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マーケティング発想で、組織を捉え直す。
インターフード社が挑む、ベトナム発の理念経営

Interfood Shareholding Company

General Director 川﨑 篤史 氏
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期待

  • 長期経営構想を実現するために、「どこに本質的な組織課題があるのか」を定量的に可視化し、優先順位を明確にしたかった。

  • 新カテゴリーや新市場への挑戦に向けて、部門間連携や顧客理解を強化し、“理念を実行できる組織”へ変革したいと考えていた。

効果

  • 「理念・戦略は強みである一方、部門間連携や顧客理解が弱い」という構造が可視化され、“頭では理解しているが実行できていない”という組織課題が明確になった。

  • サーベイ結果を自部署・自業務に捉え直して議論することで、マネジャー・リーダー層の“自分ごと化”が進み、現場主体の対話が生まれた。

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ベトナム市場で成長し続けるなかで生まれていた居心地の良さ

当社インターフードは、ベトナムを拠点に清涼飲料の製造および販売を行っている会社です。2011年にM&Aを通じて、キリングループの海外事業会社となりました。

現在、インターフード単体では約1,000名、ベトナムキリンビバレッジを含めると約1,200名体制で事業を運営しています。そのうち約600名が営業人材です。

ベトナム市場は現在も成長を続けていますが、日本のように近代的なチャネルが中心というわけではありません。コンビニエンスストアやスーパーマーケットも増えてきていますが、依然として個人商店を中心とした伝統的な流通チャネルが大きな割合を占めています。

当社では、地域ごとに細かく営業活動を展開できよう、北部のハノイ、中部のダナンなどを中心に全国に営業網を持っており、各地域にきめ細やかにアクセスできる体制を構築しています。全国津々浦々に営業組織を配置している点は、当社の大きな強みの一つだと思っています。

また組織文化としては、非常に家族的な雰囲気があります。人との関係性を重視する文化が根付いており、従業員も真面目で堅実です。決められたことをきちんとやる、そういう風土を強く感じていました。

一方で、良くも悪くも「居心地の良さ」がある組織だとも感じていました。キリングループという安定したブランドのもと、中長期的な視点でワンチームとして事業を運営していく。そうした環境に魅力を感じている従業員も多いと思います。

ただ、今後さらに成長していくためには、その「居心地の良さ」だけでは乗り越えられない局面が必ず来ると感じていました。

“居心地の良さ”だけでは、次の成長はつくれない

そのような居心地の良さだけでは乗り越えられない局面が来ると感じるなかで、「すでに起こっている問題への対応」というよりも、「将来のありたい姿」を考えて、組織づくりに取り組むべきと考えました。

というのも着任後すぐに、当社では10年先を見据えた長期経営構想の策定に着手しました。その中で議論していたのは、「10年後にどうありたいのか」「どこで競争優位を築くのか」「何を強みに戦っていくのか」というテーマです。

ベトナム市場は、今後10年も成長フェーズが続くと見ています。その中で、5年以内に新たな事業基盤や商品ポートフォリオをどれだけ盤石な状態にできるかが、極めて重要になると考えていました。つまり今後は、既存ブランドを着実に成長させていくだけではなく、新しいカテゴリーや新市場への挑戦、新たな価値創造が求められるフェーズに入っていくということです。

ただ、過去10年を振り返ると、当社はどちらかというと「既存ブランドを着実に育てる」ことを強みとして成長してきた会社でした。これは非常に良い面でもあります。実際に従業員の業務習熟度は高く、決められたことをきちんとやる風土も根付いていました。真面目で堅実に、日々の業務をやり切る力は、当社の大きな強みだったと思います。

一方で、新しいものを生み出す、新しい市場に挑戦するといった局面では、これまでとは異なるマインドセットが必要になります。

新しいチャレンジにむけて、これまで経験したことのない意思決定や、部門を越えた連携も求められるようになるなかで、そうした変化を前向きに受け入れ乗り越えていく力が、今の組織にどれだけ備わっているのか。

