。

つまり、ヒット商品を生み出し続ける組織が重要な時代に変化しているということです。このように事業環境では、「ソフト化」「短サイクル化」という2つの変化が起きています。どちらの変化からも、モノよりもヒトの重要度が上がっていることが顕著に表れています。

■働き手の変化

続いて、働き手の変化についてです。下図の通り、生産年齢人口は減少傾向にあります。


このデータから、「企業が人材を採用しにくくなっている」ことがわかります。また同時に働き手の価値観が多様化しており、カネやポストを求める時代から、やりがいや自己成長を求める時代へ変化しています。

日本においては終身雇用制度があったため、働き手と会社側で相互に束縛する関係が成立し続けていました。しかし、先述した通り、終身雇用制度が撤廃される中、そのような関係は崩壊しつつあります。

働き手は自分に適した企業を選び、一方企業はやりがいなどを働き手に提供するというような関係に変わってきています。

企業と個人は、相互束縛関係から相互選択関係へと変化しているのです。働き手がカネやポストではなく、やりがいを求めるようになっていることを考えると、企業も一層「従業員から選ばれる理由」を強めることが重要になってくるでしょう。

■社会的制約の増大

また、社会の変化や要請による働き手と企業の変化も起こりうると考えられます。

①働き手側への制約

直近だと新型コロナウイルスの影響により、生活環境の変化により働き方の対応や、キャリアへの意識変化がこれまでより更に大きくなっています。

②企業側への制約

もちろん、企業側にも制約が生じます。

例えば、リモートワーク環境下により社員間のコミュニケーションや労働時間の管理に多くの企業は課題を感じています。加えて、最近は新卒採用が主流ではなくなり、ジョブ型採用、フリーランス等も世間で一般的になってきています。

今後、このような企業を取り巻く環境の変化により、様々な働き方や価値観を持ち合わせた従業員を束ねることが、事業成長における重要なポイントです。

組織開発を行うメリット

組織開発にはさまざまなメリットがありますが、特に「生産性の向上」と「多様性の受容の浸透」が注目されています。以下、それぞれのメリットについて詳しく説明します。

生産性が向上する

組織開発を進めることで、最も注目すべきメリットの一つが生産性の向上です。組織開発では、働く人々の能力を最大限に引き出し、その能力を組織全体で効果的に利用することを目指します。具体的には、業務プロセスの最適化、チームワークの強化、目標設定と達成への明確な道筋の設定などが含まれます。

これらの取り組みにより、従業員は自分の役割をより明確に理解し、効率的に業務を遂行することができるようになります。結果として、時間とリソースの節約につながり、全体としての生産性が飛躍的に向上するのです。

多様性の受容が浸透する

組織開発のもう一つの重要なメリットは、多様性の受容が浸透することです。現代のビジネス環境では、多様な背景を持つ人材が集まることが多く、それぞれの異なる視点やスキルが組織の強みとなり得ます。

組織開発を通じて、これらの多様な才能を認め、活用する文化を育成することが可能です。多様性を受け入れることで、新しいアイデアや革新的な解決策が生まれやすくなり、組織の柔軟性と適応能力が高まります。また、従業員の満足度も向上し、より長期にわたって優秀な人材を確保することにも繋がります。このように、多様性の受容は組織の競争力を高める重要な要素となるのです。

組織開発を行うデメリット

組織開発は多くのメリットをもたらしますが、一方で注意すべきデメリットも存在します。特に「目的を見失いやすい」と「長期的な取り組みが必要になる」の二点は、組織開発を進める際に考慮すべき重要な課題です。

目的を見失いやすい

組織開発のプロセスでは、多くの変更が同時並行で進行することがあります。この過程で、最初に設定した目的や目標を見失いやすくなることが一つのデメリットです。特に大規模な変革を行う場合、多くのステークホルダーが関与し、それぞれ異なる期待や要求を持っていることがあります。

