事業内容 |
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業種 | 建設・不動産 |
企業規模 | 2001名~ |
導入規模 | 2001名~ |
分かりやすいサーベイ結果を社内に共有して、全社で組織改善を進めていきたい
人事制度の改定によって、従業員のエンゲージメントがどう変わるかをモニタリングしたい
組織状態について分かりやすいレポートが出るので、社内に共有・フィードバックしやすくなった
自社の組織状態を世の中の平均値と比べ、客観的に課題を把握できるようになった
「事業内容」
串崎氏:竹中工務店は創業400年を超える総合建設会社です。代表的な実績としては、東京タワー、日本武道館、東京ミッドタウン、新丸の内ビルディング、丸の内パークビル・三菱一号館、ミッドランドスクエア、中之島フェスティバルタワー、あべのハルカスなどのほか、札幌・東京・名古屋・大阪・福岡のドームスタジアムも手がけています。商業・教育・文化・医療・宿泊施設など、様々な分野で建築作品を創出している会社です。
「モチベーションクラウド導入の背景」
串崎氏:当社は、2000年代から従業員意識調査をおこなっていました。ですが、4年に1回くらいの頻度だったので、その時々の取り組みや環境変化と調査結果との関係性や変化を追いにくく、PDCAを回しにくいのが課題でした。
意識調査の結果としては、従業員のモチベーションが高く、非常に内発性が高い組織であるという特徴がわかっていたんです。しかし、モチベーションが高い個人を束ねて、一つの方向に向かっていくマネジメントが機能しているのか、どこに課題があるのかの分析にはなかなか至っておらず、調査結果を十分に活用できずにいました。環境変化が激しく、多様化するメンバーの価値観を尊重していくことが大切な中で、何とか調査結果を全社的な取り組みにつなげていけないだろうかと考えていたのが、ちょうど2018年くらいでした。
また、当社は2017年にワークライフバランス向上の取り組みをスタートしました。そこで、様々な施策を講じていくわけですが、それまで慣れ親しんできた業務プロセスや仕事のルールを大きく変える部分もあるので、どうしても一人ひとりに負荷がかかってきます。そのため、良かれと思ってやっている取り組みが実は従業員の疲弊につながってしまうのではないか、という懸念も出ていました。
ワークライフバランスの向上はあくまで手段であり、その結果、一人ひとりの従業員がやりがいや働きがいを感じられる会社にしていくのが本来の目的です。ですから、「ワークライフバランス向上の取り組みがマイナスの影響を与えていないか?」「取り組みによって従業員の働きがいはどう変化したか?」といったところをモニタリングしていきたいと思っていました。
以上のような背景から、従業員のエンゲージメント状態をモニタリングし、改善活動のPDCAを回していくためにモチベーションクラウドを導入することにしました。
「モチベーションクラウド導入前に感じていた組織課題」
串崎氏:従業員意識調査の結果として出ていたとおり、当社は従業員の内発性が非常に高く、一人ひとりの仕事に対する誇りとこだわりが特徴です。なおかつ、同質性の高い組織でもありました。
同質性が高く一人ひとりの従業員がしっかりとこだわりを持って仕事をしてきたので、これまでは成果につながってきていた状態だったと思います。
ですが、ここ10年で従業員の方々の価値観やバックグラウンドはどんどん多様化してきました。そのうえ、環境変化も激しくなってきました。このような変化のなかで、「組織成果を最大化するためには、マネジメント力をもっと高めていかないといけない」「マネジメントはこれまでのように職能で高い実績を挙げてきたから担わせるのではなく、マネジメントの役割に適した人材が担い、組織メンバーのエンゲージメントをしっかりと高めて活躍をうながしていかなければならない」という課題がよりはっきりと見えてきたのもこの頃でした。
そのときは、組織長が組織の状態を客観的に把握する術がなく、自らのマネジメントを振り返り内省し更なる改善に取り組むきっかけとなるものや組織状態の変化を把握するものが乏しい状態でした。
また、せっかく従業員ひとりひとりに貴重な時間を割いてサーベイに回答してもらっているのに、どんな結果が出て、その結果をどう活用しているのかがわかりにくくなってしまっていることも課題に感じていました。
「モチベーションクラウドの価値」
串崎氏:サーベイの結果を共有しやすいのが、良いところだと思っています。以前の従業員意識調査でも詳細の分析レポートが出ましたが、非常に専門性が高く、人事領域の知見や心理学等の知見がある人でないと読み解けませんでした。そのまま社内に展開できる形ではなかったので、結局、本社人事部門だけで保有していて社内には簡易レポートPDFでのイントラ掲載程度でフィードバックにはいたっていませんでした。
本来は、調査結果を開示・フィードバックして、それぞれのフロントで活用してもらうべきなので、現場の長が見ても一目瞭然で課題感をつかめるようなレポートが出るとよいと思っていました。その点、モチベーションクラウドのレポートは人事以外の人が見ても分かりやすくできています。経営層も理解しやすいし、個々の従業員にとっても分かりやすいのが大きなメリットですね。
実際に私もレポートを見ていますが、「期待度」と「満足度」の2軸から優先的に取り組むべき課題を把握できるので、これまでの「結果に一喜一憂して、反射的に課題設定をする」状態から脱却できていくのではないかと感じています。
サーベイ実施から結果レポートが出るまでのスピードも非常に早く、タイムリーに結果を共有できるところも良いですね。
今は、レポートを共有する報告会をおこなっており、全国の本支店長に対して一歩踏み込んだフィードバックをしています。「初めて自組織の状態をわかりやすく診ることができた」「これまで感じていたことと合致しており、課題が明確になった」といった声も出てきています。一部の本支店、部門では、独自に部門長へのフィードバックとともに具体的な改善活動を進めているところもあります。
