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エンゲージメントが事業拡大と多様性の基盤になり、企業価値向上へ

株式会社サカイ引越センター

人事部 部長 大庭康広 氏
人事部 主任 石井里奈 氏
事業内容

引越運送、引越付帯サービス業務

業種 物流・運輸

企業規模

2001名~
導入規模 2001名~

期待

  • 事業が拡大する中、多様な従業員を束ねていくためにエンゲージメント向上が必要だった。

  • 人が価値発揮の源泉であるため、エンゲージメントは成長戦略に不可欠な指標だった。

効果

  • サーベイの結果を分析し、適切な施策を講じることでエンゲージメントが上がってきている。

  • エンゲージメントが向上することで業績も向上するという、相乗効果が生まれるようになった。

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「新生活応援企業」を目指す引越し業界のリーディングカンパニー

「事業および部署の概要」

石井氏:サカイ引越センターは、「新生活応援企業」というテーマを掲げ、引越しを中心とした各種サービスを提供しています。そのなかで、私たち人事部は「採用」「教育」「配置」「評価」という4つのグループに分かれており、それぞれの業務に従事しています。私は教育や社内制度の整備のほか、エンゲージメントサーベイなどを担当しています。

エンゲージメントは、成長戦略を実現するための重要指標

「エンゲージメント向上に取り組む背景」

大庭氏:これまで当社は引越専門業者として、自社便・自社スタッフを中心に事業を展開してきましたが、引越しに付随する各種サービス展開しております。M&Aでジョインした会社もいくつかあり、現在は海外も含め12の子会社を持つグループになっています。

こうして様々な企業、多種多様な人材がグループに加わりました。環境変化に対応してプレゼンスを発揮していくためには、グループとしてどれだけダイバーシティ&インクルージョンを推進していけるかがポイントになってきます。多様な従業員を束ねていくために、エンゲージメント向上に取り組む必要があったというのが一つの背景です。

また、当社には創業時から「人が商品である」という考え方があります。人材こそが、当社の価値発揮の源泉であるということですね。ですから、従業員のやりがいや働きがいは最終的に質の高いサービスにつながって行くと言えます。しかしながら、これまでは従業員のやりがいや働きがいを明確に把握することができていませんでした。「ES(従業員満足度)=CS(顧客満足度)」を体現していくためにも、エンゲージメントは非常に重要な指標になると考えました。

石井氏:支社の状況や従業員の働き甲斐や満足度が分かる指標として、たとえば「離職率」がありますが、離職が決まったとき率が分かったときには、すでに心は離れてしまっています。ですから、その手前で組織の状態が見えることが重要だと考えていました。事業が拡大し、支社やグループ会社が増え、従業員も増えてくると、現場の状況はますます見えにくくなっていきます。そこで、エンゲージメントを一つの指標として組織の状態を把握していこうという話になっていきました。

大庭氏:企業の人的資本に注目が集まるようになりましたが、その明確な推移を見える形にしていく事も重要だと考えています。当社は中期経営計画での人材育成のKPIとしてエンゲージメントスコアの目標と実績を開示しています。

これまでは、人に投資したことによって、本当に成果につながっているのかどうかを把握するのは困難でした。しかし、エンゲージメントサーベイは取り組みの効果を測る指標になり得ます。人に投資をすることで、どのようなリターンを獲得していくのかということは、投資家をはじめとするすべてのステークホルダーの関心事になっていますので、今後も成長戦略のKPIとして取組みと結果を開示していきたいと考えています。

どの課題から手を付ければいいのかが分かりやすい

「モチベーションクラウドを選んだ理由」

石井氏:モチベーションクラウドのサーベイは、各設問に対して期待度と満足度という2軸で測っていきます(※)。組織課題を抽出できるのはもちろんですが、期待度と満足度のギャップを見れば、どの課題から手を付ければいいのか優先順位が分かります。この点が、他社のサーベイにはないモチベーションクラウドの魅力だと感じました。