これにより、プロジェクトの焦点がぼやけ、元々の目的から逸脱する可能性があります。また、途中で目標が曖昧になったり、変更されたりすると、従業員のモチベーションやプロジェクトへのコミットメントが低下する恐れもあります。

長期的な取り組みが必要になる

組織開発は一朝一夕に成果が出るものではありません。根本的な変化をもたらすためには、長期的な視点での取り組みが必要です。この長期間にわたるプロセスは、組織と従業員にとって大きなエネルギーとリソースを要求するため、途中での疲弊や意欲の低下が起こり得るデメリットとなります。

また、長期間に渡る取り組みは、市場環境や組織の戦略の変化に柔軟に対応することを困難にする場合もあります。これにより、組織開発の方針が現状に即していない場合、その修正にも時間がかかることがあります。

組織開発の基本的な進め方・手順

組織開発は基本的に以下のプロセスで進めていきます。

①目的の明確化
②現状把握と課題抽出
③アクションプランの策定・実行
④検証とフィードバック
⑤全社展開
それぞれのプロセスについてご説明します。

手順①目的の明確化

組織開発の取り組みは、第一に目的を明確にすることからスタートします。何となく組織状態が良くないからという理由だけで、目的を明確にしないまま組織開発を進めても効果を得るのは難しいでしょう。組織改革はその組織の理想を叶える手段なので、「どのような組織を理想とするのか?」「どのような組織を目指すのか?」ということを具体的にしていきます。

手順②現状把握と課題抽出

組織開発の目的を明確にしたら、組織の現状把握と課題抽出をおこないます。現状把握は、従業員へのアンケート調査やヒアリングなどを通しておこなうのが良いでしょう。いずれにしても、事実をベースに組織の現状を把握することが重要です。組織の現状把握ができたら、課題を抽出していきます。組織課題は多くの場合、シンプルではなく様々な要因が絡み合っているものです。そのため、多角的・複合的な検証をおこない、何が課題なのかを正確に捉えることが重要です。

手順③アクションプランの策定・実行

課題を抽出できたら、課題解決のためのアクションプランの策定・実行に移りましょう。アクションプランを策定・実行する際のポイントは、スモールスタートを前提にすることです。たとえば、今のミーティングのやり方を少し変えたり、特定の部門に限定してワークショップをおこなうなど、小規模な施策から着手しましょう。スモールスタートにしたほうがアクションプランの効果測定が容易になりますし、短期で成果が見えるためフィードバックしやすくなります。

手順④検証とフィードバック

アクションプランを実行したら、検証とフィードバックをおこないます。アクションプランの結果、「具体的にどのような成果が出たのか?」「課題はどの程度解決できたのか?」「成果が上がった場合は、何が良かったのか?」「成果が上がらなかった場合は、次回の取り組みに向けて何を改善すべきか?」といったことを考察し、関係者にフィードバックします。

手順⑤全社展開

アクションプランを繰り返し、ある程度の手応えが得られるようになったら、組織開発の取り組みを全社展開していきます。この際、マニュアルを整備して周知したり、特に効果があった取り組みを成功事例として共有したりすることでスムーズに取り組みを拡大することができます。全社展開した後も、継続的に検証・フィードバックをしていく必要があるので、検証・フィードバックを効果的におこなえる仕組みを構築しておくことも重要です。

組織開発を成功させるためのポイント

組織開発は、適切な戦略とプロセスに基づいて行われることで、組織の効率化、生産性の向上、そして従業員の満足度の向上に大きく貢献します。ここでは、組織開発を成功させるための重要なポイントをいくつか紹介します。

熱意のある従業員を選定する

組織開発の成功には、熱意とモチベーションを持った従業員の選定が不可欠です。変革の主導者となる従業員は、プロジェクトに情熱を持ち、周囲を巻き込むことができる人物であるべきです。

彼らは変化を推進するための推進者であるとともにロールモデルとなり、他の従業員に対してもポジティブな影響を与えます。選定された従業員は、変革のビジョンを組織の中で共有し、組織全体にその必要性を伝えることができるため、プロジェクトの成功に大きく寄与します。

