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組織改善の取り組みに注力した3年間、
事業規模の拡大、成長を実現

TIS株式会社 カード第1事業部

人事本部 人事部 チーフ (前 金融事業本部 カード第1事業部 上級主任) 小林 真由子 氏
金融事業本部 カード第1事業部 エキスパート 川井修二 氏
人事本部 HRBP室 エキスパート 牟田 佳代 氏

事業内容

キャッシュレス決済を実現するためのシステム開発をはじめとするITサービス

部署の業務内容

大手クレジットカード会社の基幹システム・周辺システムの開発、保守、運用、および大型プロジェクトにともなう業務

業種

情報・通信・広告

企業規模

2001名~

部署規模

301名~500名

取り組んだ組織課題

組織風土 (社内の一体感や意思疎通に課題)

約1年間でのエンゲージメント

スコアの変遷

51.3 ⇨ 57.6

抱えていた
課題

  • 組織規模の急速な拡大に、組織づくりが追いついていなかった。

  • システム開発・運用と「決められたことを確実に実行する」という風土が醸成されており、「変化」することに慣れていない状態。活躍できるようになってきた若手社員の離職・異動も発生していた。

改善のための
アクション

  • エンゲージメントサーベイの結果をマネジメント層に共有。マネジメント層が自ら課題とアクションプランを定め、組織改善のPDCAサイクルを回した。

  • 事業部長からの発信や面談の機会を設けるなど、コミュニケーションを増やし、視界の一致を図った。

得られた
成果

  • 組織改善の取り組みに着手してからの3年間、事業規模の拡大と毎年前年比越えの売上成長を達成。

  • 1,000人を超える大規模プロジェクトが、順調に進捗している。

  • マネジメント層の組織改善に対する当事者意識が生まれ、エンゲージメントを気にするのが当たり前に。自発的な活動が増えている。

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組織を拡大する一方で、変化に慣れていない組織風土により離職も発生し始めていた

「抱えていた課題」

小林氏:私は、2019年にカード第1事業部に異動してきて育成担当になったのですが、当時は2020年からの大型プロジェクト開始が控えていた時期でした。この大型プロジェクトに備えるべく積極的に採用をしていましたが、事業規模、組織規模の急速な拡大に現場が追い付けていない状態だったと思います。

若手社員の離職・異動が発生し始めており、ちょうど脂が乗ってきた若手社員が組織から離れてしまっていました。若手がもっと働きやすく、「やろう」と思える組織にならないと、将来の存続も危うくなるのではないかという危機感がありました。

システムの保守をするという業務特性から、決められたことを確実に実施する組織風土や「変化」に慣れていない組織風土があり、若手の離職・異動はその影響によるものだったと思います。 「言っても変わらない」といった若手の声も多く、「決まったことをそのままやっていればいい」という組織風土になっていました。この状況を何とかしなければいけないという思いが、組織改善の取り組みの出発点だったと思います。

川井氏:小林が言うように、「変化」に慣れていない組織風土が根底に流れており、それが若手の離脱につながっていたと思います。これから大型プロジェクトに向けてどんどん人を増やしていこうというタイミングで何もしないと、それまでの組織風土に飲み込まれてしまうのではないかという危機感から組織改善に着手しました。

小林氏:組織改善の活動を進めようにも、マネジメント層のOKがないと進めていけない状況がありました。ボトムアップだけで組織改善を進めるのが難しいことが分かったので、事業部長に相談し、上からも下からも組織改善の取り組みができるよう、部署全体でモチベーションクラウドを導入したという経緯があります。

ただ、当時は業務量の増加によって人的リソースが不足しており、新しく入ってきたメンバーの教育もままならない状況でした。ですから、組織改善の活動に対しても、「正直、面倒だな」「そんなことをやる暇はない」といったネガティブな反応が多かったと思います。その意味で、「理解してもらうこと」が最初のハードルになりました。活動を始めて結果が出てきたら、次へ次へと進んでいける気がしていましたので、「気持ちは分かるけど、他にもやることあるし」という人たちに、いかに「やってみよう」と思わせられるかがポイントでした。

