事業内容 |
引越運送、引越付帯サービス業務 |
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業種 | 物流・運輸 |
企業規模 |
2001名~ |
導入規模 | 2001名~ |
事業が拡大する中、多様な従業員を束ねていくためにエンゲージメント向上が必要だった。
人が価値発揮の源泉であるため、エンゲージメントは成長戦略に不可欠な指標だった。
サーベイの結果を分析し、適切な施策を講じることでエンゲージメントが上がってきている。
エンゲージメントが向上することで業績も向上するという、相乗効果が生まれるようになった。
「事業および部署の概要」
石井氏:サカイ引越センターは、「新生活応援企業」というテーマを掲げ、引越しを中心とした各種サービスを提供しています。そのなかで、私たち人事部は「採用」「教育」「配置」「評価」という4つのグループに分かれており、それぞれの業務に従事しています。私は教育や社内制度の整備のほか、エンゲージメントサーベイなどを担当しています。
「エンゲージメント向上に取り組む背景」
大庭氏:これまで当社は引越専門業者として、自社便・自社スタッフを中心に事業を展開してきましたが、引越しに付随する各種サービス展開しております。M&Aでジョインした会社もいくつかあり、現在は海外も含め12の子会社を持つグループになっています。
こうして様々な企業、多種多様な人材がグループに加わりました。環境変化に対応してプレゼンスを発揮していくためには、グループとしてどれだけダイバーシティ&インクルージョンを推進していけるかがポイントになってきます。多様な従業員を束ねていくために、エンゲージメント向上に取り組む必要があったというのが一つの背景です。
また、当社には創業時から「人が商品である」という考え方があります。人材こそが、当社の価値発揮の源泉であるということですね。ですから、従業員のやりがいや働きがいは最終的に質の高いサービスにつながって行くと言えます。しかしながら、これまでは従業員のやりがいや働きがいを明確に把握することができていませんでした。「ES(従業員満足度)=CS(顧客満足度)」を体現していくためにも、エンゲージメントは非常に重要な指標になると考えました。
石井氏:支社の状況や従業員の働き甲斐や満足度が分かる指標として、たとえば「離職率」がありますが、離職が決まったとき率が分かったときには、すでに心は離れてしまっています。ですから、その手前で組織の状態が見えることが重要だと考えていました。事業が拡大し、支社やグループ会社が増え、従業員も増えてくると、現場の状況はますます見えにくくなっていきます。そこで、エンゲージメントを一つの指標として組織の状態を把握していこうという話になっていきました。
大庭氏:企業の人的資本に注目が集まるようになりましたが、その明確な推移を見える形にしていく事も重要だと考えています。当社は中期経営計画での人材育成のKPIとしてエンゲージメントスコアの目標と実績を開示しています。
これまでは、人に投資したことによって、本当に成果につながっているのかどうかを把握するのは困難でした。しかし、エンゲージメントサーベイは取り組みの効果を測る指標になり得ます。人に投資をすることで、どのようなリターンを獲得していくのかということは、投資家をはじめとするすべてのステークホルダーの関心事になっていますので、今後も成長戦略のKPIとして取組みと結果を開示していきたいと考えています。
「モチベーションクラウドを選んだ理由」
石井氏:モチベーションクラウドのサーベイは、各設問に対して期待度と満足度という2軸で測っていきます(※)。組織課題を抽出できるのはもちろんですが、期待度と満足度のギャップを見れば、どの課題から手を付ければいいのか優先順位が分かります。この点が、他社のサーベイにはないモチベーションクラウドの魅力だと感じました。
また、エンゲージメントサーベイは実施することがゴールではなく、その結果からどのようなアクションをして、どのように改善していくかが重要だと考えています。とはいえ、私たちは専門家ではないので、分からないことも多々あります。その点、モチベーションクラウドはサーベイを実施して終わりではなく、担当コンサルタントが伴走支援をしてくれます。そのことも、導入の決め手の一つになりました。
