事業内容 |
企業のブランディングの為に、理念構築のコンサルティングをベースとして、WEBサイト動画等の制作物まで提供 |
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部署の業務内容 |
コンサルティング(企画営業)部門。お客様への提案から、コンサルティング、進行管理、クリエイティブの品質担保等を担う。最終的な顧客の利益創出に責任を持つ。 |
業種 |
サービス |
企業規模 |
31名~50名 |
部署規模 |
11名~30名 |
取り組んだ組織課題 |
内部統合 |
約1年間でのエンゲージメント スコアの変遷 |
87.0 ⇨ 89.0 |
「自分が価値を生み出した」という実感を持てず、一つひとつの仕事が「タスク」となってしまっているメンバーがいた。
個人の目標が、「会社に決めさせられた目標」になっていたため、取り組みも主体性に欠け、結果として未達に終わりがちだった。
「任せる」マネジメントへと舵を切り、若手社員をサブマネジャーに抜擢してチームを持たせた。
メンバーの主体性を育むため、将来のありたい姿から逆算して、今すべきことを目標として設定するようにした (マイビジョンマップ) 。
部門売上は第3四半期終了時点で昨対130%超えを実現した。
経営陣が現場にかかわる時間が削減され、新規事業の創出など、会社の未来に割ける時間が昨対280%増になった。
「抱えていた課題」
西崎氏:どの会社でもあることかもしれませんが、トッププレイヤーが会社の売上の8割をつくっているような状況が続いていました。他のメンバーも同じ業務をしているのですが、クオリティを担保するために、最終的にはトッププレイヤーがチェックをしたり、クライアント先に同行したりしていました。
しかし、この状態では、メンバーも「最終的には上司が何とかしてくれる」という依存心から抜け出せず、「自分でやった感」が薄くなってしまいます。クライアントに成果をもたらすことができても、メンバーは「自分が価値を生み出した」という実感を持てません。そうなると、一つひとつの仕事が「タスク」になってしまい、クオリティも下がってしまいます。このような悪循環に陥っていたのが、一つの課題でした。
もう一つは、目標設定に関する課題です。もともと、良くも悪くも大人の組織で、組織全体に「高い目標を掲げなければいけない」「緩いことを言ってはいけない」という雰囲気がありました。その弊害とも言えますが、自分が立てた目標も、メンバーからすると「会社に決めさせられた目標」になってしまっていました。そうなると、目標に対する取り組みも主体性が欠け、結果として未達に終わりがちですし、それを「仕方ない」と受け止めてしまう悪循環もありました。
「改善のためのアクション」
西崎氏:まず、「任せる」マネジメントへと舵を切りました。新卒4年目の若手社員と入社1年の中途社員をサブマネジャーに抜擢し、それぞれにチームを持たせたんです。
任せた背景として、「僕ら役員が言っても響かない」と感じていたということがあります。メンバーからすると、僕らが言っていることはどうしても「会社が言っていること」になってしまいます。ですが、1個上、2個上の先輩が言うことであれば違います。僕らが言うより、もっと身近な存在が言うほうが効果的・効率的にチームが回っていくだろうと考え、ポストを与えて任せることにしました。
もちろん、「誰に任せるか」は慎重に考えなければいけません。人選で大事なのは、スキルよりもマインドです。「マインドはフィットしていないけど、スキルがフィットしている人」と、「マインドはフィットしているけど、スキルがフィットしていない人」がいたら、選ぶべきは後者です。どれだけ営業成績に優れていても、会社の方針に共感していない人にマネジメントを任せてしまうと組織崩壊を起こすリスクがあります。ですから、任せる人はマインドがフィットしていることが大前提です。スキルは後からついてきますからね。
もう一つの取り組みが、「マイビジョンマップ」を導入したことです。僕らは、会社のビジョンとメンバーのビジョンがマッチする部分こそが仕事をする理由であり、「そこで働く理由」だと考えています。よく「従業員は経営者目線を持つことが重要だ」と言われますが、僕らはそんなことを言うつもりはまったくありません。自分がやりたいことに素直であることのほうが、ずっと重要だと思っています。