そのために、私は「仲間をつくること」から着手しました。最初から全員から共感を得るのは不可能ですが、なかには強い共感を持ってくれる人もいます。まずは共感してくれる人を見つけて、活動に巻き込むことを考えました。直接話してみれば、共感してもらえるかどうかは何となく分かるので、最初の頃は、直接アプローチして仲間を探し続けていました。

エンゲージメントサーベイの結果を通して組織課題に真摯に向き合う

「改善のためのアクション」

小林氏:組織改善活動の軸にしたのは、モチベーションクラウドのエンゲージメントサーベイとサーベイ結果の共有会です。エンゲージメントサーベイを実施したら、その結果を現場のマネジメント層に共有するミーティングを設けました。これは、定量的なデータをもとに対話をすることで、客観的かつ真摯に自組織の課題に向き合ってもらえるだろうという狙いがありました。加えて、第三者であるリンクアンドモチベーション社からフィードバックをもらうことで、マネジメント層の健全な危機感をうまく施策に反映させていけるだろうと考えました。

サーベイの結果を共有と同時に、マネジメント層に具体的なアクションプランを策定・実施してもらいます。その後は、アクションプランの成果を振り返り、アクションを修正するというPDCAを回していきました。

川井氏:古い文化が根付いている組織に新しい方がどんどん入ってきたので、不満や違和感を持つ方は多かったと思います。そこで、新しく入ってきた方々の声に耳を傾けるため、「ここが変だよ」というポイントを出してもらう「ここ変活動」という取り組みもおこなっています。

小林氏:「ここ変活動」とも関連するのですが、事業部長と新しく入ってきた人の個人面談も実施しました。新しい人がどんなことを考えていて、どんな思いがあるのかということを事業部長が自ら聞きたいということで始まった取り組みです。

川井氏:大型プロジェクトを目前にして事業部外から様々な方が入ってくるなかで、事業部内には依然として、「変化」に慣れていない方たちもいました。ですが、事業部外から来た方々が活き活きと働けなければ、プロジェクトを成功に導くことはできません。事業部長にも、組織風土を変えなければプロジェクトを成功させられないという危機感があったはずです。そのために何が必要なのかと考えたときに、一つの答えが、新しく組織に入ってきた方々の声に耳を傾けることだったのかなと思います。

事業部長とキャリア採用者の個人面談の他にも、コミュニケーションの機会を増やしました。若手やキャリア採用者が急増したことで、「何のためのプロジェクトなのか?」という視界のズレが生じていたので、全員が一丸となってプロジェクトに向き合うべく、コミュニケーションの機会を増やして視界の一致を図りました。事業部長からTISの理念を噛み砕いて伝えてもらったり、各部で1on1面談の推進や事業計画・戦略の説明をしたりしているのはその一環です。

小林氏:2022年に、人事本部 HRBP室から牟田さんがカード第1事業部の組織改善活動に入ってくれました。それによって改善活動が加速したと感じています。牟田さんの全社目線やマネジメント目線でアドバイスは、大変参考になりました。全社目線を伝えるだけではなく、じゃあこの事業部でどうしたら良いのか、というところまで一緒に考え、悩んでくれました。HRBPの立場からの適切な意見が、エンゲージメント向上の鍵になったと考えています。

川井氏:HRBP室は2022年から活動を本格化させました。それぞれの本部や事業部ごとにHRBP室の担当者がいるのですが、私たちの事業部が大変な時期だということで、牟田さんが積極的に入ってきてくれたんです。

牟田氏:初めは事業部長や川井さんを中心にコミュニケーションを取っていたのですが、エンゲージメント担当として小林さんの方から「話しましょう」と来てくれました。以来、密に連携しながら取り組みを進めています。部署は異なりますが、そこに壁はなくワンチームで取り組めていると感じています。

組織変革を自分ごとと捉え、マネジメント層がみんなで組織を変えようとしている

「組織の変化ともたらされた成果」

川井氏:事業規模の拡大と並行して、組織改善の取り組みを始めてから毎年、売上が伸び続けています。組織規模、事業規模の急激な拡大に対応できている結果だと実感しています。