加えて、全従業員に対しては社内報で毎年、サーベイの結果を公開しています。特に初年度である2019年には特集記事の形としました。その際、社長、人事部門としてのコメントも書くのですが、リンクアンドモチベーションさんにも第三者の立場から、良いところも悪いところもつまびらかに言及してもらっています。組織人事コンサルティング会社であるリンクアンドモチベーションさんのコメントは我々にとってすごく新鮮で、従業員も受け止めやすいのではないかと思います。
やはり、サーベイの結果を世の中と比較して、客観視できるところに大きな価値を感じていますね。「外の目線」からフィードバックを受けることができていると感じます。客観的に当社の強みとともに課題をつまびらかに把握できるところが大変有効ですね。
「モチベーションクラウドを導入してみて」
串崎氏:まず導入にあたっては、リンクアンドモチベーションのコンサルタントの方に本当にお世話になりました。当社は、社内で定期的に実施している調査がすでにたくさんあったんです。従業員はいつもいろんなアンケートに忙しい中で答えているので、モチベーションクラウドもその一つとして看過されてしまうのではないか、回答率が低調になるのではないかという懸念がありました。
ですが、2019年の初年度調査からコンサルタントの方が各本支店長やトップに丁寧に説明し、サーベイに取り組む気運を醸成してくれました。我々の説明だけでサーベイの目的やメリットを理解してもらうのは難しかったと思うので、これはすごく助かりましたね。
最初のサーベイの結果を見て、個人的には、自分が感じていた課題とほぼ一致していたなと思いました。外部環境に対する課題感はすごく出ていましたし、会社に対する満足度は非常に高く、このあたりも「やはり」という感想でした。上司に対する満足度が他の項目よりも相対的に低かったのも、見立てと一致していましたね。
ただ、上司に対する満足度が低い一方で、上司・部下のコミュニケーションがしっかり取れているということも明らかになりました。むしろ、上司は部下に優しく接していて、面倒見が良いという傾向も見られました。ただ、毅然とした態度を明示するコミュニケーションが足りていなかったんです。「支援する」マネジメントはできていたけれど、「判断する」マネジメントが上手くいできていなかったということですね。
表層だけ見ると「上司・部下のコミュニケーションが足りていないのかな?」と考えてしまいそうですが、そうではありませんでした。要素として分解していかないと本質は見えないんだなというのは、サーベイをやってみて気付かされたことでしたね。
これは全社単位の傾向ですが、もちろんそれだけでなく、様々な属性別にまた見ていく事も必要と考えています。
「モチベーションクラウドの活用」
串崎氏:今、人事制度改定を進めているのですが、そこにもエンゲージメントサーベイを取り入れています。
まず一つは、「人事制度をなぜ変えるのか?」という根拠の一つとして、サーベイの結果を引用しています。「サーベイでこういったマネジメント上の課題が出ているので、こういう方向性の制度に変える必要があるんです」という文脈ですね。
もう一つは、サーベイの結果をKPIのひとつにして推移を追っていきたいと思っています。人事制度の改定を従業員に知らせる前、知らせた後、実際に人事制度を変えた年、そして人事制度の施行後というように、定点でKPIとして見ていくんです。
人事制度を改定したのなら、それがきちんと機能してひとりひとりのモチベーションや組織の活性化や業績向上につながらないと意味がありません。もし、狙いどおりにいっていなかったら、「制度のディテールに修正が必要なのか?」「制度の浸透努力が足りないのか?」「運用が徹底されていないのか?」など、然るべき対策を講じる必要があります。
このように、人事制度を改定した後のモニタリング指標のひとつとしてもサーベイを使っていくことを考えています。「人事制度の通信簿」のようなイメージですね。
「今後、モチベーションクラウドで実現したいこと」
串崎氏:エンゲージメントが高く、それを維持できていて、なおかつ環境変化にも対応しながら、業績が向上している。そんな組織を目指すべきであり、そのどれが欠けてもいけないと思っています。
利益は出ているけど、従業員が疲弊してエンゲージメントが下がっている組織ではいけませんし、エンゲージメントは高いけど、環境変化に対応できてない組織でもいけません。環境変化に追いつけていても、業績やエンゲージメントが低迷している組織会社では良くありません。それぞれのバランスの取れた形を、理想として追求していきたいですね。
もう一つは、作業所単位でも組織状態を見ていくことです。我々はゼネコンなので、半数の従業員は作業所で働いています。そこもきちんとカバーできるサーベイにしていきたいですね。
オフィスであれば、「あの部署は活気があるな、いきいきとしているな」とか、「上司・部下がうまくいっていないのかな」とか、感じ取れたりするものです。ですが、作業所は完全に独立していて、現場ごとに別の会社があるようなイメージなので組織状態が見えにくいのです。
作業所単位で組織状態を把握できるようになれば、もっと一人ひとりのエンゲージメントや働きがいにフォーカスした活動ができるはずですし、そこはゼネコンとして取り組んでいくべきだと思っています。
ただ、作業所が結果の数字だけ見て一喜一憂するようなことは避けたいですし、忙しい最前線の負荷をかけない事と刻々と変化するプロジェクトのどのタイミングでおこなうのがよいのかなど検討していく事は種々ありますが、サーベイの活用方法を丁寧に伝え、組織をさらによいものに改善していける土壌をじっくりと作っていきたいです。今後の展開も、リンクアンドモチベーションにサポートいただければと思います。