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事業本部が主導、全員で臨むマネジメント変革〜主語は「IとYou」ではなく「We」〜

東武鉄道株式会社

人事部 能力開発センター 課長 (前 鉄道事業本部 事業戦略部 課長) 今村 憲司 氏
鉄道事業本部 事業戦略部 課長補佐 若林 遼 氏
鉄道事業本部 事業戦略部 木村 泰久 氏
事業内容

運輸事業、レジャー事業、不動産事業、流通事業、その他事業

業種 物流・運輸 サービス 建設・不動産

企業規模

2001名~

導入規模

2001名~

担当コンサルタント

株式会社リンクアンドモチベーション 小磯義貴

期待

  • マネジメント変革によって職場のエンゲージメントを高め、事業成長と離職リスクの低減を実現したい。

  • 従来の管理型マネジメントと権限委譲型マネジメントを、うまく使い分けられる管理職を増やしたい。

  • 管理職の育成や組織変革について、豊富な知見を有する専門家にアドバイス・提案をもらうことで、実効性や信頼性を担保したい。

効果

  • 事業本部主導で「自分たちで変え、自分たちで育てる」取り組みをスタートできた。

  • マネジメントBOOKの作成や管理職のトレーニングにより、PDCAを愚直に回す東武鉄道らしいマネジメントの在り方を明文化し、浸透を図ることができた。

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関東の私鉄最長の路線網で観光地と都市部をつなぐ

「会社および事業の概要」

今村氏:東武鉄道は、浅草、日光、池袋などの拠点を持ち、観光地と都市部を結んでいる私鉄です。観光と通勤・通学の両方を担っている点が、当社の大きな特徴です。とくに、関東の私鉄のなかではもっとも長い沿線距離を誇っており、最近では新型特急の「スペーシアX」が導入されるなど、輸送サービスのバリエーションも多様な鉄道会社です。

若林氏:鉄道事業を基軸にしながらも、スカイツリーの運営をはじめ、ホテル事業や不動産の分譲・賃貸、流通業など、多角的な事業展開を進めています。

今村氏:私たち「鉄道事業本部 事業戦略部」では、主に鉄道事業に関する予算や計画の取りまとめをおこなっています。予実管理に加え、「事業戦略部」という名のとおり、次なる成長戦略を立案していくことも重要な役割です。

従来の組織マネジメントでは、事業成長に限界がある

「組織課題とサービス導入の背景」

今村氏:鉄道事業は安定しているものの、昨今は外部環境が目まぐるしく変化しています。新しい路線や車両の開発、ダイヤの編成など、個々の戦略立案はもちろんのこと、こうした戦略を実行できる人材を育成していかないと、これ以上の成長は見込めません。そこで、鉄道事業本部の人材成長を促すため、リンクアンドモチベーションのサービスを導入しました。

これまで、教育や研修といった形で「あるべきマネジメントを示唆する」ことは人事部門の役割だと捉えられがちだったので、事業本部内で独自にあるべきマネジメントを考えることもありませんでした。しかし、事業本部制を敷いている以上、事業戦略だけでなく、将来の事業成長に向けてあるべきマネジメントを考えることも、事業本部の責任であるはずです。自分たちの成長に必要なことは、自分たちで考え、実現していきたい。ですから、社内では珍しいケースでしたが、人事部門ではなく事業本部主導でサービスを導入しました。

また、人事部門が主導すると、単一の事業本部だけでなく、全社でアクションを起こすことになります。ですが、会社の中には鉄道部門だけでなく不動産部門やホテル部門など多様な部署があり、各職場で起きていることは大きく異なります。鉄道事業にフォーカスして人材成長を考えるなら、鉄道事業本部が直接動いたほうが、より実効性のある、「痒いところに手の届く」施策ができるのではないかという狙いもありました。

若林氏:離職リスクを低減させたかったことも、サービス導入の背景としてあります。私は以前、「人事部能力開発センター」という部署で、新入社員や若手社員の教育に携わっていました。その後、鉄道事業本部に異動してきたのですが、当時はまだコロナ禍の影響が残っていたこともあり、人事部能力開発センター時代の教え子である社員たちの離職が続いたことがありました。志を胸に入社した新入社員や若手社員が、辞める決断に至ってしまう。とても残念に思いましたし、現状を変えなければいけないと考えるようになりました。

こうした思いのなかで、「なぜ辞めるのか?」を知るために、若手社員に限らず離職者のエンゲージメントが下がった理由を独自に分析しました。離職者と組織の間にどのような認識のズレがあるのかを見極めたかったのです。結果として見えてきたのは、人事制度そのものではなく、職場での運用に課題があるということでした。

今村氏:そもそも、人事制度をはじめ“完璧な制度”というものは存在しないと考えています。制度を補完していくのが運用であり、その運用は誰がするのかと言えば、事業本部です。だからこそ、事業本部がいかに主体的に運用していけるかが重要なんです。

