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株式会社リンクス フェアリーキッズ北千里園

休憩中の雑談がプライベートな話から保育の話になり、仕事のやりがいが高まった

株式会社リンクス フェアリーキッズ北千里園

フェアリーキッズ北千里園 施設長 高月 麻鈴 氏

事業内容

 

部署の業務内容

・大阪市小規模保育施設の運営

・認可外保育所の運営

利用対象者(生後6ヶ月~満3歳未満児)への保育、子育て支援

業種 サービス

企業規模

51名~100名
部署規模

~10名

課題

  • 取り組んだ組織課題は、仕事内容(仕事内容への共感度合いに課題)

効果

  • 保育の質が高まり、保護者の方から利用したいという声をいただくことが増えた

  • 職員の主体性が高まり、ワンランク上のことに挑戦するようになった

株式会社リンクスが運営する認可小規模保育園「フェアリーキッズ北千里園」に施設長として赴任した高月氏は、保育士たちが不安や迷いを抱えながら働いているような雰囲気を感じました。また、園児や職員、外部環境が変わるなかで、保育園の環境が長年変わっていないことにも疑問を覚えました。高月氏は、一人ひとりの職員の保育観や要望を知るために面談を実施。日常的にもコミュニケーションの量を増やし、長所・短所を伝えたり問いかけをしたりすることで、職員に振り返りを促しました。取り組みの結果、職員たちは徐々に自己肯定感や仕事のやりがいが高まり、仕事への向き合い方も変わっていきました。

 

現状には満足していないけど、どう動いていいのか分からない

「抱えていた課題」

高月氏:私が施設長として赴任してきてまず感じたのは、個々の職員が不安や迷いを抱えながら働いていることでした。みんな現状に満足していないけど、「どう動いていいのか分からない」「動いてもうまくいかないのではないか」といった気持ちが、一人ひとりの職員のなかにあったように思います。

「この園しか知らないから」といった悩んでいるような言葉も多く、視野の狭さも感じました。また、立場に甘えるというか、「主任の仕事はこれ」「保育士だからこれしかしない」というように仕事を限定していて、すごく「業務的」な働き方になっていたと思います。子どもたちには優しく接していましたし保護者の方とも丁寧に関わっていましたが、職員間では認め合いがなく「一人ひとりの職員の魅力が発揮されていない現場」というのが最初の印象でしたね。

また、保育園の環境が長年変わっていないことにも疑問を感じました。時代も変わっていますし、子どもたちも働く職員も変わっているのに、ずっと同じ環境というのはどうなんだろうと思いました。

日頃のコミュニケーションのなかで「振り返り」を促し、成長の機会を増やした

「改善のためのアクション」

高月氏:北千里園の施設長になって組織改善の取り組みを進めてきましたが、改善に着手するにあたり、前任の施設長と1対1でお話しさせていただき、私が考えていたことを全部お伝えしました。前任の施設長も園の現状に悩んでいて、ずっと苦労されていたのを知っていました。ですから、「私は私のやり方でこれから園を良くしていこうと思っていますが、決して前施設長が改善できなかったという意味で捉えて欲しくない」といったお話をさせていただきました。前任の施設長には複雑な思いをさせてしまったかもしれず、そのときは私も泣きながら話をしていましたが、面と向かって話ができて良かったなと思っています。

実際の取り組みとしては、まず職員がどういうふうに仕事をしていきたいと思っているのかを知ろうと考え、一人ひとりと面談をおこないました。正規もパートも関係なく、保育観や普段考えていること、やりたいことを聞いてみたんです。私が上から説得するようなスタンスは良くないと思っていたので、聞くことに徹して、すべて吐き出してもらいました。

また、それぞれの職員が自分自身を見つめる時間が足りていないのではないかと思っていたので、振り返りを促すようにしました。といっても、ルーティンで振り返りの時間を設けるわけではなく、日頃のコミュニケーションのなかで、たとえば「今日、先生が子どもと接しているとき、私にはこう見えたんだけど、先生はどういうふうに思っていたの?」というような問いかけをして、話してもらう感じですね。

話すためには自分のなかで考えを整理する必要がありますし、声に出して話せば自分の耳にも入ってくるので、それが振り返りになるのかなと。私のなかに答えがあることでも、あえて「こういうときって、どうしたらいいんだろうね?」と質問して、できるだけ職員の口から話してもらうようにしていました。

このような職員とのコミュニケーションの内容は、私が言ったことも職員が言ったこともメモに残すようにしていました。いつ誰に何を言ったかを覚えていないと、「それ、この前も言われた」といったことになりかねません。また、メモをしておくことで「以前はこう言っていたけど、今はこういう発言に変わった」というように職員の変化も分かりますしね。

私が意識して職員に伝えていたのは長所や短所です。自分の短所ってたくさん思い浮かぶのに、長所ってなかなか見つけられないじゃないですか。それなら私が伝えてあげようと思い、職員の長所も短所も気付いたときに伝えるようにしました。長所・短所を伝えることも、職員に振り返りを促す意図がありました。「私ってこういうところが得意で、こういうところが苦手なんだ」と、自分を客観的に見ることができますからね。

あとは、保育園の環境を一新したことです。「今の子どもたちに必要なのはどんなスペースなのか?」ということをあらためて考え直し、環境改善に取りかかりました。もちろん、安全面に配慮してリスクがある場所にクッションを増設したり、その他、必要だと思う設備・備品は社長と相談して導入したりしました。