※参考:モチベーションクラウド サービス内容

また、エンゲージメントサーベイは実施することがゴールではなく、その結果からどのようなアクションをして、どのように改善していくかが重要だと考えています。とはいえ、私たちは専門家ではないので、分からないことも多々あります。その点、モチベーションクラウドはサーベイを実施して終わりではなく、担当コンサルタントが伴走支援をしてくれます。そのことも、導入の決め手の一つになりました。

適切に取り組めば、エンゲージメントは上がると確信した

「サーベイを実施してみて」

石井氏:サーベイを実施する際は、社内である程度は結果を想定していますが、それがまったく外れることがあります。このように想定外のスコアが出た部署や属性などは、特に注視するようにしています。

属性をしっかりと分析し、さらに一部の社員とリモートで面談をして、組織の具体的な問題などをヒアリングしました。様々な属性ごとに分析ができるモチベーションクラウドでなければ、このような活動は実現していなかったでしょう。

また、エンゲージメントスコアと離職率はリンクしていると感じています。エンゲージメントの低下を把握できれば、離職に至る前に手の打ちようがあるので、その点も大いに参考にしています。

大庭氏:やはり、期待度と満足度の2軸で測るのが非常に効果的だと感じました。会社が「このような施策をしたら良いのでは?」と考えていても、従業員がそれをまったく求めていないということもあり得ます。その点、モチベーションクラウドであれば、従業員の期待度が高い部分を優先し、施策を打つことができます。

実際、我々人事部においても、期待度と満足度にギャップが大きな項目から改善に取り組んだ結果、スコアが改善しました。私自身、サーベイのデータをしっかりと分析し、然るべき対策を打てばエンゲージメントは高まるんだという確信が得られました。

エンゲージメントと業績は連動する

「エンゲージメント向上の取り組み」

石井氏:サーベイの実施後は、まず人事で結果を確認し、社長をはじめとする役員に結果を報告しています。その後、リンクアンドモチベーション社のコンサルタントの方から役員に向けて、結果や傾向について解説してもらいます。その次に、幹部が参加する会議でエリアごとの責任者に結果を共有し、全国に5つある本部の責任者には、コンサルタントと面談をしてもらいます。サーベイの結果には地域性が出るので、地域ごとの傾向を分析したうえで改善策を一緒に話し合うといった流れで進めています。

幹部が参加する会議では、スコアが上がったブロックを取り上げて、どんな取り組みをしているのかを共有してもらいます。ただ、上席者が関心を持たない限り、エンゲージメントスコアは改善されません。ですから、良い取り組みを全体に共有するのはもちろんですが、それと同時に、エンゲージメントの重要性を上席者にあらためて認識してもらうことも、その目的の一つとして置いています。

エンゲージメントサーベイは4年前から導入しましたが、これらの取り組みの結果、全社のエンゲージメントスコアは上昇傾向にあります。

大庭氏:グループ会社でもエンゲージメントサーベイを実施しています。導入前は「このサーベイに意味あるのだろうか」という反応でした。ですが、最近はエンゲージメントという概念が浸透してきたことによって、興味関心が高まってきました。やはり、エンゲージメントスコアとして数値化・可視化されたことが大きなきっかけになったと思います。

石井氏:この4年の取り組みで、経営層の関心度は、スコアに現れると感じています。グループ会社もこれからさらにスコアが上がってくるでしょう。

大庭氏:当社は今、若手の意見を重視しており、若手を中心とした部署横断型プロジェクトをおこなっています。簡単に言えば、若手が企画を考えて社長にプレゼンするプロジェクトなのですが、社長が非常に前向きで、8割近くの企画が採用されています。「停滞は衰退」という言葉もありますが、変化を求め、変化を受け入れていこうという流れが生まれています。会社全体として、未来のサカイを背負っていく若手の意見を吸い上げる動きが活発になっているのが現状です。

直近のサーベイで高いスコアを残したエリアがあります。この大きな要因は若手リーダーの活躍だと考えています。このエリアはエンゲージメントスコアが上がったのと同時に業績も上がっています。若手が活躍できる土壌ができたのが組織の大きな変化であり、その変化が業績にもつながっているのだと思います。この例を見ていると、エンゲージメントと業績は連動しているということが実感できますね。

