事業内容 |
1. 旅客鉄道事業の運営 2. 都市・生活創造事業の運営 ・流通事業(駅構内店舗、商業施設の運営等) ・不動産事業(オフィスビルの賃貸等) ・情報通信事業(光ファイバーケーブルの賃貸等) |
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業種 | 物流・運輸 |
企業規模 |
2001名~ |
導入規模 | 2001名〜 |
市場環境が変わる中で、新しい価値創造にチャレンジしていくために、従来の組織風土を変革したかった。
他社比較ができる指標で従業員エンゲージメントを数値化し、共通認識をとりたかった
「人的資本」「エンゲージメント」に関するノウハウが豊富なリンクアンドモチベーションのサポートを得たかった。
今まで何となく認識していた課題を表面化することができた。
膨大なデータベースを元に、指標によって世の中における自社の立ち位置を把握できるようになった。
数値化して終わりではなく、エンゲージメント向上や組織改善に向けた手立てを考えられるようになった。
「事業および部署の概要」
米谷氏:弊社は、東京都区部の鉄道を運営している会社です。主要事業は地下鉄の運営ですが、関連事業として流通事業や不動産事業、広告・情報通信事業なども展開しています。私は人事部労務課の課長として人事制度を中心とした人事戦略の立案を担っており、働きがいある会社を目指し報酬や評価、配置の検討・見直しなどをおこなっています。
大原氏:私は人事部のなかで、ダイバーシティ&インクルージョン推進、および採用という2つの役割を担っています。ダイバーシティ&インクルージョンとして、誰もが働きやすい職場づくりを推進しており、今回、導入したモチベーションクラウドも、すべての社員が生き生きと働ける職場をつくることが大きな目的となっています。
「組織課題とモチベーションクラウド導入の背景」
米谷氏:東京地下鉄は、創業以来ずっと人を大切にしてきた会社です。しかしながら、人的資本経営の気運が高まるなかで、「本当に人を大切にできているのか」をいま一度確かめ、課題があれば改善していくべきだと思いました。
弊社では、「本社」と「現業」で仕事内容や役割が異なる社員が働いていますが、いざというときは、ものすごい一体感を発揮できる会社です。例えば、東日本大震災のときはまさにそうで、本社も現業も関係なく、お客様のために力を合わせて早期の運行再開、終夜運転を行いました。一方で、日頃の業務においては、部署の事情が優先されたり、職場間の理解や連携が不足していると感じるようなシーンも見られました。
組織の一体感を高めるための課題、つまりありたい姿に向けて「足りないもの」を明らかにしていきたいというのが、今回モチベーションクラウドを導入した一つの理由です。エンゲージメント調査で明らかになった課題に対して改善策を講じて、PDCAを回していく仕組みをつくっていきたいと考えていました。
大原氏:弊社は、鉄道事業を中心に、安全・安心を追求してきました。一方でこれからの時代、市場環境が大きく変わる中で、新しい価値を生み出していかなくてはならないという危機感もありました。もっと幅広く東京の街の発展に貢献し、人々の暮らしを支えていこうというタイミングにあるなかで、これまで以上の一体感が求められていたという背景がございます。従業員エンゲージメントは「企業と従業員の相互理解・相思相愛度合い」とも言えますから、一体感を生み出す土台になると思っています。
米谷氏:会社は「良かれ」と思って様々な制度を導入していますが、それらが「現業社員の期待に応えられているのか?」「エンゲージメント向上に繋がるのか?」と言われると、「不足している部分もあるのではないか」と感じていました。ただ、これは私の仮説に過ぎないので、変える根拠はありません。だからこそ、エンゲージメント調査で社員の声を定量化したかったのです。「社員は、本当はこういうことを望んでいる」ということを数値として示すことが、エンゲージメント向上や組織改善の出発点になるはずだと考えていました。
「モチベーションクラウドを選んだ理由」