2種類のサーベイを軸に、PDCAで改善を繰り返す

「導入サービスの全体像」

若林氏:我々が目指したのは、職場単位でPDCAを回しながらマネジメントを変革していくことでした。そのためにはまず、「東武鉄道あの鉄道事業本部では、どのようなマネジメントが求められるのか?」を明らかにする必要があります。そこで、昨年10月にプロジェクトをスタートし、最初のステップとして「マネジメントBOOK」を作成しました。

マネジメントは普遍的な理論にとどまらず、現場の実務と整合性が取れていることが重要です。そのため、管理職にインタビューをして、「日々どのようにマネジメントをしているのか」「どのような苦労があるのか」など、ヒアリングしました。こうした職場の声をもとに、東武鉄道らしいマネジメントの在り方をまとめたのが、マネジメントBOOKです。

その後、マネジメントBOOKを定着させるため、管理職にトレーニングを実施しました。これは、「やっているつもりになっていること」や、「どこでディスコミュニケーションが生じているのか」を体感してもらうような内容です。

さらに今年度からは、モチベーションクラウドに実装されている2つのサーベイを実施する予定です。1つは組織のエンゲージメントを測るサーベイ、もう1つは管理職を対象としたマネジメントサーベイです。これらのサーベイの結果をもとに、管理職が自らの課題や職場の改善点を振り返り、具体的な行動計画を立案します。その行動計画を職場内で共有し、実際にアクションに移していくというのが全体の流れです。

マネジメントサーベイは今回が初めての試みであり、管理職から不安や戸惑いの声が上がることも想定されます。そこで、サーベイの実施に先立ち、事前に説明会を開催する予定です。このサーベイは、「チェックする人・される人」という対立構造で捉えるものではありません。課長、課長補佐、メンバーといった立場に関係なく、同じチームとしてより強くなるために、何が必要かを共に見つけていくための取り組みです。現状のマネジメントを否定するものではなく、どこにすれ違いがあるのかを全員で明らかにしていくことが重要だと考えています。ですから、説明会では、「IとYouではなく、Weなんだ」というメッセージをしっかりと伝えていくつもりです。 

サーベイの後、行動計画をメンバーに伝えるときも、「We」の気持ちになってもらうことが大事です。論理的に分かってもらえても、感情的に共感してもらえないと行動にはつながらないので、共感につながるようなインナーブランディングムービーをリンクアンドモチベーションと共に制作する予定です。

なお、モチベーションクラウドのエンゲージメントサーベイについては、人事部門主導で全社導入も決まりました。このことも、アクションを加速させる後押しになると思っています。

もう一つ、並行して進めたいのが業務効率化です。インタビューの際、多くの管理職から業務が忙しいという声を聞きました。どんなに優れたリーダーでも、業務過多の状態で、エンゲージメントを高めるのは難しいことです。むやみにマネジメントの負担を増やしては、かえって上手くいかないでしょう。ですから、今回のプロジェクトに合わせて業務効率化を推進したいと思っています。管理職の業務負荷が少なくなれば、マネジメントの変革にも相乗効果がもたらされるのではないでしょうか。

木村氏:ちなみに、今回のプロジェクトは「職場管理PDCA」と名付けています。鉄道事業本部はこれまで、鉄道の現場でリスクのある事象を振り返りながら一つずつ課題を解消し、安全性を高めていくというPDCAの仕組みを確立してきました。こうした歴史があるため、PDCAの考え方は我々の組織に馴染みやすいのではないかと考えたのです。

今回のプロジェクトでも、「在るべき姿」をマネジメントBOOKに示し、それを軸に現状を振り返りながらアクションを重ね、改善していく。こうしたPDCAの流れを徹底していきたいと思います。

「制度」に目を向ける会社が多いなか、「運用」を重視した提案をしてくれた

「サービスに感じた価値」

木村氏:今回、外部のコンサル会社であるリンクアンドモチベーションの力を借りることにしたのは、第一に、マネジメントや組織運営に関する知見を提供してもらいたいと考えていたことがあります。また、マネジメントや組織に関することは、我々が伝えるより、外部の専門家が伝えるほうが受け入れられやすいと考えました。「あなたはこうではなく、こうしたほうがいいですよ」と伝える場面でも、話者が内部の人間だと「主観が入っているのでは?」と納得感が低下してしまうと思います。

今村氏:リンクアンドモチベーションだけでなく、いくつかのコンサル会社に相談しましたが、他社のご提案からは「画一的」な印象を受けました。特定のパターンに当てはまる人向けの施策はきちんとしていても、それに当てはまらない人への対応策が用意されていないと感じました。

若林氏:当社の社員は、真面目に研修を受ける方ばかりです。しかし、内容に深く腹落ちしている社員がいる一方で、「こんな感じでいいかな」と表層的な理解にとどまってしまう社員がいるのも事実です。当然のことですが、こうした受講者は行動変化につながりません。