石井氏:今、若手の話がありましたが、私も先日、全国で管理職を務める若手社員約40名とリモートで面談をしました。「人事では今こういう施策を考えているのですが、どう思いますか?」といった話を聞き、そこで出た意見を参考にさせてもらっています。

強みと弱みが可視化されたことで、SWOT分析ができた

「モチベーションクラウドの価値」

大庭氏:モチベーションクラウドによって組織の強みと弱みが明確に可視化されたことで、きちんとSWOT分析ができたのが良かったですね。当社は、強みを伸ばし続けて成長してきた会社だと思っていますが、一方で弱みから目をそらすことはできません。エンゲージメントサーベイを導入したことで、「いかに弱みを改善していくのか」「弱みをどのように強みに転換していけるのか」といったことに、改めて向き合うきっかけをいただけたと思っています。

 石井氏:人事部に異動する前は部署責任者だったのですが、サーベイの結果が細かく出てくるのが良かったですね。先ほどもお話ししたとおり、リーダーとして何から優先して手を付ければいいのかがよく分かりました。

 人事部の担当者になって便利だと思うのは、部署ごと、年次ごと、職種ごとなどカスタム集計ができることです。「どこを対象に施策を講じるべきか」という判断の助けになっています。また、部署が増え、従業員が増え、人事としてやることが山積みのなかで、担当コンサルタントの方が伴走支援してくれるのは本当に助かっています。「こういう傾向が見えるので、こうしたほうがいいですよ」といったアドバイスをいただけて、一緒にPDCAを回してもらえるので非常に心強いです。

サーベイの結果を経営層に説明する際も、コンサルタントの方に入っていただいているのですが、専門家が外から見た目線で話していただけるため、やはり説得力があります。

大庭氏:年に2回、サーベイを実施していますが、エンゲージメントサーベイはそのときのリアルな組織状態を表すものだと思っています。スコアが高い組織がずっと高いわけではありません。組織は生き物なので、期待値の高まりなど、複数の要因で当然上がったり下がったりします。そうした変化を逃さずにキャッチすることができれば、次の一手を打ちやすくなるはずです。しっかりとデータを分析して、状態が悪くなる前に先手先手を打てるような運用をしていきたいですね。

エンゲージメントをさらなる企業価値向上の基盤に

「今後、モチベーションクラウドで実現したいこと」

石井氏:私は今、新入社員研修にも関わっているのですが、時代背景もあってか、「昇進したい」というような上昇志向の高い新入社員は少なくなっていると感じています。ですが、私たちとしては、やはり組織のリーダーを目指してもらいたいと思っています。私の一つの目標は、新入社員や若手社員が「責任者を目指したい」「この会社で管理職になりたい」と思えるような制度をつくっていくことです。こういった意欲を醸成するうえでもエンゲージメントがベースになるはずなので、今後もエンゲージメントサーベイを活用してエンゲージメント向上に力を注いでいきたいと思っています。

大庭氏:今後はより企業価値の向上に力を入れていきたいです。企業価値とは、経済的な価値と社会的な価値の総和だと考えています。経済的な価値とは、業績を伸ばし、それを社会に還元していくことです。社会的な価値は、ひと言で言うなら「あの会社がなくなったら困る」というような存在になることです。

引越業界の市場規模は、およそ5,000億円と言われています。そのなかでシェアを拡大することも重要ですが、引越しを基軸にしながら、その先の展開を広げていかなければいけません。現在、「暮らしの中にもっと”SAKAI”を!」というビジョンを掲げています。「引越のサカイ」に留まらず、「○○のサカイ」に入る○○を、どれだけ埋められるかが重要だということです。この○○にチャレンジできる従業員をどんどん増やしていきたいですね。そこにやりがいを持って取り組んでくれる従業員が増えるほど、会社は成長し、お客様に喜んでいただき、「なくては困る」会社になっていけるのだと思います。

大切なのは、できるかできないかではなく、やりたいと思えるかどうかです。従業員が「やってみたい!」と思えるようになるためには、やはりエンゲージメントが不可欠です。エンゲージメントが高く、やりがいを持って仕事に取り組める仲間が増えていけば、業績は自ずと付いてくるでしょう。