熱意のある従業員を選定する際には、公募式にする、推薦式にする、エンゲージメント状態を把握するなど様々な方法があるため、自社に合った方法を検討しましょう。

イメージのしやすい目標を設定する

組織開発における目標設定は、具体的でイメージしやすいものであるべきです。目標は明確かつ測定可能であり、達成時の具体的な結果や影響を視覚化できるようにすることが重要です。

このようにすることで、従業員は目標に向けた自身の役割や貢献を理解しやすくなり、モチベーションの維持や向上につながります。また、目標が具体的であればあるほど、進捗の追跡と管理がしやすくなり、適時に必要な調整を行うことが可能になります。

目標設定の際には、SMARTの観点を用いたり、ビジュアルを用いたりといった工夫をすることで、そのイメージ度合いを高めることができます。

上層部も積極的に関わる

組織開発の成功には、上層部の積極的な関与が欠かせません。経営陣やリーダー層が変革に対してコミットし、サポートすることで、プロジェクトへの信頼性と正当性が増します。

上層部が変革の重要性を認識し、プロジェクトへの資源やサポートを提供することは、組織全体にポジティブなメッセージを送ることになります。また、上層部が定期的にプロジェクトの進捗を確認し、必要に応じて方針の調整や励ましを行うことも重要です。

「組織変革のトリガーはトップが引く」といった言葉もあります。そのため、自社で組織変革を狙う場合には上層部も現場も巻き込んだ体制をとることが重要です。

メンバー同士で協力して取り組む

組織開発はチームワークに基づく取り組みです。プロジェクトメンバー間での協力とコミュニケーションは、プロセスの透明性を高め、信頼関係の構築に寄与します。メンバー同士で知識やスキルを共有し、お互いの強みを活かすことで、より効果的で創造的な解決策が生まれることがあります。

また、困難な状況や課題に直面した際にも、メンバー間のサポートがあれば乗り越えやすくなります。ここでのポイントは、ポジティブな情報だけではなく、ネガティブな情報も共有できるような心理的安全性の高い状態を作ることです。

効果測定を行いPDCAを回す

組織開発の成果を最大化するためには、効果測定とPDCAサイクル(Plan-Do-Check-Action)の適用が必要です。目標に対する進捗を定期的に測定し、その結果を分析することで、プロジェクトの方向性や戦略を適時に修正できます。

PDCAサイクルを効果的に回すことで、組織開発のプロセスは継続的な改善を遂げることができ、長期的な成功につながります。また、効果測定は従業員へのフィードバックとしても機能し、モチベーションの維持やスキル向上に役立ちます。

PDCAを効果的に回すためには、指標設計・会議体設定・管理帳票作成が肝となるため、それぞれが整っているかを確認しましょう。

組織開発の手法・フレームワーク

組織開発の際によく用いられる手法・フレームワークとしては、以下のようなものが挙げられます。自社に合いそうな手法・フレームワークを見極めて活用していきましょう。

ミッション・ビジョン・バリュー
・OKR
・コーチング

・チームビルディング
・アクション・ラーニング
・フューチャーサーチ
・ワールドカフェ
・アプリシエイティブ・インクワイアリー(AI)
・ナレッジマネジメント
・サーベイ・フィードバック
・ファミリー・トレーニング
・1on1

ミッション・ビジョン・バリュー

ミッション、ビジョン、バリューは、組織の基盤を形成し、その方向性とアイデンティティを定義する重要な要素です。

ミッションは、組織が存在する根本的な理由を表します。これは、「何をするか」という組織の目的を示し、日々の業務の基礎となります。ミッションは組織の目指すべき具体的な目標を提供し、従業員に明確な方向性を与えます。

ビジョンは、組織が将来達成したいと願う理想の状態を描くものです。これは、「どこへ向かうか」を示し、長期的な目標や夢を反映します。ビジョンは従業員にインスピレーションを与え、モチベーションを高めることに貢献します。

バリューは、組織が重視する価値観や原則です。「どのように行動するか」を定義し、組織文化の核となります。バリューは、意思決定のガイドラインを提供し、組織内の一貫性と結束を促進します。

▼ミッション・ビジョン・バリューについて詳しくはこちら
理念とは?意味や浸透させることの効果、経営理念と企業理念、ビジョンやミッションの違いなどを解説!

