「事業内容」
西原氏:我々の本業は業務用食料品卸で、具体的には、飲食店、ホテル、居酒屋などのお客様に食材を配送するのが仕事です。
もともとは1971年に鹿児島で6畳二間からスタートした小さな卸業でしたが、現在では九州エリア、四国エリアに加え、関東にも進出。自前の食品工場も全国展開しており、食材の専門商社として、従来の食料品卸に加え、顧客のニーズに対応した商品の製造まで手がける西原商会グループを構築しています。
「モチベーションクラウド導入の背景」
西原氏:食材を配送するという仕事はどうしてもブルーカラー的なイメージがありますし、正直なところ離職率が高い業界です。なので長年の経営課題としては、いかにして優秀な人材を確保し、そのうえで育成していくかという「採用」と「定着」という二つのテーマがあります。
その「定着」にもっとも影響を与えるのが、彼らが実際に配属される現場、つまり各事業所です。しかし、その現場の状況がどうなっているのかを私たち経営者が知る術は今までありませんでした。
もちろん、管理職からの報告はありましたが、もっとリアルな社員の本音や実際の状況を推し量ることができないか、そう感じていた時にモチベーションクラウドに出会い、導入を決めました。
「モチベーションクラウドの活用」
西原氏:モチベーションクラウドのサーベイを実施してみて痛感するのは、一番大事なことはスコアに一喜一憂するのではなく、ビフォーとアフターの変化の量と質に着目することだということ。
そこをきちんと見ずにスコアだけ見て、「今回は下がった」「今回は上がって良かった」では本質的解決には繋がりません。
例えばスコアが上がるから上司を変えるなど、場当たり的な人事をしても意味がありません。スコアの深層にある変化の兆候を見逃さず、きちんと課題に向き合い着実に手を打っていくことが大事だなと思いました。
私たちは、労働環境を改善し、よりよい働き方を実現することが経営の重要課題と考えてきました。この業界では昔は長時間労働が当たり前で、うちも旧態依然とした労務管理をしていましたが、そこから脱却するためにこの十数年はずっとシステム導入による効率化を進めています。
働き方改革ですとか、最近ではDX (デジタルトランスフォーメーション) などと言われていますが、私たちはかなり前から地道に取り組んできていたんです。
トライアンドエラーを繰り返し、ここ数年で形になって社員の皆も変化を実感できるところまできたんだと思います。その業務改善へのチャレンジが現在のサーベイ結果の改善につながっていると感じます。
「業務改善のポイント」
西原氏:業務改善やDXがうまくいってない企業の多くが、管理者側の目線でシステム化を進め過ぎてしまい、現場で何が求められているのかきちんと汲み上げていないのではと思います。要するに、管理者のためではなく従業員のためシステム化が大切です。
例えば、日報を提出するシステムを使っている会社は多いと思いますが、うちはそもそも導入すらしていません。よく新幹線でパソコンを叩いているビジネスパーソンを見かけますが、おそらく日報のような報告業務だと思うんです。
何か書かないといけないから、皆片手間で移動の合間にやっているというわけです。
それはつまり、管理がしたい上司の都合で採用されているシステムであって、現場の忙しい人にとっては意味を感じられずにノルマ、ルーティンになってしまい、業務改善に繋がらない。だからうちはやらないと決めました。
こういう形式的なシステム導入が起きてしまうのは、経営者自身がシステム化に関与していない弊害でもあると思います。
なんとなくDXというのが流行語になっているから、システム部門に声をかけて後は任せきりになってしまう、それでは現場の状況が見えるはずはありません。
うちの場合は、全てのシステムについて導入前に社長デモというプロセスを経ることになっています。自分で触ってみて、いいものかどうかを判断するんです。
それで気になるところがあれば導入はストップしています。私は特にシステムに詳しいわけではないのですが、逆に私のような人間が直感的に理解できないものが現場で使われることはありませんから。
「マネジメントにおいて大切にしていること」
西原氏:うちはもともと営業会社みたいなものですから、個人の実績は明確に出るわけです。ただ、その実績だけでは今後成長するかどうかは推し量れません。
