事業内容 |
IoTサービス事業、プロダクトサービス事業、オートモーティブビジネス事業 |
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業種 | 情報・通信・広告 |
企業規模 |
1001名〜2000名 |
導入規模 | 1001名〜2000名 |
「一人ひとりの成長による価値提供サイクル」という全社方針を実現するために社員の成長の基盤となるエンゲージメントを高めていきたい。
人材の流動化や多様化によって組織に「遠心力」が働き、人材の維持・活用の難易度が高まるなかで、人材を惹き付けるために組織の「求心力」を高めたかった。
サーベイの結果がすぐに分かるので、組織改善の気運を保ったままスピーディーにアクションに移せるようになった。
管理職を対象に研修を実施した結果、研修で得た気付きを日々のマネジメントに活かす管理職が増えた。
「事業および部署の概要」
近藤氏:NTTデータMSEは、パナソニックグループのソフトウェア会社として1979年に創業した会社です。その後、2008年にNTTデータが、2016年にデンソーが資本参加し、現在に至っています。「情報技術で新しい価値を生み出し、豊かな未来社会の創造に貢献する」という経営理念を掲げ、主に「IoT」「プロダクト」「オートモーティブ」の3つの事業領域において、人と社会をつなぐ新たなサービスを創出しています。
当社はソフトウェア会社であり、一番の資本と言えば「人」しかありません。どの事業領域においても、現場で働く一人ひとりの社員が価値提供の源泉になっています。私はよく「人事」という字をもじって、「“人”を活かして“事”を成す」と言っているのですが、我々人事部の役割はまさに社員を活かすことで企業の創出価値を最大化することだと考えています。
「エンゲージメント向上に取り組む背景」
西沢氏:当社は、今年度「一人ひとりの成長による価値提供サイクル」という全社方針を掲げています。これは、社員の成長が会社の成長につながり、お客様や社会への貢献を今まで以上に拡大させて、さらに当社の取り組みを社外発信していくことで、魅力的な会社としてお客様をはじめとする社会から選ばれ続ける企業になっていこうというサイクルです。
人事としては、このサイクルの起点になる社員の成長や幸福、エンゲージメントを追求していきたいという思いがあり、その手段の一つとしてモチベーションクラウドを導入しました。
近藤氏:繰り返しになりますが、当社にとって最大の資産は「人」です。技術や設備だけで「生産性を向上させる」という目標を達成するのは難しいですが、皆さんのモチベーションが上がれば、何倍もの成果を上げることができます。だからこそ、エンゲージメントは生産性や価値を生み出す上で非常に重要なのです。
加えて、近年は人材の流動化や多様化によって組織に「遠心力」が働き、人材の維持・活用の難易度が高くなっています。こうしたなかで、人材を惹き付けるためには組織の「求心力」を高める必要があり、その核になるのがエンゲージメントであると考えるようになりました。
以前から社員満足度調査をおこなっていましたが、文字どおり、社員の会社への「満足度」を測るだけの一方通行の調査であり、相互の結びつきを可視化することはできていませんでした。しかし、私たちは、社員と会社が共に価値を高め合う関係でありたいと考えています。そこで、「会社と社員の相互理解・相思相愛度合い」を表すエンゲージメントに着目し、エンゲージメントサーベイの導入に至ったという背景があります。
「モチベーションクラウドを選んだ理由」
西沢氏:これまでの社員満足度調査では、社員の「期待度」が分からなかったので、経営としては、勘と経験に頼って施策を打たざるを得ませんでした。当然、ヒットしない施策もあり、組織改善のPDSサイクルをうまく回せていないことが課題になっていました。
その点、モチベーションクラウドは「期待度」を測ることができるので、社員が何を期待しているのか、どこから手を打っていけば組織として効果的な改善に繋がるのかを明確にできると感じました。それがモチベーションクラウドの特徴であり、導入を決めた大きな理由の一つです。
