

| 事業内容 |
ディスクロージャー・IRを中心とした、コーポレートコミュニケーション支援 |
|---|---|
| 業種 | サービス |
| 企業規模 | 501名~1000名 |
| 導入規模 | 501名~1000名 |
従来のタレントマネジメントシステムでは個人に焦点が当たり、
組織全体の課題把握や改善につながりにくかった
キャリア採用の拡大やコロナ禍による働き方の変化を受け、
社員とのベクトル合わせやコミュニケーションに課題を感じていた
組織課題を数値化・可視化し、
客観的な分析をもとに具体的な改善につなげたかった
自由記述を通じて、これまで人事に届きにくかった社員の声や
組織課題を把握できるようになった
経営会議での結果共有や、事業部長を対象とした個別相談会を通じて、
サーベイ結果を各部門の課題改善施策につなげる仕組みを構築した
約120名のアクションプラン担当者と15名のコーポレートレジリエンスメンバーによる、現場主体の組織改善・自走体制を確立した
同じモノサシによる継続的な定点観測と、
豊富なデータをもとにした客観的な組織分析が可能になった
「事業および部署の概要」
芦部氏:当社は1930年、株券の印刷会社として創業しました。これまで96年にわたり、お客様からの信頼に応えることを大切にしながら、さまざまなサービスを提供してまいりました。当社にとって大きな成長ドライバーとなったのは、電子化が見込まれていた株券印刷専業から転換し、ディスクロージャー・IR支援に事業領域を拡大したことです。開示書類の記載内容充実や電子化等、絶えず環境変化に対応し続け、現在ではシステムとコンサルティングを両輪に、ディスクロージャー・IR実務を支援するプロフェッショナルサービスを提供しています。
さらに事業領域を広げる転機となったのが、創業90周年を迎えた2020年です。創業100周年に向けて経営理念を一新し、ディスクロージャー・IRに限定されていた事業領域を、「情報コミュニケーションとドキュメンテーション」という形に再定義しました。また、目指すビジョンとして「世界で類のない、専門性に特化したニッチトップ企業グループへ」を掲げました。株主や投資家の方々に限らず、求職者や社員、クライアントなど、企業と各ステークホルダーをワンストップでつなぐ「コーポレートコミュニケーション支援会社」への進化を目指し、事業領域のさらなる拡大をはかっています。
創業100周年を迎える2030年に向けた重要なマイルストーンとして、当社は2025年に「新中期経営計画2027」を発表しました。本計画は既存事業であるディスクロージャー・IR領域をさらに深堀りしつつ、顧客資産を十分に活用して新たなビジネス領域を本格的に広げていくことを最重要課題に置いています。そのために当社は、新領域におけるM&Aや人財採用も積極的に活用しており、以前よりもはるかに多様な人財が集まるグループとなりました。このような状況のもと、新領域への挑戦や事業変革を進めるためには、社員一人ひとりが同じベクトルを向いていることが重要だと考えています。
その中で、私が所属する人事統括部は、人事関連業務を幅広く担う部署となっています。具体的に、人事制度や評価、異動や配置、組織変更、労務管理などを担当する人事部と、採用・教育を担う人財開発部で構成され、私は人事部の責任者を務めています。
これまでは、人事制度の運用や給与の支払いなど、オペレーションを中心とした人事機能の色合いが強かったのですが、今後、「コーポレートコミュニケーション支援会社」を目指すにあたっては、経営と人事が両輪となり、経営戦略の実行を支えていくことが、求められていると感じています。