1日で答えを出すのではなく、1年かけてより良い答えが見えてくればいい

「改善していく中で感じたこと」

高月氏:職員たちとコミュニケーションをとってみて感じたのは、「みんな、すごく保育の仕事がやりたいんだな」ということです。保育のことから、環境のこと、食育のことまで、職員のいろんな思いを知ることができました。職員の要望に関しては、もちろんできないこともあるわけですが、そのときはできない理由を必ず伝えるようにしていました。ただ、私としては職員の「やりたい」という気持ちを大事にしてあげたいなと、あらためて感じましたね。

保育園の環境を変えることに対しては、「変えてもいいんだ」という驚きの反応が多かったように思います。たとえば、子どもたちが玄関口に行かないように手作りのゲートを設置していたのですが、そのゲートだと危険があるので、正規品でゲートを購入したことがありました。そのときも「手作りじゃなくていいんだ」「正規品もありなんだ」という声がほとんどでした。

職員はみんな「ものを大切にしなければいけない」という意識が強く、おもちゃが多少壊れていても捨てずに使っていました。もちろん、ものを大切にするのは大事なことですが、壊れたおもちゃで子どもがケガをしてしまうリスクもあります。ですから、「まだ使えるかもしれないけど、新しくしたほうが子どもにとってはリスクが少ないですよね」といった話をしたこともありました。このようなコミュニケーションを重ねていくうちに、職員のなかにあった「◯◯すべき」「◯◯してはいけない」という考え方は徐々になくなっていったように思います。

よく言われることですが、保育に正解はありません。一人ひとりの職員が違う答えを持っていて当たり前ですし、自分のなかに答えを持っているのはとても素敵なことです。私は施設長として、いろんな考え方をすり合わせて、園として理想の保育を追求していきたいと思っています。ですから、職員とのコミュニケーションにおいても、施設長という立場から「答えはこれです」と決めつけるのではなく、「私はこう考えるけど、あなたはどう考えますか?」という姿勢を大事にしていました。

その結果、職員たちの選択肢が増えたり、「そういう考え方もあるんだ」と気付いてもらえたりしたらいいのかなと。1日で答えを出すのではなく、1年かけてより良い答えが見えてくればいいのかなと思っています。

考え方が柔軟になり、ワンランク上のことに挑戦しようという姿勢が見えてきた

「組織の変化ともたらされた成果」

高月氏:分かりやすかったのは、休憩中の職員同士の会話が変わったことです。以前はプライベートの話が多かったのですが、子どもの話や保育に関する話が多くなりましたね。職員間で認め合う雰囲気が生まれたのも、大きな変化だったと思います。「今日の製作、素敵だったね」「◯◯ちゃん、すごく楽しそうにしてたよ」など、職員同士で褒めるような言葉が増えてきました。私から見ても、職員の自己肯定感が高まり、保育を楽しめるようになっているのかなと思える変化でしたね。

保育の質も高まってきたと思っています。以前は、9時にこれをして、10時になったらあれをするというように機械的・業務的に働いている印象でしたが、今は子どもたちの状態や周りの状況を見ながら、今やるべきことを考えたり、柔軟に予定を変更したりするようになりました。以前のように、1時間おきに時間が途切れるような保育ではなくなったと思います。職員間でも、お互いの様子を見ながら「体調悪そうだけどシフト変わろうか?」といった言葉が出るようになりました。

保護者の方からは、「2歳まででなく、小学校に入るまで見届けてほしい」「兄弟もここでお世話になりたい」といった嬉しいお言葉をいただくことが増えました。保育士は常日頃、「自分の保育は合っているのかな?」「これでいいのだろうか?」などと悩みがちな仕事ですが、こういったお言葉をいただけると「頑張ってよかった」「間違ってなかった」と思えるじゃないですか。職員たちの自信や励みになるので、私自身もすごく嬉しいなと思いますね。

私が赴任した頃は、視野が狭く縮こまった考えだったのが、今ではワンランク上のことに挑戦してみようという姿勢も見られます。

北千里園は、0歳から2歳までの子どもたちがワンフロアで過ごしているんです。これはこれで良い点があるのですが、年齢によって部屋が区切られていないので、以前は「子どもの年齢が上がること」への意識が曖昧になっていたところがありました。ですが最近は、年齢が上がることを見据えた保育の姿勢が見え始めています。たとえば、0歳から1歳に上がることを考えて、着脱などを見守る時間を増やしたり、2歳児が3歳になって卒園した後のことを考えて、お箸の使い方やトレーニングパンツでの過ごし方を伝えたりと、子どもたちが困らないように、どこの園に行っても大丈夫なように、関わりを深めているのはとても素敵な姿勢だなと感じています。

常々、施設長がいないと回らない園にはしたくないと思っているのですが、私がいないときに職員が自らトラブルに対応したという話を聞くことも増えました。こういう変化を感じられるのはすごく嬉しいですよね。

職員同士も施設長同士も認め合い、視野を広げていける組織へ

「今後の展望」

高月氏:人それぞれ違った思いがあることを認め合ったうえで、自分の長所・短所を成長の糧として個々が自立できる組織にしていきたいですね。

私自身、以前は殻に閉じこもるタイプの保育士だったので、若い頃にもっとたくさん行動して、もっとたくさん失敗しておけばよかったという後悔があります。ですから職員に対しては、何かやりたいことがあるならその気持ちを大切に、失敗を恐れずに行動してほしいなと思います。

リンクスは全部で8つの保育園を運営していますが、園ごとにカラーが違いますし、施設長ごとにこだわりがあるものです。もちろん私にもこだわりはありますが、自分の考えと同じように他の施設長の考えも尊重し、「そういう考え方もあるんだな」というように、お互いに視野を広げていけるようなコミュニケーションを図っていけたらなと思っています。

※本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時 (2021年9月) のものです。
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