OKR

OKR(Objectives and Key Results)は、組織や個人の目標を設定し、達成度を測定するためのフレームワークです。この方法論は、具体的な目的(Objectives)とそれを達成するための主要結果(Key Results)から構成されます。目的は野心的かつ刺激的であるべきで、主要結果は量的に測定可能な指標で示されます。

一方、MBO(Management by Objectives)は、目標に基づく管理手法です。MBOは、組織の目標と個人の目標を一致させることに重点を置き、従業員と管理者が共同で目標を設定し、その達成度を定期的に評価するプロセスです。

OKRとMBOはいずれも目標達成を促進する手法ですが、OKRはより短期的で柔軟性が高く、急速な変化に対応しやすい特徴があります。

▼MBO・OKRについて詳しくはこちら
MBOとは?OKRとの違い、実際の運用に関するメリット・デメリットを解説

コーチング

コーチングとは、対話によって対象者の能力やモチベーションを引き出すことで成長を促したり、主体性を伸ばしたりするコミュニケーション手法です。コーチングの最大の特徴は、対象者の自発性を促すことです。目標達成に向けて行動を強制するのではなく、対話を重ねることで対象者がポテンシャルを発揮できる状態へと導き、自己成長を促していきます。コーチングは一般的には人材開発に分類される手法ですが、近年では組織全体の目標達成にもつながることから組織開発の手法としても注目を集めています。

コーチングでは、上下関係にとらわれず、トレーナーと対象者が肩を並べながら目標に向かう姿勢が重要です。その他、以下のようなポイントが重要だとされています。

・手取り足取り教えるのではなく、自分で考えさせること

・対象者が行き詰まっている場合は、異なる視点を示すこと

・共に目標達成に向かう姿勢を示すこと

コーチングに関しては、以下の記事で詳しく解説しています。

>> コーチングとは?仕事における意味や効果的なやり方などを解説
https://www.motivation-cloud.com/hr2048/c230

チームビルディング

チームビルディングとは、一人ひとりのメンバーが自らのスキルや能力を最大限に発揮して、目標を達成できるチームを作りあげる取り組みのことです。チームビルディングでは、共通の目的に対して認識を揃えること、円滑なコミュニケーションのための心理的安全性を高めること、協働意思を高めるための相互理解を深めることなどが重要なポイントだと言われます。チームの目的を共有し、目的達成に向けてメンバー間のサポートを強化する過程で各メンバーの役割を明確化したり、円滑なコミュニケーション方法を開発したりしていきます。

チームビルディングに関しては、以下の記事で詳しく解説しています。

>> チームビルディングとは?目的やメリット・パフォーマンス向上の取り組み事例もご紹介
https://www.motivation-cloud.com/hr2048/c241

アクション・ラーニング

アクション・ラーニングとは、現実の課題をケースとしてその解決に取り組むグループワークの一種です。グループを組んで現実の課題に対処し、その解決策を立案・実施していく過程で生じる実際の行動とそのリフレクション(振り返り)を通して、個人や組織の学習する力を養成していきます。現実の課題を題材にするため、よりリアルな学習ができることや、個人の能力開発だけでなく組織力の強化にもつながることがアクション・ラーニングのメリットだと言われます。

フューチャーサーチ

フューチャーサーチとは、大規模なダイアローグ(対話)によって組織開発を進める方法論の一つです。テーマに関するステークホルダーが一堂に会し、対立や利害の不一致を超えて、より望ましい未来への合意とアクションを探求していきます。たとえば、ある組織課題を解決するために当事者である従業員だけでなく、顧客や取引先など、利害関係のあるすべての人を集めて対話を重ねるのがフューチャーサーチの大きな特徴です。お互いがそれぞれの立場から意見を出しつつ、すべての参加者が合意できるような「共通の価値」を探していきます。組織外の人も話し合いに参加することで、社内の従業員だけでは出てこない意見も集まり、それが組織開発の大きなヒントになることも期待できます。

