事業内容 |
タクシー、整備、オートガスステーション、アミューズメント |
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業種 | サービス |
企業規模 |
2001名~ |
導入規模 | 1001名~2000名 |
やりがいを持って働ける環境をつくり、従業員の定着率を高めたい
若手従業員に活躍してもらい、激変するモビリティ業界の流れに対応していきたい
若手従業員のモチベーション向上から営業所の雰囲気がよくなり、退職者の抑制に繋がった
「事業内容」
荒木氏:エムケイは、昭和35年に旅客運送業者として京都で創業した会社です。わずか10台から事業をスタートしましたが、今では全国8都市で2,000台規模のタクシー、ハイヤー、バスを運行しています。地域のお客様の足を守るのはもちろん、観光やビジネス、インバウンドなど、様々な場面で数多くのお客様にご利用いただいております。
中核になっているのはタクシー・ハイヤー事業ですが、その他、自動車整備や新車・中古車販売、旅行業、小売業やアミューズメント事業なども手がけています。
「モチベーションクラウド導入の背景」
柴田氏:私が人事部に来た頃の課題は、若手従業員の退職者が多いことでした。退職までいかなくても悩みを抱えている従業員が多く、社内・部内のコミュニケーションに問題があることを強く感じていました。
当時、従業員の面談をおこないましたが、人によって感じていることも考えていることも違いますし、自分の意見をはっきり言える人もいれば、言えずに抱え込んでいる人もいます。従業員に個別に対応していても「どこがダメなのか?」「結局、何をしたらいいのか?」が分からず、課題を解決できないままでした。
リンクアンドモチベーションさんには、以前から組織診断(モチベーションクラウド)のご提案をいただいていたのですが、その頃に「ひょっとしたら組織診断が課題解決の糸口になるのではないか」と思い、あらためてお話を伺って導入に至ったという流れです。
荒木氏:その頃は、「エンゲージメント」という言葉をよく耳にするようになっており、従業員のエンゲージメントを高めていくことで組織の価値を高めていけるのではないかという期待がありました。一人ひとりの従業員が企業理念に納得し、愛着心を持って働くことで定着率も上がっていくはずだと考え、モチベーションクラウドの導入を決めました。
採用活動をするなかで、若手はお金だけではなく、やりがいを求め「貢献したい」という気持ちが強い人が増えていることを実感していました。そういった部分でも、モチベーションクラウドを導入して、みんながやりがいを感じて働ける会社にしていけたらという思いはありましたね。
「モチベーションクラウドを導入してわかったこと」
柴田氏:現場の営業所長から「本社との温度差を感じる」という話を聞くこともありました。そのときはピンと来ていませんでしたが、実際にサーベイをしてエンゲージメントスコア(※)を見ると、そういったギャップが明らかになっていたので、「現場の従業員も本社に対して距離感を感じているんだなあ」と認識させられました。
※ エンゲージメントスコアとは、社員の会社に対する共感度合いを表す指数です。
ある営業所長から「日々の業務では、事故を起こさないことや売上を上げることばかりにとらわれていた」といった話を聞いて、反省させられましたよね。会社の理念や考え方、向かっている方向などをきちんと伝えられていなかったなと。
荒木氏:最初のサーベイでは、他社と比較してもかなり低い結果が出て、階層ごとの意思疎通がうまくいっていないという課題が明確になりました。
エムケイは昔からトップダウンの風潮が強く、所属長は経営層から言われたことを部下に指示しますが、「なぜそれをしないといけないのか?」という説明はできていませんでした。ですから、従業員も「なぜ、この仕事をしているのか?」が分からないまま働いていたわけです。
加井氏:サーベイを実施したことで、従業員が理念をちゃんと理解していないんだなということが分かりました。「何のためにやるのか?」が分かっていないので、言われたことはスピード感を持ってやりますが、それ以上はありません。「言われたからやらなきゃ」という働き方では、やりがいを感じられないのも当然ですよね。
柴田氏:モチベーションクラウドを導入したときに、自分もサーベイに回答してみて大きな気付きがありました。たとえば、「あなたの上司があなたに対して、自部署の役割・使命や目標について分かりやすく伝えているか」という設問に対して上司として自問自答した私の答えは「No」で、自部署で部下に対して分かりやすく伝えられていないと気づきました。このように、サーベイに回答していくことで、自分自身も「何ができていて何ができていないのか」の洗い出しができたと思います。
「モチベーションクラウドの価値」
柴田氏:モチベーションクラウドは「組織のどこが良くて、どこが良くないのか」が可視化されるので、社長や役員も含め、共通の課題感を認識できるようになりました。そこは、すごく大きかったと思いますね。
以前なら、「誰かがこんなこと言ってるよ」「でも、本当にそうなの?」という感じで終わりでした。ですが、モチベーションクラウドは従業員の不満や組織の問題が数値化されて出てくるから納得感が違います。そのおかげで、みんなが同じ方向を向けるようになったと思います。
