事業内容 |
人生のイベントや日常生活に密着した比較サイト、情報サイト等様々なウェブサービスを企画・開発・運営 |
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部署の業務内容 |
自動車関連サービスのシステム構築・運用・改善 |
業種 | 情報・通信・広告 |
企業規模 | 1001名~2000名 |
部署規模 |
~10名 |
開発スピードが上がったことで、事業目標を3分の2程度の期間で達成
株式会社エイチームライフスタイルの自動車事業部は、クルマに関するあらゆる価値提供の拡大を図るため、自動車に関する複数のウェブサービスを運営しています。そのなかで、デザイン開発G 開発第1TMはシステムの構築・運用・改善を担うエンジニアのチームです。組織長である太田氏は、チームであるにも関わらず各メンバーがバラバラに動いている組織状態に課題を感じていました。そこで、チームのスローガンを掲げるとともに、様々な施策によって組織改善に着手します。チーム内での情報共有や部門間連携を推進することでメンバーの意欲や組織としての一体感が高まり、開発のスピードアップや顧客満足度の向上といった成果が現れ始めました。
「抱えていた課題」
太田氏:昨年(2020年)の8月に組織変更があり、それまで一つだった開発チームが2つに分かれました。私は開発第1チームの組織長を任されることになったのですが、当時は、形式上チームになっているだけで、みんなやっていることがバラバラでした。本来、チームとは全員で一つの目的に向かっていくものだと思いますが、そういった一体感はなく、あるメンバーから「今はチームになれていないですよね」と言われたこともありました。組織長としてはやっぱりショックですよね。
それぞれが黙々と仕事をしていて情報の連携ができておらず、誰が何をやっているのかも分からないような状態でした。他の事業部から新しいメンバーが加わったこともあり、既存のメンバーはやりづらい部分もあったと思います。
ナレッジが属人化していたのも課題の一つでした。原因は私にあるのですが、私自身、いちばん長く自動車事業部にいて今までほぼ一人でやってきたので、特にナレッジを残す必要性を感じていなかったんです。しかし、メンバーが増えてくるにつれ、ナレッジを共有できないことがネックになっていきました。
事業面では、外的要因からビジネスモデルの変革期を迎え、事業状況が悪化する大変な時期でした。積極的に新規開拓をしていく必要がありましたが、新規開拓を進めるには現状のシステムでは使いづらいという声があがっており、課題は山積みでしたね。
「改善のためのアクション」
太田氏:組織改善の第一歩として、みんなで意見を出し合ってチームのスローガンを掲げました。「みんなから必要とされるチームになる」というものです。開発チームのメンバーは、営業から降りてきた要件でそのままシステムを作るのではなく、エンジニアの立場からも意見を出して一緒に作り上げていきたいという気持ちが強く、どんどん事業の中心に入っていこうという意志がありました。このようなメンバーの思いが込められたスローガンになっています。
新規開拓を進めるにあたって急務だったのが、取引先向けシステムの改修です。しかし、現場では「営業側からはこんな要望をもらっている」「あれもしたいけど、これもしなきゃいけない」「それは今やるべきことなのか」というように混乱が生じていました。そのため、開発だけではなく営業やマーケティングといった他部門の関係者も巻き込んで、目的や優先順位を明確にすることから取りかかりました。
チーム内での改善としては、朝会を変えたのがまず一つです。以前の朝会は「今日はこれやります」と報告するだけの形式的なもので、正直、この時間を開発業務などに充てたいと思っていました。この時間をより有効活用するために、開発で行き詰まっているポイントや悩んでいることを共有するような朝会に変えたんです。なおかつ、共有された問題や悩みについて議論しきって、朝会の中で解決する、もしくは解決の方向性を示すところまで持っていけるように意識していました。