ワールドカフェ

ワールドカフェとは、少人数に分かれたテーブルで自由な対話をおこない、他のテーブルとメンバーをシャッフルして対話を続けることにより、参加者全員の様々な意見・アイデアを集める対話手法の一つです。各参加者が対話を通して気づきを得ることが、ワールドカフェの主な目的です。

参加者は4~5人のグループに分かれ、テーブルごとに対話を進め、1ラウンド(15分~20分)が終了したら、メンバーをシャッフルして2ラウンドをスタートします。まるで「カフェ」にいるかのようなリラックスした雰囲気で、自由な意見を出し合うのがワールドカフェの特徴で、少人数で対話をおこなうこともあり、相手の意見を聞きやすく、自分の意見も言いやすいというメリットがあります。

アプリシエイティブ・インクワイアリー(AI)

アプリシエイティブ・インクワイアリー(AI)とは、「Appreciative(価値を見いだす)」と「Inquiry(問いかけ)」を掛け合わせた言葉で、端的に言えば「問いかけによって価値を見いだす」アプローチ手法のことです。アプリシエイティブ・インクワイアリーでは、組織改善をおこなうとき、組織の課題や問題点ではなく、組織の強みや価値、なりたい姿に目を向けていきます。

具体的には、4つのD(発見:Discover → 夢:Dream → 設計:Design → 実行:Destiny)というプロセスで進めていきます。「発見」のプロセスでは、問いやワークを通して組織の強みや価値を明らかにします。「夢」のプロセスでは、組織の強みや価値をどのように活かし、その結果、どのような組織になっていきたいのかという理想を導き出します。そして、「設計」「実行」のプロセスでアクションプランを設計・実行していきます。ポジティブな感情をアクションの原動力とするのが、アプリシエイティブ・インクワイアリーの大きな特徴だと言えるでしょう。

ナレッジマネジメント

ナレッジマネジメントとは、従業員が持っているナレッジ(知識・知見やノウハウ)を個人のなかだけに留まらせず、組織全体で共有することで、組織の生産性や競争力、企業価値を高めていく手法のことです。組織全体でナレッジを共有できれば、業務効率化による生産性向上だけでなく、新しいアイデア創出の可能性も高まりますし、組織内の連携強化にもつながります。そのため、組織開発の手法としても注目されています。

ナレッジマネジメントに関しては、以下の記事で詳しく解説しています。

>> ナレッジマネジメントとは?重要性や導入手順は?企業事例も紹介
https://www.motivation-cloud.com/hr2048/c260

サーベイ・フィードバック

サーベイ・フィードバックとは、従業員を対象にした調査の結果を管理者や従業員本人にフィードバックすることで、組織改善につなげる手法のことです。従業員満足度調査やエンゲージメント調査などをおこなうことで、現在の従業員の状態や組織の状態を見える化でき、そこから組織課題を抽出することができます。その結果を管理者や従業員にフィードバックすることで、ともに課題解決策を立案・実行していきます。

サーベイを実施することで、漠然と感じていた課題が明確になったり、まったく認識していなかった課題が浮き彫りになったりします。それをフィードバックすることで各メンバーが課題に対して共通認識を持つことができ、主体的な姿勢で解決策を立案・実行することが期待できます。

ファミリー・トレーニング

ファミリー・トレーニングとは、特定の階層を対象とした集合研修ではなく、職場全体や部門全体でおこなう訓練・ワークショップのことです。外部講師を招き、現在の組織が抱える問題や改革すべきポイントにフォーカスして研修やワークショップをおこなうのが一般的です。全員参加で同じ課題に向き合い、解決に向けた意見・アイデアを出し合うことで一人ひとりの従業員の行動変容を促し、組織改善につなげていくのがファミリー・トレーニングの狙いです。