実績イコール実力ではないと私は思うので、どこを見るかが評価のポイントになります。点だけではなく線で社員の可能性を見るということですね。
例えば、赤字の部署を任せても、「今は赤字ですが、それがいついつまで続いて、その後に黒字になります」と言える人もいるんです。どこまで考えて事業をしているかというのはとても大事です。なので評価の際も、目先の実績が悪いからという理由だけで評価を下げることはしません。
どうやってピンチを乗り越えるつもりなのか、とか、そもそも何のためにこの仕事をやっているのかなど、どのくらい主体的に業務をとらえているかで真の可能性を見極めることが大事です。
線ではなく点だけで評価すると、本来実力がある人も力を発揮できずにくすぶってしまうこともありますから「しっかり人を見る」ということこそ、組織の活性化の基本だと思います。
「リンクアンドモチベーションに感じる価値」
西原氏:現在の社員数は2,400名ほど(2021年4月現在)ですが、私がこの会社に入社したときはまだ990人でした。しかも当時は本当に離職率も高かったので、その人数を確保するのにも苦労しました。まさに「採用」と「定着」を課題として取り組んできたと言えます。
今は離職率は本当に下がっています。その要因は先ほども言ったように労働環境の改善や、業務効率化の推進の成果だと言えますが、リンクアンドモチベーションさんの力もとても大きかったです。
リンクさんとつきあうようになって組織が変わったなと思うのは、仕事に対して「より楽しく、より面白く」というマインドの醸成を図れたこと。
長時間労働が恒常化していた頃には余裕がなく、自分の仕事に意味を見出すことができなかった人も、組織変革を進めていくうちに、仕事や組織への向き合い方が明らかに変わりました。
うちはトップダウンが強いだけの会社ではなく、それぞれの部署でそれぞれメンバーが主張して、他部署との連携もあって、バランスのいい組織体になってきたなという実感を持っています。
そもそも、うちとリンクアンドモチベーションさんとの最初の仕事は、新入社員採用でした。社内でどれだけ頑張っても目標採用数にいかない時期があって、コンサルを頼んだのが最初でした。リンクさんから専門的な知見、アドバイスをもらい、うちの採用は劇的に変わりました。
以前は採用目標の100人を達成できていなかったのですが、今年は140人の採用が決まりましたし、数だけではなく人材レベルもかなり高まりました。
今では同業他社からも「西原は採用が強いよね」と言われるようにはなってきたので、今後はさらに未来の経営人材やマネジメント人材をどんどん育てていきたいですね。
育成については、リンクさんに社内研修やセミナーもお願いしているのですが、どれも満足しています。特に新人研修に関しては圧倒的な価値を感じています。自分たちだけではあのクオリティはとても出せないですね。あの研修を経て成長していく姿に今後期待したいです。
私は元々経営コンサルタントに良いイメージがありませんでした。「普通の企業だとこういうことをします」と言われても、それが本当にうちに合っているのかとは別の話ですし、そもそもきちんと我々のことを理解してはもらえないとさえ思っていました。
リンクアンドモチベーションがいくつもある他のコンサルティング会社と決定的に違うのは、無責任に意見を言うのではなく、どうすればよりよい組織を造り上げられるかを考え抜き、一緒に汗をかいてくれる唯一無二な存在だというところです。
ある意味、うちの社員以上にうちのことを理解し、愛し、心配してくれて、働いてくれるその「本気」の力。
長年の経験に裏打ちされた高い専門性や豊富な知見が強みなのはもちろんですが、それと相反する一種の「ベタさ」こそが実はリンクアンドモチベーションのコンサルティングの魅力ではないかと私は感じています。
クラウドを使ったビジネスも加速していくと思いますが、どれだけテクノロジーが進化しようが、「高い専門性」と「泥臭いベタさ」を合わせ持つ稀有なコンサルティング会社としてこれからも世の中の困っている企業のために活躍してもらえればと思います。
※株式会社西原商会様は、リンクアンドモチベーションが開催する「ベストモチベーションカンパニーアワード2021」大手企業部門で6位を受賞されました。こちらは、トロフィーをお渡しした際のお写真です。