※本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時のものです。

組織変革事例記事
大阪支社法人課

成果創出への基準も心理的安全性も高い組織を実現

株式会社サカイ引越センター 大阪支社法人課

責任者 成田 綾子 氏

事業内容

引越運送、引越付帯サービス業務

部署の業務内容

不動産会社、不動産管理会社、郵便局などの法人から引越しサービスの顧客紹介を獲得する営業業務

業種

物流・運輸

企業規模

2001名~

部署規模

〜10名

約1年間でのエンゲージメント

スコアの変遷

60.1 ⇨ 67.9

抱えていた
課題

  • コロナ禍で、各メンバーが別々の支社で働くことになったため、伝達事項がうまく伝わらないケースが増えた。

  • メンバー同士が毎日顔を合わせなくなったため、相手の気持ちを察しにくくなり、コミュニケーションが上手くいかなくなっていた。

改善のための
アクション

  • 毎朝、メンバー全員がリモートで顔を合わせる「リモート朝礼」を始めた。

  • メンバー全員を「○○担当」に任命することで、全員で組織をマネジメントをするようにした。

得られた
成果

  • 過去最高の売上を達成することができ、社内表彰において、9名のうち4名が表彰された。

  • 各メンバーが、当たり前のように数字を意識できるようになったほか、言いたいことがあれば遠慮なく発信できるようになった。

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コロナ禍でメンバーが顔を合わせなくなり、組織がぎくしゃくしていった

「抱えていた課題」

成田氏:私は、大阪支社法人課の責任者として、9名の営業スタッフのマネジメントをしています。

個人的な話になりますが、もともとマネージャーになるとき、子どもがまだ小さく、仕事と育児の両立に不安を抱えていました。ですから、マネージャーのお話をいただいたときも、すごく悩みました。ただ、当時の法人課は責任者が不在の状態で、周囲のみなさんに背中を押してもらう形で就任しました。何をすれば良いのかも分からないところからのスタートでしたが、何とか今日までやってくることができました。

今振り返ってみて、組織としてもっとも難しかったのは、コロナ禍の時期です。私たち法人課は、基本的にみんな同じ場所で働いてきましたが、コロナ禍のタイミングで、担当エリアの最寄り支社に出勤して働くことになりました。メンバーがバラバラになったことで、まず伝達事項がうまく伝わらないケースが増えました。また、メンバー同士が毎日顔を合わせることがなくなったため、相手の気持ちを察しにくくなり、その結果、組織がぎくしゃくした感じになっていきました。

また、コロナ禍が落ち着いて、再びみんなが同じ場所で働くことになったのですが、「支社のほうが居心地が良かった」「支社のほうが業務がはかどる」といった意見も聞かれました。こうした反対意見もあったので、元に戻すのに少し苦労がありました。

メンバーの様子に注意を払うこと、否定しないこと、褒めること

「改善のためのアクション」

成田氏:各メンバーが支社勤務になったのとほぼ同時に始めたのが、「リモート朝礼」です。毎朝15分くらい、メンバー全員がリモートで顔を合わせる時間を設けました。リモート朝礼では、数値の確認や業務連絡はもちろんですが、「最近どう?」「髪切った?」といった雑談や世間話もしていました。ちょっとした話でも、朝から気持ちがほぐれたり、テンションが上がったりするものです。

責任者として、常に意識していたのはメンバーの様子に注意を払うことです。リモート朝礼に限らず、ちょっと元気がなかったり、いつもと様子が違ったりするメンバーがいれば、面談というほどではありませんが、「何かあった?」というようにすぐに話を聞くようにしていました。

メンバーとのコミュニケーションでは、基本的に「否定から入らない」ようにしています。メンバーが出した答えをまずは受け入れ、もし他に良い答えがあるのであれば、「もっとこうしたほうが良いんじゃない」というように、他の方向性を示すことを意識していました。あとは、やりすぎなくらいメンバーを褒めることでしょうか。いつも「すごいやん」「できるやん」と言っている気がします。