「サーベイを実施してみて」
石井氏:サーベイを実施する際は、社内である程度は結果を想定していますが、それがまったく外れることがあります。このように想定外のスコアが出た部署や属性などは、特に注視するようにしています。
属性をしっかりと分析し、さらに一部の社員とリモートで面談をして、組織の具体的な問題などをヒアリングしました。様々な属性ごとに分析ができるモチベーションクラウドでなければ、このような活動は実現していなかったでしょう。
また、エンゲージメントスコアと離職率はリンクしていると感じています。エンゲージメントの低下を把握できれば、離職に至る前に手の打ちようがあるので、その点も大いに参考にしています。
大庭氏:やはり、期待度と満足度の2軸で測るのが非常に効果的だと感じました。会社が「このような施策をしたら良いのでは?」と考えていても、従業員がそれをまったく求めていないということもあり得ます。その点、モチベーションクラウドであれば、従業員の期待度が高い部分を優先し、施策を打つことができます。
実際、我々人事部においても、期待度と満足度にギャップが大きな項目から改善に取り組んだ結果、スコアが改善しました。私自身、サーベイのデータをしっかりと分析し、然るべき対策を打てばエンゲージメントは高まるんだという確信が得られました。
「エンゲージメント向上の取り組み」
石井氏:サーベイの実施後は、まず人事で結果を確認し、社長をはじめとする役員に結果を報告しています。その後、リンクアンドモチベーション社のコンサルタントの方から役員に向けて、結果や傾向について解説してもらいます。その次に、幹部が参加する会議でエリアごとの責任者に結果を共有し、全国に5つある本部の責任者には、コンサルタントと面談をしてもらいます。サーベイの結果には地域性が出るので、地域ごとの傾向を分析したうえで改善策を一緒に話し合うといった流れで進めています。
幹部が参加する会議では、スコアが上がったブロックを取り上げて、どんな取り組みをしているのかを共有してもらいます。ただ、上席者が関心を持たない限り、エンゲージメントスコアは改善されません。ですから、良い取り組みを全体に共有するのはもちろんですが、それと同時に、エンゲージメントの重要性を上席者にあらためて認識してもらうことも、その目的の一つとして置いています。
エンゲージメントサーベイは4年前から導入しましたが、これらの取り組みの結果、全社のエンゲージメントスコアは上昇傾向にあります。
大庭氏:グループ会社でもエンゲージメントサーベイを実施しています。導入前は「このサーベイに意味あるのだろうか」という反応でした。ですが、最近はエンゲージメントという概念が浸透してきたことによって、興味関心が高まってきました。やはり、エンゲージメントスコアとして数値化・可視化されたことが大きなきっかけになったと思います。
石井氏:この4年の取り組みで、経営層の関心度は、スコアに現れると感じています。グループ会社もこれからさらにスコアが上がってくるでしょう。
大庭氏:当社は今、若手の意見を重視しており、若手を中心とした部署横断型プロジェクトをおこなっています。簡単に言えば、若手が企画を考えて社長にプレゼンするプロジェクトなのですが、社長が非常に前向きで、8割近くの企画が採用されています。「停滞は衰退」という言葉もありますが、変化を求め、変化を受け入れていこうという流れが生まれています。会社全体として、未来のサカイを背負っていく若手の意見を吸い上げる動きが活発になっているのが現状です。
直近のサーベイで高いスコアを残したエリアがあります。この大きな要因は若手リーダーの活躍だと考えています。このエリアはエンゲージメントスコアが上がったのと同時に業績も上がっています。若手が活躍できる土壌ができたのが組織の大きな変化であり、その変化が業績にもつながっているのだと思います。この例を見ていると、エンゲージメントと業績は連動しているということが実感できますね。