「モチベーションクラウドを選んだ理由」
芦部氏:当時は事業領域を拡大している時期でもあり、戦略的にキャリア採用に力を入れていました。年間で約30~40名を採用しておりましたが、キャリア入社者の経歴は多種多様であり、当社の歴史や文化、DNAなど、認識のベクトルを合わせることに苦労していました。
また、組織課題に対しては、当時導入していたタレントマネジメントシステムを活用しながら、従業員意識調査による現状把握や改善に取り組んでいましたが、どうしても個人にフォーカスが当たってしまい、組織全体での改善がうまく機能していないと感じていました。
組織全体でどのように改善していけばよいのか。模索していた時に、貴社の「モチベーションクラウド」に出会いました。そして、2018年に一部の部署に限定して導入し、1年間運用したところ一定の成果が見られたため、2019年から全社へ展開していきました。
組織改善に取り組む際、各組織のマネージャーが見る景色は、どうしても主観的になってしまうと感じています。そのような組織の課題を「会社領域」や「上司領域」、「年齢別」、「等級別」など、さまざまな切り口で客観的に分析しながら、改善に活かせるのが貴社のサービスだと感じました。また、導入企業数も多く、豊富なデータを活用しながら、第三者の目線で示唆をいただける点も魅力に感じています。

「サーベイを実施してみて」
芦部氏:サーベイを通じて、当社の強みや改善すべき項目について可視化できたのが非常に良かったと感じています。中でも、特に大きかったのは、自由記述を通じて社員からの生の意見を得られたことです。具体的には、「働きやすさの向上」を求める声が、想像以上に多く寄せられたことは、私たちにとっても大きな気付きとなりました。普段は人事部に直接届かないような声も、実際にサーベイを行ってみると、「これほどニーズがあったのか」ということが分かります。同時に、そのような声を吸い上げる仕組みがこれまで足りていなかったことにも、改めて気付かされました。
こうした自由記述の声がきっかけとなり、全社的な制度の見直しを行いました。その代表例の一つが、「セルフビズ」です。当社では、勤務時の服装として、男性はスーツやネクタイ、ワイシャツの着用が必須でしたが、温暖化やお客様とのバランス、ダイバーシティの観点なども踏まえ、「そろそろ服装を自由にしてもよいのではないか」という声が多くあがり、実際に導入しました。
「具体的な改善の取り組み」
芦部氏:こうした制度の改定だけではなく、現場の課題についても改善を進めています。自由記述を含むサーベイ結果は役員の出席する経営会議で共有し、事業部ごとに整理を行ったうえで、フィードバックしています。また、改善すべき課題が見られる事業部については、貴社も交えながら、事業部長との個別相談会を実施しています。第三者の目線から、客観的に改善余地や取り組みのポイントについてアドバイスをいただける点が、非常に有益だと感じています。
結果を真摯に受け止め、改善に取り組む事業部長は多いですが、受け止め方にはそれぞれ違いもあります。必要に応じて、人事が個別に対話の機会を設け、背景や意図を伝えながら、理解を深めてもらうようにしています。
そして、各部署の代表として現場の課題改善を担っているのが、全社で約120名いるアクションプラン担当者です。多くは、チームリーダーやグループリーダー、副部長、部長などのマネジメント層が担っており、現場での改善を円滑に推進できるような体制にしています。
また、希望者を募り、貴社との個別相談会も実施しています。毎回、希望者を募るたびに枠があっという間に埋まるなど、各部門のアクションプラン担当者には、意識高く取り組んでいただいていると感じています。