高久氏:以前の社員満足度調査は、実施してから結果が出るまで3ヶ月くらいかかっていました。その後、現場に改善施策を考えてもらうわけですが、3ヶ月も経っていると、もはや「これって何だっけ?」という状態です。しかし、モチベーションクラウドは結果がすぐに分かります。組織状態の変化をリアルタイムで見ながら運用していけることも、導入の決め手の一つになりました。
また、リンクアンドモチベーションのサポート体制も大きなポイントになりました。モチベーションクラウドは、ただ組織状態を可視化できるだけでなく、システム上で改善施策の提案がありますし、担当コンサルタントの方から「この場合は、このような施策が効果的ですよ」といったご提案をいただけます。組織開発専門のコンサルタントと一緒に改善に取り組んでいけるサポートの厚さも、モチベーションクラウドを選んだ理由の一つです。
「サーベイを実施してみて」
大西氏:印象的だったのは、管理職とメンバーのエンゲージメントスコアに大きなギャップがあったことです。同じ会社で働いているのに、ここまで感じ方が違うんだなというのが率直な感想でした。また、組織の弱みとして、特に「階層間の意思疎通」に課題があることが分かりました。
西沢氏:具体的に言うと、課長と課長代理の間のギャップです。経営が出す方針・目標が、課長までは降りているものの、課長代理から下には降りていないという状況が窺えました。課長代理が腹落ちしていなければ、当然ながらメンバーにも落ちていきません。サーベイの結果は、課長層の「結節力」が不足しているという課題を示唆してくれるものでした。
大西氏:一方で、初回のサーベイを実施した後、様々な場所で管理職からサーベイに関する話を耳にするようになりました。特に結果が思わしくなかった組織の管理職は、「改善しなくては」という危機感を持ち、その結果、話題に上るようになってきたのかなと考えています。
高久氏:数値やレーティングで明確に結果が出てくるので、衝撃を受けた管理職も多かったように思います。だからこそ、真摯に受け止めてもらえたのではないでしょうか。性別や年代など属性別でスコアの傾向が見えることもあり、管理職がメンバーと話をするきっかけになっているのかなと思います。
「エンゲージメント向上の取り組み」
大西氏:サーベイの結果を踏まえて、「全社施策」と「本部施策/現場アクション」の2軸で組織改善のPDSサイクルを回しています。
全社施策は、「階層間の意思疎通」という優先課題の解決を図るもので、管理職向けに「結節機能強化に向けた共有会」を実施しました。この研修では、リンクアンドモチベーションの担当コンサルタントの方に研修講師を務めていただきました。数回にわたってほとんどの管理職に参加してもらい、「結節点」としての役割理解を促すとともに、「新入社員に対する助言」というケースワークをおこないました。これは、職場に対する不満、将来のキャリアに関する不安、目標に対する疑問などに対して、管理職としてどのように新入社員とコミュニケーションを図っていくのかということを、一人ひとりが考えてディスカッションするケースワークです。こうした研修で得た学びや気付きを、日々のマネジメントに活かしてもらっています。
本部施策に関しては、組織ごとに課題が異なるので、まずはサーベイの結果をもとに各組織で「職場共有会」を開いてもらいます。そこで、メンバーと一緒に組織状態や課題をすり合わせ、改善項目とアクションプランを決め、実行してもらっています。アクションを実行したら、フォーカスサーベイで効果測定をしながら組織改善のPDSサイクルを回していくというのが一連の流れです。
近藤氏:サーベイをするだけで現場に投げっぱなしにしてはいけないので、人事も責任を持って組織改善に関与しています。現場任せにせず、人事も直接現場に足を運び、 細やかなサポートを行っています。 特に、エンゲージメントレーティングが「C」「D」だった組織には人事がしっかりと関与し、現場の責任者と「どこに課題があるのか?」など、ディスカッションをしながら一緒に組織改善を進めています。
「モチベーションクラウドの価値」
谷口氏:サーベイの準備段階で言うと、マニュアルが充実しており、「この期間にこれをやる」「属性はこうやって登録する」というように順序立てて記載されているので、スムーズに準備を進めることができました。分からないことがあってカスタマーサポートに電話をしたときも丁寧に教えていただき、事務局としてはすごく助かりました。