1on1

1on1とは、上司と部下が1対1でおこなう面談のことで、部下の成長をサポートすることを主な目的としています。1on1を通して、上司は部下が「どのようなキャリアを望んでいるのか?」「どのような悩み・課題を抱えているのか?」といったことを把握し、部下を支援していきます。通常、1回の1on1は15〜30分程度で、毎週・隔週・毎月というような短いスパンで繰り返すのが一般的です。人事面談は、評価者である上司から部下への一方通行のコミュニケーションになりがちですが、1on1の主役はあくまでも部下なので、上司には部下の話を傾聴する姿勢が求められます。

組織開発でよくある失敗例

組織開発を行う上で失敗する企業も少なくありません。言い換えると、組織を良くするためのPDCAサイクルのどこかに課題があります。


①組織課題が不明確

正しく課題を把握することなく、勘と経験で課題把握を行っているケースです。全く的外れな課題にアプローチしてしまっているケースも少なくありません。

②改善施策が不適切

効果的な施策が分からず、思いつきで施策立案してしまっているケースです。施策を実行している本人は「やっているつもり」になりますが、実際に成果に繋がることはほとんどありません。

③施策実行が未完遂

やるべき施策は決めたものの、途中で頓挫してしまうケースです。やるべきことをやれていないので、当然このケースも成果には繋がりません。

組織開発でよくあるアプローチ

では、効果的な組織開発とはどのようなアプローチでしょうか。重要なのは、「診断」と「変革」の2つのステップで改善の方法を考えることです。組織開発における「診断」と「変革」の方法について、概要をご紹介します。

■診断

組織開発でまず重要なのは、下記2点です。

  • 適切な課題を発見すること
  • 解決の優先順位を付けること

現場の声を聞く、経験を元に判断する事も時には重要ですが、あくまで企業として目指す姿から見て解決すべき課題が何かを適切に見出すことが効果的です。

組織の現状を見える化し、手をつけるべき優先順位をつけることが重要となります。その方法として、「組織診断サービス」が注目されています。弊社では組織診断サービスとして、「モチベーションクラウド」を提供しています。

モチベーションクラウド」とは、社会心理学を元に「社員が会社や上司、職場に対して求める項目」をもとに、「エンゲージメント」のスコアを算出する組織診断ツールです。

「エンゲージメント」が「従業員満足度」と大きく異なる点は、「社員が会社に満足していること」だけでなく「社員の会社に期待すること」を可視化できる点です。

以下のように、縦軸:期待度(従業員がどれくらい求めるか)、横軸:満足度(従業員がどれくらい満足しているか)の2軸で整理すると、左上の青い領域「期待度(高)かつ満足度(低)」が最も優先的に手をつけるべき課題であることが分かります。


■変革

診断から出た結果を元に変革に向けた施策を実施します。
施策には、「観点」と「ステップ」という二つのポイントが重要になってきます。

①変革に向けた施策の「観点」

施策は主に3つの観点で分類されます。ヒューマンリソースマネジメント、コミュニケーションマネジメント、ルールマネジメントです。

・ヒューマンリソースマネジメント
 人材育成や人材採用のこと

・コミュニケーションマネジメント
 上下階層間や左右機能間のコミュニケーションの担保や、それに伴う信頼醸成のこと

・ルールマネジメント
 評価基準や報酬制度、人材配置や昇格昇進制度等のこと

課題と解決の方針をこれら3つの観点で整理し、実施することが効果的です。


②変革に向けた「ステップ」
変革を効果的に行うためには、その実行ステップが大切です。
代表的なのは、心理学者クルト・レヴィンの唱えた「態度変容の3ステップ」です。

彼は変革を
①Unfreeze(解凍)→②Change(変化)→③Refreeze(再凍結)
の3つのステップに分けています。


例えば、四角い氷を丸くしようとしたときに力尽くで変えようとすると、形はいびつになり、時には割れてしまいます。まずは、①氷を解凍して②丸い容器に入れ、③再び凍らせることできれいな丸い氷にすることができます。