大型プロジェクトも順調に進捗しています。その間、正社員400人中150人が新規メンバーとなり、パートナーも含め1,000人を超える大規模プロジェクトとなっているなかで、順調に進捗しているのは組織改善の一つの成果だと捉えています。

牟田氏:大型プロジェクトは全社としても注目のプロジェクトです。社長から事業部長宛てに直接感謝の言葉があり、事業部会の中でメンバーへ伝えられました。

川井氏:組織改善の主体であるマネジメント層が、メンバーのエンゲージメントや組織状態を気にかけてくれています。当事者意識が醸成され、組織改善の取り組みをするのが当たり前になってきていると感じています。組織改善の活動はリンクアンドモチベーション社にご支援いただいており、年2~3回のワークショップなど固定の活動がありますが、それ以外に自発的な活動をする部門も増えています。

小林氏:以前は全てを説明していましたが、今はその必要はありません。言われたことをそのままやるのではなく、「何を意図した発信なのか?」「この場合、自分たちはどうするべきか?」と考えて行動してくれています。

エンゲージメントスコアも55の壁を越えることができました。現場からも、「上司からの情報発信が増えた」「以前より、会社の方向性を理解できるようになった」など、変化を感じている声が聞こえてくるようになりました。

一方で、部によって変化の度合いに差が出ているという現状もあります。組織改善の活動を始めたばかりの頃は同じようなアプローチで問題はありませんでしたが、3年経つと、大きく変わった部がある一方で停滞している部も出てきます。そこを見極めて、どのようにフォローしていくかは今後の課題だと思っています。

牟田氏:以前は、「業務が進んでいればよい」と考えるマネジメント層が多かったように感じますが、今はそれだけでなく、一人ひとりのメンバーのやりがいや成長を組織課題としてしっかり認識しています。組織変革を自分ごとと捉えて、マネジメント層がみんなで変えていこうとしている姿勢を感じます。

今年度から、TISは新人事制度がスタートしました。「Must Will Can」をベースにした制度で、会社のMustと個人のWillをしっかり重ね合わせていこうという意図があるのですが、カード第1事業部はこの新人事制度にも真摯に向き合っています。

小林氏:エンゲージメントが土台となり、「変化」に対する前向きな姿勢が生まれたからこそ、新人事制度の意図や背景を理解しようとしてくれているのだと思います。今後も、新人事制度の運用による組織の変化を見ていきたいです。

チャレンジが奨励される風土で、誰もが向上心を持って働く組織へ

「今後の展望」

川井氏:顧客価値向上のために、新たなチャレンジが奨励される風土がある組織が理想です。お客様の「真の事業戦略パートナー」になるべく、メンバーが常に向上心を持って働いている組織を目指していきたいと思います。

壁をつくって「この範囲が担当」と言うのではなく、壁の一歩外のことまで考えられるようになると、組織はうまく回っていくと思っています。一人ひとりが「もう一つ先」「もう一つ上」というようにプラスワンを求めていくようになると、自走する組織になれるのではないでしょうか。

牟田氏:仕事って「やらなきゃいけないからやる」という部分もありますが、仕事の意義・意味をちゃんと理解したうえで、やりがいを持って取り組めるようになってほしいなと思っています。

小林氏:一人ひとりがもっと自立的に仕事をして、お互いに意見を出し合って、建設的なコンフリクトができる組織になっていったら嬉しいですね。どうしても衝突を避ける傾向はありますが、より良い組織にしていくためには、言うべきことはきちんと言わなければいけません。お互いの意見・主張をどのように調整し、昇華させられるかが大切なので、それができる事業部になっていってほしいなと思います。

また、牟田さんの参画によってカード第1事業部の改善活動が加速したように、他の事業部でも部署を超えた「オールTIS」での活動をHRBP室中心に進めてくれています。まだまだ取り組みは続いていきますし、人事制度の変更による変化はこれからです。どのように変わっていくのか、楽しみにしています。 

※本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時のものです。

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