米谷氏:御社のモチベーションクラウドを選んだ大きな理由の一つが、他社比較ができることです。弊社はこれまでも3年に1回のペースで社員満足度調査をおこなってきましたが、他社比較はできませんでした。ですが、モチベーションクラウドは1万社を超えるデータベースがあり、膨大な他社データと比較して自社の立ち位置を把握することができます。比較するときの指標も、偏差値的に「エンゲージメントスコア (※1) 」が示されるほか、「レーティング (※2) 」もあるので非常に分かりやすいです。
※1:企業と従業員のエンゲージメント(相互理解・相思相愛度合い)を表す指標
※2:「エンゲージメントスコア」に応じた、「DD」から「AAA」11段階のランク付け
経営層やマネジメント層だけではなく全社員にデータを共有して、一緒になって組織改善の取り組みを進めていきたいと思っていたので、他社比較ができる点や、誰にでも分かりやすい結果帳票が出てくる点は非常に魅力的でしたね。
また、人的資本開示が求められるこれからの時代、「どのように開示するべきか?」という点においても、モチベーションクラウドは有効だと思っています。数多くのサーベイを調べましたが、指標を社外向けの報告書に載せるに足るサーベイはほとんどありませんでした。
「当社のレーティングは○でした」「○点でした」と開示することはできるかもしれませんが、他社との同じ「物差し」となる指標で開示しなければ、当社の数値が高いのか低いのかも分かりません。そもそもの「物差し」がアバウトでしたら、ステークホルダーにとって評価できる判断基準にはなり得ません。しかし、リンクアンドモチベーション社のモチベーションクラウドは比較可能性に優れており、対外的にも十分に開示できる指標が得られるものです。
「モチベーションクラウドの価値」
米谷氏:エンゲージメント調査は他にもありますが、PDCAを回して本気で組織改革を進めていくのであれば、「絶対にモチベーションクラウドじゃなきゃだめだ」と思い、今回導入を決めました。
弊社は上場を目指していますので、投資家などのステークホルダーに評価してもらうという意味でもエンゲージメントは非常に重要です。繰り返しになりますが、他社比較をしながら自社のエンゲージメントや組織状態を把握できるところは、モチベーションクラウドの大きな価値だと思っています。「裸の王様」「井の中の蛙」になることなく、今まで気付けなかったことにも気付けるようになりました。
そのうえ、リンクアンドモチベーション社はISO 30414 (人的資本に関する情報開示のガイドライン) を日本で初めて取得されており、エンゲージメントが非常に高い会社で、「どうすればエンゲージメントを高められるか?」という豊富なノウハウをお持ちです。これ以上、頼もしいパートナーはいないと思っています。
大原氏:「導入して終わり」ではないのも、モチベーションクラウドの大きな価値ではないでしょうか。当初は、「まずはサーベイで可視化しよう」という目的で走り始めましたが、数値を取ることがゴールではなく、その数値をもとに組織を改善していくことこそが重要です。実施してみて、モチベーションクラウドはスコアを見て終わりではなく、組織改善につなげるためのサーベイであるということを、あらためて認識しています。
事務局の立場としては、サーベイ実施後もフォローしていただき、本当にありがたく思っています。「こんな相談をしてもいいのかな」と思うようなことまで、厭わずご対応いただき、我々がより良い組織になっていくために手を尽くしてくださっています。導入当初は分からなかったことですが、運用が始まってからは伴走していただける心強さを感じています。
また、マネジャー自らがWeb上でデータを見ることができ、改善に向けたアクションプランまで含めて管理できるのもモチベーションクラウドの強みだと思っています。中にはWebの扱いが得意ではない社員もいますが、モチベーションクラウドはとても扱いやすいですから、各自がうまく活用して、組織改善につなげていってくれるだろうと感じています。
米谷氏:導入時に、営業担当の方から、「組織改革は一筋縄ではいかないので、一気通貫で伴走させていただきます」というお言葉をいただきましたが、リンクアンドモチベーション社に頼りきりではなく、自走してPDCAを回していきたいと思っています。ただ、定点観測をしていくなかで壁にぶつかることもあるはずなので、そのときにお力添えをいただければありがたいと思っています。