私のこうしたマネジメントスタイルは、過去の経験から来ている部分もあるかもしれません。新卒で入社したとき、すごく厳しい先輩の下で働いていて、毎日怖くてビクビクしていた時期がありました。その先輩の指導のおかげで営業力が付いたので感謝はしているのですが、自分が将来、管理職になったときは、自分なりのスタイルでマネジメントをしたいという思いがあったのも事実です。メンバーが萎縮してしまったら、相談も提案もできなくなってしまいますからね。

また、法人課として売上をつくっていくのは私の重要な役割ですが、やはりメンバーによって力量に差があります。責任者として当然ですが、メンバーを指導・サポートして、パフォーマンスを引き上げることは常に意識しています。数値以外でも、会議に出るときの資料作成や話し方など、それぞれのメンバーの苦手な部分をサポートすることは、ずっと心がけてきたことです。

「モチベーションクラウド」も活用しています。今まであまり見えなかった組織の状態を「見える化」できるのが、モチベーションクラウドの良いところです。いつもサーベイの結果を見るのは怖いのですが、組織の課題が明確に分かります。「ここを変えていく必要があるんだな」「みんな、こうしてほしいと思っているんだな」といったことが分かるので、参考になっていますね。

サカイ引越センターには多くの部署がありますが、当然、それぞれの部署によって違った課題があるはずです。モチベーションクラウドを使って、各部署が課題解決に取り組むだけでなく、各部署の長が会社に対して要望や意見を出せるようになると、会社全体がもっと良くなっていくと思います。

過去最高の売上達成&9名中4名が社内表彰

「組織の変化ともたらされた成果」

成田氏:取り組みを継続した結果、メンバー同士が気軽にコミュニケーションが取れる関係ができてきました。リモート朝礼がスタートしたばかりの時期は、私に何を質問されるか分からないということもあり、「朝礼までに数字を把握しなきゃ」というように、身構えていたメンバーが多くいました。ですが、毎日続けることで、それぞれが当たり前のように数字を意識できるようになりましたし、話したいことがあれば、遠慮なく発信してくれるようになりました。

私は、「Aさんは提出物担当」「Bさんは○○担当」というように全員に担当を付けて、みんなで組織をマネジメントするような形にしています。そうすることで、たとえば朝礼のときに、「Cさんは○○ができていないので、すぐに入力をお願いします」というように、先輩・後輩関係なく指摘できるようになりましたし、抜け漏れやミスの削減にもつながっています。

業績面では、前期は過去最高の売上を達成することができました。サカイ引越センターには「四半期表彰」があるのですが、直近の表彰では法人課の9名のうち4名が表彰されました。責任者としてすごく嬉しいことでしたし、もっと表彰されるメンバーを増やしたいという思いを新たにした出来事でした。

私自身、メンバーにすごく助けられています。たとえば、あるメールにどのように返信しようか考えていたら、その様子を見たメンバーが「どうしました?」と聞いてくれて、一緒になって考えてくれたことがありました。「こうやって返信したらどうですか?」というように提案してくれて、私も「そういう考え方もあるんだな」といった気付きがありました。私自身、メンバーに助けられることが多いので、私もメンバーを助けようと思います。

「会社に行くのが楽しい」と思えるメンバーを増やしたい

「今後の展望」

成田氏:今後は、営業部門としてさらに成績を上げるために、これまで開拓してこなかったカテゴリで新規案件を獲得していきたいと思っています。今は、若手から中堅までメンバーが定着しており、安定的な組織運営ができています。引き続き、メンバーの定着を図るとともに、もっと人を増やして法人課を大きくしていきたいという思いもあります。

いずれ、次の世代に自分のポジションを渡す時期がくるので、後進の育成もしていかなければいけません。ただ、まだ渡したくないという気持ちがあるのも事実です。今の法人課が好きですし、毎日会社に行くのが楽しいです。メンバーも、同じ気持ちで働いてくれたら嬉しいなと思ってマネジメントしています。

私は入社15年目になりますが、創業者から、サカイ引越センターが大切にしている「まごころ」を学びました。今のメンバーは創業者のことを直接は知らないと思いますが、みんなが「まごころ」を持ってお客様に接していくことで、必ず会社の発展につながっていくはずです。メンバーに対しても同じことで、「まごころ」を持って接していけば、必ず成長できるはずです。今後も「まごころ」を忘れることなく、マネジメントに力を注いでいきたいと思っています。