石井氏:今、若手の話がありましたが、私も先日、全国で管理職を務める若手社員約40名とリモートで面談をしました。「人事では今こういう施策を考えているのですが、どう思いますか?」といった話を聞き、そこで出た意見を参考にさせてもらっています。
「モチベーションクラウドの価値」
大庭氏:モチベーションクラウドによって組織の強みと弱みが明確に可視化されたことで、きちんとSWOT分析ができたのが良かったですね。当社は、強みを伸ばし続けて成長してきた会社だと思っていますが、一方で弱みから目をそらすことはできません。エンゲージメントサーベイを導入したことで、「いかに弱みを改善していくのか」「弱みをどのように強みに転換していけるのか」といったことに、改めて向き合うきっかけをいただけたと思っています。
石井氏:人事部に異動する前は部署責任者だったのですが、サーベイの結果が細かく出てくるのが良かったですね。先ほどもお話ししたとおり、リーダーとして何から優先して手を付ければいいのかがよく分かりました。
人事部の担当者になって便利だと思うのは、部署ごと、年次ごと、職種ごとなどカスタム集計ができることです。「どこを対象に施策を講じるべきか」という判断の助けになっています。また、部署が増え、従業員が増え、人事としてやることが山積みのなかで、担当コンサルタントの方が伴走支援してくれるのは本当に助かっています。「こういう傾向が見えるので、こうしたほうがいいですよ」といったアドバイスをいただけて、一緒にPDCAを回してもらえるので非常に心強いです。
サーベイの結果を経営層に説明する際も、コンサルタントの方に入っていただいているのですが、専門家が外から見た目線で話していただけるため、やはり説得力があります。
大庭氏:年に2回、サーベイを実施していますが、エンゲージメントサーベイはそのときのリアルな組織状態を表すものだと思っています。スコアが高い組織がずっと高いわけではありません。組織は生き物なので、期待値の高まりなど、複数の要因で当然上がったり下がったりします。そうした変化を逃さずにキャッチすることができれば、次の一手を打ちやすくなるはずです。しっかりとデータを分析して、状態が悪くなる前に先手先手を打てるような運用をしていきたいですね。
「今後、モチベーションクラウドで実現したいこと」
石井氏:私は今、新入社員研修にも関わっているのですが、時代背景もあってか、「昇進したい」というような上昇志向の高い新入社員は少なくなっていると感じています。ですが、私たちとしては、やはり組織のリーダーを目指してもらいたいと思っています。私の一つの目標は、新入社員や若手社員が「責任者を目指したい」「この会社で管理職になりたい」と思えるような制度をつくっていくことです。こういった意欲を醸成するうえでもエンゲージメントがベースになるはずなので、今後もエンゲージメントサーベイを活用してエンゲージメント向上に力を注いでいきたいと思っています。
大庭氏:今後はより企業価値の向上に力を入れていきたいです。企業価値とは、経済的な価値と社会的な価値の総和だと考えています。経済的な価値とは、業績を伸ばし、それを社会に還元していくことです。社会的な価値は、ひと言で言うなら「あの会社がなくなったら困る」というような存在になることです。
引越業界の市場規模は、およそ5,000億円と言われています。そのなかでシェアを拡大することも重要ですが、引越しを基軸にしながら、その先の展開を広げていかなければいけません。現在、「暮らしの中にもっと”SAKAI”を!」というビジョンを掲げています。「引越のサカイ」に留まらず、「○○のサカイ」に入る○○を、どれだけ埋められるかが重要だということです。この○○にチャレンジできる従業員をどんどん増やしていきたいですね。そこにやりがいを持って取り組んでくれる従業員が増えるほど、会社は成長し、お客様に喜んでいただき、「なくては困る」会社になっていけるのだと思います。
大切なのは、できるかできないかではなく、やりたいと思えるかどうかです。従業員が「やってみたい!」と思えるようになるためには、やはりエンゲージメントが不可欠です。エンゲージメントが高く、やりがいを持って仕事に取り組める仲間が増えていけば、業績は自ずと付いてくるでしょう。