そこに対して、私は強い危機感を持っていました。

マーケティングと同様に組織も定量的に可視化していく

ただ、人材や組織の課題は非常に捉えどころが難しい領域でもあります。議論をしていても抽象的になりやすく、どうしても主観的な意見に偏ってしまう。だからこそ、「どこに本質的な課題があるのか」を特定すること自体に難しさを感じていました。

私はもともとマーケティング領域を長く経験してきたこともあり、「課題の根幹はどこにあるのか」を仮説立てし、それを定量的に検証していくという考え方を大切にしています。そのため、人材や組織の領域においても、「自分なりに持っている課題仮説を、できるだけ早く定量的に可視化したい」という思いがありました。

そうした中で出会ったのが、リンクアンドモチベーション社です。組織や人材の状態を可視化するだけではなく、その後のPDCAまで含めて支援する仕組みを持っている点に強く興味を持ちました。マーケティングでこれまで取り組んできた仕事の進め方とも非常に近く、自分たちの組織にもフィットするのではないか。そう感じたことが、今回の取り組みにつながっています。

サーベイによって浮き彫りになった、“理念経営”における課題

実際にプロジェクトが始まり、サーベイ結果を見たとき、最初に感じたのは、「課題が非常にクリアになった」という感覚でした。その中でも特に印象的だったのは、「理念・戦略」が組織の強みとして表れていたことです。これは正直、少し驚きでもありました。

一方で、課題として浮かび上がってきたのが、「部門間連携」や「顧客ニーズへの意識」といったテーマです。一見すると、それぞれ別の課題にも見えます。しかし、私自身はそこに非常に強いつながりを感じていました。

当社では、「おいしさと健康を変革していく」という理念を掲げています。この“変革”とは、お客様の期待値を理解し、それを超えていくことだと考えています。つまり、理念を実現するためには、まずお客様を深く理解する必要があります。そして、その期待を超える価値を生み出すためには、営業・製造・開発など、バリューチェーン全体が連携しながら価値創造を行わなければなりません。

しかし、今回のサーベイ結果から見えてきたのは、「理念そのものは理解されている一方で、それを実行するための行動には十分につながっていない」という状態でした。言い換えると、「頭では理解しているが、身体がつながっていない」ということです。理念には共感している。方向性も理解している。ただ、その理念を実現するための顧客理解や部門間連携といった行動にまでは、十分に落とし込めていない。その構造が、今回のサーベイによって非常に明確になりました。

もちろん、課題の大きさに対する危機感もありました。ただ一方で、「何を変えるべきなのか」が明確になったことで、前向きな感覚もありました。感覚的に抱いていた違和感が、組織構造として可視化された。そのこと自体に、大きな意味があったと感じています。

限られた任期の中で、「自走する組織」を残したい

海外法人の経営には任期があります。2年かもしれませんし、5年かもしれません。だからこそ、私自身が常に考えているのは、「自分がいなくなった後に、どのような組織が残っているべきか」ということです。

理想は組織が理念の実現にむけて、自走している状態です。チャレンジを称賛し、失敗から学び、自ら学習しながら成長していく。そうした文化が組織の中に根付き、経営者が変わっても、自律的に前へ進み続けられる組織をつくっていきたいと考えています。

そのためには、現場のマネジャーやリーダーが、自分たちで課題を設定し、自分たちで改善を回していける状態をつくることが必要です。今回の取り組みは、その第一歩になったと感じています。実際に従業員向けの説明会を実施した際には、現場から非常に多くの質問が出ました。それだけ、組織や働き方に対して、現場の中にさまざまな思いや問題意識が存在していたのだと思います。

だからこそ重要なのは、単に調査結果を見ることではありません。その背景にある従業員一人ひとりの思いや実感を丁寧に汲み取り、そこから組織の変化につなげていくことだと感じています。その意味で、リンクアンドモチベーション社は、単なるサーベイベンダーではなく、「変革を伴走するパートナー」だと考えています。組織変革は、一度の施策で終わるものではありません。これからもPDCAを回し続けながら、未来に向けた組織づくりを進めていきたいと思っています。

※本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時のものです。

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