大西氏:社員満足度調査をしていた頃に比べると、はるかに的確に組織課題にアプローチできるようになったと実感しています。モチベーションクラウドは、「期待度」が基軸になっており、期待度と満足度のギャップから組織課題に優先順位を設定します。課題を絞り込みできるので、効果的に組織改善を進めることができています。
また、スピード感を持って改善に取り組めるのも良いところだと思います。以前のように結果が出るまでに3ヶ月もかかると、人事異動などで組織状態が変わっていることもありますし、組織改善の気運もトーンダウンしてしまいます。ですが、モチベーションクラウドならサーベイ締め切りの翌々日には結果が出てくるので、鮮度の高い情報をもとに改善を進めていくことができます。組織改善の気運を保ったまま、スピーディーにアクションに移していけるのは、非常に魅力的なところだと感じています。
サーベイを実施した後は、結果をどう分析し、どう動いて課題を解決していくかが重要です。これを自分たちだけでやる場合、もともと自分たちが持っている引き出ししか参照できません。ですが、リンクアンドモチベーションから第三者目線で現状分析や改善提案をいただけるので、自分たちの引き出しとうまく合算しながら改善に取り組むことができます。リンクアンドモチベーションのアドバイスや改善提案は、我々にとってなくてはならないものになっています。
高久氏:今までの社員満足度調査も隣の組織や他の本部との比較はできましたが、結局、当社内での判断になってしまうんです。モチベーションクラウドの膨大なデータや知見のおかげで、「世の中の平均的な会社はどうなのか?」「同業他社と比べたとき、どこに自分たちの課題があるのか?」「どのようなアクションが効果的なのか?」といったことに気付けたのは非常に大きかったと思います。
西沢氏:初回のサーベイの後、ほとんどの管理職に先ほど述べた「結節機能強化に向けた共有会」に参加してもらいました。これは決して小さな投資ではありませんが、サーベイの結果から「階層間の意思疎通に課題がある」と特定できたため、そこに集中して投資することができました。
もし手がかりがなければ、様々な施策を試す必要があり、その効果も分からないままになってしまいます。しかし、モチベーションクラウドのおかげで、私たちは的確に投資すべき部分を見極めることができ、その点に大きな価値を感じています。
近藤氏:研修では主に、管理職の結節点としての機能について教えていただきましたが、参加した管理職の役割理解が深まったと感じています。今回の研修には、ベテランの管理職も多数参加していましたが、「自分たちはこういう癖があったんだな」といった気付きがあったようで、効果は大きかったと思います。また、担当コンサルタントの方からは「製造業はこのような傾向がある」「こういう捉え方をする社員が多い」など、世の中全体や他業界との比較におけるサジェスチョンをいただき、そこでハッと気付きがあった管理職も多かった印象です。
「今後、モチベーションクラウドで実現したいこと」
谷口氏:私は新卒で入社して5年目ですが、中途入社の方からたびたび「MSEはすごく待遇が良いし、制度も整っているし、いろんな働き方ができる」といったお話を聞きます。他の会社を知っているから分かることだと思いますが、私のようにこの会社しか知らない社員も、「MSEって良い会社だな」と感じられるような組織にしていけたらいいなと思っています。
西沢氏:会社は社会の公器ですから、社会から求められなくなったら終わりです。当社は、サステナビリティ方針として、「お客様」「社員」「ビジネスパートナー」「社会」とのつながりを揺るぎないものにすることを通じて、持続可能な社会の実現に貢献すると掲げています。「社員」が非常に重要なステークホルダーであるからこそ、一人ひとりの社員が世の中に貢献できる会社にしていきたいという思いは強く、そのための取り組みの一つとしてモチベーションクラウドを導入しました。
エンゲージメントが高くなることで仕事の質が上がり、その結果、提供価値も上がっていくと思っています。どんな人でも、「価値を発揮できていない自分」は嫌じゃないでしょうか。 社員みんなが価値を発揮できるようになれば、ずっとお客様や社会から選ばれ続ける会社になることができます。これが、我々が目指すべき姿です。