「最初のサーベイを実施してみて」
米谷氏:課題がしっかり数値として出てきたな、というのが正直な感想です。たとえば、「上司からのサポート」「職場内の業務連携」が「強み」である一方、「制度待遇」や「働く環境」などが「弱み」として出てきました。このように、表面化していなかった課題が数値として可視化されたのは良かったですね。
これまでは、各自が何となく「こういう課題がありそうだよね」と感じていたと思いますが、今まではそれが表になっていませんでした。最初のサーベイで課題が明らかになり、共通認識が生まれました。
大原氏:強みで言えば、たとえば、ヒューマンエラーや失敗事例の共有に関する項目があります。これまで地道にヒヤリハット事例の共有を続けてきたのですが、実際に高いスコアとして出てくると、「今までの取り組みが間違っていなかった」という確認にもなり、嬉しかったですね。
また、以前の社員満足度調査では、組織の長に結果をフィードバックしていたのですが、その先はお任せでした。一社員からすると、「アンケートに答えたけど、あれは何に活かされているんだろう?」という状態だったと思います。
このような反省があったので、今回のサーベイの結果は社内報で公開する予定です。全体での数値が中心になると思いますが、一人ひとりの社員が見える形にしていくのはPDCAを回すうえでも重要ですし、会社の「本気度」を伝えるためにも大切なことだと思っています。
「今後、モチベーションクラウドで実現したいこと」
大原氏:弊社は鉄道事業を主としていることもあり、「安全・安定が大事」というマインドが色濃くあります。とても大事なマインドですが、それゆえ、「新しいことにチャレンジして大きな変化を起こしていこう」というより、「新しいことにチャレンジして、もし何かあったら・・・」というためらいが先にきてしまうように感じています。
ですが、社会情勢が激しく変化するなか、弊社も株式上場を目指しており、新しい価値創造にチャレンジしていく必要性がますます高まっています。このような過渡期にあるなかで、モチベーションクラウドの導入は、みんなが一丸となってチャレンジしていけるきっかけになりました。今後、モチベーションクラウドを活用して、組織改革を進めていきたいと思います。
米谷氏:今までの弊社の一体感は「同質性のもとでの一体感」だったように思います。しかし、今後は「多様性のもとでの一体感」を醸成していかなければいけません。組織として新たな価値を生み出していくためには、一人ひとりが個性尊重しあい、強みを発揮できる、そのうえでみんなが一つになっていくことが大事だと思っています。今後は、「多様性ある組織のなか、だれもが働きがいを感じ、そして、会社としての一体感をいかに創り出すことができるか」が課題だと思っていますので、そのためにモチベーションクラウドをうまく活用していきたいですね。
「今後に向けて」
大原氏:私たち東京メトログループは「東京を走らせる力」として「東京に集う人々の活き活きとした毎日に貢献します」という理念を掲げているのですが、そこに貢献していく社員にも活き活きと働いてほしいと思っています。まさにエンゲージメントを高めるということに集約されますが、それぞれが仕事にやりがいを感じながら活躍して、プライベートも大事にできる土壌がある会社にしていきたいですね。
米谷氏:人を大切にするという企業風土は、今後もずっと弊社の強みとして維持していきたいですし、そこで働く人たちも会社のことが好きであってほしいという思いがあります。つまり、相思相愛ということです。人を大事にするというのは、社員だけでなく、お客様に対しても、社会に対しても同じなので、たくさんの相思相愛を築いて新たな価値を生んでいきたいと思っています。
私自身、学生時代に採用担当の方から「人を大事にする会社」だという話を聞いて、そういう会社に魅力を感じて入社しました。この会社が好きだという気持ちが根底にあるので、日々やりがいを感じることができています。やはり、会社を好きであることが働きがいのいちばんの源泉だと思いますので、みんなが好きになってくれる会社をつくっていきたいという気持ちは今後も変わりません。