荒木氏:タクシー業界は著しく高齢化が進んでいます。エムケイも例外ではなく「これからは若い人が中心になっていかなければ」と、2016年から新卒採用を増やしました。ですが、今までと同じやり方をしていたら、新卒をたくさん入れてもたくさん辞めてしまうだけです。
私たちも、所属長も、会社として変わらなければいけないのは分かっているけど、どうしたらいいのかが分からない。そんなときにちょうどモチベーションクラウドを導入して、「こうしたらいいんだ」「こうしたらいけないんだ」ということが見えてきたように思います。
グラフを見ていても、本当に分かりやすいですよね。全社で共通している部分も見えますし、異常値が出ている部署があればすぐに分かります。所属長の性格が結果に現れてるなと感じることもありますしね。
加井氏:部署ごとの課題が明確になったのが、いちばんではないでしょうか。まだまだ改善できていない部分もありますが、部署長自らが「変えていかなきゃ」と思うきっかけになったのが、すごく良かったと思っています。
あとは、従業員がサーベイに回答することで「今、私ってこういう状態なんだ」「ここに不満を感じているんだ」といった自分の内面を認識できます。そして、職場に課題を感じているのなら、自分自身も何か変わらなきゃ・変えなきゃと思えたりもします。その点も、モチベーションクラウドの良いところだと思いますね。
「改善に向けた取り組み」
柴田氏:サーベイをするようになってからは、現場の営業所長にも変化が見られるようになりました。自分で考えて「うちの営業所はこれに注力しよう」と判断したり、営業所独自の目標を設定したりするようになりました。
たとえば、西五条営業所は具体的な取り組みとして、入社1年目の従業員にスローガンをつくってもらっていました。1年目の従業員に翌月のスローガンをタクシーのドライバーを含む230人の従業員の前で発表してもらい、それを営業所の目標として実践するという取り組みです。この取り組みの大きな狙いは、ただ言われたことをやるのではなく、自分の考えたことや新しいことを実践できる喜びを従業員に感じてもらうことにありました。
営業所の仕事って、ドライバーが帰ってきた後の処理など「受け身」の仕事が多いんです。ですから、なかなかやりがいを見つけにくい部分もあったのかなと思います。それなら、自らスローガンを立てて、そのスローガンによって結果が変わってきたほうがやりがいを感じられるじゃないですか。そういった意味で、すごく良い取り組みだと思いましたね。
荒木氏:タクシー会社の企業理念って「お客様第一」が基本になるのですが、それ以外の内容としては、ドライバーの行動指針などドライバー向けの要素が大半を占めています。ですが、そのドライバーたちに指示・指導をする職員がいるわけです。
エムケイの企業理念も、ドライバー以外の従業員にとって「何を目指すべきか」が分かりにくいものだったので、すべての従業員がもっと目標意識を持てる内容に刷新すべきだと考えていました。さらに、若い従業員も増えてきたので、全員が納得できる内容にしなければいけません。そのような背景から昨年、サーベイの結果も生かしながら企業理念の刷新をおこないました。
「取り組みの効果」
柴田氏:先ほどお話しした西五条営業所は、1年目、2年目の若手従業員が高いモチベーションを持って働くようになったことで営業所全体に活気が生まれ、雰囲気が変わっていきました。退職者も減り、いちばん多かったときに比べると半分以下になりました。これはやはり、営業所の雰囲気や仕事のやりがい、一体感などが向上したことが大きいですよね。
結果的に、西五条営業所はリンクアンドモチベーションが主催する「モチベーションチームアワード2021 (※) 」を受賞することができました。
※「モチベーションチームアワード」とは、組織変革に向けた取り組みによって「エンゲージメントスコア」が上昇し組織に大きな改善がみられた「部署」を選出し、表彰する年に一度の式典です。
加井氏:エンゲージメントを意識する所長が出てくる一方で、あまり興味を持てない所長もいます。それは仕方のないことですが、比べてみるとやはりエンゲージメントの向上に取り組んでいる部署のほうが数字も良くなりますし、働いている従業員も生き生きしているように感じます。
「西五条営業所は若手が頑張っているからベテランも活気づいてきたな」というような変化は、外から見ていても感じられましたね。「今後、モチベーションクラウドで実現したいこと」
柴田氏:会社の考えが現場に伝わっていないことや、従業員が気になっていることなど、たぶんサーベイをやっていなかったら今でも気付いていなかったと思います。今後もモチベーションクラウドを活用しながら課題と向き合い、より良い組織づくりに取り組んでいきたいですね。
荒木氏:今、モビリティ業界はかつてないほど大きな変化が起きています。古い考えは一掃していかないと、もはや時代の流れに対応していけません。今後は、20~30代の従業員にいかに活躍してもらえるかが重要になってくるので、若い人たちが何でも言い合える土壌をつくり、いろんなことにチャレンジできる会社にしていきたいと思っています。
また、今回のコロナ禍では「人」の重要性があらためて認識されています。会社の見えない資産として、これからますます人が重要視される時代になっていくはずです。そういった意味でも、モチベーションクラウドを有効に活用して従業員の成長意欲を引き出し、人の魅力をどんどん高めていきたいですね。