■事業内容
株式会社Schooは、大人たちがずっと学び続ける生放送コミュニティ「Schoo」を運営しています。「世の中から卒業をなくす」ことをミッションに掲げ、誰でもどこでもオンライン授業が受けられる生放送授業を毎日無料で配信しています。録画授業のストックや限定生放送は有料プランで視聴できます。
■モチベーションクラウド導入の背景
プロダクトや事業の話を経営会議などで議論するんですが、だんだん人が増えてくると「組織をどうするか?」「どこの部署に課題があるのか」「採用はうまくいってるのか」などの組織や人材の話が中心になってきたんです。
その中で、組織に関わる話だけが割とふわっとした定性的な話で終わることが多いなと。僕は組織についても事業同様、きちんとKPIを置いて判断した方がいいと常日頃思っていました。その中で、モチベーションクラウドはドンピシャのサービスでした。
ちなみに最初にサーベイをとったときのエンゲージメントスコア (※編集注:エンゲージメントスコアとは、組織状態の偏差値であり、モチベーションクラウドに蓄積されたデータベースをもとに算出されています) が、AAAという一番良いランクが出たんです。
でも、そのときに思ったのは、これは「人間ドック」だということです。人間ドックでは、総合スコアが問題なさそうでも、血糖値などの細かい数値を見ると、「ここは少し上がり気味だから気をつけなければ」ということが、カルテを読めばわかりますよね。
モチベーションクラウドも人間ドックと同じで、スコアが高いから安心するのではなく、細かいところを見て今後起きる問題を予測したりして、定期的に検査をしていくためのツールなのだと思っています。
■モチベーションクラウドの価値
定点で組織状態を数値化して、精密検査を行えることが一番価値だと感じています。ただ、もちろん会社としての取組みがセットです。実は導入後の2017年にスコアが急激に落ちるということも経験しました。
2回目にサーベイをとったときに、一回目から若干スコアが下がったんです。その時点で色々な対策を打つべきでした。その時は、気付いたときにはすでに引き返せないぐらい、いろんな問題が起きていました。
たとえば中途で入った管理職と元々いた古株のプレーヤーがうまくいかないとか、採用権を社長から役員に渡した結果、価値観が合わない人を採用してしまうなど、いろんなことが同時多発的に起こりました。
最終的にサーベイの結果などから見えてきた問題点は、これは僕の判断ミスだと思いますが、組織に対する価値観をすりあわせずに、管理職を採用してしまったことです。もちろん、それぞれ優秀な人たちではあったのですが、組織において何が大事だとか、人に対してどう向き合うべきだというところの価値観が私とずれていました。
当時は、モチベーションクラウドで組織状態が悪いことはわかっているのに「事業伸びてればいいじゃないですか?」とか「僕たちの職種は低くつけがちなんです」というようなことを言う人もいましたが、今は価値観をしっかりすり合わせているのでそういったことはなくなりました。
■今後、モチベーションクラウドで実現したいこと
現在は、診断と改善のスピード感を高めたいと思い、モチベーションクラウドでのサーベイ実施を、それまでの半年に1回から3カ月に1回のスパンに変えました。
また、以前は僕自身が細かく組織改善のアクションを指示していたのですが、現在ではチーム内で話し合ってもらいアクションを決めるというフローになりました。上からではなく、組織のマネジャー主体で運用が進んでいて、「組織とはみんなでつくるもの」という状態になりつつあるのが嬉しいところです。
今、組織の状態はとても良いんですよ。(※2020年7月取材当時) コロナの影響もあってオンライン教育への注目は高いですし。でも3年後か10年後かわかりませんが、いつかまた経営危機が訪れて、組織や事業が停滞するときがくるかもしれません。
そんな時にも簡単には崩れない、強い組織をつくっておきたい。それを実現するためのツールとしてモチベーションクラウドを活用したいと思っています。
最終的な組織の目指す状態としては、自分が何もしなくても、ミッションやビジョンを実現するために皆が本気になっている状態です。その中で、僕は会社のセンターピンとして在り続けることが大事だと思っているんです。
つまり、会社に入ってきてくれる優秀な人材が活躍することで発生する遠心力に耐えられるように、経営者である僕が目指すべき世界や普遍的な価値観を示す存在として在り続ける。それが、経営者としての僕の役割なんだと思います。
樹木も大きくなっていけばいくほど、肝心の幹が細いままだと簡単に折れてしまいますよね。幹である僕が太くなければいけません。ただ、その木がこれからどんな実をつけるのか、どんな花を咲かせるのかについては、どんどん皆に任せていきたいなと思っています。
良い組織というのは「みんなでつくるもの」ですから。
「モチベーションチームアワード2020」を受賞された、株式会社Schoo デザイン部門の取り組みをご紹介します。「モチベーションチームアワード」とは、組織変革に向けた取り組みによって、エンゲージメントスコア (組織診断ツール「モチベーションクラウド」により算出) が上昇し、組織に大きな改善が見られた部署を発表するものです。
■必要最低限のコミュニケーションのみで、業務連携がなかった
社内受託の個人デザイナーの集まりで、完全に業務が分断されており、個々人のアウトプットへのレビューがない状態。必要最低限のコミュニケーションのみで、情報や目標の共有、業務連携がなかった。
■社内での存在感が薄かった
下流工程の作業としての「デザイン」業務を社内から受託している状態。社内における存在感が薄かった。
■月1回のランチ会を設定
毎月ランチ会を実施。デザインに対してレビューし合うだけでなく、感じていることや悩みなどを共有する場。
■業務連携や情報共有の仕組みを整えた
①コミュニケーションツールを使い、普段からデザインのレビューをし合えるようにする。
②ミーティングでタスクの進捗を共有し、助け合う。
③チーム内での役割を明確化するなど、業務連携や情報共有の仕組みを整えた。
■企画や採用からデザイナーが参加する仕組みを整えた
デザイン部門のメンバーも、上流工程である企画から参加するようにした。また、採用権限を得て「デザイナー視点」での採用を実施した。
■チーム外への発信を増やした
クリエイティブガイドラインを作成し、全社に適用する、成果物を全社に発信するなど、チーム外にも働きかけた。
■チームとしてお互いを尊重し、助け合うようになった
「チーム」という意識を全員が共有し、協力できるようになった。業務以外のコミュニケーションも増え、関係性も良くなった。
■業務範囲が広がり、社内における存在感が高まった
上流工程から関わることで発言機会が増え、デザイナーも経営会議に参加するようになった。
■生産性が向上した
コミュニケーションが増えたことでタスクが洗い出され、業務効率が上がった。また、企画段階から他部署とコミュニケーションを取り、メンバーが互いにデザインを評価し合うことで、アウトプットの質が高まった。開発にも関わり、リリースまでのスピードも向上した。
サービスや会社への理解と共感を深め、「モノ」「コト」「ヒト」をデザインできるデザイナー組織を目指します。