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エンゲージメントとは? ビジネスにおける意味と高めるメリットを解説

昨今「エンゲージメント」という言葉が多数聞かれるようになりました。しかし「エンゲージメント」と一言で言っても、その意味は広義に渡ります。

今回は、人事領域においてどのような意味を持つのかなど、エンゲージメントの必要性や、エンゲージメントを向上させる方法、その測定方法などをご紹介します。

エンゲージメントの意味

■人事領域におけるエンゲージメント

「エンゲージメント=engagement」とは、TPOに応じて様々な意味に使い分けられる言葉ですが、基本的には「深い関わり合いや関係性」を意味する言葉です。

その上で、人事領域では従業員の会社に対する「愛着心」「愛社精神」「思い入れ」といった解釈をします。

従業員一人ひとりが組織に愛着を持ち、従業員と企業が一体となって相互に成長し合い、絆を深める関係をイメージするとよいでしょう。

そのため、優秀な従業員が会社に対して愛社精神を発揮し、会社と共に成長していくことを狙った言葉として、人事領域では非常に注目されています。

■従業員エンゲージメント

従業員×エンゲージメントを組み合わせた従業員エンゲージメントという言葉もあります。

従業員エンゲージメントは、企業と従業員とが相互に影響を及ぼし合い、共に必要な存在として絆を深めながら、成長できるような関係を築いていくことで高め合います。

「従業員エンゲージメント」と似た言葉に、「従業員満足度」があります。

従業員満足度:従業員が待遇や環境、報酬に対してどれだけ満足しているかを示す

従業員エンゲージメントとの大きな違いは、その「結びつきの方向性」です。

従業員満足度は、処遇や環境に対する評価であり、企業側の取り組みに応じて満足度が変わります。これらに対し、従業員エンゲージメントは、企業と従業員が双方向の関与によって結びつきを強めていく点が大きく異なっています。

出典:日本の人事部

また上記に加えて下記の図の通り「従業員満足」は社員満足を生み出すことが目的となっているため、満足度が高いからといって、企業業績が必ずしも伸びるわけではありません。

一方で「従業員エンゲージメント」は、従業員の企業に対する貢献意欲を引き出すことが目的であり、相互作用によって企業の業績向上に影響を与えるものでなければなりません。

また、「従業員エンゲージメントが高くなると企業経営にプラスの影響をもたらす」といった調査結果も出ています。

出典:株式会社リンクアンドモチベーション×慶應義塾大学ビジネス・スクール岩本研究室の共同研究

そのような背景から、多くの企業が「従業員エンゲージメントを高める」ための取り組みを積極的に行っているのです。

企業におけるエンゲージメントを高めるメリット

では、エンゲージメントを高めることで、どのような効果を得られるのでしょうか。

『日本の人事部 人事白書2019』によると、「エンゲージメントが高まったことで得られた効果」について、下記のような結果が公表されています。

・1位:「組織の活性化」(55.5%)
・2位:「社員のモチベーションの向上」(43.8%)
・3位:「業績の向上」(39.8%)
・4位:「離職率の低下(定着率の向上)」(37.5%)
・5位:「組織内での情報共有の強化」(31.3%)

■「組織の活性化」

エンゲージメントの高い組織では、従業員の仕事に対する積極性や熱意が多く見られます。職場の問題や課題を自ら発見、解決したり、積極的な提案をしたりと、事業と組織、自身の成長に向けて活発に動きがある組織風土を生み出します。

■「社員のモチベーション向上」

エンゲージメントは、従業員自身が会社、職場から何を期待されているかを認識し、かつ成長機会に接するなかで、組織に貢献できている実感がある状態で生まれます。

エンゲージメントが高まると、従業員は自身の仕事と業績、顧客満足度などのつながりを感じられ、モチベーションが向上します。

■「離職率の低下(定着率の向上)」

エンゲージメントは、会社のビジョン・理念への共感や職場環境へのコミットメント、働きがいのある仕事など、さまざまな要素から醸成されます。

エンゲージメントが高い従業員は、そこで働くことの価値を複数見出しているのです。そのため、人材流出を防ぎ、定着率の向上が期待できます。

アンケート調査で従業員エンゲージメントを調べる方法

■従業員エンゲージメントの指標

下記の図のように、従業員エンゲージメントとは従業員と企業の相互理解・相思相愛度合いを意味し、「目標の魅力」「活動の魅力」「組織の魅力」「待遇の魅力」の4つの要素から構成されています。