組織変革においても、同様の事が言えます。次に各ステップの詳細を記述します。

①Unfreeze(解凍):「相互不信を解き、期待感を醸成すること」

役割意識や過去慣性などで凍りついた状態を緩和することです。

「自社の問題を直視すること」「関係性の問題が存在すること」「それが解消されることが会社にとっても自分にとっても重要であること」などの意識を醸成し、相互不信を解くことで初めて、変革しやすい状態になります。

②Change(変化):「共感を引き出し、納得感を醸成すること」

変革に向けて「阻害要因は何か」「阻害要因を除去する方法論は何か」「その役割を誰が担うのか」についての議論を行い、具体的な変革へのアクションを明確にすることです。

自らが変革のアクションを考えることで共感を引き出し、アクションに対して納得感を醸成させることで変革へのモチベーションを高めます。

③Refreeze(再凍結):「仕組み化し、変化を実感させること」

起こした変化が元に戻らないように、仕組みを作ることです。
従業員に当事者意識を持たせ、モチベーションを維持し続けられる仕組を設計することがポイントです。

このような3ステップに分けて組織を変革に導くことが大切です。

企業の組織開発の成功事例

組織開発に成功している企業の事例をご紹介します。

株式会社ヤッホーブルーイング

独自の取り組みによって組織開発の成果を上げているのが、長野県・軽井沢にあるクラフトビール製造会社「ヤッホーブルーイング」です。同社は「究極の顧客志向」を掲げており、そのベースになっているのがフラットな組織です。役職や部署、年齢の違いにかかわらず自由に議論をおこなえるフラットな組織をつくることで、スピード感を持って質の高い施策を実行し、革新的な製品・サービスの開発につなげています。

フラットな組織をつくるため、同社ではコミュニケーションの量と質を高める様々な取り組みをおこなっています。

ユニットディレクター立候補制

ヤッホーブルーイングにおける社員の階層は「社長」「ユニットディレクター」「プレイヤー」の3つのみ。部長職に当たるユニットディレクターはすべて立候補によって決定されます。年に一度、プレゼン大会を実施し、若手からベテランまで、自ら立案した経営戦略や事業計画を全スタッフの前で発表します。スタッフからのアンケートなどを基に次期ユニットディレクターが決定します。立候補する側もプレゼンを聴く側も、経営者の視点で全社の戦略を考える場となっています。

意欲重視のプロジェクト制度

課題を発見し、自ら解決したいという意欲の高いスタッフに対し、スキルや経験、所属部門にかかわらずプロジェクトの立ち上げを推奨しています。また、手を挙げれば誰でもプロジェクトに参加することができます。日頃は一緒に仕事をしないスタッフ同士で仕事をすることで、普段の業務におけるコミュニケーションも円滑になっています。

スタッフ全員の資質を共有

個々のスタッフの強みを生かしながらチームで仕事をするために、米ギャラップ社が開発した「才能=強みの元」を見つけ出す診断ツール「ストレングスファインダー」を全スタッフに実施しています。34個に分類された資質のうち上位5つの資質を社内で共有することで、いつどんなチーム構成になったときでもお互いの強みを把握できるようにしています。

ニックネーム制度

役職や年齢、性別にかかわらず言いたいことを言える雰囲気をつくるため、スタッフ同士をニックネームで呼び合う制度を取り入れています。スタッフ同士の距離を縮め、よりフラットな関係性を構築するのに役立っています。

「あえて仕事の話をしない」朝礼

毎朝30分、社長、管理職、パートスタッフなど立場にかかわらず全員が参加する朝礼を実施し、一人ずつ「仕事と関係のないくだらない話」をしています。日頃から気軽にコミュニケーションをとることで、業務においてもお互いに意見を言いやすい環境づくりをしています。

※参考:2020年度版日本における「働きがいのある会社」4年連続ベストカンパニー選出 | 株式会社ヤッホーブルーイング コーポレートサイト
https://yohobrewing.com/gptw2020/