また、新規メンバーが加わった時期がコロナ禍でリモートワークがはじまった時期だったので、「誰がどんな人なのか分からない」という話が出ていました。そこで、朝会に取り入れたのが「自分史」の共有です。「こんな幼少期、学生時代を送っていました」というように半生を語り、自己開示をするコンテンツです。自分史は大体5~10分くらいで行うのですが、そこから話題が広がることも多く、メンバー間の相互理解や信頼関係の構築に役立ったと思っています。
デイリーの朝会とは別に、各自が受け持っているプロジェクトや施策について現状報告をする場として設けたのが「振り返り会」です。振り返り会は隔週の金曜日に実施するのですが、プロジェクトのほか、急ぎではない施策に関しても進捗状況や課題を共有できるような形にしていました。また、振り返り会のなかに「称賛の場」というコンテンツを設けました。これは、メンバーがお互いに感謝や称賛の気持ちを伝え合う場です。
あとは、ナレッジの蓄積ですね。ナレッジを持っている人が書いて、知らない人がそれを見て実際に手を動かします。そうすることで漏れている箇所や不足している内容が洗い出されてくるので、都度更新するような形でメンバー全員でナレッジ化を進めていきました。
「改善していく中で感じたこと」
太田氏:取引先向けシステムの改修プロジェクトは、進めていくなかでたびたび当初の目的からズレることがあり、「それって前に話したよね」といったやり取りが生じていました。ある程度、スパンの長いプロジェクトになってくると、途中で目的が見失われてしまうことも少なくありません。ですから、都度初心に返って「そもそも何のためにやっているのか?」ということを確認しながら進めるようにしていました。加えて、会議の日時にかかわらず、何か違和感を感じたときは「ちょっと今から集まって話しましょう」というように柔軟に動ける体制にして、認識のズレが生じないようにしていました。
振り返り会で工夫した点としては、単に情報を共有するだけでなく、施策ごとに「他のメンバーから見て気になること」という項目を入れたことです。これによって、メンバー間で「あれって今、どうなってるの?」「これ忘れてない?」といったやり取りが生まれるようになりました。タスクが可視化され、抜け漏れなくスムーズに施策を運営できるようになったと感じています。
メンバーのモチベーションを高めるという意味では、「称賛の場」が効果的でした。先ほどもお話ししたとおり、チーム内のメンバー同士で称賛し合う取り組みで、「◯◯をしてくれてありがとう」「◯◯が素晴らしかったです」といったことを発表するのですが、これをやるときはいつもチームメンバーと決めたテーマソングを流すんです。この演出があることで気持ち的にも盛り上がりますし、2週間に1回、金曜日におこなうので「また来週からも頑張ろう」という切り替えにもなります。一度、テーマソングなしでやったことがあるのですが「何か締まらないよね」という話になって、もう1年以上続けていますね。「組織の変化ともたらされた成果」
太田氏:6ヶ月程度で計画していた事業目標を4ヶ月で達成することができました。ここまで短縮できたのは営業やデザイナーの力も大きいのですが、開発をスピードアップできたことも大きかったと思っていて、それができたのも、朝会での情報共有やナレッジ化が進んだからだと思っています。
朝会での情報共有によって問題解決が早くなり、開発スピードが改善されました。ナレッジを蓄積・共有するようになったことで新規メンバーの戦力化も早く進みましたし、障害発生時の問題特定に要する時間も短縮できました。ナレッジ化の取りくみをきっかけにメンバー間でアドバイスや指摘が飛び交うようになって、確実に業務連携の度合いは高まりましたね。
もう一つの要因としては、メンバーへの権限移譲もあると思います。たとえば、他部門との交渉は今まですべて私がおこなっていたのですが、メンバーに権限を移譲して事後報告だけで済ませるようにしました。私を待たずとも物事が進んでいく体制を作れたことで、連携のスピードアップにつながりました。
嬉しかったのは、改修後のサービスで「便利になった」、「使いやすくなった」という声をいただけるようになったことですね。これは、開発とデザイナー、そして営業と複数職能がしっかり連携できたことが大きかったです。単に機能を開発してお客様に提供するだけの開発チームだったら、達成することはできなかったと思います。機能を開発してお客様に提供したら、また新たな課題や要望を吸い上げて持ち帰ってくる。持ち帰ってきた情報を精査して「これはインパクトが大きそうだから先にやろう」「こういう機能があったらもっと便利にならないだろうか」といった議論を重ね、優先順位を設定して開発する。このような連携を続けられたことが、結構大きなポイントだったのかなと思いますね。
