元禄12年の創業以来、鰹節専門店として、その姿と形を変えてお客様にお届けしています。具体的には、鰹節だけではなく、フレッシュパック・つゆの素の製造販売です。21世紀の更なる変化にも対応するために、惣菜事業にも取り組み、新たなる伝統・食文化の創造へ向けて進んでいます。
2018年秋には、速水もこみちさんと共同開発した、出汁とスパイスを組み合わせたメニュー専用調味料を新発売しました。
我々の会社はいくつか事業を運営しているのですが、事業毎にやり方が違っています。そのため、他の部署の仕事内容がわからないなど、どうしても縦割りのセクション主義になりがちなところがありました。
既存の流れの中で行う業務も多く、他部門の力を借りなくても仕事が回っていくこともあるため、他部門との交流自体が少なかったとも言えます。振り返ってみれば、組織を横断して横串を通すようなアクションも、あまりなかったかもしれません。
例えば、再開発の影響を受けて3年前に本社を室町へ移転した際には、全社的に力を合わせて進めてきましたが、プロジェクトが終われば徐々にセクション主義に戻っていってしまう。つまりは一体感がない状態だったんです。
「オールにんべん」にしていきたいと考えた時に、組織状態を可視化できる、モチベーションクラウドに出会い、これは機能するんじゃないかという期待を持ちました。財務的な要素はB/S、P/Lで見ていますが、組織にも指標を置いて見ることができるのは面白いと感じたんです。
それから、にんべんは創業から319年という歴史の古い会社です。社員の年齢層も高い会社ではありますが、新たな知見やノウハウ・パワーをもらえることが楽しく、新しい会社さんと一緒にやっていくのは好きなんです。
飲食業を始めた時にも、外食企業の方から力をお貸しいただいて、新しく展開できたことがありました。組織のことについても、リンクアンドモチベーションさんの力を借りて、組織を可視化するという新しい仕組みを吸収してみたいと思っています。
結果を目にした感想ですが、割と点数の高い組織と極端に点数の低い組織があるなということでした。問題がありそうだと感じていた組織がやはりスコアが低いケースもあれば、意外な結果だったというケースも、両方ありました。
いずれにしても、「目に見えた」ということが良かったと思います。サーベイ実施後にいくつかの組織に直接ヒアリングを行ったのですが、どこに問題を感じているのかという、彼ら彼女らの意見を聞きやすくなりました。
目に見える結果があるのでそれを基にしながら、現場の声を吸い上げやすくなりましたね。ヒアリングを行ったある組織は、組織が変わる時期に調査をしたこともあり、「私たちはどうなってしまうんだろう」と、口に出せない不安があったからこそ、非常に低い点数になっていたこともわかりました。
組織が今後どうなるのか・異動の有無など、もっと早く伝えられることがあったなとも思いました。まだ組織変革に向けては始まったばかりで、目に見えるような成果もこれからというところではありますが、月に一度実施されている経営会議の後に、部長陣が集まって部門を超えた対話をするようになりました。
縦割りのセクション主義の下、事業単位で動いていても、生産など別部門の力を借りなければいけない現実はあるので、対話を重ねることで、部門を超えた協力がよりスムーズにできるようになったという話も聞こえてきています。
若い世代の方々であれば率直なディスカッションには慣れているでしょうし、抵抗は少ないと思いますが、弊社の場合は部長陣も年齢層が高いため、意見を言い合うこと自体に苦手意識があるんです。正直なところ、はじめての取り組みですし「何を話せばいいんだ」と思った人も少なくなかったと思います。
ですが、サーベイ結果という目に見える共通指標があったことと、無理矢理にでも場を設定し続けたことで、徐々に対話が生まれていきました。はじまりは半ば無理矢理なところはあったかもしれませんが、この変化の兆しは今までになかったこと。非常に嬉しく受け止めています。
私自身は何かに取り組むときにまず、「こんな風に実現したらいいな」と考えるんです。単純にワクワクするじゃないですか。にんべん商品の取り扱いがないお店に、ずらっと品物が並んだら嬉しいなとか。社内でも、よりたくさんの人たちが、ワクワクする気持ちでアクションしてくれたらいいなと思います。
モチベーションクラウドで数値化された組織の状況を、全社員が見られるようになって、「自分の部署はこの部分は素晴らしいけれど、あの部分が足りないから、新しい取り組みを始めてみよう」といった対話が生まれたらいいですよね。ネガティブに捉えるのではなくて、一人ひとりが前向きでいられる組織になれたらと思います。