このような考え方もあったので、目標設定の際に、自分の夢や将来のありたい姿から逆算して今すべきことを目標として掲げてもらうようにしました。このときに作成するのがマイビジョンマップです。今の自分と将来のありたい姿の延長線上に、会社のビジョンとフィットしないところがあるのであれば、その人にとってトゥモローゲートは働くべき場所ではありません。これは、自分がなりたい姿に近付けない場所で時間を使っていることに他ならず、本人にとっても会社にとってもマイナスになってしまいます。
「組織の変化ともたらされた成果」
西崎氏:ポストを与えて任せたことで、抜擢した2名のサブマネジャーが劇的に変わりました。よく「役割が人を育てる」と言われますが、まさにこのことだなと思いましたね。できるから任せるのではなく、できるようになってほしいから任せる。この形にしたことで、2名の実績は平均194%アップと、仕事のレベルが一気に跳ね上がりました。
また、この2名のマネジメント意識も高まり、チームのメンバーも大きく成長してくれました。あらためて、役割分担は重要なんだなということを認識させられました。僕らが言うより、現場で一緒に頑張っている人が直接かける言葉のほうが、はるかに説得力があるということです。
チームのメンバーが成長したことで、それまでおこなっていた上司・先輩のチェックや同行などにかかっていた時間が半減し、生産性が大幅に向上しました。一人ひとりのメンバーが、自分で価値を生み出していることを実感できるようになったのは、何より大きいことだと思っています。
マイビジョンマップを導入したことで、メンバーは「今やっていることが、自分がなりたい姿につながっているんだ」という実感を持てるようになり、主体的な姿勢で仕事に取り組むようになりました。新卒社員がどんどん新しいことを企画したり、中途社員がメンバーをぐいぐい引っ張っていったり、非常に良い組織状態になっていると感じています。
結果として、部門の売上は第3四半期終了時点ですでに昨対130%を超えています。クライアントのリピートも90%超という高い数字が出ています。コロナ禍にありながら、これだけの成長を続けられているのは、やはり一人ひとりの成長があってこそです。
メンバーが成長したことで、経営陣が現場にかかわる時間が削減されたのも見逃せない成果の一つです。新規事業の創出など、会社の未来に割ける時間が昨対で280%増になったという実績も出ています。また、入社3年未満の社員の離職率0を維持できているのも、大きな成果であると自負しています。
モチベーションクラウドのエンゲージメントスコアも高い水準をキープできていますが、スコアの上がり下がりに一喜一憂しないようにしています。重要なのは、メンバーの認識と会社の認識のギャップを埋めることです。その点、モチベーションクラウドはそのギャップが一目瞭然になるので助かっています。期待値が高いのに満足度が低い項目があれば、現場のメンバーと一緒にギャップが生じている原因を分析し、組織改善に生かしています。
「今後の展望」
西崎氏:今後は、会社の理念・ビジョンを共有できているマネジャーが育つ環境を整え、マネジャーが部門を離れて新しい事業をどんどん開発していける仕組みをつくっていきたいと考えています。これができれば、強いチームがいくつも生まれる組織になれるはずです。それぞれが主体的に行動しながらも、根っこの部分ではしっかりつながっているというのは、目指すべき組織の形です。
従業員にとっては、「やりたいことがある会社」でありたいと思っています。弊社には、将来は独立したいと考えているメンバーも多くいて、僕らはそういう夢を応援したいと思っています。一方で、矛盾するようですが、「どんどん独立してくださいね」というスタンスでいるわけではありません。
理想を言えば、「トゥモローゲートのほうが自分の人生にフィットしている」「この会社でなら、自分のやりたいことができる」と思ってくれて、会社に残ってくれるのがいちばんです。このように思ってもらえる環境や仕組みを整えていくことは、今後のトゥモローゲートにとってすごく重要なことだと考えています。