「今後の展望」
太田氏:朝会の改善や振り返り会の導入は組織が変わるきっかけになり、みんな情報共有ができるようになりました。これを継続できるよう、今後もコンテンツを刷新しながら朝会と振り返り会は運用していきたいと思っています。
私たちのチームでも一般的なソフトウェア開発現場であるのと同じように、非機能要件(性能や信頼性、拡張性、運用性、セキュリティなどに関するもの)の対処が後手に回りがちでしたが、信頼性や拡張性の観点でも進化し続けなければならないフェーズに入ってきたと言えます。より会社に貢献できるよう、今後は攻めと守りで事業の変革を加速させるチームを目指して頑張っていきたいと思います。事業内容 | インターネットを軸に多様な技術領域・ビジネス領域において事業を展開する総合IT企業 |
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業種 | 情報・通信・広告 |
企業規模 | 1001名~2000名 |
部署規模 | 11~30名(導入時) |
「モチベーションチームアワード2020」を受賞された、株式会社エイチームライフスタイル 自動車事業部マーケティンググループの取り組みをご紹介します。
「モチベーションチームアワード」とは、組織変革に向けた取り組みによって、エンゲージメントスコア (組織診断ツール「モチベーションクラウド」により算出) が上昇し、組織に大きな改善が見られた部署を発表するものです。
■ マネジャーのワンマンプレーになっていた
マネジャー自身がマネジメント駆け出しの状態で、メンバーの状況を把握できていなかった。
また、マネジャーがプレイングの大部分を担っており、マンパワーで予算達成をなんとか達
成させている状態であった。
■ メンバーが貢献感を得られず疲弊していた
メンバーとマネジャーとの戦力の偏りや売上目標のプレッシャーからチーム全体が疲弊して
おり、チームメンバーは事業への貢献感が得られないまま、自分に対して責める思いが強く
なっていた。モチベーションクラウドのエンゲージメントスコアも低い状態だった。
■ メンバーの想いやモチベーション源泉の把握
メンバーが持つ想いと仕事を繋げてパワーを最大限に引き出すために、入社理由や目指す姿、どんな貢献をしたいかを収集した。また、マネジャー自身の考えや本音もメンバーに開示した。
各メンバーの想いと組織のビジョンとの繋がりをすり合せられたことで、メンバーは困難な状況でもビジョンに立ち返り、自分を見失うことなく仕事を進められるようになった。
■ メンバーへのグループ目標や計画の開示
メンバーの視界を引き上げ、マネジャーのワンマンプレーから脱却するために、グループの目標や計画を共有する時間を積極的に設けた。
その結果、最終的に狙いたい成果や各取り組みを行う理由、なぜこのスピード感、方法なのかについてメンバーの納得感が醸成され、自ら考え行動を変化させるメンバーや、計画を立てる側としての働きかけができるメンバーが増え始めた。
■ メンバーへのナレッジの共有
メンバーのスキル向上を目的として、自社やマネジャー自身が持つナレッジを1on1や、定例会の場で展開し続けた。その結果、メンバーが共通のナレッジを持つことで属人性が解消され、ワンマンプレーからの脱却が加速した。
また、成功体験が生まれ軌道に乗るメンバーが出始めた。メンバーからもナレッジ創出しようという動きが積極的に見られるようになった。
■ チーム全員で成果を追求できるようになった
メンバーひとりひとりが、正解のない中で、何をやれば価値があるのか?市場は何を求めているのか?を自ら考えぬく文化ができ、チームが活性化したことで全員で成果を追求できるよう
になった。エンゲージメントスコアも2018年12月から半年で、57.3→74.6と大幅に向上した。
■ 昨年を大きく超える業績を実現した
組織状態が改善したこともあり、事業部で昨年を超える成長を実現し、目標も達成した。
業界トップクラスであった事業は更にシェアを拡大、各種KPI、売上・利益は過去最高数字を
実現した。また、新規事業も黒字化させ、新たな収益源・価値提供方法を得ることができた。