芦部氏:また、アクションプラン担当者を力強く支援する立場として、各部門の部長や役員を中心とした「コーポレートレジリエンスメンバー(CRメンバー)」を設置し、事業部における改善活動の支援を担ってもらっています。
今年で発足から2年目を迎え、現在は15名がCRメンバーとして参加しています。組織としてもう一段殻を破り、飛躍したいという思いもありましたが、何よりアクションプラン担当者を孤立させないことを重視し、執行役員、部長クラスの役職者をメンバーに据えました。
実際に取り組む中で、ある事業部長が「自分が行った施策がどのようにスコアに反映されるか、楽しみなんだよね」と話していたのが印象に残っています。スコアの上がり下がりに一喜一憂するものではないという前提はありますが、施策によって組織がどのように変化したのかを知る、一つのモノサシとして定着していると感じています。
また、全社の課題である「部門間の連携」や「全社的な連帯感」を解消するため、チームリーダーを対象とした交流会も実施しています。交流会にはCRメンバーも参加し、事業部を越えたディスカッションやコミュニケーションが生まれています。交流会が終わっても、「あの時はありがとうございました」という形で、日常業務での連携がスムーズに進むようになるなど、良い変化が生まれています。この取り組みは、全社的な連帯感の醸成にもつながると感じており、今後は他の階層にも広げていきたいと考えています。
さらに、組織改善の取り組みを対外的にも発信していくために、有価証券報告書やサステナビリティ関連のレポート内でのエンゲージメントスコア(※)の開示も行っています。成果をしっかりと数字で示していくことが、自社のブランディングや採用力の強化にもつながると考えています。
もちろん、数値の推移を開示するだけでなく、将来どのような姿でありたいかを考えることも重要です。「コーポレートコミュニケーション支援会社」への変革を目指すうえでは、まず自社が率先して実践を行い、お客様へのサービスにも生かしていきたいと考えています。
※エンゲージメントスコア:従業員と企業の「相互理解・相思相愛度合い(エンゲージメント)」を偏差値として数値化した指標。リンクアンドモチベーションの登録商標(第6115383号)。
「モチベーションクラウドで実現したいこと」
芦部氏:当社のエンゲージメントスコアは、長く50台半ばで安定しています。安定した土台があるからこそ、現状に満足するのではなく、次のステージへチャレンジしていく姿勢が必要だと考えています。
これまでは、「働きやすさ」に焦点を当てて、さまざまな施策を推進してきました。私は、これに「仕事のやりがい」が掛け合わさることで、「働きがいの向上」につながると考えています。そのため、今後は「働きがいの向上」に軸足を移し、取り組んでいきたいと思います。
また、前述した「新中期経営計画2027」は、創業100周年に向けた非常に重要なマイルストーンです。社員一同が同じベクトルを向き、サーベイなどの一つひとつの取り組みを、着実に積み重ねていくことが必要になります。
そのため、直近では社長メッセージやグループ会社の社長との対談など、経営の考えを伝える動画を全社に配信しています。加えて、「コーポレートコミュニケーション支援会社」への変革にどのように取り組んでいくかを伝えるための動画説明会も実施し、全社員の共通理解を育むことにも注力しています。
加えて、評価制度の改定も予定しています。これまでは、年功序列的な評価設計になっていましたが、新しい制度では等級ごとに求める役割を明確に定義し、役割の発揮度合いを評価する形にしています。早期抜擢も積極的に行い、年齢や経験年数にとらわれず、誰でも挑戦できる仕組みを設計し、運用できるよう準備を進めている所です。

「今後の展望」
最終的には、人事が主導しなくても、現場がモチベーションクラウドを一つのマネジメントツールとして活用し、組織改善を自走できるようにしていきたいと考えています。
そのため、最近はこれまで人事が一手に担っていたサーベイの結果分析に関して、権限の一部を事業部に移譲しました。組織改善を進める上で、現場を最もよく理解しているのは事業部長です。私たち人事の目が届かないところで日常的にマネジメントをしているからこそ、実際にどこに課題があり、どのような働きかけが改善につながるのか、皆さんよく分かっています。だからこそ、事業部長やアクションプラン担当者が、必要なタイミングで自組織の状態を分析し、自ら改善施策を打てるよう環境を整えています。
組織状態の変化に対して、現場主導で改善に取り組み、社員一人ひとりが働きがいを感じられる組織に変わっていく。そして、マネージャーが変わっても、また新たなマネージャーがその取り組みを受け継いでいく。組織改善を一過性の取り組みで終わらせず、これまで培った土台を活かしながら、「コーポレートコミュニケーション支援会社」への変革に向けて、粘り強く取り組んでいきたいと思います。
Copyright© 2018-2026 Link and Motivation Inc. All Rights Reserved