ヤフー株式会社

組織開発の代表的な成功事例がヤフー株式会社です。2012年当時、事業を拡大していたヤフーでしたが、組織内のコミュニケーションが停滞し、業務効率や従業員の活力にまで悪影響が及ぶ、いわゆる「大企業病」の兆候が表れ始めていました。そこで、本格的な組織開発に着手します。同社の代表的な取り組みをご紹介しましょう。

ななめ会議

ななめ会議は、役職者を様々な角度から評価する会議です。上司と部下の相互理解を促進する組織開発の手法の一つである「アシミレーション(assimilation)」が元になっています。部下だけでなく関連するメンバーが、役職者の良い点や改善点をフィードバックします。役職者自身が客観的に自分を見つめ直し、行動変容や成長につなげること、また、役職者とメンバーとの相互理解を深めてチーム力を高めることを目的としています。ななめ会議の進め方は、以下のとおりです。

・上司とファシリテーターと参加者がテーブルを囲む
・上司が「私のためにフィードバックをお願いします」と伝えて席を外す
・ファシリテーターが参加者に、上司について「知っていること」「続けてほしいこと」「やめてほしいこと」「やってほしいこと」の4つの質問をする
・参加者はそれぞれの質問に回答する
・回答が出そろったら、上司にフィードバックする内容を決める
・ファシリテーターが上司にフィードバックする
・上司はフィードバックされた内容に向き合い、考えや行動を改善していく

1on1ミーティング

部下が直面している課題解決や目標達成をサポートすることを目的に、週に1回、30分の1on1ミーティングを実施しています。ヤフーの1on1の特徴の一つが、「経験学習」を重視していることです。経験学習とは、仕事での経験や失敗だけでなく、成功からも学びを得ることです。その学びを次の仕事に生かしていくサイクルを繰り返すスキームを完成させることに、同社の1on1のこだわりがあります。

人財開発会議

人財開発会議は、従業員の才能と情熱を解き放つために、直属の上長に加え、関連部署の役職者が集まり、「人財開発カルテ」をもとに一人ひとりの中・長期的な育成方針を話し合う会議です。具体的には、直近1年間でどのような経験を積むのが良いかを議論したうえで、一人ひとりに自らの可能性の気付きを与えるとともに、成長を促す経験の提供や研修の提案につなげています。

※参考:人財育成 - 制度・環境 - 採用情報 - ヤフー株式会社https://about.yahoo.co.jp/hr/workplace/training/

まとめ

変化のスピードの早い時代だからこそ、変化に適応するための組織開発の重要性が増してくると考えられます。まずは組織の現状を正しく把握し、それを踏まえた変革の打ち手を立案していきましょう。

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組織開発に関するよくある質問

Q:組織開発の取り組みに対して従業員の反発があったら?

組織開発の取り組みを進めていくと、「変化すること」に対して従業員から反発・抵抗が起きることがあります。しかし、このような反発や抵抗が起きるのは自然なことです。このようなときに必要なのは、まず対話です。対話を繰り返すことで、組織開発の捉え方に変化が起き、徐々に抵抗感が薄れていくものです。また、スモールスタートで進めることも有効です。「そんなことして意味あるの?」と考えている従業員でも、小さな成功体験をさせることで組織開発に取り組む意義が腹落ちするケースは多々あります。

Q:組織開発はコンサルティング会社に依頼すべき?

もちろん自社だけで組織開発に取り組むこともできますが、コンサルティング会社に依頼する企業も少なくありません。コンサルティング会社に依頼するメリットとしては、専門的な知見・ノウハウを活用できることや、他社との相対化を行なうことで社員や経営に対して客観的な視点で報告することが可能になることなどが挙げられます。とはいえ、当然少なくないコストがかかりますのでこのような良し悪しを踏まえたうえで依頼を検討してみるのも良いのではないでしょうか。


執筆者:LM編集部
執筆者:LM編集部
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