従業員が期待するものは、納得感のある給与や最先端の設備などという「待遇の魅力」もあれば、商品サービスや仕事のやりがいなどの「活動の魅力」、

経営陣の魅力や風通しの良い風土などの「組織の魅力」もあれば、明確な企業理念やブランドなどの「目標の魅力」など、多種多様な時代です。

これらの要素を踏まえて、測定する必要があります。

■アンケート調査で行うメリット

従業員エンゲージメントを測定する手段として最も多く用いられるのはアンケート調査です。実施に際してのハードルが低いこともあり、月1回から半年に1回程度の頻度で行われるケースが多いようです。

またコンピューターによるアンケート調査「パルスサーベイ(意識調査)」は、比較的手軽に実施できるため、日課としているところもあります。

手軽にできることや、「無記名」で回答をしてもらうことで、より企業や職場に対して従業員の「本音」が引き出せることが一番のメリットといえるでしょう。

■アンケート作成のポイント

リンクアンドモチベーションが提供する、従業員エンゲージメントを把握し向上させるためのツール「モチベーションクラウド」では、

7,680社、194万人の実績を持つ組織のモノサシ「エンゲージメントスコア」で、組織状態を定量化・可視化し、See・Plan・Do・Check&Actionのサイクルを回すことで、組織の問題を解決する国内初の組織改善クラウドです。

モチベーションクラウドでは、先ほど紹介した4つの要素を盛り込み、「会社」「上司」「職場」の3つの観点、16の領域で設問を構成し、それぞれの項目に対して、「期待度」と「満足度」を測ります。

下記の図のように、「期待度」と「満足度」の二軸でマトリクスにし、従業員が会社や職場に何を求めていて、何に満足しているかを把握することで、取り組む課題の優先順位を効果的に決定することができるのです。

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アンケート調査分析の際のポイント

従業員エンゲージメントのアンケート調査分析における注意点は、相関関係と因果関係を区別することです。

■相関関係

広辞苑では「一方が他方との関係を離れては意味をなさないようなものの間の関係」とあります。つまり「AとBの事柄になんらかの関連性があるもの」を指します。

■因果関係

広辞苑では「原因とそれによって生ずる結果との関係」とあります。つまり「原因とそれによって生ずる結果との関係」を指します。

上記の理解を深めるために、下記の関係性を例に考えてみましょう。

▼長時間労働をする社員は、昇進する
▼昇進する社員は、長時間労働をする

これは、相関関係と言えます。

一方で・・・

▼長時間労働をする社員は、従業員エンゲージメントが高い
▼従業員エンゲージメントが高い者は、長時間労働をする

これが相関関係にあるとすれば、従業員エンゲージメントを高めるために「ひたすら長時間労働を強いれば良い」という結論に至ります。 

相関関係を因果関係であるかのようにしてしまうのは、間違った対策につながります。分析する際には、従業員エンゲージメントとその他の事象との関係性を正しく区別することが必要なのです。

従業員エンゲージメントを高める方法

そもそも「従業員エンゲージメントが高い」状態とはどういう状態のことを指すのでしょうか。

それは仕事環境や労働条件に満足しているだけでなく、仕事に情熱、意欲を持ち、「この会社と共に成長し、発展していくために頑張ろう」とするのは、高い従業員エンゲージメントの表れでしょう。

ただし、具体的にどういった状態を「エンゲージメントが高い」と評価するかは、企業によって異なります。

エンゲージメントの高い組織づくりに取り組む際は「どの状態を目標とするか」を具体的にし設定し、最適な施策を検討することが重要です。

では、エンゲージメントを高めるために、どのような方法があるのでしょうか?