その点、リンクアンドモチベーションのサービスには、「メンバーの本音」を可視化できるという点で大きな期待を抱きました。単にサーベイ結果を把握するだけでなく、その結果をもとに行動計画が適切に立てられているかどうか、さらに継続的なサーベイを通じて、実際の行動変化につながっているかどうかまで確認できる仕組みが整っています。

加えて、トレーニング中にはコンサルタントが対象者の様子を丁寧に観察し、「研修や行動計画に対して前向きかどうか」といった姿勢を的確に把握してくれます。もし前向きでない場合でも、個別にフォローする体制が整っている点も安心です。こうした一連のサポートは、受講者の研修への意欲を高めるだけでなく、我々にとっても非常に心強い支援体制だと感じています。

もう一つ大きかったのは、リンクアンドモチベーションが「運用」に力を入れていることです。他のコンサル会社では、「サーベイで課題が見つかったら、制度を変えましょう」というように、制度に注目していることがほとんどでした。ですが、我々が課題を感じていたのはむしろ運用面です。制度に目を向けがちな会社が多いなか、「運用が大事なんです」と明言し、運用を見据えた提案をしてくださったことは導入の大きな決め手になりました。

サーベイは他者を評価するものではなく、自らを内省するもの

「導入にあたって障壁になったこと」

若林氏:今回のコンサルティングサービスのなかでも、サーベイの導入は、すぐに社内の理解を得られるものではありませんでした。これは、サーベイに対して、「評価するもの」「序列を付けるもの」といったイメージを持っている方が多かったからです。実際に、「これは人事考課と何が違うんだ?」と聞かれたこともありました。

そこで、我々は「サーベイはPDCAの一環なんです」という伝え方をすることにしました。「現状を振り返り、職場を改善していくために、このサーベイを使いたいんです」と繰り返し訴えました。そうするなかで、「他者を評価するのではなく、自らの行動を内省し、改善につなげていくものなんだな」というように捉え直していただけたと思っています。

「自社肯定感」が高く、仕事を楽しんでいる人であふれる組織へ

「今後、実現したいこと」

今村氏:現在の組織は、いわゆる「管理型」です。リーダーが指示をして、それを真面目に実行するという文化が定着しています。ですが、これからは管理型のマネジメントだけでは立ち行かなくなっていくはずです。一人ひとりが自ら考え、アイデアを出していく「権限委譲型」のマネジメントも必要です。大切なのは、単にアイデアを出すことではなく、アイデアを出せる人材と、それを支える組織をつくることです。

もちろん、安全管理が最優先される鉄道の運行や保守の現場では、今後も管理型が有効でしょう。しかし、すべての仕事がそうではなく、一人ひとりがアイデアを出し、形にしていくことが求められる仕事も多くあります。リーダーは、管理型と権限委譲型の使い分けができるようにならなければいけません。

先ほども申し上げたとおり、今回、リンクアンドモチベーションのサービスを、人事部門ではなく事業本部で導入しています。これは前例のないことですが、明確な理由があります。自分たちの事業を成長させるには、自分たちで自律的に考え、行動を起こしていかなければいけないからです。

当社の社員は、既存の業務に真面目に取り組んでいますが、環境が大きく変わりつつある今、既存の業務を変えていかなければいけません。だからこそ、もっと自律的に「自分たちで変えていこう」というマインドになってほしいなと思います。

木村氏:外部環境が変化するなかで、コントロールできないことが確実に増えています。ですが、「人」に関する部分は、自分たち次第でどれだけでも価値を高められる領域です。だからこそ、そこに注力していきたいと思っています。

抽象的な言い方になりますが、働いている人が「東武鉄道ってイケてるよね」と思えるような組織にしていきたいです。みんなが、「自社肯定感」を持って働けている状態が理想ですね。

私は幸運にも良い上司に恵まれました。今村さんは、「仕事が楽しい」と部下に言える上司であり、自分もそうなりたいと思っています。最終的には、鉄道事業本部が心から「仕事が楽しい」と言える人であふれる組織にしていきたいですね。

若林氏:過去の離職者たちに共通していたのは、「上司にやれと言われたからやる」というように、「自分で仕事をコントロールしている感」を持てていなかったことです。逆に、仕事を楽しんでいる人たちは、自分で考え、自分で仕事をコントロールしているのかなと思います。自分が「やろう」と思ってやる仕事は面白いですし、そこには責任やプライドが生まれ、自然と成長を実感できるようになるものです。

もちろん、鉄道の運行を支えるためには厳格な管理統制が必要ですが、それだけでは成長していけません。これからは、部下に仕事を任せられる仕組みを整えていきたいです。それができれば、もっと仕事を楽しめる人が増えていく。そう信じて、職場管理PDCAを推進していきたいと思います。

※本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時のものです。

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