※本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時のものです。

組織変革事例記事
品川支社

変わることを諦めていた組織が活力を取り戻し、売上・利益・顧客満足度の向上へ

株式会社サカイ引越センター 品川支社

支社長 加藤 雄二郎 氏

事業内容

引越運送、引越付帯サービス業務

部署の業務内容

東京都品川区・渋谷区を担当する引越センターの拠点業務

業種

物流・運輸

企業規模

2001名~

部署規模

11名~30名

約1年間でのエンゲージメント

スコアの変遷

51.9 ⇨ 59.3

抱えていた
課題

  • 他の支社に比べて忙しく、残業することが当たり前になっていた。

  • スタッフは、上手くいっていなくても「しょうがない」と諦めていた。

改善のための
アクション

  • スタッフ全員と個人面談を実施。把握した問題を解決するとともに、残業の削減に動いた。

  • サーベイ結果を元に組織全体で改善活動を推進し、仲間を増やしていった。

得られた
成果

  • 残業時間を減らしながらも、売上・利益・顧客満足度は右肩上がりで推移している。

  • 「管理職になりたい」という意欲的なスタッフが増え、管理職を2名、店長を2名輩出できた。

  • 「みんなで支社を良くしていこう」という一体感が生まれた。

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残業が当たり前の状態を、「しょうがない」と諦めていた

「抱えていた課題」

加藤氏:私は、これまで管理職として6つの支社で勤務してきて、7つ目に着任したのが品川支社でした。品川支社は、受注件数が多く、社内でも特に忙しい支社として有名でした。

着任した日のことは、今でもよく覚えています。まず、着任する前日に「明日から品川支社に着任するので、後で伺います」と電話をかけました。すると、忙しそうな応対で電話を切られてしまったんです。その後、夕方に訪れたらまた驚きです。他の支社と比べて、翌日の引越の準備が大幅に遅れていました。

翌日の着任初日は、台風で悪天候でした。お客様に迷惑をかけないよう、営業職もサポートしながら何とか回していきましたが、それでも業務が遅れて遅い時間までかかってしまいました。しかし、スタッフにあせる様子が見られなかったのです。私は思わず、「こんな時間まで何とも思わないの?」と聞きましたが、返ってきたのは「いつもこんなもんですよ」という言葉でした。

着任初日から「これはまずいぞ」と感じたのが、すべての始まりです。もちろん、残業が当たり前になっているのは良くないですが、それよりも問題なのが、スタッフが「しょうがない」と諦めているように感じたことです。当時は誰もが口癖のように「しょうがない」と言っていましたが、まずはその風土から変えていかなければと思いました。

「忙しいから」を言い訳にしたくなかった

「改善のためのアクション」

加藤氏:風土改革のため、まずは目に見えるところから変えていこうと考えました。当時は、忙しいこともあり、散らかった職場でした。ですから、最初に着手したのが「掃除」です。

次におこなったのが「個人面談」です。スタッフ全員と1対1で面談をして、「どのように働きたいのか」を聞きました。溜まっていた本音を全部吐き出してもらい、「じゃあ、こういうふうに変えよう」というように、その場で改善できることはどんどん取り組んでいきました。メンバーの意見を聞き、みんなが働きやすい環境づくりに取り組むきっかけになったと思います。

実際に品川に着任して、かなり忙しい支社だということは実感しました。ですが、それを言い訳にしたくありませんでした。ですから、業務のスケジュールをすべて組み直して、業務効率の向上に向けて動いていきました。

また、モチベーションクラウドのサーベイでは、組織の課題が全てさらけ出されます。結果が出た後は、課題解決を主題にして、みんなでミーティングをしてきました。「みんな、こういうことに不満を感じているんだよね」「じゃあ、それをどうやって改善していこうか?」「こうしたら、もっと良くなるんじゃない?」という具合にミーティングを繰り返し、改善活動をすることで徐々にスコアが上がっていきました。