■方法①従業員の価値観を把握する

まずは「診断」のステップを踏むことが重要です。

さまざまなアンケート等で対従業員の現状を多角的に現状把握しなければ、誤った方向の施策を実行しかねません。

エンゲージメント調査では、良い点だけでなく課題も浮き彫りになります。課題が明確になったら、次はそれを改善、解決するための施策を考え実行し、再度測定を行い効果があったかどうかを検証してPDCAを回す。

このように、エンゲージメントを高めるためには長期的な取組みが必要なのです。

■方法②会社の情報、経営者の考えを伝える

会社に対して不信感を持ち、従業員エンゲージメントが下がるのは、会社の情報やトップの考えがオープンにされていないことが原因の1つです。

そのため、会社がどこに向かおうとしているのか、どんな世界を実現したいと思っているのか、考えていることやメッセージを定期的に従業員に伝えていく必要があります。

社長などの経営層からのメッセージ、普段業務で接する上司からのメッセージなどが正確に現場の従業員に伝わっているのか、そのメッセージに矛盾は無いか、振り返ってみることをおすすめします。

■方法③会社のビジョンや方針に沿った人事制度による評価を行う

経営理念や行動指針の浸透には、人事評価との関連づけを行うことも必須です。評価に納得感を得られない場合、上司や会社への不信感につながります。

また、人事異動や組織の改変などが起こった場合、周囲がネガティブに受け取らぬよう、できる限り情報をオープンにするほうが良いでしょう。

人事制度や評価制度は、経営理念や行動指針を浸透させ、会社の想いを可視化しやすいものです。評価の方法は給与などの金銭的報酬だけでなく、表彰やサンクスメッセージなどの非金銭的な「感情報酬」を活用することもあります。

■方法④マネジメント層を教育する

上司は部下の成長の方向性や、置かれている状況を理解した上で、やる気や未知の力を引き出したりするサポート役となります。

様々なトレーニングをしつつ、教育機会や対話で部下の向上心を高めましょう。新入社員にサポート役を配置するメンター・メンティー制度を活用するのもひとつの方法です。

そのためにも、マネジメント層に「部下へのフィードバック」などに関するトレーニングを実施しましょう。

■方法⑤従業員にオーナーシップを持たせる

人は誰でも自発的に物事に取り組むと、自身の能力を開花させたり、成果を上げやすくなったりします。

「言われたことをやる」「指示されたこと以外はやらない」といった状況では、成果も上がりづらく、仕事に対して誇りやややりがいも感じにくいでしょう。

さらに、情報共有頻度の見直しや円滑なコミュニケーション、部下への権限委譲といった「環境整備」と併せて従業員にオーナーシップを発揮してもらえば、エンゲージメントはより高まるでしょう。

エンゲージメントが上がらない原因と対策

従業員エンゲージメントの重要性を認識し、具体的施策に取り組んでみたものの、思うようにエンゲージメントが上がらないときは、施策自体の改善が必要かもしれません。ここでは以下のステップで見直す必要があります。

①数値が低い項目の原因と課題を特定する

アンケート調査で得られた数値を基に、エンゲージメント低下につながる自社の課題と、その原因を確認しましょう。

数値が低い質問項目が、エンゲージメントを低下させている課題であると捉え、どのような原因があるのかを洗い出します。

②課題にあった施策を講じる

次に、その課題を解決するような施策を考え実行します。

③施策の効果測定を行う

最後に、その施策そのものが効果的であったかどうかの振り返りを行いましょう。

上記を踏まえ、エンゲージメント低下の原因、課題、対策例をいくつかご紹介します。

<例1>企業理念に関する質問で数値が低い

●原因:

・ミッション・ビジョン・バリューと従業員の認識に乖離があるのではないか
・企業理念や未来の方向性を、リーダーが発信する機会が少ないのではないか

●課題:

企業理念やミッション・ビジョン・バリューを浸透させる

●施策:

・社内報などでミッション・ビジョン・バリューに関するストーリーを伝える
・ミッション・ビジョン・バリューを基にした社内ワークショップや研修を実施する

<例2>業務量や業務内容が適切かどうかを尋ねる質問で数値が低い

●原因:

・業務過多により、ワークライフバランスが乱れているのではないか
・業務のフィードバックを受ける機会が少なく、成長を実感できていないのではないか

●課題①:

・ワークライフバランスを充実させるための制度を整える

●課題①に対する対策:

短時間勤務制度/フレックスタイム/テレワークを導入する

●課題②:

・業務のフィードバックを行い、成長を実感させる

●課題②に対する対策:

・1on1など定期的な面談を行う
・メンター制度を導入する

<例3>キャリアに関する質問で数値が低い

●原因:

・社内研修やワークショップなど、学びの場が少ない可能性がある
・ロールモデルになるような人材がおらず、キャリアを描けていない可能性がある

●課題①:

・社内研修やワークショップなど、学びの場を設ける

●課題①に対する対策:

・OJTを実施する
・リカレント教育を受講するための休暇制度を導入する

●課題②:

・自分の能力や得意分野を活かせる環境を用意し、成長を実感させる

●課題②に対する対策:

・ジョブローテーションを行う

<例4>目標設定や評価方法に関する質問で数値が低い

●原因:

・評価方法やプロセスに不満を感じている可能性がある
・本人の意欲やスキルに対して、目標設定が適切でない可能性がある
・チャレンジの機会が少ないと感じている可能性がある

●課題:

・本人の意欲やスキルに対して、適切な目標を設定する

●対策 :

・OKRを導入する

そして、施策を打ったあとは、効果を測定します。課題や施策ごとの変化を知るために、面談や5分程度で応えられるようなアンケートを実施するとよいでしょう。

また調査で得られたデータは、今後行う調査結果と比較できるように保存し、振り返りに活用します。

また、分析結果は積極的に従業員に開示しましょう。そうすることで「単なる調査ではなく、自分たちの回答が会社の経営に反映されている」という信頼を構築できます。

従業員エンゲージメントが高い企業の実例

■スターバックスコーヒージャパン

アメリカのコーヒーチェーン、スターバックスは、従業員が学士号をとるための資金援助を行うといったユニークな経営でも知られています。

日本でも通信教育の補助を行い、従業員が業績向上のため、自身のスキルを磨くサポートを行っています。

また、そうした支援のみならず、根本的な働き方も他社とは違っています。チェーン展開をする飲食店としては珍しく、マニュアルがほとんどないのもそのひとつです。

マニュアルによって従業員を管理するのではなく、アルバイト・パートタイマーを含めたスタッフを「パートナー」と呼び、スターバックスの理念に共感してもらうように働きかけています。

国内の3万3千人を超える「パートナー」のうち、8割以上がアルバイトで占められています。

これほど多数のスタッフの行動をマニュアルによって管理するのは至難の業ですが、従業員エンゲージメントを高めることで「自発的に」お客様や店舗のためを思った行動につなげています。

■小松製作所

建機大手の小松製作所では、マネジャー層の能力・スキル強化により、従業員全体のエンゲージメントを強化することに取り組みました。

経営陣よりも現場の従業員に近い位置にいるマネジャー層こそ、従業員エンゲージメントへの影響が大きい存在であると考えたのです。

マネジャーたちは、「信頼を得ること」「部下のモチベーション向上の方法」「変化への対応力」「チームワークの取り方」「権限委譲の重要性」の5項目に関する研修とワークショップを受講しました。

このような意識強化によって、従業員エンゲージメントが33%から70%に向上し、その結果、わずか半年間で工場のパフォーマンスが9.4%向上したといいます。

■ヤマト運輸

ヤマト運輸は、従業員エンゲージメントを高めるため、2008年11月から「満足ポイント制度」を導入しています。

「周囲の評価」「企業からの評価」「自己評価」の3つをポイントにして、イントラネットにあるシステムポイントを蓄積する制度です。

ポイントの計算期間は1年間。その間に蓄積したポイント数によって、4種類のバッジが贈呈されます。

ポイントが高ければ高いほど、名誉あるバッジを入手できるため、従業員は自ら積極的に評価を上げる、すなわち従業員エンゲージメントを高めるための努力を行います。

また、従業員同士でお互いの良い面を引き出し合い、評価ポイントを積み上げるため、従業員同士の信頼関係も強くなります。

このように、ヤマト運輸は、「満足ポイント制度」により、高い従業員エンゲージメントを実現しています。

記事まとめ

以上、従業員エンゲージメントとは何か、また向上させるメリットや方法について振り返ってきました。

従業員エンゲージメントを向上させるためには、従業員の声にきちんと耳を傾け、具体的な施策によって、更なる強い関係性を築くことが求められています。

企業の成功事例も紹介しましたが、一朝一夕ではエンゲージメント向上はなし得ないことも事実です。

定期的な「診断」と適切な「変革」のサイクルを回し続けることで、従業員エンゲージメントの高い組織を作り上げていきましょう。

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