着任した直後に1対1で個別面談をしましたが、なかには、面と向かっては言いにくいというスタッフもいますし、言いにくい内容もあります。それが、サーベイという形になると、みんな本音を言いやすくなる。その点も、モチベーションクラウドの良いところだと思います。

「管理職になりたい」と昇進を目指すスタッフが増えてきた

「組織の変化ともたらされた成果」

加藤氏:私自身、決めたらすぐにやらないと気が済まないタイプです。それが功を奏し、1~2ヶ月で職場の雰囲気は変わってきました。

雰囲気が変わったターニングポイントは2つあったと思います。一つ目が利益が増加したことです。以前から品川支社は「売上は良いけど、利益が出づらい」事が課題でした。「利益が出なくてもしょうがない」という雰囲気風潮すらありました。ですが、私が着任した月から3ヶ月連続で利益を伸長させることが出来ました。スタッフに、「ちゃんとやれば変われる」ということを示せたのは大きかったと思います。

二つ目が、組織を一緒に変えていこうという仲間が増えたことです。私が着任するとき、品川支社で唯一知っていたのが、現業職の班長です。着任してすぐに彼と食事へ行き、品川支社の現状を聞いたり、「どうしたら良くなるかな?」といった話をしたりしていました。

何度か彼と食事にいっていたら、ある日、後輩を呼んできて、またある日は、別の後輩を呼んできてと、どんどん人数が増えていったんです。最終的には、品川支社のほとんどのスタッフが集まっていました。狙って仲間を増やしたわけではありませんが、結果として「みんなで品川を良くしていこう」という一体感が生まれていきました。

後日談ですが、その班長が当時の私を見て「かっこいいな」と思ってくれたようで、「僕も管理職になりたいです」と言ってくれました。実際に今、管理職に昇進して頑張っています。手前味噌ですが、結果的に「良き管理職像」を見せられて良かったなと思っています。

やはり一番変わったことは、スタッフに向上心が見られるようになったことだと思います。日々の仕事で精一杯という状態から抜け出し、「管理職になりたい」「昇進したい」と思うスタッフが増えました。私が品川に着任してから、管理職が2名増えて、店長も2人輩出できました。自分から「やりたいです」と手が挙がるようになったのは、大きな変化だと思います。

 業績面では、先ほどお話ししたとおり、利益率が向上しました。また、売上・利益は右肩上がりで推移しながらも、スタッフの残業時間も減りました。昨年、社員の離職がなかったのも成果の一つだと思います。

スタッフが、自ら考えて行動できるようになったのも大きいですね。当時、私が気になっていたのは、スタッフからの質問が多かったことです。質問は悪いことではありませんが、受け身姿勢で、細かいことまで聞いてくるスタッフもいました。ですから、あるときから、「まずは自分で考えて提案してごらん」と言うようにしました。自分で考える癖をつけてもらいたかったからです。

考えて動けるスタッフが増えたことは、サービス品質の向上にもつながっています。現業職の対応を評価する顧客アンケートが、着実に改善されていきました。仕事をただこなすのではなく、その場その場で「どうするのが最善か?」「どう動いたらお客様に喜んでいただけるか?」ということを自分で考えて動けるようになったのです。

「モチベーションクラウド」でも、エンゲージメントスコアが伸びてきました。着任当初はCレーティングでしたが、現在はAレーティングまで上がっています。

「品川に行きたい」と、全国から精鋭が集まる支社にしていきたい

「今後の展望」

加藤氏:品川支社はエリアの特性上、高い技術とサービス品質が求められる案件も多くあります。だからこそ、日々研鑽を積み、レベルアップすることで、ゆくゆくは「高品質といえば品川支社」と言われるようにしていきたいという構想があります。

営業職も現業職も、品川支社のスタッフはハイグレードなサービスを提供できる。そうすれば利用してくださるお客様が増え、サカイ引越センターの競争優位性が高まり、結果的にスタッフの収入も上がる。そのようにして、将来的には社内から「品川支社で働きたい」という声が上がるようにしていきたいと思っています。品川支社がそのような存在になれば、会社全体にも良い影響をもたらすことができます。スタッフにこうした思いを伝え、みんなで品川支社をずば抜けた存在にしていきたいですね。

※本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時のものです。

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